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甲斐駒男塾 後編〜岩陰パンチと男達の挽歌〜

Posted by yukon780 on 12.2015 甲斐駒ケ岳/長野 2 comments 0 trackback
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変質者クラスの岩雪の壁に、真っ青な顔をした秀麻呂がへばりついている。

彼は今、男になろうとしている真っ最中。

しかしこの時点で彼のイチモツは塩をかけられたナメクジ状態。

もはや男を通り越して新宿二丁目の世界に足を突っ込んでしまっているような状態だ。


しかしここが男とオネエの境界線。

この理不尽な世界から生きて戻ってこそ真の漢。

家に帰るまでが「八威波阿論愚直進行軍」なのである。



あまりにも長過ぎた初日ですっかり体力を失った松尾・田沢・虎丸・秀麻呂の4人。

そこに追い打ちを仕掛けて来た死血状教官の理不尽精神攻撃。

いよいよ彼らは限界に達した。


しかしこの甲斐駒男塾は、限界の先にある「根性」という世界に到達した者だけが先に進む事を許される男の殿堂。

いわばこの七丈小屋から先の世界は、TSUTAYAの奥にあるのれんの先の世界と同じ価値がある。

まさに荒波をかき分けた大人の男だけが入室できる珠玉のパラレルワールドなのである。


さあ、いざ2日目。

甲斐駒ケ岳山頂を目指すアタックチャンス。

男塾教官「個堕魔鬼世死(こだまきよし)」が拳を激しく上下させる。


永流腐乱巣(エールフランス)で行く巴里挑戦権獲得へ向け

登るも地獄、下るも地獄

男塾名物「阿龍苦二重獄(あたっくにじゅうご)」が今始まるのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


目が覚める。

何やらやたらと喉が渇いている。

そしてこのリズミカルにこめかみを刺激する痛みのビートは何事か?

いや、その問いは愚問だ。

全て分かっている。

これは「二日酔い」であると。


田沢は昨晩、その持ち前の明晰な判断能力で「2日目のアタックはどうせ強風でアウトだろう」と予測。

その結果見事に「ビール→ワイン→いいちこ」という欲望トライアンングルの沼に埋没した。

しかしその結果、この2日目が「あれ?意外と風ないじゃないの。アタック出来るじゃないの」という奇跡を発生させる。


田沢は松尾に痛み止めの薬を貰いながらこう言われる。

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これぞ反省しない男田沢のマゾ根性。

彼は自らが事前代償生贄となって、この奇跡の微風アタックチャンスを呼び寄せたのである。


そんな仲間想いの熱き暴飲魂に感動した二号生筆頭赤石剛次。

田沢を責める松尾に対し、赤石先輩はこう言い放つ。

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そして「俺も一緒に甲斐駒山頂を目指すぜ」と共闘宣言。


これにより松尾・田沢・虎丸・秀麻呂の4人の一号生に、頼もしい助っ人赤石先輩が加わって5人体制に。

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さあ、粉雪がちらつく中いざ決戦の時。

ここから先は「日本三大急登」のトップの座を欲しいままにする黒戸尾根の本気の姿。

約一名、すでに吐きかけてる奴もいるが気にしない。

昨日駐車場をスタートしてから実に24時間半。

やっと我々は真のスタートラインに立ったのである。


そして開始5分。

早くも我々は大急登に飲み込まれて行く。

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まだ起きて間もない時の大急登ほど体と精神に堪えるものはない。

田沢に至っては、一歩一歩登る度に一本一本ペヤング焼きそばを吐き出しそうな勢い。

そして息も荒く、「ゼハッ!ゼハッ!ゼハーッ!」とワンピースの黒ひげ状態に。


そんな中、大急登がいよいよ「壁」みたいになって来た頃、あの男に火がつく。

状況が変態になればなるほどに「小向のりピー」化が止まらない虎丸龍次だ。

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これも完全な田沢の采配ミスだが、この小向のりピーに先頭を歩かせてしまったのがいけなかった。

彼は「うへ、うへ、うへへへ」とニヤケながらもの凄いハイペースでガスガス直登して行く。

目は完全にイッてしまっている状態で、後続のヘロヘロっぷりがまるで目に入っていない。

これには昨日の疲れを引きづりまくってる秀麻呂も、「待っ......て...くだ...ぐええッ...」と早々に遅れ出す。

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田沢も口からペヤング出しながら「待て虎丸!正気に戻れ!」と言うが、言った側からどんどん闇に消えて行く虎丸。

よく考えたら彼は昨日2日間寝てない状態だったから大人しかったが、今日の虎丸は睡眠十分で元気モリモリ。

もはや松尾・田沢・秀麻呂が涙ながらに大声で「頼むからペース遅くしてくれ!もうお手上げだー!」と叫んでも、

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その声はハイ状態の虎丸には聞こえない。


そんな時、突然赤石先輩が抜刀。

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突然虎丸に切り掛かって一刀両断。

これにはたまらず虎丸も泡吹いて白目に。

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その隙に先頭を赤石先輩にチェンジ。

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これでやっとペースが落ち着いた。※ちなみにやたらと漫画のコマが乱立してるのは、しんどすぎてあまり写真撮ってないからです。


しかし虎丸の暴走は収まったが、この7-8合目間の変態急登さはいささかも衰える気配がない。

あまりにしんどすぎてたまらず休憩。

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そして松尾がiPhoneで現在地を確認してしまい、「おい...全然進んでないぞ....」という余計な事を口走って全員で絶望を共有する。

正直山頂まで行ける気が全くしない。


しかし前日の人が付けてくれたトレースのおかげで、なんとかラッセルせずに登る事は可能だから根性で足を進めて行く。

だがその前日の人のトレースが実は罠だった。

どうやらそのルートは登り易い道から逸れていた事が後に判明。

あえてもの凄く歩きにくい、踏み抜きハイマツワールドに突入してしまったのだ。

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急登→踏み抜き→急登→踏み抜き→急登というスペシャルコンボが続き、もはや昇竜拳→波動拳→昇竜拳→波動拳→竜巻旋風脚を食らってるかのような重いダメージ。

もの凄い勢いで体力ゲージが減って行き、いよいよ誰一人言葉を発する事の出来ないマゾリートファイター達。

まさに男を鍛えるのに持ってこいの地獄である。


そんな中、ついに8合目の御来迎場に到達。

いかにも男塾っぽい石碑が登場して、不安を煽りまくる。

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そう、ここが急登地獄の終わりであり、さらなる地獄の始まりを告げる石碑。

石碑は静かに「この先に進む覚悟があるか?男とはなんぞや?」と我々に問いかける。


そして赤石先輩が進んでいく先を見ると、暗くて良く見えないが何やら嫌な予感しかしない世界が展開。

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松尾も思わず田沢に不安を漏らす。

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松尾がこう言った時は間違いなく良い事は起こらない。


そしてその予感は早速的中。

暗くて分からないだろうが、右側は断崖絶壁という愉快な岩登りがスタートだ。

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もはや死のうと思えばいつでも「男塾万歳!」と叫んで滑落できるお手軽さ。

手をかける場所がなく、鎖に身を預けながらアイゼンで岩のわずかなくぼみに足をかけて「フンガッ」と力技で登るという試練。

目の前を颯爽と登って行く赤石先輩の姿を見て、高所恐怖症の田沢などはこの表情。

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それでも進まなきゃ男になれないから、得意の九九斉唱を繰り出しながら田沢も行く。

だが「フンガッ」の瞬間、体中の穴という穴から脱糞。

それでも田沢は必死で乗り越える。


後方を振り返れば、同じく高所恐怖症の秀麻呂も「プシュッ〜...プシュッ〜...」と言いながら必死でよじ登って来る。

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恐らくこの時の田沢と秀麻呂は、恐怖のあまり男としての生殖機能はゼロだったはず。

例え今目の前に全裸の深田恭子が現れた所で「邪魔だ!あっち行け!」と言ってしまったに違いない。

それほどまでに彼らは追い込まれていたのである。


そんな難関を突破した所で、もちろんそこに安息の地は存在しない。

死者の屍にムチを打ち込んで来るような急登の仕打ちは止まらず、もう秀麻呂なんて立ったまま死んでいるほどだ。

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写真には写らないが、田沢の目にはしっかりと秀麻呂の口からエクトプラズムが大放出されているのが見える。

しかしその背後を見れば、夜も白んで来て強烈な雲海も目に飛び込んで来るではないか。

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しかしその「雲海」よりも、本気で虫の息の秀麻呂の「後悔」の方が際立っている。

しかしこれこそ彼の男を鍛え直すための試練。

前回の藤原岳でサプライズバースデーを企画した我々に対し、「当日ブッチで参加しない」というサプライズ返しで応えた彼に対する厳罰の儀式。

メンバーから「罰としてパンチパーマになれ」と言われた男の、必死の償いなのである。


やがてそんな我々の前に、文字通り「壁」が現れた。

もはやビビりすぎて写真すら取り損ねているが、その雪の壁は体感70度ほどの斜度。

ピッケルを突き刺し、アイゼンでしっかり足場を作りながらじゃないと到底登れぬ超難関。


田沢がここで振り返ると、この雪の壁を見た秀麻呂が完全に青ざめていた。

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人は自分より恐怖に取り憑かれている人間を見ると、何故か妙に落ち着く生き物である。

秀麻呂の哀れな姿を確認した田沢は、目の前の雪の壁だけに集中して何とかこの難関を突破。

そして振り返った時に根性で撮影したのがこの写真。

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もはや地獄から亡者達が這い上がって来る地獄絵図にしか見えない。

後方から来る秀麻呂は、もう「スイマセンしたァ!」と土下座しているように見える。

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でも実際は↑が田沢の足だから、彼は這いつくばってるんじゃなくて這い上がってる状況。

しかしこれを越えてこそ男。

甲斐駒山頂はあと少しだ。


そしてその超難関を越えた我々は二本の剣が突き刺さった岩場に到達。

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ここで風も吹いて来たし、疲労も溜まってたんで一時岩陰に避難。

そしてここでまたしても松尾がやってはいけないiPhoneチェック。

そしてお決まりの「うそだろう...まだ全然山頂遠いじゃねえか...」と言ってしまう。


瞬く間にメンバー内に広がる厭戦ムード。

難所を乗り越え、「さああとは山頂だ!」という状況で言い渡された「まだ先長いぜ」という悪夢。

そしてもうこのまま無理してしまえば、確実に予定タイムをオーバーしてしまう事も判明。

で、折からの風と下り坂の天気。


誰ともなく呟く。


「俺たちよくやったよな..」

「ああ...もう男になれたんじゃねえか...?」

「そもそも最初から俺たち男じゃねえか...」

「山頂ばかりがゴールじゃねえよな...」

「結果よりも課程が大事じゃねえのかい....」

「もう....十分なんじゃねえか....」



そして田沢は叫ぶ。

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この長い挑戦を見守って来たヒゲ教官も感動して田沢の決断を讃える。

そう。

誰が何と言おうとこれは男気ある撤退。

我らのメンツは丸立ちなのである。


さらにである。

サプライズ返しの失態を冒し、仲間から「パンチパーマになって責任を取れ」と糾弾された秀麻呂がここで動く。

おもむろにザックから何かを取り出す。

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そして秀麻呂は標高2,900m付近でパンチ秀麻呂となった。

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そして「その節は大変ご迷惑をおかけしました」と男として筋を通した謝罪。

この意外すぎた彼の命がけのスベリ芸に対し、仲間達も「お前も立派な男だぜ!」と賞賛。

そして「偽り登頂記念写真」である。

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何と言われようとも、我々はこの戦いに勝利したのである。


だがこんな茶番には引っかからない男が一人。

それはもちろん赤石剛次。

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彼は「俺はこの先も行く。」と言い残し、負け犬4匹を置いて颯爽と風雪の中へと消えて行った。


しかも後で聞いた話だが、彼はこの後急に腹痛に襲われて激しい便意をもよおしたらしい。

そして標高2,900mの極寒の世界で、下半身を晒して男らしく「一文字流脱糞剣」を炸裂させたと言う。

そして彼は、

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と言ったかと思うと、見事に登頂を果たしたと言う。

さすがは我らが男塾、二号生筆頭の男である。



さあ、見事な途中敗退を決意した4人だが、本当の恐怖はここからだ。

いよいよあの垂直の区間を「下山」するという二重地獄へと突入。

当たり前だが下る方が怖すぎるのである。


まずは白い絶景を前に行われる恒例の儀式「心眼の儀」を執り行う。

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昨日あんなに大快晴だったのに...なんて口が裂けても言ってはダメなのである。

そして虎丸がモンスターハンターのように地獄の入口へ向かって行く。

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そして恐怖の大降下へ。

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この時ばかりは虎丸の変態的性癖が羨ましい。

彼は「ハァ..ハァ..たまんねえ...もっと垂直を....もっと命のやり取りを...アッアッ...あぁ〜」と恍惚の表情。


一方田沢は緊張で体を悪魔将軍ばりに硬化させ、カッチカチ状態で下降開始。

もう出だしは飛び降り自殺感覚。

ひたすら目の前の壁だけに集中して「これはお子様にも安全な遊具です。1m下は地面です。」とブツブツ言いながら下降。

でも下を見ないわけにはいかなくて、脇から下をチラ見するとこんな感じ。

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ここで足を滑らしたら、虎丸ごと遥か彼方まで男塾万歳コース。

そして上を見れば秀麻呂もプルプルして落ちて来そうな雰囲気。

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しかしここをクリアしても超下降はまだまだ終わらない。

虎丸が血路を切り開き、

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泣きながら田沢と秀麻呂が続く。(※最後尾の松尾にまで神経が回らんかったから、この頃松尾がどうなっていたかは知らない。多分白目になっていたんだろう。)

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そしてまだまだまだまだ下降は続く。

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この頃になると、もう虎丸の小向のりピー勝新化は大スパーク。

喜びの絶叫と共に、背後から「ドピューッ!」と何かが放出された。

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虎丸龍次、享年38。

彼は遠い世界へと昇天してしまった。


でもすぐに王大人に無理矢理蘇生させられて再び愉快な下降タイム開始。

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ちょうど行きで田沢がガクガクブルブルした「フンガ脱糞岩」の場所。

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で、そこ抜けて落ち着いたかと思うと、

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またこの状態。

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こんな状況、登山雑誌でしか見た事ない。

まさか自分がこんな状況に身をさらす事になろうとは思いもしなかった。


しかしそんな地獄の果て、やっと8合目の御来迎場まで到達するとついに報われる時がやって来る。

それがこの素晴らしき大雲海である。

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まあ目線上にもちょうど雲かかっててその先にある富士山とかは全く見えないが、この旅で初めてまともに拝めた絶景だけに感慨もひとしお。

「これは改めて記念撮影だ」と意気込む田沢。

そしてセルフタイマーをセットして立ち位置に移動すると、見事に罠にはまって雪を踏み抜く田沢。

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せっかくちゃんと思い出に残れると思ったのに、やはり所詮田沢は田沢なのである。


でも改めてぱちり。

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秀麻呂・松尾・虎丸・田沢。

結果は途中敗退だが、なんだかんだみんな男の顔になっているではないか。


そう、山頂が全てではない。

ここまでの課程でどれだけ男を示せたか。

それこそが重要なのである。

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と、かっこよくみんなで言い訳を言って傷を舐めあい、この撤退を正当化させる。

これぞ一号生名物「負犬之遠吠(まけいぬのとおぼえ)である。


そんなとき、この場所に一人の男が登って来た。

「ごっついのぅ〜。」と言いながら笑顔の眩しいこの男。

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そう。

彼こそ二号生筆頭代理の江戸川先輩である。

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江戸川先輩は言う。

「本当は阿弥陀岳南稜行くつもりだったんですがね。5日前に車にひかれて膝やられましてね。だからリハビリ兼ねて黒戸尾根に来たんです。」と。


そのまさかな言葉に戦慄が走る一号生達。

我々が限界の根性で敗退したこの黒戸尾根を「リハビリ」で登って来たというまさか。


そして江戸川先輩は「ごっついのぅ〜」と言いながら、同じ二号生の赤石が待つ甲斐駒ケ岳に消えて行った。

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何というごっつい男気。

赤石先輩といい、この江戸川先輩といい、やはり二号生達は男の格が違う。

そもそもこの厳冬期の黒戸尾根に単独で来てる時点で、二人とも群を抜いた変態である。


そんな先輩達の男らしい姿に感動し、「俺もいつかあんな男になりたい」とリベンジを誓う松尾。

しかし田沢と秀麻呂は「俺らはもう二度と来ないけどね」とボソリと呟く。

そして虎丸はまだラリってるのか蟷螂拳の使い手になっている。

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急いで下山しないと仲間に襲いかかって来そうなので、さっさと下山開始。

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そして小屋で飯。

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これからまたあのクソ長い尾根を下山せねばならんので、詰め込めるだけ腹にエネルギー注入だ。


するとこの時。

バタンッと扉が開き、なんと早くも赤石先輩が帰還。

そして彼は言う。

「なんかあれからすぐのとこに山頂あったよ」と。


そのまさかな言葉に唖然とする一号生達。

あとほんのちょっと歩けば山頂で、そこまで大した危険箇所もなかったと言うではないか。


我々は松尾の「うそだろう...まだ全然山頂遠いじゃねえか...」というガセiPhone情報をもとに、まさかの寸止め敗退を決めてしまったようだ。

なんだか野球を観に行って9回表で帰っちゃったのに、9回裏の大逆転満塁ホームランを見逃してしまったかのようなこの空虚感。

田沢は「正直もう二度とこの尾根に来たくないから登頂しておきたかった」と、その無念の思いをコンプレッションザックの圧縮作業にぶつける。

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しかし松尾は何も悪くはない。

時間的に制限時間だったし、あのあと天候がもっと悪化していたかもしれない。

しかし田沢は静かに松尾に言う。

「この無念。責任とって近々一人でリベンジかましてくれ。もちろんテント泊装備でだ。」と。


そして4人は抱き合って激しく号泣したかと思うと、一気に下山開始。

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おりゃおりゃー。

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おりゃおりゃおりゃおりゃー。

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おりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃー。

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おりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃー。

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途中、虎丸が2mほど滑落するというアクシデントが勃発。

虎丸自体は平気だったが、その様子を見ていた秀麻呂が「死んだかと思いました。心臓のバクバクが止まりません」と血の気を失っていた。

そんな紆余曲折を経て、5合目到達。


なんとその5合目には、我らが飯食ってる間に追い抜いて行った江戸川先輩がいた。

どうやら江戸川先輩はマットを風で谷に飛ばされて困っているようだ。

しかし「谷底に物を取りに行かせたら右に出る物なし」と言われる松尾が動く。

しっかり谷からマットを回収して江戸川先輩も「お前、ごっついのぅ〜」と大喜び。

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さすがはかつて八方尾根で、己のテントとシュラフを谷底に飛ばしてからの回収マゾで伝説となったジャギ松尾。

戦いのステージが谷となれば、彼は2号生達にも負けない男気を示す。


そしてその後もひたすら下山。

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ただただ下山。

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どこまでも下山。

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終わらない下山。

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いい加減飽きて来る下山。

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くんずほぐれずの下山。

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そして38回ほど嘔吐した頃。

たった数枚の写真で豪快にまとめたが、何気に小屋を出てから実に5時間。


ついに男達は、総合計35時間に及ぶ「八威波阿論愚直進行軍」の修行を終えたのである。

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やりきった男達の精悍な顔つき。

男から漢になった雄々しさを感じる面構え。

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約一名、昨日のいいちこを引きずってる男がいるが、これで彼らも立派に男道を貫いた。


しかし38歳コンビの虎丸と田沢は「もう俺たちしばらく休塾します。あとは松尾に託します。」と休塾宣言。

新入塾生の秀麻呂も、今後の男塾企画に対してうつむいたまま何も発言しない。

どうやらしばらくは松尾の一人男塾スタイルが確立されそう。

我々一号生の筆頭は剣桃太郎ではない。

今回終始絶好調を貫いた、松尾鯛雄なのである。


その後は意識を失った秀麻呂に対して、新一号生筆頭による男塾名物「魔津佐阿痔(まっさーじ)」で蘇生作業。

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やがて息を吹き返した秀麻呂を連れて温泉に行くが、男塾名物「恩戦灸漢尾(おんせんきゅうかんび)」によって我々の癒しは阻止された。

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しかし負けじと我らは男塾名物「汁夜鬼蘇波(しるやきそば)」で対抗。

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ここで、前回叶わなかった秀麻呂に対する「左府羅威頭婆巣出亥(さぷらいずばーすでー)」の幕贈呈。

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秀麻呂も「ありがとうございます。やっと男になれた気がします。」と号泣。

これでやっと彼の罪も無事に償われた。

あとはさっさと結婚してくれるのを待つばかり。

こうして彼らのあまりにも長過ぎた戦いは幕を閉じたのである。




男が男であるために、決して避けては通れぬ道がある。

その道の名は黒戸尾根。


最近彼女から「男らしくない」とか「情けない」と言われるモヤシ男どもよ。

とりあえず何も言わずに男塾に入塾するがいい。

そして黙って黒戸尾根を目指すがいい。

もしくは手っ取り早くライザップか東京上野クリニックにでも行くがいい。



再びこの男塾シリーズが再開するかどうかは分からない。


しかしたった二つだけハッキリしている事がある。


それは「もう二度と黒戸尾根には行かないだろう」ということ。


そして「宮下先生すいませんでした」ということだけである。




甲斐駒男塾   〜完〜



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田沢の戦いは終わらない。

あれから毎朝4時に起きてはシコシコつくったおまとめ動画です。




それではまた。


男塾で会いましょう。



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甲斐駒男塾 前編〜進め!果てしなき直進行軍〜

Posted by yukon780 on 25.2015 甲斐駒ケ岳/長野 2 comments 0 trackback
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禁断の男塾名物。

その名も「八威波阿論愚直進行軍」(はいぱーろんぐちょくしんこうぐん)。


その歴史は古く、元々は前漢王朝末期の牢番・馬蘇迂と江東寧が編み出した拷問の手法がその起源とされている。

当時は罪人に対して重い鉄球を担がせ、万里の長城の急登区間を延々と歩かせて罪の自白を促した。

しかし次第に馬蘇迂自身がその行為に快感を見いだし、江東寧とともに自ら鉄球を担いでその快楽に没頭。

やがて海を渡った馬蘇迂と江東寧は、「倭」と呼ばれる島国の「甲斐駒ケ岳」という山で己の男を磨いた。

以来、彼らの偉業を讃えてその場所は真の男を目指す猛者達の聖地となった。

地元の民は、江東寧の「こうとうねい」という響きに影響を受け、その場所のことを「黒戸尾根」と呼ぶようになった。

ちなみにこの噂はシルクロードを通じて西欧にまで伝わり、現代ドイツ語で被虐性欲を意味する『マゾ』は、馬蘇迂の名が語源であるとも言われている。


民明書房刊 『世界の体罰と悦楽奇譚』より



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時は来た。

南ア男塾と白馬男塾を乗り越えた者のみに許されるという男の殿堂。

標高差2400mの長大な尾根をただただ愚直に直登して行くという、伝説の男塾名物「八威波阿論愚直進行軍」。

今、我々男塾一号生4名がそのスタート地点(尾白川渓谷駐車場)に降り立った。

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基本的に誰一人まともに睡眠時間が取れていないという仕上がりの良さ。

これから12時間、重量級の雪山テン泊装備を担いで行軍しようと言うのに早くも全員に「死相」が滲み出てしまっている。


それでは今回の直進行軍に選ばれた一号生達を紹介して行こう。

まず緑の男が、この甲斐駒修行を企画した松尾鯛雄(ジョンボーA)である。

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人一倍アヘアヘスタイルにうるさいこの男。

基本的にこの男が毎回無茶な計画を立てるから、白馬以来「松尾JTB(ジョンボー・トラブル・ビッチツアー)」とも言われている。

何故か毎回必要以上の荷物を大量に担ぎ込み、その重みに対して快感を見いだす自己追い込み型マゾ男。


そしてその松尾と南ア男塾以来コンビを組んでいるのが田沢慎一郎こと僕。

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男塾一のインテリと自称しているが、実際はBBQしに行っても家にBBQコンロを忘れて来てしまうほどのスカスカ脳。

3ヶ月の謹慎期間+むち打ち+風邪からのインフルエンザというおマゾ三段活用で圧倒的に体力不足。

いつものように登山2日前に病院送りとなり、手の指に溜まった謎の膿を取り除く処置をされた病弱系マゾ男だ。


そして白馬男塾から参加した、いつもスタート時に眠っているこの男が虎丸龍次(ランボーN)だ。

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なんとこの男、ここ数日「獄悔房(会社)」に繋がれていたようで、ほぼ2日間寝ていないという信じられない状態。

そしてこのスタート地点ですでに「腹減った」とシャリバテを訴えるという驚愕の新陳代謝。

基本彼は、「垂直」とか「岩場」とかの命のやり取り現場に遭遇しないと本来の力を発揮しないという変態型マゾ男だ。


そして今回、ついに男塾入塾の夢が叶ったのがこの極小路秀麻呂(パパラッチK)である。

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まだあどけない顔でこれから始まる男塾を完全になめているこの男。

今回は酒に溺れて腐ってしまった彼の根性を叩き直すための男塾でもある。

雪山では毎度腰まで雪を踏み抜くのが得意の埋没系マゾ男。

今回彼は人生初の雪中テント泊装備を担ぎ、結婚できる立派な男になるべく誰よりも燃えているのである。



そんな4名で、まずはここの神社に祀られているいう男神、馬蘇迂と江東寧に安全祈願。

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秀麻呂も「素敵な女性と結婚できますように。でも審査は厳しいです。」と必勝祈願だ。

そしてその足で、異常なまでに揺れすぎる吊り橋にて闇の中へと吸い込まれて行く4人。

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誰よりも三半規管が弱い田沢は、この「暗闇ユラユラ」で早くも嘔吐寸前。

早速一人目の犠牲者か?と戦慄が走ったが、田沢は根性で吊り橋を渡りきる。


すると黒戸尾根は、いきなり「凍った登山道」で奇襲をかけて来た。

この「アイゼンをするにしては雪が足りず、かと言ってアイゼン着けないとツルツル滑って危険」という絶妙な嫌がらせライン。

結局我々は背に腹は代えられず、なんとまだ1合目だというのに早くもアイゼン装着。

まだまだ先は長過ぎると言うのに、いきなり足かせをはめられた気分だ。

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しかしそんな黒戸尾根の嫌がらせ攻撃に対し、松尾がニヤリと不敵に笑う。

余計な荷物を担ぐのが大好きな彼は、12本爪アイゼンとは別に軽アイゼンも持って来ていたという準備の良さ。

さすがはこの男塾シリーズを戦い抜いて来た男に抜かり無し。


しかし彼は軽アイゼンを持って来たくせに、肝心の「一眼レフカメラ」を忘れて来たという大失態が発覚。

これによって松尾の荷物が軽くなってしまったばかりか、道中の撮影するのが田沢だけに。

田沢は撮影の負担が増えた上に、他人ばっか撮影して自分の姿だけが「思い出」として残らないという悲しい事態に。

一生懸命写真を撮って動画まで撮影しても、そこに田沢の姿はないのである。


そんな松尾と田沢のコンビ芸が炸裂する中、黒戸尾根の容赦ない攻撃も止まらない。

闇の中、実に長く延々と地味な登りが続くのだ。

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やがてスタートから2時間が経ち(写真撮ってないからあっという間だけど長かったのよ)、やっと日が射し始める頃にはこんな悲惨な急登モーニングに。

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本場名古屋の喫茶店でもここまで豪勢なモーニングセットはない。

しかもそのセットは急登だけじゃなく、まさかまさかの「靴擦れ」まで提供して来るという太っ腹。

あまりにも急登が続いて常に踵に負担がかかり、靴擦れマニアの田沢だけじゃなく虎丸と秀麻呂までも軒並み悦びで顔を歪める。


そんな中、スタートから2時間半でやっとこさご来光。

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といってもこんだけ歩いたのにまだ「3合目辺り」。

秀麻呂もここまで積み重ねて来た疲労が著しく、この一日の始まりを告げるご来光に対して「正直最後まで行ける気がしません」と早くも敗北宣言。

あまりに辛すぎて、その顔はもはや「五木ひろし」になってしまっているほどだ。

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今にも横浜でたそがれそうなこの表情。

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この人自身が「行って行ってしまった」的な厳しい状況だ。


一方で後方には余裕のローラ松尾の姿が。

どうやら今日の彼は「何をやっても疲れない」というローラズ・ハイに突入した模様。

松尾は田沢に言う。

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この松尾の絶好調宣言に対し、田沢は完全な絶不調宣言。

可能な限り計量化を図って来たつもりだったが、やはりインフルエンザで寝込んだ時に失った体力が戻っているはずもなく、すでに顔は土色に。

しかしその顔すら、田沢は写真として記録してもらえないのである。


さあ、まだ日が昇ったばかりなのに泣き言ばかり言ってる場合じゃないぞ。

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我々は楽しい山登りに来たのではなく、あくまでも根性を鍛えにここに来たはず。

珍しくやたらと天気良いけど、我々は今日一日を「景色の見えない樹林帯」で延々と急登に費やす所存。

たまに晴れたところで、我らの目の前に絶景なぞは広がっていない。

男に必要なのはこの目の前に広がる絶望だけで十分なのである。

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普通なら楽しくおしゃべりしながら進む前半戦で、早くも皆下を向いて押し黙り、ひたすら己の根性と向き合っている。

もはや毒の沼を歩くドラクエパーティーよろしく、歩く度にみるみるHPが減って行く感覚だ。


しかしこんな時にこそ己のマゾに埋没してしまうのが田沢。

何とか自分も思い出の中に残りたくて、GoProで根性の己撮り。

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しかしやり過ぎ急登のせいで、しんどすぎて顔をあげられない。

結局誰だか分からないじゃない。

そして根性で振り返って写真を撮るが、大快晴でもの凄く絶景が広がってそうだけど我々の周りは樹林帯が覆い被さって何の景色も見られない。

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こうなってくるとこの快晴は「ただ暑さを助長するだけのもの」となり、我々の急登地獄に余計な花を添える。

せめて風でも吹いてくれれば助かるんだが、こういう時は必ず無風なのである。


これには絶好調宣言していた松尾もご覧の表情。

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さすがの絶好調松尾も、まるで土俵際でうっちゃり負け食らった朝青龍のような表情になってしまうのが黒戸尾根。

しかしそんな黒戸尾根も、たまに樹林帯の隙間から絶景をチラ見せして来て我々を悶々とさせることを忘れない。

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よく見えないだろうが、はっきりと富士山が見て取れる。

しかしこんな時に限って田沢は、荷物計量化のために広角単焦点のレンズしか持って来ておらずズーム撮影が出来ない。

いつも真っ白な世界では持って行ってるのに。

さすが田沢である。


そして出発から4時間半。

延々と何も見れない樹林帯を彷徨った末、ついにこの黒戸尾根で唯一展望が開けるという「刃渡り」の入口に到達。

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振り返ればやっと景色が見えて来ていたが、虎丸はもはやその景色を見ようともせず苦痛の表情。

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これぞ2日間寝ていない中年の現実。

しかもここまでの急登まみれのせいで見事な靴擦れ。

そして止まらないシャリバテ。

彼は彼で黙々と己の根性を磨き上げているようだ。


そしていよいよ刃渡り。

両側が崖という一枚岩のナイフリッジ。

なぜこんな恐ろしい場所だけやたらと景色が開けてしまうのか?

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かなりの大絶景なんだが、高所恐怖症の田沢と秀麻呂は目が笑っていない。

それでもその先の安全地帯から振り返れば、八ヶ岳がこのズルムケ状態。

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とてつもない登山日和で、本日八ヶ岳に行ってる人達は最高の登山を楽しんでいることだろう。

しかしこの黒戸尾根にいる我々に許された絶景タイムは、この刃渡りの50mくらいの区間だけ。

狭くて休憩スペースもないから、あっという間に絶景に背を向けて再び暗い樹林帯の中へ。


やがて虎丸がシャリバテ死寸前になって来たので、ここで昼飯。

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せっかくの快晴無風だろうと、男は黙って樹林帯ランチである。

そしてこの時点で全行程の半分も来ていない現実に、本気の絶望に満たされる田沢。

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しかしそんな己すら己撮りしなくてはならず、例え昼休憩だろうと田沢は休憩しない。

これには男塾一の根性男富樫ですら舌を巻くほどだ。

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しかしこの程度のマゾでは、日本屈指のサド尾根は満足しない。

ここまでも結構な急登だったが、ここまではまだまだ小手調べ。

この後、いよいよ黒戸尾根が牙をむき始めたのである。

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とてつもない急登に、早くも先ほど食ったラーメンをぶちまけそうになる4人。

下を向いてはゲロがこぼれてしまうから上を見る。

するとさらに吐き気を促すこの超急登。

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いよいよ甲斐駒男塾が始まったって感じで、悦びと後悔が止まらない寝不足の中年達。

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そしてこの先で、黒戸尾根は巧妙な作戦に打って出る。

なんとここまでガッツリ登らせといて、一気に大下降させるという精神攻撃。

せっかく頑張って稼いだ高度を、みるみる奪われて行く絶望感。


やがて散々下らされた所で、やっと半分の5合目小屋跡へと到達。

そしてついに目の前には「ズドーンッ」と甲斐駒ケ岳が登場だ。

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もはや我々は一瞬、目の前に大豪院先輩が現れたかのような錯覚を起こしたほどの大迫力。

おもわず「オッス!失礼します!」と言ってビールをつぎに行きそうになってしまったほどだ。

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しかしここで相手の威圧に屈してしまっては一号生代表の名がすたる。

ここで松尾と田沢はガッチリと肩を組んで、いざ甲斐駒ケ岳に宣戦布告。

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正直松尾と田沢レベルで大豪院に勝てる気がしない。

もうここまでが長過ぎてヘロヘロなのだ。

しかもである。

この二人は甲斐駒ケ岳を見て宣戦布告しているが、何気にその手前の「ハイパー急登樹林帯」を見て見ぬ振りをしている。

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秀麻呂なぞは「うそだろう...。ほんとにあそこを直登して行くのか...。」とプルプル震えている。

しかしこれはあくまでも男塾名物「直進行軍」。

例え目の前に電柱があろうと飛行帽教官の実家があろうと、ただただ直進あるのみである。


やがてついにその地獄のハイパー急登の入口に降り立つ4人。

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何やらチラッと雪に埋まった垂直の階段的なものが見えるのは気のせいだろうか?

だがこれを見て武闘派の松尾と虎丸の心に火がついた。

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新入塾生の秀麻呂も「先輩達さすがッス!」と尊敬の眼差し。

松尾なぞは北斗の拳に出て来そうなザコキャラ感でいきり立つ。

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垂直野郎の虎丸に至っては、サングラス越しでも目がイッてしまっているのが分かる。

相手が垂直に近いほど彼の中の「小向のリピー」が覚醒して、彼は妙なクスリやってます感に包まれるのである。


さあ、ここまで散々急登だったが、いよいよここからが黒戸尾根が日本三大急登に名を連ねる真の実力を見せつけるお時間。

まずはこの階段と言うにはあまりにも斜度あり過ぎの地獄からスタート。

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雪に埋もれてるから掴める場所がわずかしかなく、くしゃみ一つしようものならそのまま滑落して行きそうな緊張感。

今ここで滑落したら、蒲田行進曲をも越える見事な階段落ちが展開してしまう。


で、必死な思いでそこを切り抜けると、今度は真下の景色がスカスカな空中ハシゴへ。

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そしてその先は、アンドロメダ瞬も驚く鎖まみれの世界へ。

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それがひたすら続く。

ただただ続く。

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そして「もう休ませて!」と言いたい場面で、正攻法の急登ボディブローの連打。

さすがのザコ松尾も「あべし...」というのが精一杯。

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で、そこから「落ちろクズども」と言わんばかりのこの恐怖橋攻撃。

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もう田沢と秀麻呂は泣きそうになっている。

だが泣くヒマすら与えてくれない黒戸尾根の波状攻撃。

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もういよいよ笑うしかない地獄絵図。

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ついに男塾名物「苦羅威民愚」の絶望世界が始まったのだ。

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こんなはずじゃなかったのに。

正直田沢的には「黒戸尾根はひたすら長いだけで危険箇所はないだろう」と思っていたが、何故今私は目を血走らせて必死に三点確保しているのか?

そしてなぜこんな過酷な状況でクソ重いテント泊装備を担いでいるのだろうか?

もう何だか疲労も溜まりまくって、色んな事が意味分かんない。


ちなみにそんな中、もう一つ意味の分かんない出来事があった。

突如前方から空身のおっさんが凄い勢いで駆け下りて来るではないか。

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おっさんは「あんたらテント泊か?」とぶっきらぼうに聞いて来る。

どうやら我々がテント泊予定地としている七丈小屋の主のようだ。

我らが「はい、そうです」と言えば、「俺はしばらく留守にする。第二小屋で待て。」とだけ早口で言って、そのまま立ち去ってしまった。

我々は何も聞き返す事が出来ず、その場にポツンと置き去りに。

その時我らはこれが何を意味するのか気づく事も出来なかった。

もちろんその七丈小屋の主が、この甲斐駒男塾の理不尽鬼教官こと「死血状(しちじょう)教官」だったことなぞ知る由もない。


4人はただ目の前の超急登に必死な状態。

死血状教官の仕掛けた罠に気づく事なく、相変わらずな変態急登と戦っていた。

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黒戸尾根が中盤からこんなアヘアヘな状況になっているとは思っていなかった。

感覚的には三大キレットの不帰ノ嶮の難易度を遥かに越えてる気がしてならない。

しかもこのアホみたいなテン泊重装備が邪魔でしょうがない。

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だがこの重りもこの先の七丈小屋のテント場までの辛坊。

今日は快晴無風だから、相当快適なテント生活が待っているぞ。

クソ長くクソ急登な尾根を、このクソ重い荷物担いで来たからこそ味わえる感動がそこにはあると言うものだ。


そして小屋に近づくにつれ、黒戸尾根は一切急登の手を緩めないどころかよりハードに。

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もう急登過ぎて、木を掴みながらじゃないと登れやしない。

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さすがの絶好調松尾も、まるで幕之内一歩から強烈なボディブローを食らったかのようなこの悶絶顔。

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いよいよノックアウトの瞬間まで秒読み段階。

しかし男松尾は諦めずに絶叫。

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だが、意気込み空しく彼は吐血してその場に倒れ込む。

それでも真の男になるため、4人はその足を止める事はない。


だがこの頃にはそんな我々はある決断を強いられる事に。

それは「もう時間的に今日中の甲斐駒ケ岳登頂は無理」という悲しい現実。

やはり思った以上にこの尾根は我らの根性の上を行っていた。


という事で、本日のゴールは七丈小屋のテント場という事に予定変更。

翌日は悪天候予報が出ているだけに辛い決断だったが、今はとりあえずテント場の事だけ考えて高度を上げて行く。

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この小屋までの最後の急登がまた実にハード。

秀麻呂に至っては顔面蒼白で、体全体から「こんなの聞いてなかったッスよ...」と虫の息。

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ここまでの急登地獄で、すっかり彼の根性も叩き直されたようだ。


そしてスタートから9時間。

我々はやっっっっっっとこさ本日のテント場、七丈小屋に辿り着いたのだ。

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本当に長かった....。

見事にここまで徹頭徹尾景色の見えない樹林帯の中、ひたすら急登との戦いだった。

こんな無風で大快晴の稜線歩き日和に、我々は重い荷物を担いで一体何をしていたのだろうか?


しかしゆっくり休んでる暇はない。

ここで男塾名物「麦汁漢波胃(ばくじゅうかんぱい)」の儀式を行わなければならない。

もちろん小屋の主人はまだ帰って来てないから、後払いってことで小屋から「府嶺魅阿夢盛津(ぷれみあむもるつ)」を調達。

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そして男塾塾歌を歌ってから「漢波胃!」と叫んで、

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己の体内に黄金の根性を注ぎ込む。


突き抜ける男気!

のどごしという名の魂!

五臓六腑に響き渡る大鐘音のエール!


あれだけハードな行軍の果てに待っていたこのスペシャルな快感を、どう表現していいか分からない。

しかしこの秀麻呂の姿を見れば、その感動は伝わるはず。

なんと彼は感動のあまりそのまま息を引き取ってしまったのだ。

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この形を見るに、恐らく彼はビールを棒に見立てて、上がらずの塾旗「喝魂旗」を上げている気分を味わっているに違いない。

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よくここまで頑張ったぞ秀麻呂。

これでもう君も立派な男塾の仲間である。


そして早速彼は、かつて硫黄岳でも見せた得意の「埋没遊戯」でその悦びを表現。

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突然の膝までの踏み抜きで、彼曰く「正直一番死ぬかと思いました」とクールに振り返る。


その後、「とりあえずテント場を探そう」と動き出せば、再び彼は上級技「超埋没遊戯」で男を示す。

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腰まで埋没して実に悲しい状況なんだが顔はあくまでもクール。

だが出来ればいつまでもこんなとこで埋まってないで、早く結婚してちゃんと家庭の愛に埋もれて欲しいものである。


そんな秀麻呂の入塾記念余興を横目に、必死で方々テント場を探すがそれらしき場所が全く見つからない。

これにより、ご主人が帰って来るまでテントが張れないと言うまさかな状況へ。


せっかく快晴無風の状況で、雪のテーブルとか作ってのんびり楽しもうと思ってたのに...。

そもそもあの人「しばらく留守にする」としか言ってなかったけど、彼の言う「しばらく」とは一体どのくらいの時間だろうか?

山の男の言う事だから、しばらく留守にするとは「2〜3日留守にする」という意味ではなかったのか?


急に不安になるが、とりあえず今我々に出来るのは彼が言っていた第二小屋で待機するしか無いという事。

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なぜこんなテン泊日和に薄暗い小屋の中で過さねばならんのだ。


と言いつつ、ここまでの疲労が爆発して、小屋に入るなり次々と死んで行く男達。

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王大人が死亡確認するまでもないほどの体力ギリギリ感。

でもここで本気寝してしまっては、到底テントを立てる気力がなくなるから30分ほどの仮眠でもそもそと動き出すゾンビ達。

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もはや山奥のトンネル工事にかり出された日雇い労働者たちの休憩時間のようなこの光景。

めったにない無風大快晴の世界で、一体我々は何をしているのか?


とりあえず腹が減った田沢はその小屋内に「賞味期限切れ・100円」と描かれていたペヤング焼きそばに手を出す。

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賞味期限が3ヶ月も過ぎていたが、これはきっと根性を試されているに違いない。

しかもその賞味期限の頃って、確かゴキブリ混入問題真っ盛りの頃のペヤング焼きそば。

翌日アタック時に、ゲリになってケツから脱糞アタックしてしまう惨事と紙一重の大冒険。

これぞ男塾名物「平病愚蜚蠊味(ぺやんぐごりぶりあじ)」である。


その後もただただご主人の帰りを待つ哀れな子犬達の姿が続く。

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さすがは「八威波阿論愚直進行軍」。

例えゴールしても我らに安息の時間を与えない。

この小屋についてから実に3時間の時が経過し、いよいよテント設営限界時間の16時を越えてしまったぞ。

これが世に聞く、男塾名物「放置不零(ほうちぷれい)」なのか。


鬼教官「死血状教官」の理不尽な攻撃が止まらない。

まさかゴールしてから3時間も放置されるとは夢にも思ってなかった。


そんな時、この小屋に一人の単独行登山者が入って来た。

なんとその人は男塾二号生筆頭「赤石剛次」である。

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赤石先輩は言う。

「ご主人はまだ帰って来てないが、どうやらテント場は雪に埋まってて使用できないらしい。」と。


戦慄が走る一号生達。

じゃあ最初からテント場は使えなかったって事か。

一体我々は何のためにこのクソ重いテン泊装備を担ぎ上げて来たんだ!

ただの重りじゃないか!

というかあのご主人、我々に「テント泊か?」と聞いて来たのになぜ「今テント場埋まってて使えないから小屋泊になります」って言ってくれなかったんだ?

テント場があると思って無駄な荷物を9時間背負い、そして待機していた3時間を返してくれ!


これぞ鬼教官が仕掛けた「八威波阿論愚直進行軍」の真の形。

無駄に重いもの担がせて登らせた挙げ句、そのまま「ご宿泊」という形で素泊まり代まで徴収してしまうと言う奥義「飛んで火にいる冬のマゾ」。

さすがは泣く子も黙る甲斐駒男塾である。


そうとなったら、凄く天気が良いけど、もう腹くくってこの小屋を楽しむしかない。

若干キレ気味の松尾は、ふぅぅっと息を吐いて怒りを鎮める。

そして厳かに「せっかく重い餅を担いで来たんで、焼き餅でも食べて落ち着きましょう」と準備を開始。

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その瞬間。

急に「バタンッ」と扉が開き、死血状教官が小屋内に侵入。

そして一切言葉を発する事なく、おもむろにまさかの大掃除スタート!


唖然とする小屋内の塾生達。

というか「いやあ悪かったねえ」という言葉もなく、無言で我々を押しのけてそこらじゅうを片付け始める。

そして「そこに荷物置くな!置くなら4500円払え!ワカンも外!そこで炊事するな!移動しろ!」と機関銃の乱射。

その勢いと「そんなん聞いてないから知らんがね」という理不尽さに、一気に小屋内は険悪なムードに。


せっかく怒りを鎮めて落ち着いて餅焼こうとしていた松尾の顔見ると、完全にキレている。

さっきまで「一言言わないと気が済まない」と息巻いていた秀麻呂もクール顔でキレている。

平和主義の田沢ですらその嫁のような理不尽さにプルプルしている。

虎丸に至っては、今にもダブルアックスを手にして刃傷沙汰を巻き起こしそうな危険な顔になってる。


しかしこれこそ塾生たちを「ひとつ」にしようとしてくれた教官の愛。

あえて自分が汚れ役となって、我らの団結力を試したのである。


よくよく考えてみれば、山の男らしいと言えばらしいし、たった一人でこの小屋を管理してるんだからまあ色々あるのだろう。

ここで文句を言ってしまっては男が廃る。

そもそも理不尽あってこその男塾ではないか。

最初からテント場使えないって分かってたら、かなり軽装で来れて楽だったねなんて口が裂けても言ってはダメだ。

ここはむしろ感謝しておこう。

とりあえず死人が出なくて良かった。


さて、色々納得できない部分もあるが、ここで改めて松尾の「努力の結晶焼き餅」のおもてなしタイム。

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松尾の汗と涙と怒りと加齢臭が詰まった珠玉の一品。

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その見事な松尾DNA餅は、秀麻呂までもが白目ぎみになる美味さだ。

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ちなみに秀麻呂の奥にいるのが赤石先輩。

ここからは先輩も交えての男塾名物「酒池肉林」。

ツマミを広げて次々とビールを空けて行く猛者達。

そして話題は「やっぱ理不尽だよなぁ」とか「今日はテントで泊まりたかったね」とかの愚痴から始まり、やがて議論はヒートアップ。

いつの間にか田沢と虎丸が、「なぜ我らには自由な時間が少ないのか?そもそもなぜあんなに嫁は優しくないんだろう?」といういつものテーマに。

しかもそれに赤石先輩も意気投合し、「俺なんてこないだ離婚してしまったぜ。」という男らしい発言。

さすがは二号生筆頭。

ここでたちまち赤石・田沢・虎丸の「反結婚連合軍」が組織され、未婚の秀麻呂に絡み出す。

「だから結婚しちゃダメだって」「優しいのは最初だけで子供生まれたら菌扱いだぜ」「見ろよこの白髪の数。養子ってよぅ...養子ってやつはよぅ...。」etc...

これにはたまらず秀麻呂も「やっぱ結婚しない方が良いんすかね...」とすっかり凹んで夢と希望を汚されてしまっている。

これが我らが出来る精一杯の新入塾生歓迎会だ。


やがて興奮した田沢は「もう明日のアタックはどうせ悪天候でアウトだろう。今日はとことん飲んでやる!あははは!嫁の罵声が聞こえない!誰にも気を使わなくていい!子供達の奇声も聞こえない!あははは!たーのーしーなー!」とビール、ワイン、果てはいいちこに至るまで飲み尽くして行くという仕込み作業に邁進。

これで明日の二日酔いは間違いなし。

これが身を削った田沢流天候回復祈願奥義「事前代償行為」である。



さあ、散々愚痴を吐いた所で改めて明日に備えて就寝です。

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明日は今日とは打って変わって「曇りのち雨」のマゾアタック日和。

しかも風速も15mという予報。

とりあえず朝起きて強風だったら撤退だと決めて、この日は皆シュラフにくるまるなりハンマーで頭を叩かれた魚のように即死した。



いよいよ明日は運命の決戦。

しかしここまでの急登はまだ序章に過ぎない。

ここから先はさらなる急登、そして雪の壁と岩の殿堂だ。


すでに体力ゲージは真っ赤っかな上、中には自ら二日酔いという重大なハンデを背負ってしまう者までいる。

だが明日は心強い助っ人、赤石剛次先輩も我々と共に甲斐駒山頂を目指す。


果たして彼らは無事に「男」から「漢」になる事が出来るのか?

そして生きて再びあの長大な道を帰って行く事が出来るのか?


男が男であるために。


ひたすら黙って直進あるのみなのである。





甲斐駒男塾 後編へ  〜つづく〜




甲斐駒男塾〜プロローグ〜

Posted by yukon780 on 25.2015 甲斐駒ケ岳/長野 0 comments 0 trackback



男が男である以上、決して避けては通れぬ道がある。

体力・精神力・マゾ力。

その全てが試される珠玉のお時間。

それがこの「男塾」シリーズなのである。


2年前の「南ア男塾」は、初の冬季3,000m峰となる仙丈ヶ岳での開催だった。

この時は「松尾(ジョンボーA)」と「田沢(僕)」の二人で南アの女王に挑み、そのあまりに長過ぎる行程の末に見事に過労死した。

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無言の帰宅となった松尾と田沢だったが、この戦いを機に彼らの男度は急上昇したことは言うまでもない。

参考記事:
南ア男塾 前編〜ジョジョと僕らのホーリーナイト〜
南ア男塾 後編〜白豚ショッカーズの絶頂行軍〜


そしてこの死亡確認から半年後、二人は「虎丸龍次(ランボーN)」という最強の変態を仲間に入れ、「大豪院先輩(ハッポーNさん)」によって白馬大四凶殺(白馬三山)へと送り込まれる。

それが二度目の男塾である「白馬男塾」だ。

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この時はあまりの悲惨すぎる根性合戦に死亡者が続出。

しかし王大人(ワンターレン)によって何度も蘇生させられ、再び無理矢理戦地に送り込まれて生き地獄の嵐。

やがては限界突破の松尾が白目になるという惨劇も巻き起こった。

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この白馬男塾で我らの男度はさらにグッと上昇したのは記憶に新しい。

参考記事:
白馬男塾1・大雪渓直登編〜ギリギリボーイズの挑戦〜
白馬男塾2・白馬散々縦走編〜嗚咽まみれの消耗大会〜
白馬男塾3・不帰激闘編〜命がけの九九斉唱〜



そしてあれから半年。

ついに男塾三部作の完結編。

再び奴らが帰って来たのである。


そのステージはもちろん聖地「厳冬期・南アルプス」。

それはやたらと長過ぎるアプローチでお馴染みの男の殿堂。

山ガール達で浮かれた八ヶ岳に背を向けて、ただただ己の根性と向き合う修行の道場。


しかもその南アの中に「変態尾根」と呼ばれる天下一のお笑いマゾ道場がある。

それは甲斐駒ケ岳(2,967m)へと続く長大すぎる道。

その道場とは、日本三大急登の中でもナンバーワンの悲惨度と謳われる「黒戸尾根」である。


日本三大急登とは、谷川岳の「西黒尾根」と、僕がパックトランピングでエクトプラズムを吐き倒した「ブナ立尾根」、そして今回の「黒戸尾根」だ。

登山口からの標高差で見てみると、西黒尾根が「1300m」で、あの地獄のブナ立尾根が「1547m」。

しかしこの黒戸尾根に至っては、脅威の標高差「2400m」。

その標高差は僕と嫁の価値観の違い「2500m」に匹敵するという、もはや手の施しようのない標高差。

その変態過ぎる標高差と、あまりにも長過ぎるアプローチ距離ゆえ、ここ最近はめっきり誰も登らなくなったというマゾの花道なのである。


そんな所をあえて厳冬期に、そして重いテン泊装備を担いで挑もうというオシャレさ。

もちろん家庭の事情が何かとこじれている塾生達に許されたのは、「1泊2日」という厳しい時間設定。

これぞ男に磨きをかけるに相応しい「甲斐駒男塾」の実態なのである。


しかも今回は直前になってありがたい援軍も登場。

それは天気予報。

初日は珍しく「晴れで登山日和」というパーフェクト予報だが、肝心の甲斐駒アタックの2日目は「大荒れで吹雪」という脅威的変化。

これによって初日のうちに山頂アタックせねばならなくなり、その日の移動時間は「12時間(休憩入れず)」というハイパーロングハイクを余儀なくされる羽目に。

もはや登山開始前から敗色が濃厚すぎて、希望の希の字も見当たらない。

こんな負けると分かってる戦いに挑む価値はあるのか?



しかし彼らの目的は登頂ではない。

あくまでも「男を上げること」それ一本。

ならば今言えることはただ一つ。


「男は黙って黒戸尾根」


たとえ登頂できずとも、この尾根に根性を刻み付けた者こそ勝者なのである。



そして今回は白馬男塾のギリギリボーイズ(虎丸・松尾・田沢)の三人に元に、さらに新たな一号生が名乗りを上げた。

その男こそ、前回の藤原岳で歴史的バースデーブッチをかましたパパラッチKこと「極小路秀麻呂」。

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彼は藤原での失態によって、チームメンバーから「パンチパーマになって謝罪しろ」と激しく責められた。

だからこそ今回彼は、この黒戸尾根で根性を叩き直すことに。

しかしいまいち厳冬期の黒戸尾根のことを良く知らない彼は、まだこの男塾をなめていた。

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一度この男をしっかり懲らしめてやる必要がある。

そしてししっかりと奴に男を刻み込んで、ちゃんと結婚できる男になれるように調教しなくてはならない。

まさにこの甲斐駒男塾とは、そんな更生の場に持って来いなのである。


しかも今回は途中で先輩の二号生達も助っ人で登場。

さらには理不尽な鬼教官も乱入してまさかの事態へ。




さあ、男は黙って黒戸尾根。

辛口一献黒戸尾根。

常識を覆すか。

常識に従うか。

今動くか。

一生動かないか。

未来の選択肢にMAYBEはない。

自分を信じろ。

未来を決められるのは男気だけだ。


嗚呼男塾。

男意気。

己の道を魁よ。


嗚呼男塾。

男意気。

己のマゾを魁よ。



というわけで、次回から「甲斐駒男塾」前編・後編が始まります。



みさらせ。


四人の塾生の根性を。





〜つづく〜





甲斐駒ケ岳4〜下山防衛戦線〜

Posted by yukon780 on 24.2012 甲斐駒ケ岳/長野 0 comments 0 trackback
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新チャンピオン誕生に沸く甲斐駒ケ岳山頂。

南アルプスの貴公子の称号を手に入れ、一躍時の人となった男と5人の戦士。


しかしそんな華々しい新チャンピオンに早くも防衛戦の時が迫る。

我々に忍び寄ってきたのは実に地味な挑戦者。

それは「最終バスのお時間」。


出だしで無駄な1時間の放置プレイをした我々に、そのしわ寄せを楽しむ時間が来たようだ。

刻一刻と迫り来る最終バスの時間。

甲斐駒ケ岳からの脱出劇が始まった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


まだそんなに時間を気にしていない山頂ののんきな人達。

真っ白な世界の中で、風を避けながらメシの準備だ。

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周りが真っ白すぎて、ドラゴンボールの「精神と時の部屋」のような山頂風景。

短期間でパワーアップできる、修行に最適な環境だ。


僕もしっかりと修行をする。

岩場に隠れてオシッコしたら下からの突風で僕の黄金水が巻き上がり、一人きりでの思いがけないシャンパンファイトを楽しんだ。


そしていそいそと岩の影で地道に湯を沸かしていたら、遠くの方で歓声が上がった。

「雲が晴れたぞ!」

岩陰から慌てて飛び出していくと、今まさに雲が再び景色を「隠す」瞬間だった。

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無念にまみれてまた岩陰に戻ると再び歓声が上がる。

「また雲が晴れたぞ!」

そしてカメラ片手に飛び出していけば再び雲に包まれるという嫌がらせ。

本当に雲が晴れたのかみんなの罠だったかは今となっては分からない。


そんな事を何度も繰り返し、息も絶え絶えになった頃にお湯も沸きカップラーメンで乾杯だ。

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偶然にもみんな日清食品のラーメンだったので、女優EのCM契約数アップに向けて宣材写真撮影を開始。

爽やかにラーメンを食べる姿を撮影して、日清食品へアピールだ。

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しかし張り切りすぎた横綱Kさんが、どう見ても不味くてリバースしちゃってる感が否めない。

少しも爽やかではない絵面。

おかげで女優Eよりも横綱Kさんに目を奪われてしまうという悲しい結果になってしまった。


そうこうしていると、急に辺りがパアッと真っ白な光に包まれた。

さてはキャトルミューティレーションか?と身構えたがさにあらず。

上空の雲がバッと開けて青空が広がった。

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突如ぽっかりと出現した青空。

日光慣れしていない僕と横綱Kさんは一瞬にして細かい砂となってサラサラと空に舞っていった。


真っ白だった景色も、少しだけ展望を見せつけて来た。

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そしてPUFFYポーズの女性陣が歓声を上げた。

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「富士山だ!」

見ると確かにPUFFY越しに富士山の稜線を確認できた。

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なんてことだ。

僕はこの「なんてことだ」という言葉ををあらゆる悲惨な状況で吐き捨てて来たが、今回ばかりは喜びの「なんてことだ」だ。



しかし彼らはまだ知らない。

これこそ今回の防衛戦の挑戦者「最終バス」の秘策だったということを。

奴はここで一発晴れておいて、この山頂に我々を足止めする魂胆なのだ。


そんな事も知らずに悠長に山頂を満喫し出すピエロ達。

B旦那は岩によじ登り、喜びの青いオーラを放ち始める。

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一瞬、B旦那のスタンド(ジョジョ参照)が現れたかと思ったがもちろんこれは例のぽっかり空。

周りが真っ白な世界だと、その青さがより際立つ。

しかし、こんな余計な事をやっている間にも最終バスの時間は刻々と迫っているのだ。


気がつけばすっかり時間は経過し、山頂は登山者で溢れていた。

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いい加減下山を開始しなくては。

それでもまだのんきに記念撮影をやめない新チャンピオン陣営。

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この油断こそが挑戦者の思うつぼだ。

実はこの時、名残惜しく撮影した頂上の看板越しに刺客達の姿が写っていた。

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奥に写っているのは、どこぞの中高生のワンゲル部の面々。

しかし後に彼らこそが挑戦者による山頂快晴作戦に次ぐ二発目の刺客達となる男達だったのだ。



さあ、下山の開始だ。

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帰りはアウトボクシングコースで巻いて下山していく。

行きはノーガードボクシングの暴風直登コースだっただけに、やっと優雅な山歩きを楽しめる。

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自然と各所で足を止めて余計な撮影タイムが始まってしまう。

挑戦者の足止め作戦とも知らずに、我々の無意味な悪ふざけで時間だけが過ぎていく。

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この浮かれた我々を横目に、例のワンゲル刺客達がここで追い抜いていった。

ここがこの試合の重要なポイントとなる。


それでも陽気なチャンピオン陣営は優雅に下っていく。

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そして前方には「摩利支天」という名の岩峰が現れる。

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この摩利支天の頂きには、信仰の山を象徴するように剣が刺さっているらしい。

遠目にもその剣の姿が確認された。

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ううむ、凄くあそこに行ってみたい。


でもこの頃にはB旦那がそろそろ時間がヤバそうだと気づき始めていたので、さすがに今回は回避した。

もし僕一人だったら挑戦者が仕掛けたこの餌に見事に食いついて、悲惨な末路を辿っている所だっただろう。


不思議な岩も多く、秘孔を突かれた奴もいたりする。

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「ひでぶ直前」のぐにゃり感が印象的だ。


そして時間がないというのに、岩に挟まるチャンピオン。

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こうした余計な事の一つ一つが、無駄に時間を喪失するきっかけとなる。

そんな折を見計らって、ついに刺客達が動き出す。

ワンゲル部による「牛歩足止め作戦」が勃発した。

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まるで進むことが出来ずに、後方より大人の圧力をかけ続けるB女房。

しかし彼らはワンゲル部のくせに妙に歩みが遅く、我々が先に進む事を許さない。


ここからは渋滞の中、遅々として進まない下山が続く。

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挑戦者はKOは狙わず、地味に判定に持ち込むつもりらしい。

いよいよ焦りの色が隠せなくなって来たチャンピオン陣営。


刺客達との長い攻防戦の末、やっと追い抜く事に成功。

歩みを速めて行きに来た道に合流して、急いでジャブを繰り出しながら下山していく。

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行きは雲の中だったから分からなかったが、振り向けば随分と酷い所を直登していったんだな。

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何気に下山もハードだ。


そしてついに今回もやって来たお馴染みの時間帯。

膝痛JAPAN不動のツートップ、僕とB旦那のC3-POコンビには過酷な下山が始まった。

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この「なだらかだけど滑りやすい砂礫の足場」という奴が、我々の膝の痛みネットを揺らす絶妙なセンタリングとなる。

一歩一歩が膝にゴールを決める決勝点。

ここからは時間と膝との戦いだ。


そんな中で、タフガイ横綱Kさんが突然飛び立った。

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恐らく何者かが、摩利支天の剣を抜いて「はずれ」の穴に刺してしまったのだろう。

「横綱危機一髪」となった横綱Kさんはそのまま遠くの空に飛んでいった。


さあ、これ以上の犠牲者を出すわけにはいかない。

そもそも最終バスに間に合わなければ、我々は北沢峠に取り残される事になる。

僕としては朝たっぷりと北沢峠に滞在したから、正直もうあの峠に居続けたくはない。


我々はかなり速いスピードで、地味で長い登山道を掛け降りていく。

ガラスの膝小僧は絶叫を繰り返し、挑戦者の執拗なボディブローが蓄積されていく。

そしてついにチャンピオンが「ダウン」を奪われてしまった。

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濡れた足場で思いっきりずっこけてケツを痛打したチャンピオン。

このダウンによって、判定に持ち込まれた際は間違いなく防衛失敗となる。

こうなった以上、意地でも最終バスに間に合ってKOで勝利する以外に道はない。


後方からもみんな中々の勢いで駆け下って来る。

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ミスター高山病のバターNに至っては、高度が下がるほどに勢いが増す。

この男だけが下山すればするほどに元気になっていく。



やがて北沢峠を視界に捉えた時には、すでに最終バスが出発寸前の状態で停車しているのが確認できた。

大急ぎでバスに向かって駆けていき、世界を穫った渾身の右ストレートをお見舞いだ。


そして我々は見事に最終バスに間に合った。

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我々は汗だくになって、もはやチャンピオンの面影もない。

この頃には横綱危機一髪で飛び立っていった横綱Kさんも戻って来た。


そして挑戦者「最終バスの時間」のナイスファイトに、お互いの健闘を讃え合って記念撮影。

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そしてこのままゆっくりとする暇もなく、僕と横浜組は引きはがされそれぞれの最終バスに乗り込んだ。

まるで捕虜になった日本兵が、強制的にバスに押し込まれて別々のシベリア抑留地に護送されていくようなあっという間の有無を言わさぬ別れだった。


こうして仙丈ヶ岳に続いての慌ただしい脱出劇に幕が降りた。

急に一人ぼっちになった「南アルプスの貴公子」。

寂しさからなのか疲労からなのか激しくバス酔いしていく貴公子。

しかもよりによって陽気なバスの運転手が所々で停車してはユーモアたっぷりにお花の説明をしてくれる。

僕は気持ち悪いからいち早くバスから降りたいんだがそうもさせてくれない。

やはりタイトルマッチ2連戦は最後まで気が抜けない。


フラフラになりながら駐車場に着いた。

そんな僕をセクシーな木がカモンポーズでお出迎え。

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「ご自由に出入りください」という文言が素なのか狙っているかの判断に困る。

いくら一人になって寂しいと言っても、さすがに木を抱く気にはならない。


こうして長い戦いは終わった。

苦労の末に新しい貴公子の称号を手に入れ、再び男は歩き出す。

南アルプスの貴公子として恥ずかしくない行動をしていかんと。

しかし人間の僕が「南アルプスの貴公子」として出来る事が何も思い浮かばない。


まあいいや。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〜おまけ〜

そんなフラフラな僕だが温泉前に日課のランニングは意地でもやるのだ。

選んだ場所は高遠城址公園。

軽く流す程度に走ろうと思っていた僕を出迎えてくれたのは階段パラダイス。

写真

バス酔いの名残なのか馬鹿な事をした報いなのか。

僕の胃酸は遡上し、酸っぱい思い出と激しい疲労&膝痛だけが僕に刻まれた。


温泉入ってさっさと帰ろう。

家には我が「王女様」が待っている。

余力を残して帰らないと、今の僕には彼女の罵りに耐えるだけの体力が残っていない。


こうして満身創痍で大満足の貴公子は王女の元に帰って行った。

貴公子のくせして養子なので、また慎ましい日々に戻るのだ。


貴公子は王になる日を夢見て今日も逞しく生きて行くのだ。



甲斐駒ケ岳編 〜完〜


甲斐駒ケ岳3〜貴公子タイトルマッチ〜

Posted by yukon780 on 20.2012 甲斐駒ケ岳/長野 0 comments 0 trackback
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華々しい入場行進が終わり、颯爽とロープを乗り越えリングに立つ「待ちぼうけの貴公子」。

スポットライトがリング上の男と5人の仲間に降り注ぐ。


赤コーナーにはチャンピオン「南アルプスの貴公子」甲斐駒ケ岳が悠然と我々を見下ろしていた。

いよいよ貴公子争奪戦のゴングが鳴る。


まるでTBSのボクシング中継なみに中々始まらない本戦だったが、やっとメインイベントの甲斐駒ケ岳が登場です。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


駒津峰を制した我々は、甲斐駒ケ岳に向けて再度高度を下げていく。

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もうこの時点からただならぬ急斜面と岩場がお出迎えだ。


激しい岩場のアップダウンが続き、今後の戦いに向けての覚悟が問われ始めたようだ。

いよいよ貴公子タイトルマッチのゴングが鳴らされ、甲斐駒ケ岳との試合が開始されたのだ。

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まずはお互いの様子を伺う静かな立ち上がり。


しかし早くも甲斐駒ケ岳が仕掛けて来た。

我々は真っ白な世界へと引きずり込まれて、冷たい強風に晒された。

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第1ラウンドから執拗に開始されたチャンピオンのボディブロー。

鋭角に突き刺さるそのパンチで、我々の体力の削ぎ落しを狙っているようだ。


狡猾なチャンピオンの攻撃に、早くも防戦一方だ。

そこを見逃さずに、一気に我々を奈落の底に落とそうとして来る甲斐駒ケ岳。

一歩踏み外せば命を絶たれていた。

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しかし見事にやり過ごす事に成功し、手応えを得たB女房の2ラウンドKO宣言が飛び出した。

さあ反撃はここからだ。


我々は勇気を持ってハードパンチャーの甲斐駒ケ岳の懐深くに潜り込んでいく。

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命がけの降下作戦が成功し、見上げると甲斐駒ケ岳が雲の中にそびえ立っていた。

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ここを登っていくのか?

チャンピオンの迫力に臆してしまいそうだが、気を引き締めて突き進む。


やがて「六方石」と呼ばれる奇岩で我々を脅しにかかって来るチャンピオン。

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しかし我がチームにはそんな脅しに屈しない頼もしい仲間がいる。

サディスティックガールの女優Eが嬉々としてそんな脅しを払いのけ、見事に奇岩を踏みにじる事に成功。

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頂上に近づくにつれ勢いを増していく女優Eのパンチが、見事にチャンピオンに突き刺さった。

若干グラついたチャンピオンだったが、まだまだ微動だにせず悠然と立ちふさがる。

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たまらずB女房と女優Eがお色気クランチで体勢を整える。

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これにはさすがに甲斐駒ケ岳も動揺を隠せない。

そこを見逃さず、すかさず僕も必死のクランチで岩場に食らいつこうとする。

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しかし見事にカウンターを食らってしまい、苦悶の表情を浮かべる男。

甲斐駒ケ岳は男のクランチには非常にキビシい。


その後もひたすらに激しい岩場ジャブの嵐。

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ここで道は二手に分かれる。

大きく回り込んでアウトボクシングで攻めるコースと、直登ノーガードボクシングのコースだ。

もちろん我々が選んだ作戦はこちら。

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我々はガードを下げて打ち合いの道を選んだ。

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ここから先は肉弾戦。

弱気になった方が負けだ。

たとえ岩に挟まっても笑顔で効いてないとアピールしないと奴につけ込まれるぞ。

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それにしてもB女房は山デビュー戦に随分と過酷な相手を選んだものだ。


試合中盤にしての激しい乱打戦は続く。

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我々もそうだが、大分相手も足が動かなくなって来たか。

そう思いふと見上げれば、まだまだ頂上は雲の中だ。

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さすがはチャンピオン。

そう易々とダウンは奪えそうにない。


そんな折、ついに我々の中にダウン寸前の男が確認された。

明らかに約1名、元気がない人間がいる。

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これほど陽気な人々に囲まれながらも、うつむいて朦朧と歩く男はバターNだ。

ミスター高山病がいよいよその本領を発揮し始めたのだ。


ついに岩と会話を始める危険な状態のバターN。

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これを見たセコンドがタオルを投入をするかどうかという重要な局面となった。

レフェリーもいよいよレフェリーストップかと様子をうかがい出す。


しかしバターNは「大丈夫、まだやれます」と大丈夫じゃない顔でファイティングポーズをとる。

何とか試合は続行された。


そんな疲弊しきったバターNを見て俄然元気になっていく女が一人。

もちろんサディスティック心が刺激された女優Eだ。


岩と会話を始めたバターNを置き去りにし、あえて難コースからのクライミングを繰り返す。

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かなり辛そうなコースだったが、ねじ伏せる事に成功した女優Eは愉悦の表情だ。

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これにはチャンピオンもたじたじだ。

今にも「おう、そこ動くなこの豚山!」という声が聞こえて来そうではないか。

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なんて頼もしいんだろう。

普段はドS嫁から罵倒されて恥辱にまみれる僕だが、サディスティックな人が味方にいるとこんなにも頼もしいものなのか。


そんな女優Eに勇気を貰ったマゾ軍団が必死で後を追う。

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そんな我々をさらに先で先導するのはタフガイ横綱Kさんだ。

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もはや風景に同化し始めている。

そもそもあれは本当に横綱Kさんなのか?

もしや幻のビッグフットではなかろうか?

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急いで確認しようと近づいていったが、彼は逃げるように霧深い山中に消えていった。

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というかいよいよ天候が酷くなって来た。

振り返ってもみんなの姿がかろうじてしか見えないほどに深い雲の中の世界だ。

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試合終盤でついにチャンピオンも全力で我々を倒しにかかって来たようだ。

同時に凄まじい突風が吹き荒れる。

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グリーンのラインを読んでいる女子ゴルファーに見えるが、これは風が強すぎて立っていられないという姿だ。

後方を見れば凄惨な事故映像のような光景が。

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突風に負けじと助け合う夫婦とすっかり座り込んでしまったバターの姿。

あまりにも強烈なる甲斐駒ケ岳の最終ラッシュ攻撃。

もはや我々は打たれるがままでガードを下げる事も出来ない。


正直僕の心もこの時折れかかっており、脳裏に「撤退」の文字がよぎり始める。

チャンピオンの猛烈なラッシュに観客達もララパルーザ状態。

いよいよ試合終了のゴングが鳴らされそうな雰囲気になって来た。


しかしそれでもよろけながらもパンチを打ち返す6人。

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そんな姿に観客達から拍手と声援が送られる。

諦めたらそこで試合終了ですね、安西先生。


ボロボロになっていく戦士達。

突風にひたすら耐えるB旦那。

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苦痛に顔を歪めるバターNと、タフすぎてアラレちゃん化してしまったビッグフット。

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そして苦しみにまみれるメンバーを見てニヤリとする女優E。

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それぞれの熱い想いが交錯する最終ラウンド。


やがてついに我々はチャンピオンのアゴ先を捉えた。

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後はあの頂上めがけて強烈な右を打ち込むのみ。

そして渾身の力を込めた右ストレートが甲斐駒ケ岳に突き刺さった。

南アルプスの貴公子がついにダウンだ。


レフェリーによるカウントが始まる。

1.2.3.4.5.6.7…

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10!

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カンカンカンカンカン。


高らかに試合終了のゴングが鳴り響いた。

ついに新チャンピオン誕生の瞬間だ。

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ここに新たな貴公子が誕生した。

今後は僕が「南アルプスの貴公子」と名乗らせて頂こう。

悪く思うなよ、甲斐駒ケ岳。

いつでもお前の挑戦を受けて立ってやるぞ。



しかし早くもそんな我々の元に新たな敵の影が迫って来ていた。

以前仙丈ヶ岳でも戦った相手。

その名も「最終バスの時間」だ。


戦いは下山するまで終わらないのだ。



ーつづくー


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