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絶望雪中おマゾ行軍〜恵那山豪雪道場〜

Posted by yukon780 on 17.2014 恵那山/長野 0 comments 0 trackback
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「修行・苦痛・絶望・無念」


マゾ野郎にとって、これほど甘美な言葉は無いだろう。

そして彼らはその苦しみの中に「愉悦」を見い出し、誰彼ともなく「ニヤリ」としてしまう生き物。


これはそんな哀しき宿命を背負ってしまった4匹のマゾどもの物語。

修行の舞台は、中央アルプス最南端に位置する「恵那山道場(2,191m)」。

大雪翌日で豪雪にまみれるその山に、あえて飛び込んで行ってしまった傾奇者達。


実は彼らがここに至るまでも非常に地味な戦いを演じて来ている。

その模様はヒマ人の方のみ前回の記事を参考にしてもらいたい。(参考記事:始まらない物語〜苦悩男のヒマラヤ登山〜

それでは本編の前に、前回記事を読んでない人もいるだろうから軽くプレイバック。


まだ登山は始まっていないのに、待ちきれないジョンボーAは早くも「車押しラッセル」を始めてしまう。

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もう登山口まで待ってられない。

とにかく我々は早急にゾクゾクしたいのだ。


もちろん仕込みも万全。

パパラッチKは、「サンダル」のまま車押しラッセルに参戦。

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例えスタート前だろうと、その足を凍傷寸前にまで追い込む事を忘れない。


一方で低血圧Mちゃんは、あえて雪が降り注ぐ位置へ絶妙なポジショニング。

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このドリフ的な一人プレイで、登山開始前にして早くも雪まみれだ。

もうとにかく皆一様に待ちきれないのだ。


そしてやっと準備が整って、「登山口を目指す戦い」をスタートさせた4匹のマゾ。

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左から凍傷サンダル男こと「パパラッチK」、本意気マゾ男こと「僕」、雪まみれドリフ女こと「低血圧Mちゃん」、そしてワイハ帰りの日焼け黒人男こと「ジョンボーA」の4匹。

ついに集結したチーム・マサカズ雪山部のフルメンバー。

ようやく彼らの戦いがスタートする。


それではそんな彼らのマゾな生態をドキュメンタリーで追って行こう。


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ようやく道場を目指して動き出したマゾ達。

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一見戦いが始まったように見えるが、ここからは「ただ登山口を目指すだけ」という実に地味で長いアプローチ。

本来であれば車でもっと上まで行けるんだが、この日はもちろん豪雪により車は無理。

ゆえに遥か彼方の登山口まで歩いて行くしか方法はないという、マゾにはたまらない立ち上がりとなった。


こののっけからワクワク感ゼロの移動行軍だが、そんな我々をワクワクさせるものがある。

それはこの「影」の存在。

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基本的に太陽とは無縁の我々は、普段から山で「己の影」を見る事は滅多に無い。

いつもは暗くジメジメした道で暗闇に同化してうつむいて彷徨う我々だが、この時点で天気予報通りの大快晴。

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苦心して天気予報とにらめっこして、この日最も好天を予想されたのがこの恵那山だったのだ。

まさに雲一つない大快晴。

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この調子のまま山頂まで行けば、南アルプスのとんでもない絶景が拝めるはず。

いくら我々がマゾだからって、やっぱり絶景というご褒美がなきゃ厳しい修行には耐えられない。

よっぽどの事がない限り、本日は山頂でパーフェクトな絶景が拝めるはずだ。


そのスペシャルな絶景だけを励みに、ひたすら登山口を目指す。

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そして実に40分ほど歩き続け、「本来の駐車予定地」だったゲートにようやく到達。

本当はここに駐車して登山口を目指すはずだったのに、あえて無駄に40分も歩いて来てしまったぞ。

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しかも次第に積雪も素敵な状態となり、まだ登山口にすら着いていないのにすでに「膝下」まで雪で覆われている。

実はここから登山口は、まだ遥か先のお話なのだ。


そもそもパパラッチKの確信犯遅刻により30分時間が押しており、ここに来てさらに往復80分の無駄な林道歩きが加算された。

次第に「我々はまさか登山口にすら辿り着けないのではないか?」という不安がよぎり始める。


幸い物好きな先行者がいてくれたおかげで、トレースが付いているからなんとか歩く事は出来る。

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「ラッセル泥棒集団」と恐れられる我々はありがたくその道を利用させてもらうが、なんせこの先行者の付けた歩幅が短くて我々のスピードも次第に低下。


そこでついにまだ登山口に着いていないのにも関わらず、僕はスノーシューを装着し、低血圧Mちゃんはワカンを装着。

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そしてその光景を、ワカンを持っていないパパラッチKが呆然と眺める。

なんと彼はこの豪雪の恵那山をツボ足だけを武器に進んで行く道を選んだのだ。

凍傷サンダルと言い、本日の彼は随分とやる気に満ちている。


そしてそんなパパラッチKに付き合って、ジョンボーAもワカンを持っているのにあえて「ノーワカン戦法」というイバラの道を選択。

そしてパパラッチK自慢の重量マゾアイテム「バズーカレンズ」を持ってはしゃぎだす。

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しかし本人はバズーカを撃っているつもりなんだろうが、顔が黒過ぎて「ラジカセを持って地下鉄に乗る黒人ニューヨーカー」的な光景になっている。

このままこのブラザーマゾを放っておくと、突然ディスり始める可能性があるので急いで再出発だ。


しかし歩けども歩けども、一向に登山口は現れない。

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一方で進めば進むほどに積雪量は増して行き、歩きにくい事甚だしい。

だがそんな感じでヒイヒイ言えば言うほど、このマゾ達は笑顔が弾けまくる。

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登山口に着くまでに、これほどまでに体力を消耗させられるという幸せを噛み締めるメンバー達。


そしてノーワカンで新たなコーフンに身を捧げ出すパパラッチK。

浮力ゼロの男は見事に腰まで雪に埋まり、普段は無表情なパパラッチKもご覧の笑顔だ。

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後方から来るブラザーマゾも「YO!What's Up?」と驚きを隠せない様子。

しかし余裕をかましていたそのブラザーも見事に陥没。

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穏やかな山間に「Oh!Jesus!」という叫び声がこだまする。

そして抜け出した2歩目も見事に埋まり、

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3歩目も埋まり、

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4歩目も埋まって、ついにブラザーは笑顔で「Holy shit!」と叫んで雪に対してディスり出す。

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まだ登山口前なのに、みるみる体力が奪われて行く。

こいつは想像以上のサディスティックロードだぜ。


ここですかさず、この二人のノーワカン戦法を見かねた低血圧Mちゃんが動く。

ノーワカンの二人に対し、「ワカンの方が断然歩きやすいですよぅ。」と勝ち誇ったルンルン顔で言い放つやいなや、思いっきりその場で己のワカンを踏んで転倒。

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自作自演のおマゾタイム。

結局ワカンをしていようがしていまいが、行き着く先はマゾなのだ。


そしてそんな牛歩集団たちは、まだまだ延々と先にある登山口を目指して歩いて行く。

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やがて闇に吸い寄せられるように、トンネルへ突入。

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太陽の光が遮断され、本来のパワーを発揮し出した闇の住人達。

トンネル内から後方を見れば、闇に取り憑かれた超人「アシュラマゾ」が迫って来る。

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トンネル内に太い声で「カーカッカッカ」という笑い声が反響する。

やはりこのメンバー達は暗くジメジメした世界でこそ輝きを放つようだ。


この後方から来るアシュラマゾに影響され、僕も負けじと「あえて新雪の道を進んで体力を消耗させる」という自傷行為でその想いに応える。

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もちろん後方のブラザーも一瞬「Really?」という表情になったが、すぐに笑顔でラッセル開始だ。


そんな事しながらも、相変わらず登山口は一向に現れない。

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もう車を出発してからかれこれ1時間半以上が経過している。

一体いつになったら我々は「スタートライン」に立つ事が許されるのか?


そんな中、ついに我々は「登山口」に到達した。

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実に長く苦しい旅路だった。

まだ登山口なのに、この達成感は何事だ?


駐車場から1時間40分でようやく「出発記念写真」を取る事に成功。

もうここがゴールでもいいんじゃない?ってくらい、皆の顔は達成感に満ち満ちている。

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そして何気に僕だけ手が雪まみれなのは、セルフタイマーをセットして立ち位置に行く途中で前のめりに転んだからである。

なぜか登山口の時点で足に来ていた結果である。


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さあ、ついに「恵那山豪雪道場」の門を叩いた手負いのマゾ達。

もうすでに半分くらいの体力を持って行かれているが、本当の戦いはここからだ。


登山口の標識を越え、記念すべき一歩を颯爽と道場に刻んだ低血圧Mちゃん。

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しかし次の瞬間。

入山わずか2歩目にして、いきなり滑落して行く低血圧。

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血圧の降下っぷりも凄いが、自身の滑落っぷりもやはりお見事。

登山開始5秒で炸裂させた「出会い頭のマゾ」。

雪に埋もれながらも、もちろんその顔はヨロコビの笑顔が弾けている。

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そしてそんな低血圧Mちゃんのファーストマゾアタックを、実にクールな表情で見つめるパパラッチK。

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その表情は「俺はそんなくだらないミスはしない」と言わんばかりだ。

しかしその直後。

彼は光の速さで足を滑らせ、見事なスライディングをかましてきた。

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そしてすかさず体制を立て直すが、足を取られまくって陽気に踊りながら滑落して来るパパラッチK。

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後方のブラザーも「Yeah!So Cool!」とそのマゾダンスに興奮を隠せない。

まだスタート直後だと言うのに、奴らの祭りが止まらない。


一方でそんな「動のマゾ」の後は、しっぽりと「静のマゾ」をたしなむ心も忘れない。

先頭を行くMr.高所恐怖症が、雪でスベスベの橋をこれでもかというほどの腰の引けっぷりで静かに渡って行く。

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この時ばかりは笑顔無しで必死のASIMO男。

そしてその後方から、もう一台の高所恐怖症ASIMOがクールな表情で渡って来る。

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そんなASIMO達のクールさに感動したブラザーは、いよいよ武藤化が止まらない。

そしてそんなMr.悪ふざけのジョンボーAは、後方からもの凄いプレッシャーをかけてパパラッチKを追い込んで行く。

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しかし毎回調子に乗っては痛い目に遭うこのニューヨークっ子。

余裕ぶっこいていたが、最後に思いっきり橋で足を滑らせて転落。

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まさに「人のマゾを笑う者はマゾに泣く」の良い例である。


そしてここからそんな我々を見て、恵那山が早くも熱烈歓迎ムードに。

いよいよ「熱烈大急登」のお時間が始まったのだ。

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そのあまりに強烈すぎる新雪の大急登は、もはや僕のスノーシューでは太刀打ちできない斜度。

1歩進んでは3歩ずり落ちると言った悲惨度で、思わず僕も「オー、モーレツ」と呟かざるを得ない状況。


このままじゃとても進んで行かないので、僕はスノーシューを外して遥か後方に。

このモーレツな斜度が分かって頂けるだろうか?

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もちろん僕の後方は、あくまでもツボ足を貫き通すパパラッチKの勇姿が見て取れる。


それでは誰がこの地獄の急登を先頭で切り開いて行っているのか?

それは唯一のワカンイストとなった低血圧Mちゃんだ。

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野郎が3人もいながら、女性を先頭に立ててラッセルさせるというまさかな行軍スタイル。

しかし低血圧Mちゃんは「野郎ども、私に付いてらっしゃい!」と背中で語りながら、ガシガシと道を切り開いて行く。

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これぞチーム・マサカズの誇るマゾンナの勇姿。

料理が出来る女性より、ラッセルが出来る女性こそ僕らの憧れ。

今マゾ総選挙が行われれば、彼女はぶっちぎりのセンター獲得で「恋のフォーチュンラッセル」を高らかに歌いあげる事だろう。


そしてひたすらラブリーな急登は容赦なく続いて行く。

豪雪の雪中行軍は予想以上のハードさで我々を快楽の世界へと導いてくれる。

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しかしこんなにしんどい思いしてるんだから、もうかなり登った事だろう。

そろそろ5合目くらいかと思った矢先。

目の前にこのような親切なご案内が掲出してある。

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なんとこの時点で全体の「1/10」だったという、誤植を疑ってしまうほどの信じられない情報。

駐車場を出発してからかれこれ2時間半以上マゾり続けた挙げ句、まだ「1合目」だったという衝撃。

まるで西遊記の「お釈迦様の手の上の悟空」状態。

このまさかな事実に直面し、我々はたちまち悦びに打ち震える。


もちろんだからと言って恵那山道場は一切手を抜く事をしない。

どこまでも急登をもたらして、おもてなしの手を緩めないのだ。

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なおかつ、この辺りから雪の下に「凍った岩」を絶妙な位置に配置して来るというトラップゾーンへ。

その隠れ岩にズルッと足を取られる度に、ごっそりと体力を持って行かれる。

あまりに酷い場所は、ポールで引っ張り合いながらの「リポビタンD」状態に。

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ファイト一発どころか、このようなCM撮影ポイントが二発三発と現れる。

もはや「肉体疲労時のマゾ補給」といった救いの無い状況になって来た。


そして後方のクールマゾガイのパパラッチKは、なんとこの時点でクールに木に足を強打。

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後に温泉で確認した際見事に足から血が出ていたが、彼の仕込みマゾはクール過ぎて見た目からは何も分からない。


その後も変態マゾ道場に身を任せて疲労を上乗せして行く者達。

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この終わらない快楽に、皆一様に絶え間なくニヤリが飛び出してしまう。

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実にチーム・マサカズ3年目のスタートに相応しい状態になって来た。

クールにヘロヘロになっているパパラッチKも、「あの丘を越えたらいい加減稜線に出ますかね?」と虫の息で語りかけて来る。

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しかしもちろんここを越えた所で、一切稜線に出る気配のない歓迎セレモニーが延々と続いて行く。

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せっかく珍しく晴れているのに、ひたすら樹林帯の中でうごめく4匹のマゾ。

随分と登って来た気がするが、正直まだ一切「景色」と言うものを拝めていない。

せっかくの雲一つない青空だったのに、一体我々は何をやっているのか?

そう思ってふと空を見上げてみる。

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気のせいだろうか?

登山開始前は雲一つなかった気がするが、随分と「白いもの」が見えますね。


まずいぞ。

これじゃ暗い樹林帯で快晴を泳がせて、いざ景色の見える山頂に行ったらモクモクまみれなんていういつものパターンじゃないのか?

これはまるで番組後半まで悪代官を浮かれさせて、20時45分あたりに印籠を取り出して一気に悪代官一味を殲滅する「黄門作戦」。

いよいよ策士モクモクさんがその重い腰を上げ始めたのだ。


急がねばならない。

山頂とは言わないまでも、せめて7合目あたりの稜線まで早く行かないと。

こんなに晴れてるのに、一切の景色が見れませんでしたなんてことがあってはならない。

しかし、もう随分と登って来たからあとちょっとで稜線に出るはずだ。


そんな我々の前に、再び現在何合目なのかのご案内標識登場。

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そろそろ7合目か?

せめて6合目だと言ってくれ。


しかしそこには、陽気なイラストとともに「3」って文字が...。

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我々にはその文字は「3」ではなく「絶望」と読み取る事が出来た。

驚きのあまり僕の目なんて、両目とものび太レベルの「3 3」になっていたほどだ。


あんなに頑張ったのに...。

出発から3時間以上歩いて3合目って...。


この「永遠の0」よりも感動的な「絶望の3」によって、豪快に音を立てながら心をバキバキに折ってしまったマゾマゾ特攻隊のメンバーたち。

この道場には一切の容赦は存在しないのか?


そしてこの時点で、時計はまさかの「12時」を表示する。

「お昼ご飯は山頂の非難小屋で食べましょう」と言っていた僕は、ただただ時計を見てフリーズしていた。

このままこのペースで山頂を目指していたら、下山できるのは夜中になってしまうぞ。


この信じられない状況に、ジョンボーAはブラザーから「上野クリニック」の広告に変身してしまっている。

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その目は「もう少し頑張って、ひとつ上の男になりましょう」と雄弁に語っている。


そうだ。

ここで諦めたら女の子に嫌われちゃう。

ここまで来たらもう少し頑張って、せめて「景色」を見てから撤退したい。


ついにこの時点で、目標を「山頂」から「とりあえず景色が見れる所」までと無念の変更。

いよいよ目的のグレードがみるみる下がって行く手負いのマゾ達。


そしてこの激しい雪中行軍もここまで来ると、若干精神に異常を来し始める者も続出。

あれ程クールだったパパラッチKが、ここまでのツボ足マゾラッセルがたたってしまったのか。

ついにテンションマックスのトランス状態へ。

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まるでパリス・ヒルトンの「お忍びビーチ旅行ノーブラ写真」の撮影に成功したパパラッチのような喜びっぷり。

これでまた半年は食べて行けるぞ、と言った所だろうか。


一方で、その後方にはヘロヘロの低血圧Mちゃんの姿が。

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ついにラッセルし過ぎて血圧が下がり過ぎてしまったのか?

さすがにこの変態道場に、彼女のようないたいけな乙女を連れて来てしまってツライ思いをさせてしまったか?

しかしふと顔を上げた瞬間を激写すると、これでもかというニヤリが炸裂している。

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やはり彼女は名古屋が誇るトップマゾモデル。

悲惨度が増すほどにその笑顔は美しさを増して行く。

そして笑顔ハツラツの状態のまま「体が重い。シャリバテ(エネルギー不足)で動けません。」と嬉しそうに言い放つ。


そこで僕の行動食を与えてみる。

すると「こんなに美味いものは初めて食った」とばかりに、しみじみとチョコを食っている。

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まさに戦後のアメリカ進駐軍が、「ギブミーチョコレート」と叫ぶ子供にジープの上からチョコを渡しているような気分だ。

さあ、日本の子供達よ。

私に付いて来なさい!


しかしそこには、思いっきり足を雪に取られて前のめりに転倒するアメリカ兵の姿が展開。

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チョコレート程度で良い気になった報いを受けるがよい。

そしてこの哀れな姿を撮影したのは、同じ進駐軍仲間のブラザーウエノの仕業である。



そんな調子で、最後の一踏ん張りを突き進むメンバー達。

やがて開けた場所に出て、ついに目標であった「景色が見える場所」に到達。

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天気は申し分ないほどの青空だ。

山頂には到達出来なかったが、いよいよ我々の前に「南アルプスの山々」という大絶景が広がるぞ。

さあ、やっとここまでの地獄のような修行が報われる瞬間だ。

いでよ。

南アルプスの絶景よ!

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なんじゃこりゃあ!

思わず優作と化してその場に立ち尽くすメンバーたち。


私だけだろうか?

白くてモクモクした奴しか見えないんだが。

目線上に綺麗に整列して、南アルプスを綺麗に覆い隠しているモクモクさんしか...。


これが我々が4時間以上雪中行軍した挙げ句に頂いた「ご褒美」なのか?

こんなに天気が良いと言うのに、またしても心眼を使わざるを得ないのか?


ジョンボーAは地団駄を踏み、パパラッチKはもう景色に背を向けてしまっている。

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低血圧Mちゃんなぞは、もはや立ってすらいられないようだ。


しかしそこは「報われない慣れ」をしている屈強なマゾども。

山頂にも行けず、景色も見れず、達成感ゼロのこの状態にすら愉悦を見いだしてしまうのだ。

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そして「ここが我々の山頂である!」と江田島平八のような強引な発言で、無理矢理達成感を乾いた心に植え付ける。

で、本来山頂の避難小屋で食うはずだった飯を食い。

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そそくさと下山開始です。

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こうしてチーム・マサカズ3年目のスタートにして、雪山部本格始動一発目は「3合目撤退」という劇的な結果に。


しかしそれでもまだ恵那山道場の追撃が止まらない。

見事に雪に隠れた凍った岩で足を滑らせて低血圧Mちゃんが転倒。

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それを見た後方の二人は、彼女を助けるどころか指差して大喜びと言った非道さ。

奴らの血の色は黒色に違いない。

さらに、もう十分だと言うのにさらに滑り落ちて来る低血圧Mちゃん。

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しかしその顔はもちろん笑顔だ。

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これを見て、後方のブラザーはさらに爆笑。

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これには温厚な低血圧Mちゃんがついにキレた。

ここに来て低血圧Mちゃんの悪天候奥義「怒りのブリザード」が炸裂だ。

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木に降り積もった雪が、突風とともに舞ってジョンボーAを吹き飛ばす。

さらにその後方のパパラッチKはその吹雪をモロに食らって、立っている事すら出来ない。

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そしてその低血圧ブリザードから命からがら抜け出すと、何やら己の異変に気づいて愕然としているパパラッチK。

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なんと彼のトレッキングポールがボッキリと折れているではないか。

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低血圧Mちゃんに秘められた真の力に恐れおののく悪のりパパラッチ。

指差して笑っただけで、ポールと心を丸ごと折られてしまったようだ。

またしても「マゾを笑う者はマゾに泣く」の分かり易い例である。


なんて言ってるそばから、低血圧Mちゃんのご乱心が止まらない。

少し目を離すと、すぐに雪面めがけてスライディングライダーキックをかましてしまうのだ。

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もちろん、二度もブリザードの餌食になりたくないジョンボーAは笑わずにスライディング祭りに参戦。

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この目の前で連続で繰り広げられる新喜劇に対し、パパラッチKはクールに慎重下山。

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もちろんその「場の空気を読まない行い」に対し、怒りの「低血圧ブリザード」が降り注いだのは言うまでもない。

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もはやこの下山戦線を生き残れるかどうかは、ズッコケまくる低血圧Mちゃんをいかに怒らせないかが鍵となるようだ。


それでもまだまだマゾリ足りない低血圧Mちゃん。

「ずどん」と鋭い音を山中に響かせながらのヒップアタックが炸裂。

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この越中詩郎を彷彿とさせるヒップアタックに、後方のジョンボーAは爆笑したいその表情を隠すのが精一杯。

やがては「私、雪崩ちゃってます♥︎」と言った状態に。

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もちろんジョンボーAもその流れに巻き込まれて雪崩落ちて来る。

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その光景を見た「ポール一刀流」のクールな男。

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私は同じようなミスは冒さないとばかりに、一刀流奥義「ダウジングスライダー」を炸裂だ。

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しかし想像以上に勢いが出てしまい、クールに焦り出すパパラッチK。

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最終的には、まるで馬に繋がれて市中引き回しを食らっているかのような状態でクールにフィニッシュだ。

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かつてポールをこのような画期的な使い方をした男がいただろうか?

そしてこれをきっかに、いよいよポール一刀流の奥義を極めて行くパパラッチ。

行きにあれ程苦労したASIMO橋を、ポールポジションをキープしながらのバランス渡りを披露。

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低血圧ブリザードを食らって意向、彼の雑技団化が止まらない。


やはり今回の修行は一様の効果があったようだ。

そんな雪山部メンバーたちの逞しいマゾっぷりに、僕としても一安心。

最後に僕は豪快に前のめりに転倒し、「我が背中を見て学べ」とばかりに彼らにメッセージを送る。

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そして立ち上がろうと醜くもがき、

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もがくほどに抜け出せなくなるという、体を張ったメッセージ。

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そう。

我々の目的は山頂ではない。

ましてや絶景でもなければ達成感でもない。

我々はマゾを楽しむアウトドア集団という事を忘れてはいけないのだ。


やがてアホほど長い長い林道を歩き続けて、なんとかこの「恵那山豪雪道場」をご卒業。

素晴らしき修行の一日だった。

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腰に手を当ててやたらと胸を張っているが、彼らはたった3合目で途中撤退して来た敗北者です。

しかしマゾ目線で言えば立派な勝者。

このような形でしか登山を楽しめない人々もいるのであります。

晴れた日には晴れた日なりのマゾり方があるんですね。



こうしてチーム・マサカズの3年目が華々しくスタート。

そしてこの恵那山道場でマゾに磨きをかけたこの雪山部。

次こそ、いよいよエントリー雪山の最難関・冬期八ヶ岳の「赤岳」へとその足を進めるのであります。


ここで鍛えたマゾが赤岳でさらなる高みへ押し上げられるのか?

それとも赤岳が真っ赤な鮮血にまみれてしまうのか?

はたまたまたしても悪天候で現地にすら辿り着けないのか?



彼らの2014年はまだ始まったばかりである。




絶望雪中おマゾ行軍〜恵那山豪雪道場〜  完



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始まらない物語〜苦悩男のヒマラヤ登山〜

Posted by yukon780 on 13.2014 恵那山/長野 2 comments 0 trackback
戦いは静かに始まる。

それは「始めるため」の長い長い戦いだ。


しかしそれはアリ地獄への入口。

もがけばもがくほど、悩める者はマゾの世界に引きづりこまれて行く。


事件は現場で起きているんじゃない。

企画段階の会議室で起きているのだ。


スタートラインに立つまで、その苦悩は続いて行くのである。

そのマゾは苦しい。

しかしそんなマゾにこそ救いはあるのである。



〜民明書房刊「マゾストテレス名言集」より



※これより先はただただ無駄に長いプロローグです。ひたすらおっさんが悩んでるだけの回です。暇な人だけ読んでください。本題は次回からです。


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チーム・マサカズ3年目突入。

記念すべき一発目の戦いがやって来た。

ステージは憧れ続けた「冬期八ヶ岳」。

いよいよ我々の夢の一歩が、八ヶ岳最高峰「赤岳」に刻まれる時が来たのだ。



僕はこの戦いに、誰よりもアツい気持ちで挑んでいた。

嫁に必死で懇願して勝ち取った、この1泊2日のドリームマッチ。

初めて雪山部の4名が一同に会し、さらに今回は東京からスペシャルゲスト「サバイバーNさん(仮)」というサバイバルマゾ登山家が参加予定。

まさにこれは、今シーズンのキモとなるようなお祭り登山。

ここまでの雪山登山の集大成的な一大フェスティバルなのだ。


もちろんこの祭りは準備段階から熱を帯びていた。

僕はもう仕事そっちのけで徹底的に冬期八ヶ岳を調べ倒していた。

そして頭から煙が出そうなほどに悩みながら、水も漏らさぬ綿密なるプランニングを作成。

その工程表は「2日とも好天の場合」「初日だけ好天の場合」「2日目だけ好天の場合」「2日とも微妙な場合」など、あらゆる天候に対処した完璧なもの。

もはやよっぽどの事が起こらない限り、どんな状況でもウェルカムな状態が出来上がった。


僕はメンバーに対し、「もし全国的に悪天候で中止になった場合は土下座する」とまで宣言。

それほどまでに僕はこの戦いにかけていたのだ。

よっぽどな事なんて発生してはならないのだ。



そんな中で迎えた決戦2日前の「木曜日」。

雪山部のメンバーの元にこのような画像が送りつけられていた。

IMG_3526.jpg

そこには美しい土下座をかます男の姿が写っている。

そしてその横では土下座の最上級技「反転土下座」を炸裂させて、子として親の悪天候野郎ぶりをメンバーに謝罪する甲斐甲斐しい息子の姿も。

そう。

よっぽどの事が起きてしまったのである。



ご存知の通り、この時点での土日の天気予報は「記録的な大雪予報」へ。

あらゆるシチュエーションに対応した僕の完璧なプランニングだったが、その中に「大雪で高速道路が閉鎖されて現地にすら辿り着けなかった場合」という項目は存在していなかった。


ちょっと張り切っただけなのにね。

まさか記録的な大雪とはね。

まだ浮かれてすらいないのにね。



前回はホワイトアウトで今回は記録的な大雪。

いよいよ我が悪天候男ぶりに歯止めがかからない。


今まで散々現場で悪天候にまみれて来たが、どうやら今シーズンの僕の傾向は「現場にすら辿り着けない」という新しいステージに突入したようだ。

きっと無理して行ったとしても、雪で立ち往生してただの「仲良し4人組・温泉ツアー」になっていた可能性が高い。

さすがにチーム結成3年目の記念すべきスタートがそれでは目も当てられない。


こうして、あれ程意気込んで企画した八ヶ岳遠征は見事に「延期」と相成った。

この大雪はサバイバルマゾ登山家のサバイバーNさんとしたら絶好のシチュエーションだったと思うが、まだ我々のマゾレベルではその世界では戦えない。

無念だが、サバイバーNさんの初登場も見事に延期となった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


しかしである。

悲しみの延期表明翌日の「金曜日」。


この無念の土下座を見て安心したのか、モクモクさんがわずかな隙を見せた。

なんと日曜日の「恵那山」のみが、モクモクさんの目をかいくぐって好天予報になってるじゃないの。


八ヶ岳が延期になり、このムラムラした気持ちの置き所に苦しんでいた僕には、その好天予報はあまりにもエロ過ぎた。

僕は急遽「こうなったら一人でも恵那山へ行く。土曜日に降るであろう大雪が猛烈に積もってる可能性はあるが、物好きなマゾは集結すべし。」と宣言。


すると、そこは「マゾを楽しむアウトドア集団」ことチーム・マサカズの雪山部員達。

まんまと部員全員が手を挙げたのだ。


大雪予報の次の日で、スペシャルな「ラッセル地獄」が予想される酔狂な世界と分かっていながらのフルメンバー集結。

でもここの所全然雪は降ってなかったし、大雪翌日とは言えとんでもない雪が積もる気配はない。

なんとかなるだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


大雪予報当日の「土曜日」朝。

新聞を取りに家の外に出ると、予想以上の光景が展開していた。

IMG_3547_20140212165738820.jpg

なんて事だ。

岐阜市近郊でこの積雪量だと、恵那山の積雪量はとんでもない状態だぞ。

さすがにこれは想像以上の降雪だし、このペースで降り積もれば恵那山にすら辿り着けないじゃないの。


またしても僕の計画は「現地にすら辿り着けない」という流れに乗った。

めまぐるしく悩む僕。

結局恵那山は諦め、恵那山近隣の富士見台でのスノーハイクに予定を切り替えてメンバーに通知。


二転三転したが、これにてやっと目的地が確定して一安心。

そしてこの日は、来週に予定されているチーム・マサカズのイベント「御在所岳・子連れ雪山鍋新年会」のために、りんたろくんのスノーウェア一式を買いに行く事に。

そこで嫁も引き連れて、はるばる1時間くらいかけて各務原イオンのモンベルまで移動だ。


しかしその移動中、あれ程の降雪が徐々に「雨」に変化。

積もった雪もみるみる溶けて行く。

ふと心の中に「これは低山だと雪がビシャビシャでゲリ化してないか?これなら標高の高い恵那山に行った方がいいんじゃないのか?」という悩みが再び点火。

ここはさっさとモンベルでりんたろくんのスノーウェアをチャッと購入し、家に帰ってじっくりと現地の状況を調べる必要があるぞ。



そしてモンベル着。

何やらお店が白い壁で覆われているぞ。

入口にはまさかの「リニューアル改装中」の文字が。


はるばる1時間かけて、モンベルだけを目当てにやって来てこの仕打ち。

大雪予報以上に予想もしなかった「改装中」。

僕に対する天の悪ふざけは、悪天候だけでは物足りなくなって来たのか?


これにて途端に僕の中の計画が崩れ落ちる。

今日中にスノーウェアを揃えないと来週に間に合わないし、かと言って早く帰って恵那山の状況を調べて決断しないと他のメンバー達に迷惑をかける事になってしまう。


急に焦り始める僕。

しかしこんな時に限って、りんたろくんは本屋で「長考」を開始して動かなくなった。

IMG_3549.jpg

もちろん4歳児らしく、実にかわいらしい本に夢中だ。

IMG_3549 2

最近の彼は気色悪い宇宙人やUMAがお気に入りなので、これはもうたまらないコーナー。

一方でお花の本やプリキュアの本も大好きだという、不思議な二面性も持っている。


そんな事はどうでもいい。

とにかく今の私には時間が無いのだ。

急いでここを撤収し、家の近くのヒマラヤに行ってスノーウェアを購入しなくてはならない。


こうして結局家の方まで戻ってヒマラヤへ。

しかしモンベルなら何も迷う必要がなかったが、思うような物やサイズが無くて作業は難航。

気がつけば時間はいよいよ夕方になりつつあり、やたらと気持ちが焦る。

とにかく早く決めて帰らないと。


そんな中、「あれ!」という声。

なんとその場で偶然チーム・マサカズの「小木Kファミリー」とバッタリ遭遇するというまさか。

彼らも来週の為に、子供達のスノーウェアを買いに来ていたのだ。


もちろん立ち話は盛り上がってしまい、刻々と時は刻まれて行く。

僕は小木Kの状況を聞きながらも、頭の中は「恵那山の現在の状況はどうなっている?」という事で頭がいっぱい。

しかも彼らは「これからモンベルに行く」と言っていたので、僕は改装中だと言う事を告げてあげた。

まるで僕は3時間ほど時間を掛けて、小木Kのために下見をして来たような格好になってしまったぞ。

これじゃただの良い人じゃないか。



小木ファミリーがいなくなってからは、ヒマラヤの隣にあるアルペンにも走ったりして物色。

しかし中々決まらない中で、いよいよ夕方に。

早く明日行くの場所を決めて雪山部のメンバーに知らせてあげないと、彼らにも準備の時間が必要だ。


焦りが止まらない。

次第に息が荒くなる男。

決まらないスノーウェア。

ヒマラヤに飽き始める嫁。

気になる恵那山の状態。

走り回るりんたろくん。

舌打ちが止まらない嫁。

震えが止まらない男。


苦しい。

息苦しい。

もうこれ以上悩みたくない。

息が出来ない。


そう、ここはヒマラヤ。

酸素の薄い8,000mのデスゾーン。

山頂はすぐそこだ。


しかし手持ちの酸素はもう無い。

悩み過ぎて思考が凍り出す。

パートナーの嫁の心も凍ってる。

進むべきか戻るべきか。



限界に達し、体中の毛穴から煙りが漏れ出した僕はベースキャンプへ連絡を取る。

電話の相手は雪山部のジョンボーA。

僕はヘロヘロになりながらジョンボーAへ指示を仰ぐ。


「もしもし...ハァハァ..。明日なんだけど..ハァ..、恵那山と富士見台どっちがいいんだろう?ハァハァ..もう私は何も考えられない...。たす..け..て...」と。


するとベースキャンプにいるジョンボーAは実に軽い感じで、

「恵那山行ってみて雪でダメそうだったら、その足で富士見台行けばいいんじゃないスか?」と言い放つ。


目からウロコの限界男。

答えは実に簡単な事だったのだ。



こうして即座に雪山部メンバーに「明日は恵那山です。これが最終です。朝5時半に集合です。」と連絡。

同時にやっとりんたろくんのスノーウェア一式を購入する事に成功し、全てのミッションを完遂。

これにてやっと酸素を吸う事に成功し、風俗帰りの大学生のようにツヤツヤした晴れ晴れとした表情に。


もうこれで何も悩まずに明日を迎えるだけだ。

念のため、今のうちからカーナビに行き先を登録しておくか。


おや?


本来なら1時間半くらいで着ける場所なのに、到着まで「4時間」ってなってるじゃないの。

園原インターまで行きたいのに、何故か手前の中津川インターで降りて山道を大きく迂回したルートになっているぞ。


何事かと思ってNEXCO中日本のページを見ると、見事に中津川インターから「通行止め」に。

554546.png

我々が行きたいのは、中津川の次の園原だというのに。

恵那山だろうが富士見台だろうが、園原までいかないと始まらないと言うのに。

そのたった一区間が行けないばかりに、とんでもない大迂回を余儀なくされてるじゃないか。

そもそも大雪で雪が積もりまくってる山道の大迂回なんて、行けるはずがないじゃないか。


こうして再び僕は「現地にすら辿り着けない」という流れに乗った。

やっともう悩まずに済むと思った矢先の出来事。

天はまだ私の忍耐力を試そうとしているのか?


そこからは5分置きくらいにNEXCO中日本の高速道路状況を確認。

しかし一向に解除されない通行止め。

結局通行止めは解除されないまま僕は眠りについたが、その夜の僕は相当うなされていたに違いない。


なんだか終始あたふたして悩みまくった一日だった。

翌日登山が出来たとしても、なんだかもう疲れ果ててしまったよ...。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌朝、登山予定日の「日曜日」がやってきた。

ついに「始まりへの戦い」も大詰めだ。


朝起きるなり、すかさずNEXCO中日本チェック。

すると見事に飯田インターまで通行止めが解除されていた。

これで園原インターまで行ける事が確定し、いよいよ「始まる事が出来る」ぞ。


はやる気持ちを抑えきれない。

僕は集合予定時間より15分早い、5時15分に雪山部メンバーとの集合場所に到着した。

5時30分に合流し、僕の車一台に乗り換えていよいよ恵那山の「現場」に向かうのである。



しかしである。

5時30分にジョンボーAが来たものの、低血圧Mちゃんをピックアップして来るはずのパパラッチKの車が一向に到着しない。

次第に時間は10分、20分と過ぎて行く。


これはまさか、チーム・マサカズ名物「置き去り」を食らってしまったのか?

まさか私は冬もチームメンバーから裏切られる運命なのか?


もう僕がここに来てから、かれこれ40分以上が経過している。

まだ山じゃないのに、僕の冷え性の足は凍傷寸前だ。

ついに僕は「現地にすら辿り着けない男」から「集合すらさせてもらえない男」に成り下がってしまったのか?


しかし集合時間から遅れる事30分。

大遅刻をかましたパパラッチKの車がようやく到着。

原因はパパラッチKが家を出る時点で、すでに絶望的な時間だったと言うまさか。

せっかくジョンボーAがおもてなしで用意したホットコーヒーは、もはやキリリと冷えていた。


しかしもちろん僕は怒るどころか、そんな彼のチームメンバーとしての「仕込みマゾ」を誉め称える。

これにて出発前から予定が狂い、素敵なタイムアタック登山になる事が確定したのだ。

さすがは「仕込み系マゾ」として名高いパパラッチKだ。

私は嬉しいぞ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


こうしてようやく「出発」。

やっと我々は「始めるため」の移動を開始した。


しかも出発時点で予想通りの大快晴。

風は穏やかで雲一つなく、これは最高の恵那山が楽しめそうだ。

苦労して悩んだ甲斐があったてもんだ。


しかし何かがおかしいぞ。

恵那山に近づくほどに、不穏な空気が我々の車を包み込むじゃない。

気のせいだろうか?

随分と話が違う気がするのは。

IMG_3554.jpg

出発した時って、雲一つない快晴だったはずだが。

そもそも今日は一日中天気が良くって、その中でも恵那山が一番いい天気なんだよね?

もう恵那山どころか、近くの里山の姿すら見えないじゃないの。


そう、これは悪天候男の僕の車に、さらなる悪天候人間の低血圧Mちゃんが乗車した事によるおマゾケミストリー。

恵那山に近づくほどにスパークする霧の世界。

S__3203086.jpg

このままでは登山どころか「昼神温泉ツアー」になってしまう。

またしても僕は「始まる事を許されない」のか?

本日もこの悪天候兄妹は、現場に混乱をもたらしてしまうのか?


しかしここで後部座席に座るジョンボーAとパパラッチKの「元晴れ男コンビ」が、かつて己に宿っていた晴れ男の才能を爆発させる。

なんと園原インター手前の最後のトンネルを抜けた途端、猛烈な快晴が現れたのだ。

S__3203090.jpg

奇跡だ。

このバランスの取れた天候イリュージョンこそ、チーム・マサカズ雪山部フルメンバーの真骨頂。

これでやっっと「始める事が出来る」ぞ。



しかしである。

駐車予定だった冬期ゲートまでの道はとんでもない積雪量。

そしてその冬期ゲートからさらに手前にある民家前のわずかな駐車スペースは、見事に満車で停められない状態。

やっとスタート出来ると思った矢先の絶望的な光景だ。


しかしマゾ達は諦めない。

ここまで来たら何としてでも「始まる為の権利」を手に入れたい。

ついに我々は「雪中エクストレイルラッセル行軍」を開始したのだ。

S__3203087.jpg

もう目的がよく分からなくなって来ている。

このままでは車を押すジョンボーAは「始まる前」に燃え尽きてしまうぞ。

もはや登山よりもスペクタクルな展開だ。


我々はただ「始めたい」だけなのだ。

駐車スペースのさらに奥にあった「スペースらしき場所」目指し、必死で突き進む。

もう運転手の僕は、自分の車だけにハラハラドキドキが止まらない。

「始める」とはかくも過酷な事なのか?


そんな中、この段階で「スペシャル仕込みマゾ」を炸裂させたのはパパラッチK。

なんとサンダルでやって来た彼は、サンダルのまま雪の中にその足を投じての車押し作業。

S__3203084.jpg

まだ「始まる前」なのに、瞬く間に足を凍傷寸前まで追い込んで行くパパラッチK。

さすがの僕も、この素晴らしすぎるファインマゾプレーに声も出ない。


そんなパパラッチKの足の犠牲の力を借り、なんとか「スペースらしき場所」に駐車成功。

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もうこの状態のまま、エクストレイルのCMに使えるのではないだろうか?

「進化するマゾギア」エクストレイルには似合い過ぎた過酷な駐車場だ。



こうしてついに。

ついに我々は「始める為の準備」を開始する。

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ここまで「遅刻」や「サンダル」といった仕込みを展開して来たパパラッチKも、前日のワイン痛飲による目の充血を覆い隠して準備万端。

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その表情は「さあ、ひとマゾ行こうぜ」と言ったモンハン的な猛々しい風貌。

いよいよ我々は「始める事」が出来るのだ。


気持ちが高ぶる雪山部メンバー。

舞う雪はダイヤモンドダストのようにキラキラ輝いて我々を祝福する。

IMGP0882_20140213165638fc4.jpg

これにはたまらず、低血圧Mちゃんも浮かれて写真を撮り始める。

しかしそんな彼女に凄いタイミングで、竹に積もった雪がドリフのように降り注ぐ。

IMGP0884.jpg

これが中々見られないという自然現象「ダイヤモンドマゾ」なのか?

噂には聞いた事があったが、これほどの美しさとは。(拡大↓)

IMGP0884 2

メンバー達の「始まる前のマゾ行為」が止まらない。

僕がシャッターを切るタイミングに合わせて、自らその立ち位置にスタンバイしていた低血圧Mちゃん。

彼女のその天性のマゾ才能には、ただただ見とれるばかりだ。


しかしである。

もうこれ以上我々を邪魔するものはいない。

ついに。

ついに我々は「始める為の準備を完了する」事に成功したのだ。

(注:一番右に黒人がいますが、これはハワイ帰りのジョンボーAです。)

IMGP0885_20140213165649059.jpg

もちろん登山口はまだ遥か先なので、この段階では「まだ始まっていない」状態。

所詮、まだ「始める為のスタートライン」に立っただけなのだ。


いよいよ彼らは遥か先の「登山口」目指して移動を開始する。

そしてその模様は次回お送りします。

今までこのブログでは前編が登山口までで終わってしまうなんて事がいくつかあったが、今回は史上初の「駐車場までで前半終了」というまさかが炸裂です。


さあ、チーム・マサカズ3年目のスタート。

雪山部本格始動一発目「豪雪の恵那山」。


奴らの「まさか」は進化しているのである。



〜つづく〜



※ちなみに、あれほど焦って買っていたりんたろくんのスノーウェア。

今週末に予定されていた「御在所岳・子連れ雪山鍋新年会」の為のものだったけど、見事に悪天候予報のため延期となりました。

悩み損のマゾ儲けってやつですね。


もう春まで土日が好天になる気がしません。



雪と地蔵と謝罪と私〜恵那山後編〜

Posted by yukon780 on 07.2011 恵那山/長野 0 comments 0 trackback
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気を取り直して、展望台に立ってみた。

わざわざ展望台を作るくらいなんだから、さぞや凄い展望なんだろう。


しかしそこからの眺めは、ほとんどが木でチラ見で遠くの山が微かに見える程度だ。

IMGP3719.jpg

なにも展望出来ないぞ。

一体何のためにこの展望台を作ったんだ?

何もない頂上を少しでも華やかにしようという努力は認めるが、必要だったのか?


一応インターバル撮影で展望台に立つ己を撮ってみる。(一番上の写真)

優雅にさすらっている姿を数枚撮っていると、急な突風でカメラがゆっくりと倒れていったのが見えた。

いかん、大事な一眼が壊れてしまう。

IMGP3758.jpg

家に帰って確認すると、「必死で駆け下りる私」という写真が撮れていた。

単独行はいろいろと大変なんです。

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展望台の奥には奥宮があった。

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いつものように「嫁が優しくなりますように」と願い、ついでに「雪山お願いしますよ」と祈りを捧げた。

一つ目の願いは毎度無視されるので、せめてアイゼンのテストだけは今日やっておきたい。



しばらく進むと、早速祈りの効果が現れた。

ついに僕の眼前に「白銀の世界」が現れた。

冬山の女神が目の前に降臨したのだ。


「雪だ!雪山デビューだ!」


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そしてこの雪が本日見た最初で最後の雪だった。

一応これで華々しい「雪山デビュー」を飾った事になるのか。

勇ましく「星になる」と覚悟を高らかに宣言して来た手前、この結果を素直に受け止めることが出来ない。


いっそ、アイゼン着けてみるか?

しかしこれでアイゼンを装着したら「私は馬鹿です」と周囲にアピールするだけだ。


僕は一体帰宅後どんな内容でブログを書けばいいのだ。かなり恥ずかしいぞ。

というわけで僕の「雪山童貞喪失物語」は随分と安い結果に終わった。

JAROに訴えられる前に、過大な表現があった事をお詫びいたします。

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とりあえずメシを食うために、頂上の先にある避難小屋を目指す。

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雪はないが、霜はそこそこ木に付いていて雪山気分を多少だけ味わう。

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なんだかとても中途半端だなあ。

ファンデーションを塗り始めた、スッピンの女性のような中途半端さだ。

キレイな化粧後か、いっそスッピンのが魅力的なんだよ。中途半端が一番いけない。

雪化粧を塗るなら塗る、塗らんなら塗らんとハッキリしていただきたい。

「普段はこんなんじゃないのよ、今日はちょっと時間がなくて...」とENAさんは言うだろうが、こんな中途半端な状態の女性で雪山童貞を失いたくはなかったぞ。


やがてトイレと避難小屋が見えて来た。

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中々立派なもんだ。

避難小屋の裏の岩場を登っていくと、やっと景色を展望出来た。

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中々の眺めだぞ。

ますます頂上の展望台の意味が分からないが、まあいいだろう。

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ぐるーっと見ていたら、思わぬ山が見えた。

恥ずかしそうにコチラを覗いている女がいるぞ。

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富士子ちゃんじゃないか。

頭しか見えないが、相変わらずいい女だ。

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展望の岩場を降りて、避難小屋へ行った。

天気もいいし風も弱まったからメシは小屋の外で食うつもりだけど、小屋の中がどんなもんか見たかったからだ。

IMGP3751.jpg


すると小屋の中から奴が出て来た。「ホクロ」だ。

しきりにホクロは僕を避難小屋へ誘導してくる。

「中でメシ食った方がいいよ。暗いけど外より暖かいし。そうしなよ。その方がいいよ。」

相変わらず自分の意見を押し付けてきやがる。

他人に自分の意見を押し付ける人間はあまり好きではない。

それに風もおさまってるし、外は晴れて気持ちいいから僕は外で食べたいんだ。

多少寒くたって、僕はドMだから何の問題もないんだ。

むしろ好きでやっているんだ、放っといていただきたい。


というわけで、外でメシを食った。

後から来た若い登山者二人が見事にホクロに捕まっていた。

小屋の中からはホクロの自慢話が延々と聞こえてくる。

寒いけど、僕は外でメシを食って本当に良かった。

こうして僕は下山をしていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

登山口近くまで下山して来たが、一つ後の楽しみで取っておいたものがある。

「風穴」と書かれた標識があったから、下山の時に行ってみようと思っていたものだ。

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表記の文字がギャルっぽい字だが、どんなもんだろうか。

この手のものは意外と想像以上に凄いものだったりする事がある。

しかし60mと言えど、中々ハードな道のりだった。

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ちょっと藤原岳を思い出すかのような不明瞭な急坂で怖じ気づいたが、凄い風穴のために頑張るぞ。

しかし行けども行けどもそれらしいものが出てこない。

挙げ句、川まで出て来てもう先へ進めない。

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見落としたのか?一体どこに風穴とやらがあったんだ?

周辺をくまなく探索するが、やっぱり何もない。

結局またあのハードな道を戻っていった。

「風穴」こそなかったが、しっかりと僕の心に空しさという「風穴」があいたようだ。

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こうして「恵那山」登山が終わった。

初の雪山と意気込んで来たものの、ご覧のような結果だ。

見事なる不完全燃焼。

何一つ目的を達成する事なく、最後には心に風穴まであけてしまった。

結局買ったばかりのアイゼンは、一度もその力を発揮する事なくザックの中で眠り続けた。


恵那山 〜完〜



....。

ううむ。何か物足りないな。

どうしたもんかな。

こんな時はあれだな。

走っておくか。

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という事で、近くの昼神温泉に移動してランニングを開始した。

ひと山登ってからのランニングなぞは、ただのマゾの酔狂だ。


しかし、この「普段とは違う場所を走る」という事は思いのほか楽しいぞ。

昼神温泉の温泉街を走り抜け、ウォーキングコースなんかを走っていく。

僕は地元の人間ですよという顔をしながら走っていると、ふと目を引いたものがある。

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なんだ?愚痴を聞いてくれるのか。

ものすごく愚痴は溜まっているぞ。聞いてもらおうじゃないか。

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僕は愚痴聞き地蔵の横の木の椅子に座り、ぐちぐちとグチった。

「山行ったら雪なくて....風ないと思ったら突風で...ホクロがうっとうしくて...風穴なんてなくて....嫁が怖くて....」

お地蔵様は文句一つ言う事なく、僕の愚痴を受け止めてくれた。


その後もちょっとした山をトレラン気味に走って、温泉に入った。

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温泉から出てもiPhoneがずっと圏外のままだ。

山の中と言えど、普通の温泉街なのにどうした事だ。家に連絡出来ないな。

その後高速道路に入ってしまったので電話出来ず。

うかつにもそのまま家まで帰ってしまった。


家の駐車場に止めて気がついた。

なぜかiPhoneがまだ圏外になっているじゃないか。

さすがにおかしいので再起動したら、ちゃんと圏内になった。

すると、途端に大量の着信通知がなだれ込んで来た。

やばい、すべて嫁からだ。


どうやら僕がいつまでたっても連絡してこないし、ずっと圏外だから「奴は遭難した」と大騒ぎになっていた。

嫁は家に不在だったが、すぐさま僕に電話がかかって来て凄い勢いで怒られてしまった。

まあ正直、逆の立場なら怒るよね。公衆電話からでも電話は出来たはずだ。


さすがに猛反省した僕は、この歳にして「反省文」を書く事にした。

直接言い訳するよりも、多少は被害が抑えられると期待したのだ。

チラシの裏に謝罪文を書き込み、「なぜこんな結果になってしまったのか」という経過報告と、「今後の対策」を書いた。


夜、嫁を駅まで迎えにいって、反省文を提出した。

でも読んでくれなかった。

とても怖いじゃない。


これは今後の活動の厳しさを物語っている気がしてならない。

のんきに鈴鹿セブン制覇だなどと浮かれているうちに、役所に緑の紙が提出されてしまう。


くそ、ソフトバンクが圏外になっていなければこんな事には...。

もう一度愚痴聞き地蔵の所に行こうかな。


恵那山後編 〜完〜


北風と太陽とホクロと私〜恵那山前編〜

Posted by yukon780 on 06.2011 恵那山/長野 0 comments 0 trackback
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僕は雪を求めていた。

買ったばかりの「アイゼン」のテストを兼ねて、初の雪山登山への第一歩を華々しく刻むのだ。


週末の鈴鹿セブン方面の天気はあまり良くなく、随分と風も強いようだ。

そこで天気予報をくまなくチェックし、最も晴れていて最も風が穏やかな山を見いだした。

そこは岐阜と長野の県境にある、中央アルプスの最南端「恵那山」(2191m)だ。


残りの鈴鹿セブンに向けてのちょっとしたアイゼンテストのはずが、まさかの2000m越え登山。

本番の鈴鹿セブンの、どの山よりも標高が高いじゃない。

しかしこの山を制覇すれば、本格登山1年目にして、北と南と中央のアルプスの山を登った事になる。

富士山も登ってるし、その生き急ぎっぷりに危うさすら感じるこの頃だ。


この時期の2000m越えとなると、さぞかし雪も降り積もりアイゼンテストには持ってこいだろう。

ネットで調べても先週の恵那山の画像を見ると、頂上付近は一面雪に覆われ樹氷なども見てとれた。

僕は緊張と武者震いでガクガクした。

そして前回記事の決意の「星になる」発言に至るのだ。

それでも「素晴らしき白銀の世界」が僕を待っていると思うと、期待で胸は高まった。

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出発の朝、AM3:15に起床。

正確に言えば、AM3:15に子供の夜泣きで強制的に起床したと言った方が正しい。

朝というか夜だ。

ちょっと早すぎるが出発してみた。

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案の定、登山口には6時前に到着して辺りは真っ暗だ。

奥まった林道の先にある駐車スペースには、僕の車がポツンと一台。

真っ暗な林道内。強烈に怖い。早くも心が折れそうだ。

しばらくは一人で暗闇の恐怖に怯えながら、結局30分くらい車内で待機した。

こんな事なら、もう少し寝てれば良かった。

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空も白み始めたので、ようやく出発した。

しばらくは林道沿いを歩き、途中川を越えれば登山開始だ。

IMGP3645_20130522203335.jpg

あの「遭難の藤原岳」以来の登山で、ここの所ろくな休日を送っていなかったから気持ちは高まるばかりだ。


その後はひたすら淡々と登っていく。

IMGP3653.jpg

何やら特に変化に富んでるわけでもない登山道だ。

というかまるで雪の気配がしないぞ。

先週の写真からは、結構この辺りでも雪がちらついてたけどな。


単調な上りを黙々とこなすが、一向に雪の気配が出てこない。

IMGP3658.jpg

やがて笹原の辺りで強烈な突風が吹き始めた。

だんだん風は強くなり、山全体がうねるような轟音とともに吹き荒れる。

しかも凄く風が冷たい。

みるみる体温が奪われていく。

なんだかとてもツライ登山になって来たぞ。

寒い。とても寒いぞ。


水を飲もうと思って、リザーバーのチューブを吸ったらなぜか水が出てこない。

なんと飲み口の辺りで水が凍ってるじゃないか。


そうか、チューブの部分がこんだけ寒風に晒されると凍ってしまうのか。

もはやダイソン級の吸引力がないと水が飲めない状態だ。

歩きながらの「ダイソン飲み」は強烈に僕の体力を奪っていく。

少し飲んでは「ブハッーー!ゼェ、ゼェ、ゼェ」と息が持たない。

凄い無酸素運動だ。

このトレーニング方法は実に画期的だ。




おかしいじゃないか。

僕はこんな思いをしたくなかったから、調べに調べて最も風が穏やかな山をチョイスしたはずだ。

しかもアイゼンのテストで来てるのに、雪が全然無いし。

僕は「風がない雪山」を選んだつもりが、「雪がない風山」を選んでしまったのか。

一体どこで狂ってしまったんだ。

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あんまり寒いもんだから、念のため持って来ていた厚手のインナーをもう一枚着る事にした。

IMGP3661.jpg

インナーなので上着をおもっきり脱がねばならない。

脱いだ瞬間突風は勢いを増し、汗でびっしょりのインナーが急速冷凍された。

信じられない寒さ。驚きの冷たさ。

思わず「ホウッ!ホウッ!」とのたうち回る僕。

急がないとマゾ男のフリーズドライ製品が出来上がってしまう。

これが冬山の威力なのか。

雪こそないが、この寒風が冬山から初心者に向けての挨拶代わりの攻撃と感じた。



なんとかインナーを着る事は出来たが、寒さからか腹が減って来た。

かろうじて日なたの部分を見つけて、うずくまってクリームパンをむさぼる。

IMGP3662_20130522203231.jpg

なんだか寒さとひもじさで、とても切ない気持ちになって来たぞ。

毎度思う事だが、一体僕は何をしているんだろう?


とりあえず腹も満たされたので、出発だ。

しばらく歩くと、やっと視界が開けて来た。

IMGP3663.jpg

すると風がおさまって来たぞ。

やった、ここからが素敵な登山の始まりだ。

しかし、途端に強烈すぎる太陽の日差しが僕を急襲して来た。

IMGP3664_20130522203232.jpg

凄まじい日差しだ。

歩いていると風がなくなったので、急激に熱くなって来た。

着込んだインナーが、ここに来てその発熱機能をいかんなく発揮し始めたのだ。

熱い、熱いぞ。


なんだこれは?リアルなグリム童話なのか?

僕はいつの間にか「北風と太陽」の旅人と化してしまったのか?

IMGP3670_20130522203233.jpg

まるで童話の中の挿絵のようじゃないか。

こうして旅人は再びインナーを脱ぐ事になった。

なんてめんどくさい山なんだ。

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書くまでもないが、インナーを脱いだ後は再び寒風の中に身を投じる事になった。


だが、ここからの眺めは実に素晴らしいものがあった。

中央アルプス、南アルプスの皆さんがズラリと並んだ。

IMGP3683.jpg

IMGP3685.jpg

IMGP3763.jpg

IMG_0072.png

寒いけど、やっと気分よくなって来たぞ。

なんにしても、やっぱり晴れてるってことは素晴らしい。


こうしてやっと気分が上向いた辺りで、後方から一人の登山者が追いついて来た。

鼻の横にでっかいホクロがあったので、以後「ホクロ」と呼ぶ。


最初は普通に会話していたが、やたらとこのホクロ、話が長いぞ。

我慢出来ずに歩き出したが、話しながらもシッカリと僕を追尾してくる。

しかも話の内容がだんだんと自分が行った山の自慢話のオンパレード的になってきて、すごく上から目線だぞ。

アイゼンテストで来たと行った僕を、なんか鼻で笑ってるような感じだぞ。

このホクロ、僕のような初心者を見つけてはこんな感じで悦に浸るタイプだな。


「この恵那山なんてね、何回か登ってるけど上行ってもなんもないよ。景色もたいして見れないし。恵那山なんか登るんだったら、〜〜山だったり〜〜山行ったほうがetc・・・。」

なんだこの感じは?

サスペンス映画を見てる途中で、突然犯人を明かされたてしまったような不快感。

確かにアナタは沢山山登って凄いけど、僕は僕なりに楽しんでるんだ。(楽しんでるか?)


なんとかこのホクロをまけないものか?

「僕ペース遅いんで、気にせず行って下さい」「僕一人が好きなんですよね」「山は静かだから好きなんですよ」

などと話の合間に細かくアピールをかますが、全く気にもとめずに後ろで喋り続けるホクロ。

「僕、ここで写真撮りますんで。」と言って、やっと先に行かすことが出来た。

「今逆光だから、下山時の方がいいよ」などと最後までうるさいホクロだ。



こうしてやっと一人の時間を取り戻して、落ち着いて景色が楽しめる。

IMGP3772.jpg

IMGP3761.jpg

IMGP3773.jpg

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次第に道がザクザクと音を立て始めた。

小学生の頃とかに、凍った田んぼの上を歩くと味わえるあのザクザク感だ。

やがて、ついに地表に霜が現れたぞ。

まるで白い毛のトイプードルが埋まっているかのような不思議な霜だ。

IMGP3689.jpg

我が家のトイプードルもこれくらい静かに佇んでいてくれると助かる。

早くこの飼い犬から吠えられ、噛まれ続ける日々を脱したいものだ。


霜が出始めたから、これはいよいよ雪山ゾーンが近いのか。

先週あれだけ雪山ってたんだから、そろそろ雪がなきゃおかしいだろ。

枝にも霜が付いている。もう少しか。

IMGP3697.jpg


周りはだんだんと朽ちた白樺が現れて、とてもいい雰囲気になって来た。

IMGP3693.jpg

IMGP3694.jpg

でも確かこの白樺の木。ネットで見た先週の写真ではがっつり雪が付いて見事な樹氷になっていた木の気がする。

やはりもう雪は溶けてしまったんだろうか。


この登山道は、登山口が「0」で頂上が「10」と言う感じで所々標識がある。

さっき「8」を越えたから頂上まであと少しだ。

でも雪はない。

僕のアイゼンは今か今かとザックの中で出番を待っている。

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IMGP3698.jpg

頂上の見晴し台が突然現れてしまった。

僕は「9」の標識を見落としていたようで、頂上はまだ先だと思っていだけにまさに唐突だった。

「あれ、頂上に着いてしまった」

唐突過ぎて感動もクソもない。

というか雪はどこだ。どこにある?


唐突すぎて、記念写真もキョトン感が否めない。

IMGP3705.jpg

達成感もなければ雪もない。

こんなはずじゃないだろう。

もっとこう、グッと来る「白銀の世界」ってやつがここには展開していたはずだ。

僕の雪山デビューは。

話が違うじゃない。アイゼンテストできないじゃない。


まるで童貞クンが意を決して風俗に行ったのに、緊張で何も出来なかったみたいな空虚感が僕を包み込む。

やっと雪山デビューして大人の仲間入り出来ると思ったのに。

イメージトレーニングだけはバッチリだったのに。



しかし、この後神がほんの少しだけ微笑む事になる。

この先の避難小屋に向かう途中で、僕の眼前に白銀の世界が展開されるのだ。

ついに雪山童貞の僕に、白銀の姫が妖艶に迫り来る。



〜恵那山後編〜へつづく


ひとまず生還報告

Posted by yukon780 on 05.2011 恵那山/長野 0 comments 0 trackback
前回記事の「星になる」発言で心配をかけてしまったので、とりあえず生還報告だけしておきます。

生還報告することさえもためらう程、残念な結果に終わりました。

でもブログを更新しておかないと捜索願いを出されてしまうので、まずはご報告までに。


次回更新にて、最高に情けない「雪山デビュー」をお送りいたします。

「こんなはずではなかったのに」と、うなだれる男の姿がそこにはあります。

最終的には35歳とは思えない程の、情けないエンディングを迎えます。

期待せずにお待ちください。


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