世紀末救世主伝説3〜生贄のクリスタルジャギ〜

Posted by yukon780 on 17.2014 唐松岳/長野 2 comments 0 trackback
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運命を切り開く男がいる。

天に背く男がいる。

それは悪天候神拳二千年の宿命。


見よ。

今この永きマゾの歴史に、

終止符が打たれる...。


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天に選ばれし悪天候三兄妹の驚異的な威力。

そしてその悪天候に、突風で彩りを添える風のヒューイ。


そんな負のオーラにまみれた4人に対し、孤軍奮闘獅子奮迅の活躍を見せつける晴れ男ジャギ。

そしてついに、幕営地にて彼の隠れ奥義「テン斗神拳」が炸裂した。


これにてジャギは事態を快晴に持ち込む事が出来るのか?

ついに快晴下のランドネ的アヒージョパーティーは開催されるのか?

そして「大快晴の唐松岳山頂」で、悪天候三兄妹がジャギにひれ伏すのか?


武論尊もシナリオが読めずに固唾を飲んで注目する一大決戦。

世紀末救世主伝説最終章。

厳かに振り返っていこう。


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無事に谷底から帰還したジャギとラオウ。

昼飯前のひとマゾを達成して、彼らは満足げにテントの設営を続行する。

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しかし現場の誰もがシャリバテ状態で体が重い。

テン斗神拳を繰り出したジャギの疲労度も相当なものだ。


だがそんな状態の我々だが、僕とジョンボーAと低血圧Mちゃんはいよいよ初めての雪上テント設営。

車で白馬に向かう途中からワクワクが止まらず、「ランドネのような爽やかな世界でのんびりとテント設営して、雪のテーブルなんか作っちゃってさ、のんびりと日の光を浴びてランチとか出来たら最高だよね。」なんて言っていたほど。

そう、あの移動中は快晴で無風の世界だった...。

しかしそんな我々に突きつけられた素敵な現実がこれである。



もはやランドネ的世界を通り越した乱取り的な世界。

風のヒューイの暴走が止まらず、過剰な風のおもてなしが続いている。


こんなアブノーマルな形で念願の雪上テント泊童貞を捨てる事になってしまうとは。

このような壮絶な初体験をしてしまうと、今後はこの状態が我々のスタンダードになってしまうじゃない。


そしてそんな暴風の中、トキが非常に地味な自損マゾプレイ。

なんと己のテントのポールを激しく突っ張り過ぎて、フライシートを突き破るという快挙。

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ただでさえ夏用インナーメッシュテントだというのに、フライが破れて通気性が当社比30%アップの状態に。

そして純粋に大切なテントを破ってしまったという精神的ショック。

ジャギのテン斗神拳のような華々しさこそ無いが、「柔のマゾ」と謳われるだけあってトキのマゾは他人に迷惑をかけずにひっそりと行われるのだ。


そしてその後も、テントを風から守るために雪の壁を作る必死な作業は続く。

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とにかく風が強すぎるから、昼飯を食うためにはテントを先に張ってしまうしかないのだ。

だが、余計なテン斗神拳とかあったせいでもはや時間は「15時」へ。

この幕営地に「腹減った。もう限界だ。」と言って辿り着いてから、実に2時間の時が経過している。


とてつもないハードマゾ。

雪上テント泊とはかくも過酷な世界なのか?

皆が空腹に耐えながら無言で黙々と作業する様は、もはや「シベリア強制労働」の一コマにしか見えない。

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時折日本の風景や家族の顔を思い浮かべながら、彼らは祖国に帰還できる日を信じて雪のブロックを積み上げ続ける。

徐々に心も無になっていき、今自分たちがあくまでも「遊び」でここに来ている事すら忘れてしまいそうな労働感。

しかしもちろんここまでしても給金は貰えず、疲労と空腹だけを蓄積させていく強制労働者達。


やがてそんな戦場のような中で、やっとテント設営完了して各々テントの中で昼飯にありつく。

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結局「快晴下でみんなで雪のテーブル囲んでランチ」というささやかすぎる夢は風とともに吹き飛んでいったが、言うまでもなくこの時のメシは五臓六腑にしみ込んでいく美味さだった。


そして皆が昼飯を食って落ち着いたあとで、日帰り予定のティートンKさんとはお別れです。

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結果的に彼女はこのハードなテント設営を手伝いに来ただけという、彼女なりの「日帰りマゾ」を堪能した模様。


しかし彼女はその恐るべき「風のおもてなし」で、ラオウに託された役目を見事に全うした。

白馬五車星・風のヒューイはニッコリと笑って「お粗末様でした」と言ったかと思うと、

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「拳王様、バンザイ!」と言って雪稜の彼方に消えていった。

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途端。

先ほどまでの風がパッタリと止んだ。

そして空に「青」が広がっていく。


ついに悪天候援軍・風のヒューイの効力が無くなり、悪天候軍団の均衡が崩れたのだ。

もちろんこのビッグチャンスにハイエナのジャギが黙っちゃいない。

ここが勝負所とばかりに、ついに彼はその能力を爆発させたのだ。

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徐々に広がる青空、そして穏やかになっていく風。

さっきまでのシベリア抑留風景がウソのような素敵な状況へ。


これに対してすっかり浮かれてしまったジャギ。

彼はビール片手にトキのテントに押し掛けて、またしても得意げに「俺の名を言ってみろ」と言わんばかりのしたり顔。

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しかし彼の本領が発揮されるのはここからだ。

このあと、自分のテントに戻ったジャギは言う。

「あれぇ。僕のシュラフがないぞ。誰か僕のオレンジ色のシュラフ見てないすか?」と長いネーミングの奥義の名前を言ったのだ。


いよいよ彼が快晴のための追い込み作業に突入した模様。

やがてジャギはラオウに導かれて、再びあの「ジャギの谷」を覗き込む。

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ラオウは言う。

「見よ。あの谷底で光り輝く死兆星を。」と。


慌ててジャギはカメラのズームを最大にして谷底を見つめる。

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すると、遥か彼方に光り輝くオレンジ色の死兆星が。

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ジャギのカメラを持つ手がワナワナと震え出す。

彼は叫ぶ。

「見える!我が目に死兆星、またの名をモンベルスパイラルダウンハガー#2の姿が見えるぞ!。」と。


なんと彼は「テン斗神拳」を炸裂させた時、意図したのか偶然なのかシュラフを見逃して回収し損ねていたのだ。

確かに以前の写真を振り返ってみると、すでに彼らの背後には死兆星が光り輝いているのが分かる。

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ジャギのひとり相撲が止まらない。

彼は快晴勝利を確実にするために、どこまでも己の身をこの八方尾根に捧げるつもりなのだ。


死兆星を確認し己の運命を悟った彼は、静かな表情で再びアイゼンを身につけ、

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ラオウから「おぬしなら我らの悪天候を止められるやもしれぬ」とビーコンを受け取り、

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この乱世に終止符を打つべく、旅立っていく。

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世紀末救世主伝説。

今再び救世主が壮大に動き出す。

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皆の期待を一身に背負い、快晴とシュラフを取り戻すジャギの孤独な戦いが始まったのだ。


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『シュラフをとりもどせ!!』

     作詞 トキ
     作曲 ラオウ
     唄  クリスタルジャギ

〜intro〜

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俺はShock 谷にシュラフが落ちている

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俺はShock 辛くて涙も落ちてくる

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マゾな心 クサリでつないでも 今は無駄だよ

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邪魔する奴は 指先一つでダウンシュラフ

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俺はShock 疲労で鼓動早くなる

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俺はShock 動悸息切れ早くなる

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シュラフ求め さまよう心 今 熱くマゾッてる

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全てとかし 無惨に飛び散る羽毛さ

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俺との晴れを守るため テントは旅立ち

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シュラフを 見失った

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温もり忘れた夜では 死んでしまうのさ

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シュラフを取り戻せ・・・

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ジャギは死んだ。

奴は己の身を山に捧げ、代わりにこの乱世に終止符を打った。

こうしてついに、夢見続けて来た「快晴・無風」の世界がやって来たのだ。

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世紀末救世主伝説。

ありがとうジャギ。

さようならジャギ。

我々はきっとあなたの事を忘れないだろう。


そして好天の勢いは止まらず、吉兆と呼ばれる珍現象「彩雲」が発生するというまさか。

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そしてその彩雲の登場を合図にするかのように、唐松岳方面の雲が少しづつ晴れて行く。

やがてその中から、進撃の巨人が現れた。

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巨人はジッとこちらを見ている。

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この日、人類は思い出した。

我々でも景色を見ていいんだという事を。

なぜなら、良く見るとその巨人は、もう一生見られないと思っていた「不帰の嶮・一峰」のお姿だったのだ。


慌てて稜線上に移動し、白馬の絶景を見るべく移動する悪天候三兄妹。

ジャギもいつのまにか息を吹き返して、そこに参加。

そして悪天候神拳の継承者たち4人の力を結集して、天に祈りを捧げ出す。

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非常に危険度の高い宗教行為に見えてしまうが、実際は凍傷にならないように指先に血を送っている所です。

そうこうして極寒の中待っていると、いよいよ素敵なマジックアワーがスタート。


広大な光景が、夕暮れとともに群青と紫に染まり始め、

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徐々に雲の中から白馬三山が姿を現し、

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それを呆然と眺める悪天候長兄と妹とジャギ。

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普段あまり晴れどころか景色に出会えない彼らから激しい感動が伝わって来る。

もちろんトキに至っては、目の前の光景が信じられないとパニックになっている。

そんな弟に対し、長兄ラオウが優しく寄り添う名シーン。

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そして「泣きたくば泣くがよい。もう責めはせぬ。」と優しく呟く。

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これに対し、今まで真っ白な白馬しか見た事なかったトキ。

ついにこらえきれず、涙して白馬三山を眺める。

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八方尾根上に感動の嵐が吹き荒れる。

ついにこの悪天候軍団が、素敵な光景に包まれてしまっているのだ。

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やがて、不帰の嶮が燃えるように我々を祝福し、

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その炎は穏やかな紫色となって、一日の終りを讃えている。

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救われた。

世紀末のような我々にも救世主は手を差し伸べてくれたのだ。


そして日は暮れる。

とても穏やかな夜だ。

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もうすでに風のヒューイは下山しているので、この八方尾根に奇跡の無風タイムがやって来た。

ジャギの谷の前から白馬の街を見れば、この美しき夜景。

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薄い雲が出て来てまだ星こそ見られないが、我々には十分すぎる光景だ。

そしていよいよ念願の「アヒージョパーティー」の瞬間が近づいて来ている。


そもそも野郎だけだったら、このままアルファ米でも食ってさっさと寝ていた局面。

しかし今回はマゾンナ低血圧Mちゃんが同行なので、アヒージョなる小洒落たメシが実現したのだ。


その低血圧Mちゃんは、おごそかにテント内でアヒージョ作成の儀式に突入。

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現場は一気に黒魔術的な様相を呈し、テント内からグツグツという音と呪文の声。

やがて彼女のテント内は水蒸気でモクモクになっていき、ニンニクの香りをテントにしみ込ませていくというひとりマゾタイムへ。

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やがて燻り出されるように彼女が出て来た時、なんと頭部がミカンになってるではないか。

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これが世に聞く「アヒー女」の最終形態なのか?

そんな彼女の、己のテントをニンニク臭にまみれさせてまで作り上げた渾身のアヒージョが完成。

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こいつにフランスパンを浸して食べるのです。

そして風も穏やかなため、念願の外でのディナータイムへ。

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ケンシロウがアヒージョの神に祈祷を捧げた後、

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ラオウとジャギが一心不乱に貪りつく。

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かつて経験した事の無い驚異的な美味さ。

あの荒れ狂っていたテント設営時には、てっきりテントの中で寂しい晩飯になると覚悟していたトキはもう泣きながら食っている。

そして酒も止まらず、ウイスキーやらワインやら梅酒やらをアヒアヒと飲み干していく男達。

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見た目はもはや完全にホームレスナイト的な雰囲気だが、猛烈に楽しい時が過ぎていく。

ここに至るまでかなりの激戦を強いられたが、本当に来て良かった。

しかも明日は好天が予報されていて、唐松岳の山頂はもはや手中に収めたも同然。

皆で翌日の健闘を祈りつつ、「悪天候よ、さらば」とばかりに記念撮影。

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そして大満足の夜は更け、各自安らかな眠りの中へ。

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さあ、明日は大快晴の唐松アタック。

もはや我々の前に悪天候なぞ存在はしない。

悪天候野郎達の夜明けはすぐそこだ。


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どれほどの時間が経った事だろう。


もそもそと起き上がって時計を見るトキ。

どうやら朝が来たようだ。


それにしてもさっきからなんの音だ?

このテントを叩くシャワシャワという音は?


まあいいさ。

本日は大快晴が約束された唐松アタックの日。

それはつまり我々の悪天候軍団からの記念すべき卒業の日を意味するのだ。

さあ、今こそテントの入口を開けるのだ。


焦るなよ。

急に目に光が入ると目をやられてしまうぞ。


さあ、いくぞ。

勝利の日光よ。

おはようございます!

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随分と飲み過ぎてしまったようだ。

辺り一面が真っ白に見えてしまっている。


しかし何度目をこすって見ても、その絶望的な白い現実は変化する事が無い。

さっきのシャワシャワ音は、まさかの雪。

テントから出てみると、皆のテントがすっかり雪に埋もれてしまってるじゃないの。

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そして、昨日の夕方に素敵なマジックアワーを体験した稜線はすっかりホワイトアワーに。

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さらに良く見ると、モクモクの先にある太陽に向かって涙するジャギの姿が。

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彼があれほどの犠牲を払って獲得した快晴は、ものの数時間しか効力を発揮しなかったのだ。

やはり奴はエセ救世主だったのだ。


失意に暮れるトキも、吹雪の中の野糞を断念して無念の帰還。

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そして帰りしな、ラオウのテントの中から嗚咽が漏れていた。

テントを覗くと、ラオウがニヤリとしながら「このラオウにもまだ涙が残っておったわ...」と震えている様子。

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希望に満ち満ちた朝。

これにて完全に心が粉々に折れてしまった悪天候神拳継承者達。

誰からともなく「もう...行かないっすよね...」とか「昨日のアヒージョで浮かれ過ぎたんだよ...」とか「俺...一生唐松岳に登れる気がしないや...」なんて声が続出。

そして「撤収!」というかけ声のもと、いそいそと撤収作業開始。


そんな無惨な悪天候神拳継承者達を、冬毛の雷鳥も「哀れだ...」と言った表情で見つめている。

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視線の先には、再び死の灰にまみれるトキの姿。

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結局いつもの男がいつもの世界で立ち尽くすという、冬の八方尾根の風物詩が展開する爽やかモーニング。

そしていつものようにうなだれる悪天候兄妹の二人と「元晴れ男」。

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やはりジャギ程度ではこの三兄妹の力を覆す事は出来なかったのだ。


そして水を得た魚のように、ラオウが白に消えていく。

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やはり彼には白が良く似合う。

そしてもうすっかり白くて見えない「ジャギの谷」を通り抜け、

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4人はメルヘンチックな世界へと突入。

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これですっかり目が覚めた悪天候三兄妹。

よくよく考えてみたら、我々のような人間が晴れた唐松岳を楽しもうなんて思った時点で勝負はついていたのだ。

そもそも我々が目指していたのは唐松岳からの絶景ではなかったはず。

我らが目指したのは真白からの絶望だったはずだ。


こうして、母のお腹の中にいるかのような安心感に包まれた三兄妹。

もうすっかり気持ちは切り替わってマゾモードへ。

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急にノリノリになってきた三匹のマゾ。

ケンシロウなんてニヤリとしながらスキップしてるではないか。

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さすがは一子相伝の悪天候神拳を最後の最後で勝ち取った伝承者。

その一方で、すっかり反撃の余地もない程に打ちのめされたジャギの姿が。

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白慣れしてない彼にはこの状況をどう楽しんでいいのか分からないようだ。


ラオウは振り向いて、落ち込むジャギに静かに言う。


ジャギよ

この状況で大切な事は、いかに想像力を維持出来るかどうかだ


悲しみを知らぬ人間に勝利は無い

見せようぞ

世紀末覇者ラオウの生きざまを


そしてついにラオウがあの言葉を放った。

固唾を飲んで見つめるジャギ。

ラオウは叫んだ。


「我が生涯に一片の晴れなし!」

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ドコーーーン!

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これぞ長兄の美しき姿。

これぞ悪天候男の生き様。


そしてラオウはそのまま、通称「矢作Cのたそがれベンチ」と呼ばれるベンチで遠くを見つめ出す。

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ここはかつて矢作Cが、ジャギと同様に悪天候三兄妹に打ちのめされたスポット。↓

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結局ジャギも矢作Cと同じ道を歩む事になり、ベンチに座る長兄の悪天候をすっかり憧れの眼差しで見つめている。


さあ、これにて我々の悪天候も安定期に入った。

もはや悪天候が行き過ぎて、別の惑星にいるかのようなモクモク感へ。

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ある意味壮絶で壮大な旅路だった。

結局この世紀末に救世主は存在しなかったばかりか、二度目の挑戦にして唐松岳を落とせなかった。

一人で勝手に谷底2往復する変態も現れたが、まあそこは春だから仕方が無いだろう。

むしろ結果だけ見れば「やたらと無理してアヒージョ食いに行っただけ」という無惨極まりない結果に。

しかしマゾ的には総じて大満足な戦いだった。


やがて彼らは、ここまで来て雪を踏み抜くという追いマゾを楽しみながら、

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無事に八方池山荘に到着。

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随分と達成感に満ちた顔をしているが、まだ朝9時前の早朝敗退人の皆さんのお姿である。


で、山荘で休憩中にはもちろん太陽が出現。

もちろん、休憩を終えて山荘から出た途端に吹雪です。

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もうこの頃には誰も天気に対してツッコミを入れる事なく、素直に受け止めている。

そして帰り際、ティートンKさんに別れの挨拶に行く頃にはこんな状況へ。

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この吹雪の中でもさすがのスマイル。

今後も彼女は白馬五車星として、この地の風を操って多くのテントを飛ばしていく事だろう。

(※ティートンKさん、この場を借りてほんと色々手伝ってくれてありがとうございました!勝手に風の使い手にしてしまってごめんなさい。でもいなくなった途端にほんと風が止んだんだよね...)



やがて街に出る頃にはこんな事に。

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長く白馬に暮らすラオウも「4月でこの雪はありえない」と驚くばかり。

そしてそんなラオウとのお別れ時も、横殴りの「なごり雪」が。

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やはり最後まで恐ろしい男だった。

次は修羅の国で大暴れしてもらいたい所だ。


そしてラオウの闘気が溢れかえる白馬を脱出したトキとケンとジャギ。

白馬を出た途端、人をバカにしたような晴天が攻め寄せて来た。

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三人は無言で青い空を見上げる。

ジャギが運転する車のワイパーが少し動いた。

ジャギよ。

ワイパーじゃ涙は拭けないんだぜ...。

そう言うトキとケンの目にも光るものがあったという。


そしてトキは静かに獄長の待つカサンドラへと帰っていった。



やがて翌日の月曜日。

白馬のラオウからこのような画像が送られて来た。

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あの日以来、白馬は狂ったように晴れているという。


誰か。

こんな彼らの世紀末な宿命を救ってやってくれないだろうか?

次に悪天候三兄妹に挑戦するのは君かもしれない。



我こそはという晴れ男晴れ女たちよ。


白馬にて救世主、絶賛募集中です。




世紀末救世主伝説 〜完〜



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世紀末救世主伝説2〜谷底アヒージョの彼方へ〜

Posted by yukon780 on 11.2014 唐松岳/長野 0 comments 0 trackback
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2000年の歴史を刻み受け継がれてきた、恐るべき暗殺拳があった。

その名を「悪天候神拳」。

天空に連なる7つの星のもと、一子相伝の悪天候神拳を巡って、


悲劇は繰り返される…


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ついにリベンジのステージの入口に立った悪天候三兄妹。


風のヒューイを引き連れて万全を期す拳王ラオウ。

病を発症しながらもカサンドラから脱獄して来たトキ。

ランドネ的なアヒージョパーティーを夢見るケンシロウ。

そんな悪天候三兄妹に挑むは、驚異的な晴れ男ジャギ。


もはや登山の記録なのか北斗の拳なのかもわからない混沌とした世界。

各人の元の名前すら分からなくなりそうな世紀末。

今、唐松岳八方尾根は骨肉の戦場と化す。


Welcome to this crazy time.

このふざけた登山にようこそ

君はマゾボーイ、マゾボーイ、マゾボーイ...


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八方池山荘を出発した5人の戦士達。

振り返ればこの素晴らしい景色と、素晴らしき大快晴。

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しかしこれはあくまでも「振り返れば」の話。

我々の視線の先は、もちろんお先真っ白な世界のみ。

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悪天候三兄妹が先頭切って進んで行ったがために、世界は次々と白く塗りつぶされていく。

この日を待ちわびたラオウとケンシロウの白き闘気が激しく渦巻いている。

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その様子を、快晴の下で歯ぎしりしながら眺める晴れ男ジャギ。

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彼は晴れ男故に、悪天候神拳の継承者争いから外されてしまった哀しき男。

それだけに、どうしても華麗な悪天候を繰り広げる兄達に快晴をお見舞いしたいと意気込んでいるのだ。


しかし彼はここで思いっきり雪を踏み抜いて足を取られてしまった。

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もちろんその隙を見逃すラオウではない。

ジャギが足を取られている間に、ハッポーNさんは「ぬおおおおおっ」と雪煙を大発生させ、

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風のヒューイが追随して烈風を繰り出す、余計な悪天候サポート。

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そしてそのブリザードの中に、トキとケンシロウが息の合ったポージングで嬉々として突き進んでいく。

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開始早々、早くも悪天候人間達のスタートダッシュが美しい。


しかしここでジャギに続いて、ケンシロウまでもが雪を踏み抜いて悶絶マゾ。

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これを見たジャギは、すかさず体制を立て直して一気に快晴を呼び込んだ。

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さすが2000年の歴史を重ねた暗殺拳伝承者達の攻防戦。

わずかな隙が命取り。

この場所から真横を見れば、まさに晴れとモクモクの境界線上。

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だが、やはりジャギ一人では厳しい戦い。

前方では後方の晴れが信じられないような、真っ白かつ陰鬱な世界の中でラオウが仁王立ちしている。

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やはりジャギにとっては、「剛の悪天候」と呼ばれるこの長兄は重くてぶ厚い壁だ。

そしてそんなラオウと風のヒューイが手を組んだと言う事が、さらに現場を混沌とさせてしまう。

ここでティートンKさんが「拳王様、そろそろジャギめを葬ってよろしいですか?」と、風を呼び込む祈祷を開始。

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ついに風のヒューイの「風を友とし空中に真空を走らせる」という技の準備が完了。

もちろんラオウは雪煙を舞わせながら、重い声で「うむ」とだけ口にする。

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その途端。

ティートンKさんが「五車風裂拳!」と叫んだかと思うと、前方からとんでもない突風が吹き荒れた。

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瞬く間にジャギに風の刃が襲いかかる。

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ジャギの「ぐああああ!」という断末魔の叫び声も、即座に突風に乗って後方に吹き飛んでいく。

必死で耐風姿勢を取って耐えるジャギ。

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しかし前方のヒューイとケンシロウは、春のそよ風でも楽しむかのような余裕の佇まい。

僕は「まさか」と思ってカメラのレンズ拡大してみる。

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笑ってる!

ゴーグル越しでも彼女のニヤリが炸裂しているのが分かる!


なんて末恐ろしいおマゾさん。

この時、ラオウとトキは静かにお互いに目を合わせて覚悟したという。

「真の悪天候神拳の継承者はおそらく彼女になるだろう」と...。


やがてティートンKさんが風を緩めた時。

そこにはグッタリとうなだれるジャギの姿が。

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しかし彼はまだ息絶えてはいなかった。

彼は虫の息で呟く。

「今日しか自分が救世主になるチャンスは無い。」

そして「今我が後方にたむろする多くのスキー客を悪天候から守れるのは私だけなのだ。」と。


そして風を切り裂いて、ついに世紀末救世主伝説が動き出す。

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行き倒れのじいさんに託されたわずかな種モミを懐に忍ばせ、果敢に突き進むジャギ。

しかし雨カラーの4人は、そんなジャギを置いて無情に白の中に消えていく。

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このままあの4人を放っておいたら、村人達に種モミを届ける事が出来ない。

ジャギは再び気合いを入れ直し、ラオウに向けて「うおおお」っと突っ込んでいく。

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しかしラオウの手前にはケンシロウとヒューイが立ちはだかり、再びジャギは烈風まみれに。

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あまりにも遠いラオウへの道のり。

もちろんケンシロウは相変わらずニヤリとしながら、ジャギに対して「きさまには地獄すらなまぬるい」とナイススマイル。

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この突風でジャギの懐から大事な種モミが吹き飛んでいく。

ジャギに夢を託したじいさんも、

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と、不甲斐ない救世主に対して悲しみのコメントだ。


そして勢いあまり過ぎてしまった悪天候軍団。

ついに自らもブリザードの世界に埋没し、周囲の光景もボールド洗剤を凌ぐ「驚きの白さ」に。

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もう完全に前回の二の舞だ。

リベンジって言いながら、見事にリベンジ返しの強烈カウンター。


だが、やはりラオウだけは堂々と落ち着いている。

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この男にとっては、力と暴力と悪天候が支配する乱世こそが心地よき世界。

ジャギが「あんたやり過ぎだよ!そんなことは神が許さぬぞ!」と絶叫。

するとラオウは雪煙を巻き上げながら、

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などと言い出す始末。

こうなるともうこのラオウを止められる者はいない。

ただ純粋に登山を楽しんでいた前方の他の登山者が、猛烈な闘気に巻き込まれてしまっている。

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このままではこの白馬全土が焼け野原になってしまう。

トキとケンシロウも必死になって「もうこれ以上はやめてくれ!」と叫ぶが、ラオウは「このラオウ、天に帰るに人の手は借りぬ!!」と言ってどんどん突き進んで行ってしまう。

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おかげで我々は、前回同様「白馬連峰展望図」を見ながら「真っ白絶望展望」を楽しむ羽目に。

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またしても我々は白馬の山々を想像する事しか許されないのか。


だがそんなラオウも、もはや齢四十。

気持ちはいつまでも若く、このようなことを言っていたが、

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アイゼンの締め直しであっけなく膝をついたかと思うと、

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その後、バランスを崩してあえなく尻から地に崩れ落ちた。

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これを見た風のヒューイが慌てて風を止め、老人介護のようにラオウのサポートに回る。

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もちろんハイエナ男ジャギがこのチャンスを見逃すはずが無い。

空が晴れるまでは行かないまでも、彼はその隙に雪の勢いをシャットアウト。

そしてその勢いのまま、前回の敗退ポイント「乳頭ケルン」に到達。


前回の乳頭ケルンでは横殴りの雪だったが↓

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今回は同じ白でも、比較的穏やかな白に持ち込む事に成功した。

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とりあえず晴れ男救世主として、矢作Cの無念をわずかばり晴らした結果に。

まるで1アウトで三塁ランナーを、ライトフライを打ってでギリギリタッチアップさせて得た1点のような最低限のお仕事。

雨カラー4人の狭間で、彼の孤軍奮闘ぶりが見事。


こうして、前回敗退地点より先の世界に足を踏み入れる事に成功したご一行。

乳頭ケルンでの記念撮影のおかげでラオウもすっかり落ち着き、溢れかえっていた闘気も鎮まって若干の晴れ間が出現。

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悪天候が落ち着いたとなれば、ここからは優雅な時間。

いつものように安心して、しっとりと急登マゾタイムが楽しめるというもの。

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そしてこれを登りきると、覗き込むような谷が現れる。

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「こりゃ落ちたら大変だねえ」なんて言いながら、その谷底をのんきに撮影するジャギ。

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しかしこの時、彼はまだ知らない。

この谷が、後に「ジャギの谷」と呼ばれる救世主伝説発祥の地になることを...。


やがて、風の影響が少なそうな場所に移動し、

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長兄によって「ここを拳王軍の幕営地とする」という宣言が発せられた。

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実は何気にここまでの道のりでハードに燃え尽きていた男がいる。

その男とは、かつてない大重量ザックの重みにすっかり打ちのめされて前のめりに雪に突き刺さってしまったトキである。

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やはり死の灰を食らって病に冒された背筋痛男には、かなり過酷な道のりだったようだ。

何気にこの病弱な彼のザックには、低血圧Mちゃんによる愛情たっぷりの「2リットルの水」という追加マゾが加算されている。


しかしこの幕営地でその重りを脱いだトキは、鉛の道着を脱いだ悟空のように身軽な体に。

その勢いのまま、トキは悪魔六騎士の一人で血の海地獄の「ジャンクマン」へと変身。

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そして狂ったように雪面にジャンククラッシュをお見舞いし始めた。

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このトキ→悟空→ジャンクマンという、80年代を生きたジャンプ世代にはたまらない行為には訳がある。

彼は出来るだけ雪面を平らにして、快適な幕営地を作っているのだ。


そして他のメンバーも、思い思いの場所にテントを張っていく。

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この時点で昼の13時。

もはや各人ともシャリバテ状態で、さっさとテントを設営して1秒でも早く昼飯を食いたい局面。

しかしこの誰もが「もういい加減、ゆっくりメシでも食って落ち着きたい」と思っている場面で、一気に勝負に出た者がいる。

その者こそが「白馬五車星・風のヒューイ」こと、今回唯一テント泊せずに日帰りで帰る予定のティートンKさんだ。



それはまさに一瞬の出来事だった。

テント設営中のほんのわずかな隙だった。



ここまで善戦を繰り広げて来たジャギ。

彼がほんの一瞬、まだちゃんとペグを打っていない己のテントから手を離した時。

ティートンKさんの表情が変わった。

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彼女は「山が動いた。ならばこの風も動かねばならぬ。」と言ったかと思うと、天候が一変。

突然の「大爆裂突風」がジャギのテントに襲いかかったのだ。


猛烈な勢いで吹き飛ぶジャギのテント。

この突然のヒューイの急襲に対し、慌てて飛んでいくテントに向かって走り出すジャギとトキ。

一瞬木に引っかかるテント。

必死でテントに手を伸ばすトキ。

しかし彼の手がテントに触れそうになった時、無情にもテントは木から離脱。

そのトキの背後から、血相を変えたジャギがテントに向けてジャンプ。

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だが、その木の先は先ほどの谷へと続く崖。

そのまま飛びついたら滑落一直線。

慌ててジャギを止めるトキ。

いくら強靭なフルフェイスヘルメットを被っていても、さすがにこれ以上は無理だ。



そして二人が見つめる中、ジャギのテントはスローモーションのように谷底に転がり落ちていく。

ジャギがテント内に入れていた荷物をまき散らしながら...。


これを見たジャギは、

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と、この事実を受け止めきれない様子。

いつもならこのようなネタを「おいしい」と感じてシャッターを切るトキですら、さすがにこの時ばかりは彼にかける言葉も見当たらずに立ち尽くすのみ。

このままでは、ジャギは身一つでこの極寒の世界で一夜を明かす事になってしまう。


しかしこの事態に頼りになるのはやはり長兄ラオウ。

たとえジャギが腐ったハイエナだろうと、可愛い弟に変わりはない。

ラオウはビーコンを握りしめ、雪崩の危険がなくはないその谷底へ向けて旅立っていく。

ジャギもその後を慌てて追いかける。


彼らは長い時間、ひたすら斜面を下っていく。

トキも「そろそろ撮ってもひんしゅく買わないかな」と判断し、恐る恐るズームでシャッターを切る。

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もはや南極越冬隊の一コマにしか見えない荒涼感。

引いてみるとこんな感じ。

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これが写真でどれほど伝わるか分からないが、僕の足下は崖で遥か先の谷底にいるのが彼ら。

想像以上にヒューイの力は凄まじく、唯一の障害物が木1本だったためにどこまでもテントは転がって行ったのである。


そしてようやく、テントに辿り着いたラオウとジャギ。

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かつてない壮大なスケールで繰り広げられる無駄な作業。

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決して相容れない関係のラオウとジャギの感動の兄弟愛。

もちろん、途中途中で散乱した荷物を必死で回収するジャギの姿も確認できる。

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そしてもちろん、谷へと下ったからにはここからはラッセル付きの大急登スタート。

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さすがは2000年の歴史を誇る暗殺拳の使い手達。

かつてこんなにスケールの小さなミスを、ここまで壮大なマゾ行為にまで発展させた奴らがいただろうか?

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もはや木村大作監督の最新作「唐松岳〜テントの記〜」かと見まごう程のスケール感。

しかしやってる事は三角点設置ではなく、ただの「テント回収作業」。

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彼らはひょっとして「アヒージョパーティー」の意味をはき違えてやしないか?

あくまでもアヒージョは美味しいオリーブオイル料理であり、決して「急登をアヒアヒ登るジョンボーA祭」という意味ではなかったはず。

いくら種モミじいさんに「不甲斐ない晴れ男」と言われたからと言って、そこまで快晴のために己の身を捧げる事もなかったのに...。


しかも後少しで帰還という場面で、風のヒューイが「させるか」とばかりに追い打ち突風。

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ファインダー越しに見る映像は、もはや「八甲田山の悲劇」。

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もうとても見てられない程のラオウとジャギのお戯れ。

そもそも何故テントを畳まず、あえて風の抵抗受けまくりの状態で運び上げているのか?

見ているこっちとしても、思わず鎌倉ハムの山田昌風に「まあ一本、まあ一本と、たいがいにしとかなかんよ!今晩のアヒージョがわやになってまった。ジャギさんもいかんわ。マゾすぎるもん。」と言わざるを得ない。(東海地区限定)


そしてヒューイの反乱からどれほどの時間が経った事だろう。

どこからともなく映画アルマゲドンのテーマソングが聞こえて来る。

そして雪原の先から、ゆっくりと男達が帰還して来た。

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そしてラオウは拳を突き上げ「もはやこのわしを対等の地にたたせる男はジャギしかおらぬわ!!」と叫び、

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ジャギも静かに「おまえ、おれの心の傷をみてもだれだかわからねえのか?」と言ったかと思うと、ついにあの言葉を発した。

「俺の名を言ってみろ!!」と。


極限の状態で炸裂したジャギの「テン斗神拳」。

しかし北斗の拳をさっぱり知らない低血圧Mちゃんは、驚く程の無反応。

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そんな茶番はどうでもよく、とにかく我々は早く昼飯が食いたいのである。



さあ、風雲急を告げて来た一大決戦。

このジョンボーAの体を張った大技で、この後ついに大快晴のスペシャルアヒージョタイムはやって来るのか?

そもそもその前に、奴らは無事に昼飯が食えるのか?


そしてこの時はまだ誰も気づいていない。


谷底に光り輝くオレンジ色の死兆星の事を...。



そう。


悲劇は繰り返されるのである。




世紀末救世主伝説2へ 〜つづく〜




世紀末救世主伝説1〜唐松リベンジへの道〜

Posted by yukon780 on 09.2014 唐松岳/長野 0 comments 0 trackback
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201X年。

唐松は白の炎に包まれた。


あらゆる登山者は絶滅したかに見えた。

しかし、マゾは死に絶えてはいなかった。


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覚えている方はいるだろうか?

今では「八方尾根の悲劇」として語り継がれるあの惨劇を。


今年の1月末。

「悪天候三兄妹」と呼ばれる長兄ハッポーNさん、次兄の僕、妹の低血圧Mちゃんが一堂に会してしまった事により、白馬が白の炎に包まれてしまった。

次兄である僕はその場にいた多くのスキー客を死の灰から救うため、重いシェルターの扉を閉めた。


やがてその扉が開けられた時。

そこには真っ白な灰に埋もれた次兄トキの姿が。

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この己の身を捧げ過ぎた行為により、僕は重い病に冒されて「悪天候神拳」継承者争いから脱落。(参考記事:夢見る男の美白道場〜うぬぼれ晴れ男の末路〜

以降、僕は「奇跡の赤岳」で快晴野郎へと生まれ変わって多くの登山者を救って来た。


しかしである。

赤岳で浮かれてしまった僕は、嫁が支配するカサンドラに収容されてしまう。

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自由は奪われ、ひたすら嫁を担ぐ日々。

もちろん晴れた日に限って、とことんお留守番を命じられる囚われのトキ。


だがなんとかこのカサンドラから出獄して、どうしても八方尾根のリベンジをかましたい。

聞けば白馬にいるラオウ(ハッポーNさん)が大暴れして、「八日間連続の暴風雪」を巻き起こして現場を大混乱に陥れているというではないか。

なんとか次兄である僕の手で彼の勢いを止めなければならない。


そんな中、低血圧Mちゃんが「もう一度白馬に行ってリベンジしましょう」と言って僕を救いに来てくれた。

しかも、おマゾが過ぎる彼女の口から「雪上テント泊で」というまさかの提案が炸裂だ。


僕は雪上テント泊用の装備を一切持っておらず、全てが夏仕様の装備。

そこで新たに冬用シュラフなどを調達し、カサンドラ内(自宅の庭)で雪上テント泊デスマッチに向けた準備を進めた。(参考記事:庭男あおによし〜三連休の残像〜

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この時の孤独な戦いは、非常に多くの方の涙を誘うほどの激戦となった。

しかしこれほど己を惨めに追い込んでまで、僕は今回のリベンジマッチに燃えていたのだ。


そしてその週末に向けて、各地にいる悪天候三兄妹は動き出す。

どうしても当日晴れて欲しい時に繰り出される、悪天候神拳奥義「事前代償行為」を繰り出し始め出したのだ。


長兄は連夜ブリザードの中での夜間仕事に埋没し、晴れた休みの日にはしっかりお留守番。

次兄はいつも通り風邪を引き、さらに筋肉ストレスと診断された謎の背筋痛によって激痛で寝返りも打てない日々。

妹も兄を見習って風邪を引き、そして自転車で激しく転倒して胸部を打撲するという大技をかます。


これにて仕込みは万全のはずだった。

しかしそれでも我々の闘気は抑えきる事が出来ず、モクモクさんに発見されて週末の予報はご覧の有様へ。

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ピンポイントで現場は雨が降る予報で、おまけに唐松岳山頂付近は「風速31m」という素敵な予報に。

これにはさすがの悪天候三兄妹も「力及ばずか...」と、むなしく「延期」を決定せざるを得なかった。


しかしである。

我々の延期を確認したモクモクさんは、当日になって突如消滅。

本来行くはずだったその日。

現地にいるハッポーNさんから悲しみのコメントとともにこのような画像が送られて来た。

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僕はこれを見た途端、「雨降るんじゃなかったんかい!」と叫んだかと思うとグハッっと吐血。

病に冒された私にはもう時間が無いというのに、なぜ天はこのような仕打ちをするのか。



気がつけば平地ではすっかり桜が満開。

しかし延期になった翌週に厳しい雪上テント泊に挑む僕は、出来るだけその桜を見ないようにして心が春に持っていかれないように気を引き締める。

そして念には念を押して、追加の事前代償として「かつてない腹痛に襲われる」という仕込みも忘れない。

夜に至っては、「謎の背筋痛」「子供の夜泣き」「悶絶ゲリナイト」の苦痛三本柱でほとんど寝られない日々でストイックに己を追い込んでいく。

それぐらいの代償を払わないと、この三兄妹が揃って晴れるわけがないのだ。


この壮絶なトキのビッグプレーにより、出発直前の天気予報はこのような状態へ。

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さすがは事前仕込みの華麗さにおいては、悪天候神拳の2000年の歴史の中でも最強と謳われる男。

これで週末の大快晴は約束されたも同然だ。


そしてこれに気を良くした妹の低血圧Mちゃん。

すっかり浮かれてしまった彼女は「雪上でアヒージョパーティーしましょう」と提案。

荒くれた世界で生きて来た僕は、この「アヒージョ」なるものを初めて耳にした。

てっきり「アヒアヒと嗚咽を漏らしながら大急登を登るマゾパーティー」の事かと思ったが、実際はなにやらオイルフォンデュ的で大変オシャレな食い物だと言う事が分かった。


そしてこのオシャレ食材に食いついて来た男がいる。

それが今回のリベンジマッチに参戦が決まった第4の男「ジョンボーA」。

彼は突然我々の前に現れて、悪天候三兄妹に挑戦状を叩き付けて来たのだ。

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実は彼はこう見えて猛烈な晴れ男。

そのあまりの晴れ男ぶりに、早々に悪天候神拳伝承者の道を閉ざされてしまったハイエナ野郎。

かつてはチーム・マサカズの負の連中相手に互角の天候決戦を挑んで来た男だ。(参考記事:焼岳天候決戦1〜ジョンボーからの挑戦状〜


前回の赤岳の時も、いつものように顔を隠して参戦して来た結果大快晴をもたらしている。(真ん中↓)

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ちなみに彼がヘルメットとゴーグルとバラクラバを取ったらこんな感じ。

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ちょっと見た目は恐いが、実際はチャーミングな男だ。

こんな彼だが、今回ばかりは快晴をもたらして「救世主」になってくれるかもしれない。


前回の「八方尾根の悲劇」の時は、晴れ男として矢作Cを連れて行ったが、悪天候三兄妹を前に何の抵抗もする事が出来ずに惨敗した例がある。(↓打ちのめされて遠くを見つめる矢作C)

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矢作Cは中途半端な晴れ男だったが、今回はジョンボーAがジャギとなって復讐に燃えている。


こうしてついに決戦の時を迎えた「悪天候神拳」の使い手ご一行。

果たして悪天候三兄妹は日の光を浴びる事が出来るのか?

ジャギは大快晴をもたらして救世主となり得るのか?

夢のアヒージョパーティーは無事に開催されるのか?

そして初めての雪上テント泊が成功し、見事唐松岳の山頂を落とす事は出来るのか?

はたまた悲劇は繰り返されるのか?


唐松岳リベンジマッチ、八方尾根の戦い。

ここに開幕です。


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初めての雪上テント泊にワクワクが止まらない男。

いよいよこのカサンドラから脱獄して、あの戦場へと戻る事が出来るのだ。


しかし出発前日。

彼の次男こーたろくんが、計ったかのように風邪で発熱。


突然もの凄く出て行きづらい状況になって動揺が止まらないトキ。

トキは恐る恐るウイグル獄長(嫁)に「あのう、こんな時に申し上げにくいんですけど...。約束しちゃってるんで...行かせていただいてよろしいでしょうか?」とお伺いを立てる。

しかしウイグル獄長(嫁)は、

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と言うばかり。

挙げ句「まあ行けばいいんじゃない。熱の出た我が子を置いてさ。お義母さんも大変だろうね。」と自慢の双条鞭を振りかざす。

ご両親の手前も、行きづらい事この上無し。


強烈な精神的ダメージを背負って、早くも白髪化するトキ。

それでも私は行かねばならない。

大快晴の唐松岳とアヒージョパーティーが私達を待っているのだ。



やがてトキはケンシロウ(低血圧Mちゃん)とジャギ(ジョンボーA)と合流。

一路車をラオウ(ハッポーNさん)が待つ白馬へと走らせる。

やがて夜が明けると、信じられない大快晴が襲いかかって来た。

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太陽の光に慣れていないトキとケンは、一発で目がやられてしまいそうなほどの朝日。

低血圧Mちゃんも、眩しさのあまり生まれて初めてサンバイザーを下ろすという快挙。

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これで本日の大快晴登山は約束されたようなもの。

この快晴をもたらした晴れ男ジャギに至っては、得意顔で「俺の名を言ってみろ」と言わんばかり。


ラオウからは「現地に着くまで決して浮かれるな」というメッセージを貰っていたが、三人はこの太陽で瞬く間に浮かれ出す。

「こりゃあ、現地では暑くて半袖で十分じゃないっすか?」

「風もなさそうだし、快適に外でランチも行けますね。」

「今回ばかりはノーマゾでネタがないんじゃないすか?」

「快晴下でアヒージョなんて、もうほとんどランドネの世界だね。」etc...


今僕がタイムマシーンに乗れるなら、この時の彼らを全力で殴っていた事だろう。

何度同じ過ちを繰り返すのか?

あれ程ラオウが浮かれるなって言ったのに...。



やがてルンルンの三人は白馬近辺まで到達。

しかしどうも前方の様子がおかしい。

白馬に近づくにつれ、モクモクさんの勢いが増して来ている。

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いかん。

早くもラオウの闘気が溢れかえっているじゃないか。

いよいよ我々は拳王軍のテリトリーに入って来たようだ。



やがて待ち合わせ場所に到着。

ついにラオウが合流して、悪天候三兄妹が2ヶ月ぶりに白馬の地に集結した。

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おや?と思われた方もいるだろう。

なんだ晴れてるじゃん、と。

しかしこの場所から後ろを振り返り、これから我々が行こうとする山を見るとご覧の通り。

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そう、まさに今悪天候三兄妹がいる位置を境に「快晴」と「悪天候」が激しくせめぎあっているのだ。


そして朝青龍のような顔して「まづいな...」という表情のジャギの後方に、見慣れない女性が一人。

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彼女の名はティートンKさん。

白馬の人間らしく、実に渋いブランドTeton Bros.を着こなすボードガールだ。


実はティートンKさん、ラオウにその悪天候の才能が買われて急遽今回日帰りでの参加が決まった人。

イチローの生涯打率級の雨具率を誇る才女らしく、ラオウもその能力を高く評価している。

そしてかつて彼女は「白馬五車星・風のヒューイ」と呼ばれた程の風の使い手という噂。

一度はラオウに戦いを挑んだ程の手だれだが、今は拳王軍でその手腕を発揮している。


この思いがけない悪天候援軍に、すっかり分が悪くなって「聞いてないっスよぅ」とすねるジャギ。

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しかし彼がこの悪天候世紀末の救世主になるためには、これらの難関を乗り越えていかねばならない。

晴れるかどうかは全てこの男の奮闘にかかっているのだ。



そして戦場に向かうべく、スキー場のリフトにて出発地点を目指すご一行。

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ここで早くも低血圧Mちゃんが挨拶替わりのマゾ一発。

自分より大きなテント泊用の重量ザックに翻弄され、リフトを降りる際にドタバタと己のザックとの格闘を始めたのだ。

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血圧を上げて焦る低血圧Mちゃん。

リフトのお兄さんも突然目の前で始まった独り相撲に苦笑いだ。


そんな羞恥プレイにはにかむ低血圧Mちゃんの横を、颯爽と風のヒューイが通り抜けていく。

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その手にはサンドイッチ。

やはり白馬に生きる女性には余裕があり、自転車ですら転倒して胸部を打撲する低血圧Mちゃんとの違いを感じさせる佇まいだ。


そんな妹の姿に対し、長兄ラオウも黙ってはいない。

80Lのザックを担いだ異様なスノボ男として颯爽と滑っていき、

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ザックの重みにより転倒。

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もちろん風のヒューイは、相変わらずサンドイッチを手放す事なく颯爽とラオウの救出に向かう。


こうなれば次兄のトキだって遅れは取れない。

胸を張って颯爽と歩いていたかと思うと、

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突然雪面に落とし穴のような穴が空き、足を取られて前のめりに激しく転倒。

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過去最重量のザックが重過ぎて、一人で起き上がる事も困難な状況になってニヤリとしている。

そもそも何故スキー場の雪面に穴があり、その一点に足を踏み入れてしまったのか?

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戦いはすでに始まっているのだ。


このまだスタート地点にも着いてないのに繰り広げられる三兄妹のおマゾ競演。

これには「してやったり」のトキとラオウのニヤニヤが止まらない。

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これに対し、ティートンKさんも「こいつら浮かれてやがるな」と察知した様子。

彼女も負けじと挨拶替わりに「突風」を発生させ、我々を懲らしめる事を忘れない。

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写真では伝わりにくいだろうが、とてつもない風が吹き荒れている。

さすがは白馬五車星の実力者だ。


そしてリフトが最高所に近づくにつれ、世界は白に包まれていく。

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ジャギも「そんなバカな」と言った表情で動揺を隠せない。

猛烈晴れ男のジャギだったが、やはり彼も矢作Cの二の舞になってしまうのだろうか?


しかし彼はスタート地点の「白馬池山荘」にて、しっかりと矢作Cとの違いを見せつける。

矢作Cの時の出発記念写真はこのような↓有様だったが、

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今回はまだマシな立ち上がりとなった。

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こうして見ると「雨カラー」の4人に対し、必死で「太陽カラー」で対抗しようとしているジャギの分の悪さが見て取れる。

この後、彼は本当に救世主になれるのだろうか?


この時点で、逆方向の後方は快晴。

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一方、目指す唐松岳方向は美白の世界。

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相変わらず拮抗する晴れと悪天候のパワーバランス。

しかし若干、この時点では孤軍奮闘のジャギの晴れパワーのが勝っている雰囲気。


そして当ブログ恒例の「スタート地点までで第一話が終わってしまう」というまさか。

果たして彼らは無事にテント泊予定地点まで辿り着く事が出来るのか?

そして天気予報通りに晴れて、悪天候三兄妹は日の光を浴びる事が出来るのか?

ランドネ的なアヒージョタイムの瞬間はやって来るのか?


リベンジの戦いが今、幕を開けたのである。




世紀末救世主伝説2へ 〜つづく〜



夢見る男の美白道場〜うぬぼれ晴れ男の末路〜

Posted by yukon780 on 28.2014 唐松岳/長野 2 comments 0 trackback
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所詮、儚い夢だったのだ...。

私は少しだけ浮かれてみたかっただけなのに...。

ささやかな幸せを感じたかっただけなのに...。


ちょっとだけ「夢」ってやつを信じてみたかっただけなんだよ。

一度で良いから「晴れ男になりました」って言ってみたかっただけなんだ。


でも人の運命なんてものは、そう簡単に変える事なんて出来はしないんだね。

これは身分をわきまえずに浮かれてしまった、私に対する天罰なんですね。


そろそろ眠くなって来た....。

体も動かなくなって来たよ...。

子供達の笑顔が走馬灯のように駆け回る。

白い世界に綺麗なお花畑が...。


さよなら、青空さん。

さよなら、夢見がちだった私。


私はそろそろ帰ります。

「悪天候」という名のファンタジーの世界へ。

ホワイトアウトという名の安らぎの空間へ。

マゾがうごめく精神と時の部屋へ...。





ついに落ち着くべき場所に「白の似合うアイツ」が帰って来た。

仙丈ヶ岳、竜ヶ岳と2度も続いてしまった大快晴登山。

そのまさかな快進撃に対し、周囲からは「このうかれポンチ野郎」という厳しい批判が相次いだほどだ。


しかし彼はそんな周囲の声に耳を傾ける事なく、ハッキリと宣言した。

「もう私は悪天候野郎ではない。2014年度から私は晴れ男になったのである。もう二度とモクモクな白い世界での修行などはしないのであります。」と。


だが、そんな彼を待ち受けていたのはかつてないほどの真っ白な修行の道場だった。

浮かれて淡い夢を見てしまった男に突きつけられる、容赦のない天からの贈り物。

ついに「自分が何者なのか」を再認識するための儀式がここに始まった。


ただいま、モクモクさん。

お帰り、悪天候マゾ野郎。


修行の舞台は北アルプス唐松岳へと続く「八方尾根道場」。

それでは、そんな「うぬぼれ粉飾晴れ男」が地獄に堕ちて行く様をじっくりと振り返って行こう。


(※途中から真っ白な画像が多くなって来ますが、決して放送事故ではございません。ご安心してご覧下さい。)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


チーム・マサカズの矢作Cによる、「今度知り合いと八方尾根スキー場に行くけど、雪山登山組の便乗OKよ」というFacebookへの投稿で全ては始まった。

この甘い蜜のような誘いに、見事に2匹のマゾが引っかかった。

その2匹とは、前回「うぬぼれ快晴男」誕生の元になった竜ヶ岳でペアを組んだお二人。

「おマゾ兄妹」でお馴染みの僕と低血圧Mちゃんのコンビだ。(↓その時のうぬぼれ快晴中の写真)

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この時は、東海地方屈指の悪天候人間の二人が繰り広げた奇跡の大快晴だった。(参考記事:竜ヶ岳リハビリ病棟〜おマゾ兄妹のニヤリ行脚〜

そんな歴史的な偉業を成し遂げた実に「縁起の良い」コンビ。

今回もその持ち前のマイナスパワーを衝突させて、見事に快晴ケミストリーを手に入れようと企んだのだ。

そう。

彼らはすっかりうぬぼれていたのだ。



しかし何かがおかしい。

当日のヤマテン予報が理解不能な予報を打ち出しているぞ。


「26日:日本海の低気圧からのびる寒冷前線が未明に通過し、次第に冬型の気圧配置に。また、500hpaで-30℃以下の寒気が南下してくる。このため、風雪の荒れ模様の天気に。明け方までは南西風が非常に強く、暴風雪に要警戒。山麓では雨が混じる恐れがあり雪崩に注意。日中は気温が急速に低下し、稜線では北西風が強まっていく。翌27日朝までに剣・立山連峰で60cm前後、後立山連峰北部で80cmを超える大雪の恐れがあり、最新の気象情報に注意。 警戒事項:風雪による行動不能・転滑落、落雷、乾雪雪崩、低体温症、凍傷、視界不良による道迷い・雪庇の踏み抜き」


何をバカな事を。

我々を誰だと思っているのだ。

東海屈指の晴れ男さんと晴れ女さんだぞ。


こうしてうぬぼれが止まらない粉飾晴れ兄妹は、矢作Cと彼の知人のボーダーOさんのスキー場行きハイエースへ便乗。

きっと到着するなりサングラスが必要なほどの、眩しい快晴の白馬が待っているはずだ。



しかし現場に到着してみると、どうにも見覚えのある重々しい光景が展開しているぞ。

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何やらみぞれが降りまくり、雪の重さも尋常ではないぞ。

何故だ?

マイナスとマイナスはプラスではないのか?


そんな時一台の車が我々の前に止まり、一人の男が登場した。

その男は、チーム・マサカズ白馬支部の「ハッポーNさん」ではないか。(一番左)

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しまった。

彼はかつて僕が悪天候界のスター選手だった頃、「僕の地位を脅かす人間が一人いるとするならば、それはハッポーNさんである。」と雑誌のインタビューで答えた事があるほどの男。

かつて夢のツートップを実現させ、燕岳を真っ白な混乱に陥れた過去を持つ北方の雄だ。(参考記事:常念山脈北上野郎3〜燕岳編・銀座のマゾの物語〜

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まさに彼は長野が誇る、唯一無二の悪天候男。

つまりこの時点で、マイナスとマイナスにマイナスをぶつけるという「スペシャルマゾケミストリー」が炸裂。

悪天候界をリードする3名による、オールスター夢の祭典。

瞬く間にかつてない風雲がこの白馬に立ちこめる。

その時の雨雲レーダーはご覧の有様だ。

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見事にモクモクさんがピンポイントで白馬狙い撃ち。

なんて事だ。


かと言って、別にハッポーNさんは嫌がらせをしに来たわけではない。

基本的にこの八方尾根に生息している彼は、我々の来訪にあわせて「白馬おもてなし隊」としてわざわざガイド参戦を買って出てくれたのだ。


しかし彼の行き過ぎたおもてなしにより、スキー場は「THE悪天候」と言った地獄絵図へ。

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もはや快晴になる気配はミジンコの糞ほども感じられない。


しかし何だろうか?

この実家に帰ったかのような、落ち着いて澄み切った感情は。

母の懐に抱かれるかのような、この充足した清々しい気分は。


やはり我々は無理していたのだ。

背伸びして「晴れ人間です」なんて言いながら、本来の自分に仮面を被せていたのだ。


そんな原点の感情を取り戻した二人。

低血圧Mちゃんなどは、一切迷いのない足取りで嬉々としてその悪天候の中に身を投じている。

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スキー客がほぼ10割を占める天下の八方尾根スキー場に、突如現れた本意気山ガール。

そしてその隣で、久しぶりの悪天候に対して笑顔が止まらない本意気マゾ野郎。

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もうこうとなれば今更我々には迷いなどは無い。

慣れないリフトで、あっという間に末端を冷やして行く冷え性兄妹。

もはやステージは快晴登山という名の「アウェー」の戦いから、ついにモクモクサポーターに囲まれた「ホームスタジアム」へ。

絶対に負けられない天候がそこにある。


そしてゲレンデ組のボーダーOさんと別れ、いよいよ我々はスタートラインの「八方池山荘」へ。

これからの明るい旅路を予感させる横殴りの吹雪とともに記念撮影。

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矢作Cがいるおかげで何とか均衡が保たれているが、もし彼がいなかったらすでにこの場で落雷に打たれて死んでいる事が確実の「悪天候三兄妹」。

なので矢作Cも天候調整係として「バックカントリー組」で同行。

彼のスキー板に「レンタルシール(クライミングスキン)」を貼付けて強制連行です。

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彼はさすがに今回は一眼カメラは持って来てないから、いつもの「従軍キャメラマン」から「従軍避雷針」へと任務変更です。


そして現地登山ガイド兼、バックカントリー補佐兼、悪天候祈祷師のハッポーNさんも着々と準備です。

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まるで名古屋代表VS長野代表の「悪天候祈祷合戦」のような光景だが、あくまでも準備をしているだけです。


そして八方尾根の住人らしく、ハッポーNさんの板はハイクアップ時はスキー板で滑降時にボードになる「スプリットボード」だという本格的さ。

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何とも頼りになるガイドであり、何とも迷惑な悪天候男である。


一方ワカンを装着し、ボッフボフの深雪に突入して行くもう一人の悪天候人間。

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前回の竜ヶ岳で5分だけワカンデビューした低血圧Mちゃんだが、2度目のワカン使用にしていきなりのガッツリ本番。

ワカンさんとしても「ああ、私はとんでもない主に買われてしまったんだ」と、ワカン冥利に尽きる思いで感慨もひとしおだっただろう。


そしてスタートしたはいいが、見事なまでに美しいホワイトアウト。

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何にも見えやしないじゃないか。


開始2秒で早くも濃厚な遭難色。

人は「何故あえてそんな中に突っ込んで行くんだ?」と疑問に感じる場面だろう。

しかし何故と言われても、我々はカッコ良く「Because it is there. (そこにマゾがあるからさ)」と呟くだけだ。


だからと言って、もちろん本来であればさすがにこんな状況に素人だけで突入するほどアホではない。

八方尾根の事なら骨の髄まで知り尽くす、ハッポーNさんの先導ガイドあってこそなしえたスペシャルマゾツアーなのだ。

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もはや空と稜線の境目すら判断がつかないから、自分の歩く数m横が崖だとしても我々では全く気づけない。

先を行くハッポーNさんなんて、まるで空を飛んでいるかのように真白な世界に浮かび上がっている。

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一応彼はそれでも必死でおもてなしガイドを続け、「あの先に見える小山を巻いて行って、あの岩の辺りまで進みますので」と説明してくれる。

しかし、ハッポーNさんに早くも幻覚症状が現れたかと戦慄が走るほどに彼の指差す方向は「白一色」。

いくら目を凝らして見ても、我々には小山も岩も見えず「絶望」しか見えない。

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確かに心眼を極めた我々にはその先にある北アルプスの絶景まで手に取るように想像する事は出来るが、残念ながら今は自分の進むべき方向すら見えない状態だ。


そしてそんな状況に輪をかけて悲惨さを提供してくれるのが、この積もりに積もった深い雪。

スノーシューをしていてもその一歩一歩の重さは尋常ではなく、たちまち僕は「ハアッ!グハッ!ヌフッ!アアアアッ!」という終盤の加藤鷹ばりの喘ぎ声に支配されて行く。

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恐らく遠くの方で東スポの記者がこの声を耳にしていたら、翌朝の一面は「ホワイトアウトの八方尾根にてイエティ男優出現!」的な記事を書いてしまう事だろう。


そして喘ぎが激し過ぎた事により僕の安物ゴーグルがあっという間に曇って、ゴーグルの中もたちまちホワイトアウト状態に。

見事に「見えない→苦しい→喘ぐ→見えない→苦しい...」というマゾスパイラルに陥ったのだ。


しょうがないからサングラスにチェンジするが、こっちもあっという間に曇って行ってさらなるマゾスパイラル化した挙げ句、サングラスの隙間から雪がダイレクトに目に突入して来るという新しい苦しみも加わる。

これにはたまらず「たまんねえ」と言った満足のニヤリが止まらない。



そしてまだスタートから大して歩いていない「第2ケルン」にて、力なく「ここは丸山ケルン(ゴール予定地)ですか?」と尋ねる限界男。



やはり彼は晴れた山よりも、こんな姿の方が良く似合う。

久々のリアルマゾに、心身ともに快感に浸っていく変態イエティ男優。


だが、さすがに不憫に思ったハッポーNさんは僕のサングラスとゴーグルを交換してくれた。

しかし、そのクリアなゴーグルに感動して再び浮かれ出す迷惑男優。

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そしてこの直後、己のスノーシューを己で踏んで転倒。

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この目の前で繰り広げられるマゾ男優の一人茶番劇に対し、後方から来る低血圧Mちゃんも呆れ気味だ。

ハッポーNさんもガイドを買って出たはいいが、勝手なマゾ行為ばかり乱発するこの客にいい加減うんざりしてたかもしれない。


そしてその後もマゾ亡霊どもの雪中行軍は続き、彼らは雪に吸い込まれて行く。



はるばる4時間近くかけて白馬までやって来て、一切の景色を見る事なくマゾと向き合う修行僧達。

新宿駅前で「哀れな彼らに救いの手を」と言いながらこの画像を流せば、そこそこの募金が集まりそうなほどに哀れな光景だ。


その後もひたすらひいひい言いながらハッポーNさんの後を追い、みるみるヘロヘロになって行くご一行。

それでもなんとか生きたまま「八方ケルン」まで到達。

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もうこの時点で果てしない達成感に満たされているが、マゾの何たるかを心得たハッポーNさんは「さあ、もう少し先まで行きましょう」と言って更なるマゾおもてなし。

ここはなんとか八方池まで(夏場はただのハイキングコース)到達し、「何かを成し遂げた」という勲章が欲しい所。

と言っても、どこも真っ白なんでどこがゴールでも問題ない気もしたりしなかったり。


低血圧Mちゃんもすっかり四方八方を白に囲まれて、あのバラクラバの下の顔は美しい「ニヤリ顔」が炸裂している事だろう。

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これが世に言う「八方マゾ美人」というやつか。


しかし一方で、彼女の兄は今更ながらまだ「晴れ男」になる事を諦めていない。

もしかしたら八方池に着いた途端に、モーゼの十戒ようにこのホワイトアウトが晴れて行って大絶景が広がる可能性だってあるのだ。

しかしそんな気持ちと裏腹に、さらに吹雪はエスカレートして目も当てられない状況へ。



これがモーゼの十戒と並び称される「マーゾの後悔」。

そして後悔にまみれたマーゾご一行は、見事に絶景が待ち受ける「八方池」に到達した。

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この目の前に広がっているであろう北アルプスの山々の解説看板が、我々の空しさに拍車をかける。


しかし我々は今までもこのような場面で心眼を極めて来た精鋭ばかり。

己の持つ「想像力」を総動員させて、この目の前の絶景を味わい尽くす矢作Cと低血圧Mちゃん。

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この息を飲む絶景に、すっかり感動して言葉も無いようだ。


一方で、ハッポーNさんは何事もなかったかのように「あちらに見えるのが唐松岳からの不帰の嶮で、ずっと先に見えるのが白馬岳で...」とガイドを続ける。

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心眼使い同士だから成せるスペシャルおもてなしガイド。

これにすっかりコーフンしてしまったイエティ男優が、狂喜乱舞して絶景の前に立って陽気に「ヤッホー」と叫ぶ。

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しかし現実逃避はそう長くは続かない。

次の瞬間、一気に空しくなって膝から崩れ落ちる哀しきイエティ。

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そしてこの数秒後に撮影されたのが、オープニングの写真なのである。

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この瞬間、己が何者かをしっかりと認識。

そして槇原敬之風に「もう悪天候なんてしないなんて言わないよ絶対」と呟いたかと思うと、吐血して絶命した。


それでも何とか彼は仲間達に支えられて蘇生し、その先にある「八方池ケルン」に到達。

天にそびえる乳首のようなこの乳房ケルンは、別名「乳頭ケルン」と呼ばれる男のロマンポイント。

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これほど最終目的地に適した場所は他にないはず。

本来の目的はもっと先の丸山ケルンだったが、もうここで十分じゃないか。

そう、これは誰が何と言おうと途中撤退ではない。

我々は勝利の乳首に到達したのだ。

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こうして無理矢理記念撮影して、全員の気持ちは「撤退」へとまっしぐら。

誰も異論を唱える事なく、静かに下山を開始だ。


するとここまで沈黙を保っていた矢作Cが、突然ライダーキックを炸裂させている。

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ついに怒り心頭に達し、この天候に対して足でツッコミを入れているのか?

さにあらず。

これは慣れないスキー板ハイクアップによって疲労度がスパークし、思いっきり足を取られてもがいているお姿だ。

IMGP0818_2014012815564966a.jpg

そしてその後も疲労が足に来ている矢作Cのズッコケ劇場を鑑賞しながらの下山。

IMG_3416.jpg

彼は純粋にスキーを楽しむ為にこの八方まで来たはずだが、ここまでの所この男は一切斜面を滑る事なくズッコケばかりを繰り返している。

やがて嫌気がさしたのか、急に座り込んで遠くを眺め出した。

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あまりにも切なすぎるその後ろ姿に、かける言葉も見当たらない。

しかも眺めている先も真っ白だし。

今頃彼は「なんでアイツら(悪天候3兄妹)連れて来ちゃったんだろ...」と、しみじみと後悔していたに違いない。


一方で彼に迷惑をかけている側の低血圧Mちゃんのマゾテンションは高まるばかり。

ゴーグルの奥に時折見える目は、ニッコニコで笑っている。

IMGP0838.jpg

いよいよ彼女のマゾも安定期に入った模様。

ビジュアル的には地獄絵図だが、この状況で高笑いが止まらないおマゾ兄妹。

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僕もすっかり腰を痛めてしまい、時折前屈みに腰を伸ばしつつニヤリとするという厳しい雪中行軍が続く。



一体彼らは何しにここに来たのだろうか?


やがてフラフラ度がマックスになって来た頃。

奴らがスタート地点に戻って来た。

それがこの動画です。(注意:最後の方に死体がチラッと写っています。)



完璧なるマゾ登山完遂。

生きて帰って来たと同時に、ついに彼は自分がいるべき世界にも帰って来たのだ。

そしてこれが夢見がちだった「うぬぼれ粉飾晴れ男の末路」なのである。

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そして彼は薄れ行く意識の中で最後の夢を見ていた。

もう二度と叶う事のない夢。

真っ白な世界の先にある素敵な快晴絶景の夢を...。

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やがて男の頬を一筋の涙が流れ落ち、彼は静かに息を引き取った。


享年37。

これが「晴れ男」という称号に憧れ続けた男の最期。

そして彼は白馬の空で星になった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌日。


現地にいるハッポーNさんから1枚の写真が送られて来た。

それがこちらの写真である。

12647.jpg

あれ程あの男が憧れ続けた「大快晴」。

これで白馬に眠る彼の魂もこれで少しは浮かばれただろうか?


どうかその優しいまなざしで、いつまでも白馬の平和を見守っておくれ。

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さようなら粉飾晴れ男。

おかえり悪天候野郎。


最近苦々しい気持ちでこのブログを読んでいた人たちも、これで多少スッキリした事でしょう。


さあ。

次なる戦いが私を待っている。

安息の場所に救いなんてないのだ。


もう浮かれてなんかいられない。


何故なら私は、


悪天候マゾ野郎なのだから。



〜夢見る男の美白道場〜  完



(当日八方尾根スキー場にご来場の皆様と、こんな奴らだとは知らずに悪天候人間達の便乗を許可したボーダーOさんには心より陳謝致します。)



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