南宮トレイル〜忍者と宇宙人と狸8号〜

Posted by yukon780 on 10.2014 南宮山/岐阜 0 comments 0 trackback
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後光に照らされながら黒ブラジャーを着けた変態男が早朝の山を駆け抜ける。

そう。

彼こそ5月のカヌーシーズンが終わり、再び山に戻って来たダークマゾヒーロー。

久々に早朝育児トレイルランナーのご登場だ。



この男は5月に11本の川を下った事により、嫁から「やりすぎた男」として厳重にマークされていた。

それはもはや3人掛かりでメッシをマークするほどの高圧マークだ。

よって6月の彼は1ヶ月のアウトドア自粛生活を余儀なくされていた。

だが例によって彼のフラストレーションは溜まる一方。


で、こんな時に決まって現れるのがこのダークヒーロー「バッドマン(悪い男)」だ。

彼は「みんなが寝ている時なら文句はあるまい」という決め台詞とともに、闇夜に紛れてそっと家を抜け出す。

それは毎回飼い犬に吠えられながらの手に汗握る脱出劇。

この時点で子供や嫁を起こしたり、玄関付近で寝ているご両親を起こしてしまったらそこで彼の戦いは終了だ。


だがそこは百戦錬磨のバッドマン。

飼い犬に吠えられながらも、見事なフィールディングで華麗に家を脱出。

これで一気に山を走り、朝飯が始まる頃に何食わぬ顔で家にいれば誰にも迷惑はかけない。

ダークヒーローとは、いつだって光の当たらない世界で暗躍する孤独なヒーローなのである。


というわけで、今回は久々の早朝トレランの軽い記事。

思い出の山を開拓する地味なる戦い。

どっちかというと、このトレランと関係ない「今」の僕の戦いの方が壮絶だ。


では、サラリと振り返って行こう。


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布団の中で目を覚ましたバッドマン。

しかし次の瞬間、彼は激しく己を責める。

なんと彼は早朝トレイルランナーにもかかわらず、見事に2時間も寝坊してしまったのだ。


本来3時30分には家を脱出し、伊吹山トレランに向かうはずだったがもはやそれは無理。

そもそも嫁に「目覚ましの音でこーちゃんが起きたら殺す」と言われているから、彼はアラームをかけれない。

毎回その持ち前の「遊びに対する情熱」だけを頼りに無音の中で強引に目覚めて来たが、この日はその情熱が機能しなかったのだ。


それでも彼はいつものようにササッと身支度をして、犬に吠えられながら家を脱出。

目的地を伊吹山から近場の「南宮山」に変更だ。


南宮山は彼がトレランデビューを飾った記念すべき山。

言ってみればこのダークヒーロー生誕の地と言っても良い場所なのだ。(参考記事:トレラン初陣〜アサヒスーパーツライ〜


しかしこの時は南宮山の山頂まで到達しておらず、展望台までしか辿り着いていない。

なので今回はしっかりと南宮山の山頂を踏み、さらにその先の未知なる縦走路を抜けて朝倉山経由の周回コース「南宮トレイル」を開拓しようというのが狙いだ。


いつもは暗い内から走り出すけど、寝坊してるんでもうすっかり朝日が昇っちゃってます。

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由緒ある南宮大社の門をくぐってスタート。

そして伏見稲荷的な鳥居に突っ込んで行くバッドマン。

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こういう場所を一人で走り抜けられるのも早朝ならではの楽しみだ。


そして今回はとあるアプリのテストも兼ねている。

最近導入した山地図アプリの「YAMAP」だ。

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最近僕のハンディGPSのガーミンeTrex20の具合が悪く、画面に地図が表示されない時が多くて使い物にならなくなっていた。

ゆえに近頃は使い勝手の良いiPhoneアプリの「山と高原地図」を頻繁に使うように。

懸念されるバッテリー問題もeTrex20のかわりにモバイルバッテリー持って行けば済む事だし、防水化に成功したiPhoneのが使い勝手が良い。

でも山と高原地図にも載ってないマニアックな山の時はちょっと困っていた。


そんな時に、マニアックな山の地図もユーザーのリクエストに応えて提供して行くこの「YAMAP」に出会ったわけです。

ここでは南宮山のようなマニアックな山の地図も扱っていて、これのおかげで南宮山から朝倉山に抜ける道がある事も知った。

そして以前行ったルート以外の道もあったんで、今回はそっちのルートにて。

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もちろんログもちゃんと取ってくれるし、ヤマレコ的な投稿も可能。

今だ成長中のアプリだが、さらにマニアックな山地図も網羅したものになれば将来が楽しみだ。

ちなみに「カヌー用川地図も作っておくれ」とリクエストしておいたから、それが採用されたらアウトドア野郎必携アプリになる事だろう。


さて、地図に案内されるがまま進んで行けば、素敵な階段マゾゾーンが延々と。

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トレイルランニングは、スタートしてからあっという間にマゾ沸点まで己を追い込む事が出来るから素晴らしい。

何かと時間の無いマゾには実にありがたいプレイなのだ。


そして30分前に食った朝マックが喉元まで遡上して来た頃、早速この早朝南宮トレイルの名物が登場。

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出会い頭の鹿でございます。

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前回は真っ暗な林から突然飛び出して来て僕をショック死寸前まで追い込んで来たが、今回は明るいからお互いに静かに見つめ合う。

早朝のソロトレランは野生動物とのふいの出会いも魅力だ。(もちろんクマも出るんで注意)


そしてそんな神の使いのような鹿との出会いの後は、ご神木と親睦会。

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汚れたダークヒーローの心が清らかに洗われて行く。

遊びという煩悩に打ち勝てない汚れた二児のパパですら、静かに優しく包み込む南宮トレイル。

やがてついにその罪深い男の前に神がご光臨。

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突然現れたあまりにも神々しい光のシャワー。

雨上がりの早朝にのみ訪れる荘厳なる光のトレイル。

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この時僕はこれを見て確信した。

今まで代償を恐れて言わなかったが、「やっぱり2014年の僕は晴れ男になったんだ」と。

これは神による「悪天候マゾの終焉」を告げる啓示なのだと。


くしくも間もなく本年度最大の冒険「川浦渓谷探検」が始まろうとしている。

この旅ではパックラフトで湖を渡り、沢登りで山を越え、そして渓谷をパックラフトで下って来るという壮大なもの。

悪天候だけでなく、増水も許されないというハードな戦い。

そんな冒険を前にこの神の啓示だから、快晴を確信した僕はもちろんガッツポーズ。


さよなら悪天候野郎だった今までの私。

ようこそ晴れ男になった新しい私。

これからは人生の勝者として、楽しいアウトドアライフを満喫してやるぞ!


(※ちょうどこの頃、時を同じくして太平洋上で一匹の「狸」が誕生した。韓国語でノグリー(狸)と名付けられたそいつは台風へと華麗に進化し「過去最強クラスの台風」として日本に上陸。そしてその台風8号が北上を続ける今週末。その日こそが絶対に増水が許されない彼の川浦渓谷探検の日である。そう。あの神の啓示は「所詮お前はお前である」という、神の気まぐれなあたりまえ体操だったのである。)


この時そんな残酷な未来が待っているなんて想像もしていない勘違い男は、その後もルンルンで走り続ける。

やがてぱっくりと開けた場所に出て、

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前回のゴール地点の展望台に到達。

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眼下に濃尾平野が広がり、低山のくせに以外とナイスな眺望のこの場所。

本来であればここでのんびりご来光を眺めるのがオツな楽しみ方なんだが、本日は寝坊してるから普通です。

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前来た時はここで満足して下山したが、ここからは本来の南宮山頂を目指す戦い。

そしてさらにその先の朝倉山を目指すのだ。


ちょうどここにある看板を見ると、僕は徳川家康の本隊の背後に回ることに成功した事が分かる。

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まさにここからは敵の本陣背後めがけて突っ込んで行くといったルート。

気分は西軍が放った奇襲遊撃忍者部隊。

小早川が裏切る前に家康の首を取らねばならない。

でもその前に早く下山して帰らないと、我が首が御大将(嫁)に斬って捨てられてしまう。

急がねばならない。


そして未知の領域へと足を踏み入れて行く中年の忍者。

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所々道も不明瞭だったが、YAMAPを確認しながら山頂を目指す。

そしてグッヘグッヘ言いながら登って行けば、唐突に現れた南宮山の山頂。

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展望ゼロの驚きの素っ気なさ。

出会い頭に出くわしたこの質素な山頂に達成感も薄く、この中年忍者も微妙な表情。

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だからみんな山頂まで来ずに展望台で引き返して行くのか...。


まあいいさ。

この先に待つ朝倉山の山頂からは素敵な景色が拝めるはず。


せっかくなんで、一応ここでiPhoneGPSの高度精度チェック。

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誤差1.8m。

僕の身長分172cmを引けば、ほぼピッタリだね。


さあ、ここから先はほとんど登山者が踏み入らないルート。

霧が朦々と立ちこみ始め、なにやら今にも大量の落ち武者に遭遇してしまいそうな空気感。

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ひょっとしたら414年前の関ヶ原の時、実際にこの道を忍者が横行していたかもしれない。

それでもこの養子忍者は、御大将の朝飯前には自陣に帰宅せねばならない。

しかし突然目印を失い、進むべき方向が分からなくなって我を失う中年忍者。

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たちまち周囲は深い霧に包まれ始め、男の焦りが止まらない。

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すわ、霧隠才蔵の奇襲か。

まさか私は、このわずか400mの低山でホワイトアウト遭難してしまうのか?


ひたすらこの場でウロウロする挙動不審な忍者。

関ヶ原の古戦場が近いからリアルに恐い。

持ち前のネガティブシンキングが余計な妄想を駆り立てて、もう気分はすっかり孤立無援の四面楚歌状態。

大量の霧隠忍者軍団に包囲された手負いの豚。


何度も進んだり戻ったりを繰り返していると、なんとか霧の中にピンクテープを発見。

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男はひたすらその一点に向かって駆け抜ける。

するとその先に待っていたものは、「これ、ほんとに合ってんのか?」といったジャングリーな世界。

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朝飯前のちょっとしたトレランだったはずが、結局いつも通りのスペクタクルな展開へ。

私の低山での遭難率はエクトル・ルナの打率をも凌駕するのだ。


やがて不安一杯のその忍者の元に未確認飛行物体が飛来。

もはや「未知との遭遇」的な、壮大なSF現場になって来た南宮トレイル。

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このまばゆい光の先にいるのは、宇宙人なのか神なのか怒った嫁なのか?

それともついに私はキャトルミューティレーションで連れ去られてしまうのか?

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だがこんな壮大な展開より、今の私は未知との遭遇よりもちゃんとした「道との遭遇」を果たしたいのだ。

もう落ち武者に怯えたり、UFOに怯えたり、嫁に怯えたりするに疲れた。

とにかく走り続けるのだ。


やがて霧隠ゾーンを切り抜け、やっと霧のない世界へ脱出。

するとこのような痩せ尾根パラダイスや、

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急登ヒットパレードの嵐に巻き込まれて行く。

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もはや口からウンコ漏らしてしまいそうな疲労感。

それでもヘロヘロと進んで行くと、何やら色々とぐちゃぐちゃな世界へ。

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もうどこが道なのかさっぱり分からない。

それもそのはず。

YAMAPを確認すると、いつの間にか美しい遭難が決まっているではないか。

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思いっきりルートから外れてしまっている。


ここからはひたすらこの道無き道の中を徘徊するくたびれた中年忍者。

YAMAPを頼りになんとかして朝倉山山頂を目指す。

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しかし全然山頂らしき目印が見つからず、いよいよ無駄に時間だけが過ぎて焦り出すダークヒーロー。

そしてふと立ち止まったその時。

イモト風に言わせていただくと「さて、山頂はどこにあるでしょーか?」といった局面。

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もはや「ウォーリーを探せ」より難易度の高い「朝倉山山頂を探せ」。

苦労の末に辿り着いた、南宮山頂を遥かに凌ぐガッカリ山頂。

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はい、頑張った甲斐があったね。


さあ、抜群の眺望に見とれて声を失っている場合ではないぞ。

一気に下山して早く帰宅しないと。


だがいくら早く下山したいと言っても、こんなに急な道行かせる事無いじゃないか。

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しかも前日の雨で猛烈に滑り易く、時折ゲリ道と化している箇所も多数。

もちろん俊敏な動きが出来ないこの中年忍者が、ここで美しく転倒してケツを泥まみれにした事は言うまでもない。

そして立ち上がって走り出すと再び美しく転倒して、大切なデジカメが数メートル下までガンガンと落下。

で、それを救う為に再び道無き道を急降下してカメラ救出。

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そしてまた不明瞭な道を泣きながら下降して行く泥まみれの忍者。

下って来た道?を振り返るとこのアナザーディメンション感。

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あとはもうグエグエ言いながら朝倉山から脱出し、南宮山の入口を目指してロードラン。

そして何とか駐車場まで生還です。

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実に爽やかな朝だった。

早朝のわずか2時間でここまでマゾれれば十分だろう。


より大きな地図で 無題 を表示

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早朝のうちにマゾっておけば、その日一日が晴れていたって家で大人しくできる。

僕はダークヒーローから普通のお父さんに戻って、りんたろ連れて近所のスーパーの駐車場へ。

りんたろくんの大好きな仮面ライダー鎧武のショーだ。

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子供達から尊敬されるヒーローの影で、早朝に暗躍していたダークヒーローがいた事は誰も知るまい。

鎧武よ、まだまだ私は君には負けないぞ。

しかし自分の息子からはなぜか尊敬されないんだ。

なぜなんだ?


さあ、あとは大人しく家で育児&お留守番だ。

でもやっぱりやたらと天気が良いな。

そうか、私は南宮山で神の啓示を受けて晴れ男になったんだっけ。

でも大人しくしておかなくっちゃね。


と思った瞬間。

気づいたらこんな事に。

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結局近所のスーパーから、はるか1時間遠方の伊自良湖にワープしてしまったようだ。

しょうがないから、世界平和の為にひとしきり虫や小魚と格闘するダークヒーロー。


やがて格闘の舞台はさらに移動した伊自良川へ。

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僕はもう一人の小ダークヒーローと共に、この川に巣くう悪党を掃討しなければいけない。

本当は家でしっかりお留守番しないといけないんだが、これもヒーローに生まれてしまった男達の宿命なのだ。

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で、親子の必殺技「ガサガサアタック」を乱発。

見事に悪の組織を一網打尽だ。

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してやったりのバッドマンと助手のロビン。

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苦しい戦いだったが、なんとかこの地方の平和を守ったぞ。


その後、二人は勝利のキャッチボールを何故か川の中で行い、

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興奮したロビンは悦びのあまり「土手らっきょ」へ変身。

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こうして変態のヒーローと露出狂の助手の戦いは終わりを告げた。

実に忙しい一日だった。


このダークヒーローは、結局早朝にマゾろうが晴れたらじっとしてられない習性があるようだ。

しかしそんな彼に、間もなく大冒険の2日間がやって来る。

それはちょっと触れたが、「川浦渓谷大冒険」だ。


九頭竜湖をパックラフトで渡り、日ノ谷を沢登りで遡上し、藪漕ぎをして平家岳に登り、内啣谷の沢を下り、沢でビバーク&焚き火ナイトして、翌日川浦渓谷をパックラフトで下って、板取川を下れる所まで川下りという「おマゾ極まれリ」といった大冒険。

僕はこの大冒険の為になけなしの金をひねり出して、沢登りでしか使わないであろう「ハーネス」「デジカメ防水ケース」「テンカラ道具一式」を購入して準備万端。


神から「お前はもう晴れ男だ」という啓示を受けたので、晴れる事は間違いない。

もちろん増水もしないだろう。

そもそも増水しちゃったら「沢登り&川下り」のこの冒険ができるわけないし。

まあそんな心配は哀れな悪天候男達がする事であり、晴れ男の私が考える事ではないがね。


だってもう色々買っちゃったし、パッキングも済んでるから今更「中止」なんてなったら泣いちゃうよ。

この計画自体、もう数ヶ月前から練りに練って来たからさ。

嫁にも頭下げて、無理言って頂戴した2日間だしね。


ほんと、楽しみなんだ。

まじで、楽しみにしてたんだ。

お願いだよ..。

今週末のお話なんだよ...。

増水とかしちゃだめなんだよ...。

なんだよ、このGoogleのトップページはよう..。

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ちょっといいかな?

あっち向いててもらっていいかな?


やっぱその胸を借りてもいいかな?

少しの間、大声出すけどいいかな?


何も言わなくていいよ

優しく背中をさすってくれさえすれば



枯れるまで


そう


この涙が枯れ果てるまで...



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トレラン初陣〜アサヒスーパーツライ〜

Posted by yukon780 on 07.2013 南宮山/岐阜 0 comments 0 trackback
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雄大な朝日の前で、嗚咽を漏らしながらガッツポーズをする男。

逆光だから分りづらいが、彼は今苦痛でかなり顔を歪めている。

そして必死で口からのゲロの流出を気合いだけで押し殺している所だ。

そもそも育児期間中のこの男が、なぜ山でこのように一人きりでマゾっているのか?



彼は随分と単独行の登山から遠ざかっていた。

今シーズンの雪山登山なんて、あの武奈ヶ岳1回だけで終わりを告げようとしている。

あれ程万全を期して道具を用意した挙げ句の悲惨な末路だ。


しかしそれは覚悟していたはず。

次男こーたろくんが誕生し、基本的に休日の彼の任務は長男りんたろくんのお世話。

りんたろくんを背負って低山や公園を徘徊するといった内容が、ここ最近の彼の休日風景だった。

でもやはり、男の中で物足りない気持ちだけが膨らんで行ったのは事実。

そう、彼は深刻な「マゾ不足」で頭を悩ませていたのだ。


そこで男は、彼の中に眠るマゾマゾ先生に質問をしてみた。

「一人で山に行く時間が無いんです。育児もしない、長男の面倒も見ない、養子の責務もない時間なんて存在しないんです。でもそろそろ限界です。どうしたらいいでしょうか?」と。

するとマゾマゾ先生は僕に熱く語りかける。

「時間が無いんだったら睡眠削ってでも時間作ってマゾればいいじゃない。じゃあ、いつやるか?“朝”でしょ。」と。

しかし男は反論する。

「そんなこと言ったって、こーたろくんのミルクの間隔は2時間半。どんなに早く起きても、2時間半の時間内で家を出て山に登って帰って来るなんて出来ませんよ。」と。

それを聞いたマゾマゾ先生は軽くため息をつきながら言った。

「お前はマゾだろう?楽しく山を登るより血ヘドを吐きながら山を這いずっている方がお似合いじゃないか。」

そして力強くこう言った。

「一つだけ方法がある。じゃあ、何をやるか?“トレイルランニング”でしょ。」と。


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随分と前置きが長くなってしまったが、要するにトレランなら家族が寝静まった早朝の限られた時間でマゾれるって事に気付いたわけです。

しかもトレランならご近所の低山でも十分に内容の濃いマゾが楽しめる。

つまり早朝トレランなら、「家族に迷惑をかけない」「育児にも支障はない」「ランニングも出来る」「山にも登れる」「筋トレにもなる」「満足してその日一日を大人しく過ごせる」「何よりも上質なマゾが味わえる」という一石七鳥。

育児期間中のアウトドアライフに光明が差し込んだような気分だ。


そこで前回の記事に繋がります。(前回記事

はるばる春日井市まで行って、東海地方で唯一の「トレラン専門店」のワンオンワンへ。

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服装などは既存の登山用とランニング用を織り交ぜて行けば何とかなる。

しかし、やはりトレラン専用のシューズだけは購入しなくてはならない。


僕は靴の重要性を誰よりも重く感じている。

過去、慎重に慎重を期して選んだ登山靴がことごとく足にフィットせず、何度も山で地獄を見た苦い経験がある。

なので今回は専門店でとことん店長と協議・試着の末、絶対に間違いのないものを選ぶのだ。

(毎回その意気込みだが、結果的には酷い目に遭う事になる。まあそれはそれでオツなんだが)


とにかく最初のトレランシューズを選ぶにあたり、一つ基準を設けた。

その判断基準とは「ブランドやデザインには一切こだわらず、見た目よりも徹底的に足に合っているかどうか」というその一点のみ。

例えブランドが「月星」だったとしても、色が「フラッシュピンク」だったとしても、なぜか「フリル」が付いていたとしても、足に合うのならそれを購入するという強い決意。

見た目に惹かれて結婚したら、中身はとんでもないドS女だったなんて事はもう二度と経験したくはないのだ。


で、ひたすら履きまくって協議した結果こいつをご購入です。

トレランの王道ブランド「モントレイル」の「Bajada(バハダ)」だ。

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踵の浮きも感じないし、フィット感と軽さと安定感が絶妙なバランスだった。

フィールドで安心できるしっかりさと、ロード用のシューズのような軽さ。


実はこのバハダと別のモントレイルのシューズと最後まで迷った。

実はそっちのシューズの名前が「マウンテンマゾヒスト」という驚きのネーミング。

これはまさに僕の為に作られたのではないかというくらいの運命的ネーミングだった。


しかし「見た目で選ばない」と宣言した男が、「ネーミングで選びました。いやあ、ウケると思いまして」なんて事になったら本末転倒もいい所だ。

でも正直マゾヒストというだけあって、僕へのフィット感はかなり良かった。

マゾがマゾを履いてマゾって満足なんて事になれば、とってもオシャレな感じだし。


猛烈に悩んだ結果、両足にそれぞれを15分履き続けて「履いてる事を意識しなくなった方」のバハダをチョイス。

そして店長お薦めの靴下を買って、足元の武装は完了。

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とにかく足元さえしっかりしていれば間違いない。

これで例え全裸で走ろうと、快適なトレランライフが約束されたような物だ。


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翌朝、4時半起床。

起床と言っても夜中に何度も夜泣きで起こされてるから、体は泥のように重い。

でもここから7時までが僕のゴールデンタイム。

どんなに体がだるくても、ここでのんきに眠ってる場合じゃない。

血を吐いてでも遊んでやるんだ。



やがて以前にりんたろくんと登って下見済みの「南宮山」(参考記事:節分遺伝子合戦〜鬼嫁は内マゾは外〜)へ向かう。

5時半くらいに駐車場着。

でも辺りはまだ真っ暗だ。

ヘッドライトを持って来てないし、初のトレランを暗闇の中でやるなんて勇気は僕には無い。

それはハリウッド女優に筆下ろししてもらうくらい難易度が高いことだ。


まんじりともせず、誰もいない暗闇の駐車場の車内で夜明けを待つ男。

この貴重な時間が1秒、また1秒と無為に過ぎて行ってしまう。

次第に全く明るくならない状況に焦り出す男。


そんな感じで20分経過。

なぜ僕は早起きしてまで、こんな暗闇の駐車場の車内で録画したしゃべくり007を観ているのか?

もう限界だ。

男は暗闇のハリウッド女優めがけて走り出した。

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怖い。

そして寒い。

走り出して10秒で後悔に包まれる男。


しかしこれは自分で選んだいばらの道。

どうしても一人で山に登りたいなら、こうするほかに方法は無いのだ。


ギンギンに目を見開いて薄暗闇の中を突っ切って行く男。

一度来ているから、何とか記憶とぼんやりした視界をリンクさせながらのラン。

できれば普通にトレランデビューしたかったと愚痴をこぼしながら。


暗くて恐ろしすぎる神社を駆け抜け、登山道入口に来た辺りでやっと空が白んで来た。

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いつもなら登山口での記念撮影の場面だが、今撮影したらきっと僕以外の人達が沢山写っている可能性が高いのでやめておいた。

よりにもよって、ここは関ヶ原古戦場の近くで恐らく多くの落ち武者が徘徊していること間違い無し。

「僕は一人じゃない」という呟きがポジティブに聞こえないのがこのコースの特徴だ。


そもそも「ラン」だから、いつものように重い一眼レフカメラを持って来ていない。

撮影はiPhoneだからろくな写真も撮れない。

そもそもここから、とても己撮りしてる場合じゃない程に僕はあっという間に「マゾ沸点」に到達する事になる。


オフロードを駆け上って行く。

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当たり前だが、かつて無いほどあっという間に心拍数が破裂寸前。

「ウソだろう?」ってくらいにしんどい。

すぐさま、「グハッ!ブホッ、グッ、グエエエエッッ!」と猛烈な奇声が飛び出す。


今ボディブローを食らったら僕はその場で悶絶して、来る時に食った朝マックを吐き散らかした事だろう。

そのパンチの相手が3歳のりんたろくんでも僕は本気のノックアウト必至だ。


覚悟はしていたが、トレランとはこれほどまでにハードな遊びなのか?

というか、育児中の一人アウトドアライフとはこれほどまでに追い込まれなくてはいけないものなのか?


もはや登りで走りきるるなんて不可能。

やはり本にも書いてあったが「歩いてもいいから、いかに早歩きで体力を温存しつつ登るかが重要」なようだ。

もちろん僕は「調べに調べて現地で失敗する」という趣味も持っているので、今回も事前にこういう本を買って勉強しまくっている。

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この本の帯には「自然の中を気持ち良く走る!」と謳われているが、見事に今僕は「胃酸の逆流の中を気持ち悪くマゾる!」を実践中。

やはり本で学んだ事を生かして、それをさらなるマゾの高見に応用してこそ真に価値がある。

そう思わないと、このしんどさに対応しきれない。



しかしこのようななだらかな場所が出てこれば、頑張って再び走り出す。

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確かにこういう場所を走っていると実に気分がいい。

登りを頑張って、このような稜線を縦走ランなんてできたらそりゃ楽しいだろうなあ。



やがてグボグボ言いながら、歩き登山参考タイム1時間程のコースを27分で駆け上った。

やがてやっとこさ展望台到着。

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すごいぞ。

まさに今からご来光が始まりますと言ったグッドタイミング。

ご来光を見るなんて思ってもいなかっただけに、登頂した喜びと重なって素晴らしい気分だ。

ただ相変わらず吐きそうなんだけどね。


でもそんな状況でも、iPhoneで根性の己撮り。

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木のテーブルに絶妙なバランスでiPhoneを立たせて、最近入れたセルフタイマー機能のアプリにて撮影。

優雅に佇んでいるように見えるが、何度も風でiPhoneが倒れるからこれはTake5くらいの写真です。


そんな事やってたらついにご来光です。

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これはいいぞ。

吐きそうになりながら苦心して登って来ただけに感慨もひとしおだ。

早朝トレラン、いいじゃないか。


しかしいつまでも感動に浸ってられない。

汗冷えした体はみるみる冷えて行き、小雪もちらつき出す始末。

そして僕には制限時間があるので急いで帰らなければいけない。

なんて慌ただしい遊びなのだ。


すぐさま下山ラン。

そしてこれが実に楽しいのだ。

初めてマウンテンバイクでダウンヒルした時のあの感動とスリル。

楽しいんだけど、はっきり言ってスピードの恐怖感の方が勝っているかも知れない。


文字通り「かっ飛んで」駆け下りて行く人間ジェットコースター。

早め早めに障害物を判断して行かないと、もれなく大惨事だ。

しかし慎重に、そして大胆にぶっ飛んで行く。

すると突然、木々の中から「鹿」もぶっ飛んで来た。


みなさんは走っている最中、出会い頭の鹿に遭遇した事があるだろうか。

これ、心臓が飛び出るくらい強烈にビックリします。

そして鹿としても、おだやかいつもの朝に山頂から36歳のマゾが猛スピードで駆け下りてくればビックリするよね。


とりあえず朝のニュースで「今朝未明、男性が一人南宮山の山中で鹿に激突して即死しました」なんて報道されなくて良かった。

ある意味画期的な死因だが、できればもう少しマシな死に方がしたい。


なんて思いつつ、たったの13分で下山完了。

これは実に気持ちがよかった。

お馴染みの鳥居の門も、まるでビクトリーロードのように感じる。

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そしてすっかり朝になった清々しい神社に参拝。

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この時点でまだ7時前。

なんだかとても得した気分だ。

モントレイルのバハダも期待通りのフィット感で応えてくれた。

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コイツは珍しく「アタリ」のシューズだったようだ。

いや、マゾ的には「ハズレ」なのか?

何にしても、充実した初トレイルランニングでした。


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家に帰った時には、見事にこーたろくんのミルクタイム。

実に無駄の無い遊びが満喫できた。

何も知らせてなかったお義母さんの「走って来たの?え、山登って来た?南宮山を?走って?なんで?」という言葉が印象的だ。

またこの変な養子が変な事始めたぞと不安になっている可能性が高い。

残念ながら、僕はこういう人間なのです。



そして男は何食わぬ顔で再び育児を始め出す。

あれだけ早朝に燃え尽きておけば、今日一日大人しくしてられそうだ。


しかし。

窓の外を見れば「大快晴」。

そして「無風」。

これ以上無いアウトドアコンディション。


プルプルと震え出す男の欲望。

そしてハッと気付いた時。

男の車の上にカナディアンカヌーが載せられていた。


何者の仕業だ?

誰のイタズラだ?


そして男は自分の意志に反していたが、思わずりんたろくんを連行しその車に乗って旅立って行ってしまった。

やがて結果として「トレランだけでで止めておけば良かったんだ」という名言が飛び出す事になる。

その後の彼ら親子の模様は次回お送り致します。



結局早朝に走ろうが、満身創痍になろうがアイツは止まらない。

トレランを始めた事により、さらに肉体破壊のスピードを速めてしまった感すらある。

一度献血に行って血を抜いてもらった方がいいのかもしれない。



〜犀川カヌーへ〜 つづく

節分遺伝子合戦〜鬼嫁は内マゾは外〜

Posted by yukon780 on 05.2013 南宮山/岐阜 2 comments 0 trackback
節分の日。

それは豆をまいて家から鬼を追い出し、厄除けをするという微笑ましい行事だ。


しかし、ここに鬼によって家を追い出されてしまった親子がいる。

IMGP1293_20130204155552.jpg

行き場を失った親子が、寒風吹きすさぶ山頂で羨ましそうに下界を眺めている。

一体この親子に何が起きてしまったのか?


登山はしないと言いながら、なんだかんだと2週続けての親子登山。

そんな親子の爽やかな節分の一日に迫ってみよう。


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まだ記憶に新しい「新春ロンリーマラソン」。

僕は新年早々その無謀な挑戦で激しく足を痛め、長くドクターストップでランニングが出来ずにいた。


そしてそろそろ治ってランニング再開かと思った先週。

こーたろくんのミルクセットを洗いに階段を下りて行く際、なんと僕は豪快に足をグネって滑落した。

万が一このまま哺乳瓶を落として割ってしまったら、間違いなく嫁によって僕の頭が割られてしまう。

僕はそれを阻止するべく、階段を落ちながら瞬時にジョジョ立ちのような無理な体勢で踏ん張った。

そして見事に僕の治りかけた足に波紋が疾走。

再び足の痛みと戦う日々が始まり、全然ランニングが出来なかったのだ。


でもこの節分の日にやっと足が完治し、約20日ぶりのランニングの再開。

そして走ってみたら猛烈に体が重くてかなりしんどい。

5キロ地点から早くも膝が悲鳴を上げ、10キロ走りきるのがやっと。

走り終わった頃には膝を痛めすぎて、びっこを引きながらという惨憺たる帰還だった。


復帰戦で早くも故障してしまうという清原状態。

この日は大快晴だったが、膝を痛めたおかげで山に登りたいなどという欲求を押し殺す事は出来た。

でもこのあまりの衰えっぷりは相当にショックだ。


すかさずチューブトレーニングとバランスボールトレーニング開始。

もちろんその間、りんたろくんの面倒を見なくてはならない。

そこで僕は彼にYouTubeでウルトラマン見せつつ、僕はトレーニングするという反則技を使ってしまった。

あまり長くりんたろくんにパソコンを見せると嫁が怒るんだが、どうしてもこの衰えてしまった体に活を入れたくてしょうがなかったのだ。



良い感じで汗をかいていると、僕は背後に激しい殺気を感じた。

恐る恐る振り返る僕。

するとドアの隙間から「鬼」が覗いているではないか。


眉間のシワがグランドキャニオンくらいにえぐれた鬼。

すごく怒っている。

せめて何か言ってくれればいいのだが、その鬼はただただ「無言」で僕を見ている。

その無言は、もはやどんな金棒よりも僕の精神をメッタ打ちに殴り続ける。


鬼を追い出そうにも手持ちの豆が乳首しか無い。

完全に追いつめられた僕に対し、鬼は重い口を開いた。

「殺すぞ」と。


わなわなと恐怖におののく僕とりんたろくん。

やがて鬼は「しょうもないことやっとらんで、家を出て外でりんちゃんに体を動かせて来い」と言った。


こうして鬼の言葉の豆まきによって家を追い出された僕と息子。

鬼も家からマゾ払いができてご満悦な様子だ。



しかし考えようによっては、これは「災い転じてマゾ来る」ではないのか?

りんたろくんを運動させるという名目で、ちょっとした山に行けるって事じゃないのか?

ちょうど膝を痛めているから、低山でも上質なマゾが楽しめるのではないのか?


そして先週に引き続き悪魔が現れて、僕の指を操ってiPhoneで周辺の低山を探し始めた。

選ばれた山は419mの「南宮山」(なんぐうさん)。


こうして家を追い出された男達は、嬉々として山に逃げて行った。


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南宮山は、麓に南宮大社という有名な神社がある由緒ある山。

その歴史ある南宮大社に、「おっとっと」をポリポリ食べながら侵入して行くりんたろくん。

IMGP1171_20130204155328.jpg

突然外に追い出され、寒いしYouTube見たいしで彼のテンションは低い。

僕は見かねて「この先のお山には鬼が棲んでいるんだぞ。今日は節分だから、今からそいつらを退治しに行こう」と言ってみた。

すると単純なりんたろくんはすぐにテンションがアップ。

こうしてりん太郎はマゾにおっとっとを与えて、そいつをお供に鬼退治に向かった。


神社の奥の方にある、雰囲気のいい鳥居のアーチをくぐって行く。

IMGP1188_20130204155333.jpg

やがて登山口に到着してスタートです。

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今日は一応、あくまでも「りんたろくんを運動させろ」という鬼からのミッションをこなさなくてはならない。

なので出来るだけ彼を担がずにサポートに回る。

彼には人生初の自力登頂を目指してもらいます。


結構な階段が続くが、今日の彼は一味違う。

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実に逞しく登って来るじゃないか。

そしてウルトラマンを歌いながら楽しそうにしているぞ。

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彼の成長に目を細めるお父さん。

最近はめっきり嫁のインドアDNAを滲ませていた彼だったが、やはり僕の息子でもあるのだ。


早速彼とともに、いつもお父さんが一人でやってる己撮りにチャレンジ。

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りんたろくんは不思議そうに「お父さん、カメラわすれてる」と言ってきたが、「大丈夫。これは鬼退治を成功させるためのおまじないだ」と言い聞かせた。

彼の中に潜むであろうマゾな心に訴えかける、お父さん流の愛情登山だ。

もちろんカメラを取りに戻るのはお父さんだけ。

IMGP1244_20130204155417.jpg

しかしいずれは、彼にもこの楽しさが分かる日が来るはずだ。


その後も頑張って登るりんたろくん。

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これはいよいよ初の自力登頂達成か。

そう思って見ていると、次第にうつむきながら歩き出すりんたろくん。

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まだ3合目くらいなんだが、徐々に彼のペースとテンションが落ちて来た。

よくよく顔を覗いてみると、早くも嫁と同じ無感情の表情に。

IMGP1225_20130204155405.jpg

やはりここに来て、ついに彼の中に潜むインドア鬼のDNAが呼び覚まされたのか?

早くもその表情には僕の遺伝子を垣間見ることが出来ない。

そしていつものように「ボク、疲れちゃうの」「休憩したいの」「おウチがいいの」「暖かいのがいいの」と愚痴をこぼし始めた。


僕は必死で「そんなんじゃお母さんになってしまうぞ。鬼になっちゃうぞ。頑張って歩こうよ。」と彼を励ます。

そしてここからは、僕と嫁の遺伝子がりんたろくん内で激しく合戦を始めることになる。

そう、まさにここは天下分け目の「関ヶ原」のすぐ近く。

2013年「南宮山遺伝子の戦い」がついに勃発した。


戦の火ぶたは僕の遺伝子が切って落とす。

まずは僕の遺伝子が彼に山を登る力を与え出す。

IMGP1250.jpg

するとすかさず嫁の遺伝子が反撃。

彼は反省猿のようなポーズで停滞を決め込んで、動かなくなった。

IMGP1263_20130204155442.jpg

それを見た僕は、再び僕の遺伝子を呼び覚ますべく彼を枝で引っ張って登ってやる。

IMGP1268.jpg

すると嫁のサド遺伝子が枝を奪い、僕のオシリをぺしぺし叩いて来た。

IMGP1261_20130204155435.jpg

この時の嬉々とした表情は完全に嫁だ。


こうして一進一退の激しい遺伝子攻防戦が続く。

そしてついに均衡が破れ、この遺伝子対決に決着の時が訪れた。

果たして彼の中にはどっちの遺伝子がより多く含まれていたのか?


この後ろ姿がその全てを物語っている。

IMGP1269.jpg

ついにりんたろくんは動かなくなり「ダッコダッコ」と言い始めたので、結局僕が担いで登ることに。

「南宮山遺伝子の戦い」は、僕の遺伝子の圧倒的惨敗で幕を閉じた。


急に元気になったりんたろくんは、持っていた枝で僕をぺしぺししながら「行けぇー走れぇー」と上から命令して来る。

その姿は嫁そのもの。

完全に彼の遺伝子は鬼に支配されてしまったようだ。



まあいいさ。

とりあえずりんたろくんに運動させるという鬼の命令は達成したわけだし、ここからは大人のマゾタイム。

痛むヒザと重量アップしたりんたろくんの重みを味わいながら、じっくりとこの体を虐めぬいてくれるわ。


状況設定としても、「もの凄く快晴なのに僕の登るルートは終始日陰である」という状態。

IMGP1271_20130204155505.jpg

下界はこんなに大快晴なのに、我々の元に日の光は降り注がない。

ゆえに、ずっと陰鬱で寒々しい道を歩き続けるのだ。

IMGP1272.jpg

このようにいつも日に当たらないので「アウトドア野郎のくせに常に美白を保つ男」として長くこの世界に君臨しているわけです。

それが巡り巡って、嫁に「この白豚野郎」と言われるというマゾ循環になるわけです。



その後もワッセワッセと登って行く男。

途中、何度かりんたろくんが「ねえ、鬼はまだ?」と聞いて来る。

彼を奮い立たせる為に「鬼退治に行こう」とついたウソが、今になって僕を苦しめる。

どう考えてもこの山中に鬼はいないし、出て来られても本気で困る。


でも最近ウルトラマンの必殺技だと言いながら、村上ショージの「ドゥーン」を教え込んで痛い目に遭った手前、あまりウソばかりついていると信用されなくなってしまう。

そこで、他の登山者と「こんにちわー」とすれ違った後、ひそひそ声で「りんちゃん、今のが人間に化けた鬼だよ。ちゃんと挨拶したから良かったけど、もし挨拶しなかったら食べられてる所だったよ」とウソをウソで塗固めて行く。

そんな自分の情けない父親ぶりに若干落ち込んだ。

やはりウソはいけないので、僕はりんたろくんに真実を告げた。


「鬼はね。今りんたろくんのおウチで横になってテレビを見ているよ」と。



そんな僕の前に迫力あるご神木が登場。

IMGP1274.jpg

なんだか嫁に責められているようなバツの悪い気分。

まるで「結局ろくに運動させてないばかりか、やっぱりお前が山登ってるじゃないか。このビチグソ野郎。」とでも言われているようだ。


でもそんな僕だって子供の為に神に祈るのだ。

それがここにある「子安神社」。

IMGP1275.jpg

子育ての神様が祭られている祠で、全国的にもとても由緒あるものらしい。

しっかりとここで、嫁の子育てが少しでも楽になるように祈願しておいた。


そして子安神社のご利益なのか。

あっという間にりんたろくんがスヤスヤと眠りに落ちた。

IMGP1279.jpg

そして彼が背中で眠ると、不思議とズシリと重量がアップする。

IMGP1282.jpg

子安神社は子供を安らかにするが、マゾにも容赦ない安らぎを提供してくれるようだ。



やがて開けた山頂が見えて来たぞ。

IMGP1285.jpg

そこに立つと、眼下には濃尾平野が丸見えだ。

IMGP1290.jpg

正直、思ってもいなかった絶景。

全く事前情報も無く、どうせ大したことないと思って登って来ただけに思わず「うおっ」と声が出てしまった程。

よく見れば名古屋のシンボル、ツインタワーもハッキリ確認出来た。

IMGP1302.jpg

こんなに天気が良くて眺望もバッチリって中々ないぞ。

でもなぜか山頂でも相変わらず「日陰」で、とっても寒いんだけどね。

IMGP1296_20130204155601.jpg

そして肝心のりんたろくんは、毎度お馴染みの山頂スリープ。

彼はある意味、快晴だろうと濃霧だろうといつだって絶景を見る事は出来ない。

まあ今日に限っては「山頂に鬼がいる」と言った手前、このまま寝ていてもらうしか無い。


せっかくなので彼の登頂記念写真を撮ってやろう。

ちゃんとポーズしてよ。

ハイ、ぐにゃり。

IMGP1310.jpg

今度は別アングルで、帽子もかぶって。

ハイ、ぐにゃり。

IMGP1318.jpg

いい思い出になったね。

絶対覚えてないだろうけど。



寒いのですぐさま下山開始。

しかしここからが本当の戦いだった。


何と言っても僕は今朝10キロ走って猛烈に膝を痛めている。

当たり前だがぐにゃり太郎を担いでの下山は、強烈な負担が膝にのしかかるのだ。

下り初めから相当に膝が痛くて、まともに真っすぐ下って行けない。

なんとかトレッキングポールで負荷を分散させるが、思わず「ぐあ、ぐお、いてててて」とヨロコビの声が漏れてしまう。


途中でりんたろくんが起きたので「下りくらいは自分で歩いてくれ。頼むよ。お父さん膝がえらいことになってるのよ」と訴えたが、彼は「イヤヨ。疲れちゃうもの」とかたくなに降りようとしない。

僕が追い込まれれば追い込まれる程、そして苦しみに顔を歪ませる程に、やはりりんたろくんの中の鬼の遺伝子が色めき立つのか?


そこからは大真面目で苦しみに耐えながら下山する父と、陽気にウルトラマンを歌う子の風景。

僕の膝のカラータイマーがサイレンのように鳴りたくっている。

僕は二週連続で子供に「お父さん、もうダメかもしれない」と弱音を吐く結果となった。(先週は膝ではなくて腸の限界でした)


もうお父さんはこれ以上戦えそうにない。



それでもスタートが遅かったからすっかり日が暮れ始める。

こんな低山で救助要請してなるものかと、なんとか痛む膝を引きずって下山。

IMGP1332_20130204155640.jpg

ここで僕は確信した。

これでまた当分ランニング出来ないな、と。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


帰りに「グルマン」という有名なパン屋さんで、嫁へのお土産をかかさず購入。

これで何とかご機嫌を取って、おウチに入れさせてもらおうという作戦だ。


りんたろくんにも高価な石窯メロンパンを買ってやった。

あんまり美味そうに食っていたから「お父さんにもちょっと頂戴」とおねだり。


すると彼の中の鬼の遺伝子が再び顔を出す。

彼はめんどくさそうにメロンパンをちぎって、僕の手のひらにそれを置いた。

IMG_1623.jpg

りんたろう...。

父さんは少々悲しいぞ。

確かに父さんは「ちょっと」という言葉を使ったさ。

でもこれじゃメロンパンというより耳くそじゃないか。


鬼の遺伝子め...。



こうして僕は膝と心をボロボロにしながら帰宅した。


さて、今度は「鬼は家にいる」なんて言ってしまった手前、どう説明したものか。

まさか嫁の前に連れて行って「これが鬼だよ」なんて言うわけにはいかない。

りんたろくんに嘘つき呼ばわりされたくないが、かといって僕はまだ死にたくない。


そう思いながら玄関を開けた。

すると本当に「鬼」がいた。

IMGP1337.jpg

一瞬、リアルに嫁が鬼になったと戦慄が走った。

でもよく見ると、鬼の仮面を被ったお義父さんでした。

IMGP1334.jpg

りんたろくんも「うわあ、オニだぁ」と大喜び。

お義父さん、心よりありがとうございます。

これで嘘つきお父さんにならずに済みました。


もし嫁に「お母さんが鬼だ」なんて教え込んだ事がバレた日には、たちまち僕は海苔で巻かれて南南東に向けて吊るされる所だった。

そして無言で食べ尽されていた事だろう。



このあとは平和に豆まきをして、無事に節分の行事完了。

嫁の機嫌も良くなっていて、なんとか僕はお払い箱にならずにこの家に帰って来ることが出来たようだ。


そして最後に僕は密かに追加節分。

僕は余った節分の豆を、そっとりんたろくんにぶつけておいた。


彼の中の鬼の遺伝子が出て行く事を願って。




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