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白馬男塾3・不帰激闘編〜命がけの九九斉唱〜

Posted by yukon780 on 29.2014 白馬三山〜唐松岳/長野 2 comments 0 trackback
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岩壁で身動きが取れなくなっているギリギリ男。

前日からえぐられたHP(体力)は点滅を続け、その精神力(MP)も風前の灯火。

もはやスライムの通常攻撃ですら彼を即死させるに十分な威力。

耳をすませば、出産でもしているのか「ヒィッー、ヒィッー、ブフッーーッ」という唸り声ばかり。

呼びかけても全く反応はない。


そう。

彼は今まさに、白馬男塾名物「不帰ノ嶮苦羅威民愚(かえらずのけんクライミング)」の試練真っ最中なのである。



【不帰ノ嶮苦羅威民愚】

それはかつて古代中国において、我こそはという男達の「真の男度」を図るべく開発された岩場の試練。

白馬三山「超論愚覇威苦」の試練を乗り越えた者のみが挑戦できるという白馬男塾の最終関門。

しかしその難易度は極めて高く、挑戦者達のほとんどが帰って来る事はなかった。

ゆえにいつの頃からか「不帰(かえらず)」と呼ばれるようになった。

清王朝滅亡とともにその修行は途絶えたと文献には残っているが、今は形を変えて日本に伝えられたという。

それはまさに「男が男である為」の決死の試練なのである。


民明書房刊 『中国修行奇譚-白馬に消えた男達』よりーーーー




さあ、いよいよ男の祭典総仕上げ。

男が男である為に避けては通れぬ「不帰」の試練。

白馬大四凶殺、最後の難関「唐松岳」へと続くデッドゾーン。


果たしてギリギリボーイズ達は不帰を突破して「帰って来る」事が出来るのか?

それとも白馬の地で永遠の眠りについてしまうのか?

それとも家に帰ったはいいが、嫁によって再びリアルな不帰の闇に葬られてしまうのか?


男達の最後の戦い。

白馬男塾最終章。

ガッツリと振り返って行こう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


早朝の天狗山荘前。

出発を前に、早くも追いつめられてる男がいる。

それはデスラー総統のような真っ青な顔で、ひたすら緊張に打ち震えている田沢だ。


極度の高所恐怖症である田沢は、実はこの数日ずっと緊張していた。

それはもちろん北アルプス三大キレットと言われる難所「不帰の嶮」に、図らずも挑まねばならんくなったから。


彼はこの天狗山荘に至るまでに、得意の「ネガティブイメージトレーニング」によって82回ほど滑落死済み。

その内38回くらいは田沢と虎丸も道連れにしての壮絶な滑落。

彼はこの余計なイメトレのせいで、毎回戦う前から相手に飲み込まれてしまう厄介な男なのだ。


田沢は山にマゾは求めるが、スリルは一切求めていない男。

それが松尾JTBの「大丈夫ッスYO!」という軽薄な言葉と、サバイバー虎丸の「ゾックゾクするわ」という変態的な言葉に振り回されて無理矢理連れて来られてしまったのだ。


しかも「朝から雨」という絶望的な事前天気予報。

雨に濡れた岩場はさらに田沢の不安を増大させる。

実は唯一のエスケープルートである鑓温泉からの道が荒れ荒れだという情報もあって、直前まで我々は「雨が降るんじゃ、またあの三山戻って落石地獄の大雪渓から下山するしかないね」という所まで追いつめられていた。


「進めば雨の不帰の嶮」

「退けば超論愚覇威苦&背後からの猪突落石拳」

まさに進むも地獄、退くも地獄。

いよいよ進退窮まったギリギリボーイズ。


しかし朝の撤収作業後の天候が比較的安定していた事により決断が下される。

このマゾツアーを企画したJTB松尾が「我々はこれより、雨が降る前に不帰の嶮を突破する!」と高らかに宣誓。


ギリギリボーイズ達はエスケープルートの白馬三山に背を向ける。

そして「真の男」になるべく白馬男塾名物「不帰ノ嶮苦羅威民愚」にその身を投じてしまったのだ。

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この先は理屈抜きのデッドorアライブの世界。

田沢などは早くも目を血走らせ、激しい緊張を押し殺すように無言で突き進む。

彼は緊張の余り予定より2時間も早く起きてしまい、しなくてもいい余計なネガティブイメトレをこなし過ぎて悲壮感がハンパ無い。

もはや気分は「死刑台に向かう冤罪死刑囚」のようなやり切れなさだ。


しかし危険な場所に慣れすぎている男虎丸龍次は、全く緊張感がなく寝ながら歩いている。

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むしろ昨日の超論愚覇威苦のダメージを思いっきり引きずっている様子。

しかも「何か風邪引いたかもしれない...」とか言っているし。

もちろん言い出しっぺのJTB松尾も同様に、蓄積疲労の色が濃厚で早くも吐きそうになっている。

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こうして本日も彼らは「青ざめた無言死刑囚男」「寝ながら歩く風邪ひき男」「嘔吐寸前蓄積疲労男」という綺麗なスタートダッシュを決めてみせた。

さすがは我らがギリギリボーイズである。


しかしのんびりギリギリを楽しんでいる場合じゃない。

空は「その気になったらいつでも降らせてやるぞ」とやる気満々な状態。

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難所で雨が降ったら、恐らくその時点で田沢は全てを諦めて「男塾万歳!」と叫んで自ら落ちて行く事だろう。


この先に待つ難所への恐怖感。

雨にせかされる焦燥感。

そして全く他の登山者がいない不安感。

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「レジャー感ゼロ」のダークな世界。

いよいよラスボスと戦う雰囲気がびんびんして来たぞ。


やがて長大な稜線にヒイヒイ言いながらも、何とか「天狗の頭」に到達。

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まだスイッチが入ってない虎丸は、今にも昨晩のカレーライスをマーライオンのようにぶちまけそうな表情。

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彼は垂直にはめっぽう強いが、長距離縦走にはとことん弱い。

スリルの探求者である彼が戦力になるのは、不帰の嶮に突入してからだ。

もちろん本日も彼の靴擦れはしっかり絶好調である。


で、不帰の嶮はすぐに始まるわけではなく、その後も昨日の続きのようなロングハイクは続いて行く。

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一つ奥に見えるのが目指すべき「唐松岳」とその八方尾根。

その間がガッポリえぐれて見えないが、その見えない場所で「不帰の嶮」が今か今かと我々を待ち構えている。


ただただ地獄に向かう亡者の様に突き進むギリギリボーイズ。

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死刑台に続く絶望ロードはやたらと長い。

そしてまだ難所の手前なのに、松尾と虎丸はご覧の憔悴っぷり。

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不帰の嶮前のウォーミングアップが長過ぎて、虎丸なんてついに目を閉じて熟睡してしまっている。

なんだか出発前よりもこの人達若干老けた気がするぞ。


しかし本日も相変わらず大鐘音のエールを送り続けてくれる劔桃太郎。

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そしてそのさらに遠方では、男塾の「あがらずの塾旗」ともいわれる男塾名物「喝魂旗(別名槍ヶ岳)」までもが見てとれる。

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聞こえるぞ、桃達のエールが。

見えるぞ、極小路秀麻呂の旗揚げ根性が。


これにて再び奮起する男塾1号生のギリギリボーイズ達。

そしてそんな彼らの目の前に、いよいよ「地獄への入口」が。

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ついに不帰鎮守三人衆の一人「一峰独眼鉄」の必殺技、「天狗の大下り」が炸裂だ。


田沢は恐る恐るその大下りとやらを覗き込む。

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瞬間、田沢は150ccほどの失禁を炸裂。

大下りにも程がある「大急下降」。

天気が悪いくせに、実にありがた迷惑なことに眺望は腹立つほどに抜群だ。


一峰独眼鉄は、恐怖におののく田沢に対してこう言い放つ。

「男とは何ぞや?」と。

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早くも試練が始まった。

もうこの頃には田沢の顔から「夢と希望」という文字が完全に消去されているのが分かる。

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すっかりおじいちゃんになってしまった田沢。

彼は口角に泡を溜めながら、ぶつぶつと「りんたろう、こーたろう...お父さんはこれから遠い所へ旅立ちます。どうか強く生きてほしい。お父さんは星になっていつでもこの白馬の空から君たちを見ているよ...」と呟き続けている。

何度も言うが、彼はこういう場所がリアルガチで嫌なのだ。


しかしそんな田沢の悲壮感を見て見ぬ振りをし、急にここに来て目覚めた虎丸が「天狗の大下り」にガシガシ突っ込んで行く。

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山間に虎丸の「うっへっへっへ」という不敵な卑猥声がこだまする。

変態スイッチが入った虎丸は誰も止められない。


そしてJTB松尾も、高所恐怖症男を連行して来てしまったという罪悪感を微塵も感じさせないこの浮かれっぷり。

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田沢は激しい殺意を覚えたが、今は目の前の試練に集中する事で精一杯。

「男とは何ぞや?」

この問いに応えてこの試練を突破しないと、どっちにしてもお家に帰れない。


田沢は意を決して「男とは!」と突入。

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しかしすぐに黙る田沢。

ケツの穴は針も通さないほどにキュキュっと絞られる。

もはや彼のティンコは空豆クラスに。


このままでは天狗に飲み込まれてナチュラル性転換を達成してしまいそうな勢い。

それでも彼は声を裏返しながら、得意の九九をそらんじながら必死で急降下。

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山間には田沢の「インニガニ!インサンガサン!インシガシ!...」という激しい息づかい。

彼なりに必死にこの恐怖を取り除こうと必死なのだ。

その横を、時折Dr.スランプ松尾が余裕のアラレスタイルで滑降して行く。

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今もし田沢がマグナム銃を持っていたら、躊躇する事なくこの浮かれた松尾を打ち抜いていた事だろう。

しかし己のリトルマグナムですら消失しかけてしまっている空豆男は、ただただそんな浮かれポンチ松尾の姿を黙って見ている事しか出来ない。


やがて事態はこのようなふざけた世界へ。

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「ネガティブイメトレ」で何度も見て来たこの光景。



シュミレーションでは100発108中の確率で滑落して来たが、その甲斐あってか何とかこの難所も突破。

そしてやっとこさ鞍部まで到達。

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もうすっかり虎丸は目を覚まし、この場所で絶対に必要のない自慢の沢ザックを広げている。

しかしホッとするのも束の間、ここからガッツリ登りで一峰独眼鉄との男らしい打ち合いに突入。

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そんな急登も我々は体で男を表現し、見事「男とは何ぞや?」の問いに応えて行く。

そしてその男気に対し一峰独眼鉄は、「うむ。良い返答である。通るがよい!」と道を示す。

これにて見事不帰鎮守三人衆の一人「不帰一峰」を撃破である。

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我々はまた一つ「真の男」に近づいた。


しかしである。

ここでついに我らの眼前に、この不帰ノ嶮最大の難所がズドーンと登場する。

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不帰鎮守三人衆、二人目の刺客「二峰男爵ディーノ」のご登場だ。


不帰一のサディスティック野郎は、一峰を抜けて浮かれる我々に対して宣戦布告。

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早くもムチをしならせて、マゾがネギ背負っておめおめとやって来るのを待っている。

やはり行かねばならんのか...。

しかし躊躇して時間を伸ばしてしまえば、雨が降って来てさらに絶望色は強くなる。

田沢は泣きそうになりながらも、一峰から下降して行く。

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もはや目の前から壁が迫って来るようなインセプション的な大迫力。

でももう帰るに帰れないから進むしかない。

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やがて二峰男爵ディーノの取り付きに到着。

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そして見上げてみる。

するとそこには、先行していたパーティー達がアリのように岩壁を這っているお姿が...。

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もちろんこれを見た高所恐怖症の田沢は「あべし!」と叫んで憤死した事は言うまでもない。

しかし憤死している場合ではない。

我が家では愛する子供達が私の帰りを今か今かと待っている。

こんな所で「不帰」になるわけにはいかない。

そうなってしまったら喜ぶのは嫁だけだ。


田沢は気合いを入れ直し、虎丸に続いて岩に取り付く。

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この妙に陽気でポップな滑落看板のピクトが、もう自分のシルエットにしか見えない。

見上げるとこのオシャレ空間。

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そして振り返ればこの余計な大絶景。

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普段は展望抜群な山頂で「真っ白」を提供して来るくせに、今日に限ってこの節操のないほどのズルムケ高度感。

田沢はただただ引きつった顔でガタガタ震えるばかり。

それでもひたすら突き進むしかない。

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ここは「真の男」になる為の道場なのである。

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田沢は必死で「ここは公園のアスレチック...ただのジャングルジム...お子さんでも安全な遊具です...」と呪文のような自己暗示タイムに突入。

しかし鎖の乱発するこの遊具に対し、彼は錯乱状態に。

ついに泣きながら笑い出したのである。

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竹中直人の笑いながら怒る人を彷彿とさせる泣きながら笑う人。

まさにこれは「男塾万歳滑落」の前兆で、非常に危険な状態だ。


しかし田沢は諦めない。

目に涙を一杯にしながら、再び「ニニンガシ...ニサンガロク....」と、得意の九九でごまかしながら這い上がる。

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何が彼をここまで突き動かすのか?

それは単純に「進まなきゃ帰れないから」に他ならない。


そんな弱った田沢を見て、二峰男爵ディーノが打って出た。

ついに彼の必殺技「空中ハシゴ」が炸裂。

これに対し、田沢はもうすっかり「反省」のポーズで動きが停止。

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写真では伝わりにくいがこのハシゴの下は断崖絶壁で、もちろんハシゴだから景色はスケスケ。

ビルとビルの間にハシゴがある状態と言えば分かり易いだろう。

もう少し分かり易く言えば、男塾名物「万人橋」の上を歩いて行くようなものと言えば適切だろうか。

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ここで進まないと男にはなれない。

田沢は芸術的なまでに美しい「腰の引けっぷり」で、その難関を勇ましく乗り越えて行く。

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ひたすらプルプル震えながら、「サザンガク...サンシジュウニ...」と呟く男らしい戦士の姿。

そしてそんな仲間の必死で戦う姿を見て、心なく爆笑する前後の虎丸と松尾。

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彼らは「高所恐怖症」の何たるかを知らない。

今僕が魔法を使えるなら、迷う事なく奴らにサンダガを食らわせて滑落させていただろう。

しかし精神が削られた今の僕には、もうMPは残っていない。


しかしこれは世界中の高所恐怖症患者達に希望の光を捧げる田沢の勇姿。

かつて脚立のてっぺんにも登れなかった男の奇跡。

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彼は見事に空中ハシゴを突破し、その男気を天下に示したのだ。



しばしその場から立ち上がれない田沢。

そしてその先の休息スペースでやっと安堵のひと時。

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ここで刮目したい。

達成感に浸る田沢にズームインしてみると、なんと彼のズボンが脱げている。

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その事に気づいていない田沢はアホみたいに笑っている。

男を示すと言っても、そのように直接的に示してはダメだ。

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なんとか気づいて履き直しているが、難所を越える度に脱いで行ったら唐松岳では全裸になってしまうぞ。


そしていよいよ二峰男爵ディーノとの最後の戦いへ。

ついに最終の難所に取り付く田沢。

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もはや彼にとっては生き地獄である。

とにかく下を見ないように、目の前の岩に向かって「ゴゴニジュウゴ...ゴロクサンジュウ...」とブツブツ呟きながらよじ登る。

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とにかく必死で鎖にすがりつく。

まさに何度もシュミレーションして来た「滑落現場」に今私はいるのだ。

ここが「真の男」になる為の最前線。

この動画の1:05あたりでは、リアルに心臓が停止したほどだ。



プルプル震えながらも必死で食らいつく田沢。

もう目も当てられないほどの腰の引け具合。

しかし彼は「シチシシジュウハチ....シチゴサンジュウゴ...」と呪文のように己の中の恐怖を押さえ込む。


そしてどれほど厳しい戦いが続いた事だろう。

「クシチ..ロクジュウサン...クハ...ナナジュウニ...」と呟く田沢の眼前に、このようなものが。

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田沢は叫んだ。

心の限り叫んだ。

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それは魂の咆哮だった。

恐怖に耐え抜いた男が、その恐怖から解放されたゆえの勝利の雄叫び。

彼は「男」になったのである。

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こうして不帰鎮守三人衆「二峰男爵ディーノ」を撃破。

虎丸と松尾も田沢の健闘を称える。


そしてこの難所を突破したギリギリボーイズ達は、最後の不帰鎮守「三峰蝙翔鬼」目指して進んで行く。

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しかし二峰男爵ディーノはまだ死んでいなかった。

三峰かと思ってがっつり登った先には「不帰2峰南峰」という文字が。

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さすがは男塾で一二にを争うほどに「何度も死んだと見せかけて生きていた」男である。

実にうざい男である。


しかしここからの眺めは中々のもの。

ここまで越えて来た「天狗の大下り」「一峰」「二峰」の姿がはっきりと見て取れる。

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こうして見ると、テン泊装備担いでほんとよく越えて来たもんだ。

しかし安心するのはまだ早い。

ついにここに来て「三峰蝙翔鬼」が登場し、「雨」を降らせて来たのである。

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降り注ぐ血の雨。

難所は越えた後とは言え、まだ不帰の嶮は終わっていない。


そう言えばかつて出発前に猿倉で大豪院先輩がこう言っていた。

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一峰の独眼鉄は「男度を示す」事で我々を通してくれたが、三峰蝙翔鬼はそうはいかない男。

一番の難所である二峰を越えて安心した登山者達が、この三峰で多くの事故を起こしているのだ。


そして疲労もピークにさしかかるこの時点で、再び論愚覇威苦的な長い持久戦へ突入。

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やはり今の我々の弱点を巧妙に突いて来た三峰蝙翔鬼。

今度は二峰でクライマーズハイになって浮かれていたいた虎丸と松尾に襲いかかったのだ。

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虎丸はともかく、松尾の嘔吐寸前度は絶望的な領域へ。

正直、倫理委員会からストップ命令が来そうで掲載するのも迷ってしまったほどのこの表情。

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ついに白目をむいてしまった18禁松尾。

もはやこの顔は立派な公然わいせつ罪である。


しかしここには彼らのギリギリ顔を取り締まる警察なぞはいない無法地帯。

ギリギリボーイズ達は三峰目指してガッツリ大急登にその身を投じて行く。

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そしてついに三峰蝙翔鬼を撃破。

妙にあっけない感じで撃破したみたいになっているが、もうしんどさと面倒くささで、写真なんて撮ってる場合じゃなかったのだ。

もちろん「三峰」の標識も撮っていない。


男塾では蝙翔鬼は影の薄い男だったが、この三峰蝙翔鬼も結果的に非常に目立たないものとなった。

しかしその実力はやはり不帰鎮守三人衆の一角。

ギリギリボーイズ達の体力は、もうとっくにギリギリを通り越した世界へと追い込まれていた。


だが悦びの瞬間は近づいて来ている。

ついに彼らは白馬大四凶殺の最後の砦「唐松岳」に到達する。

振り返ればここまでの「オー、モーレツ」な長き道のり。

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そしてギリギリボーイズ達は前を向き直し、男らしく胸を張って唐松岳に迫って行く。

やがて唐松岳山頂の標識を捉えた。

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これぞ「真の男」のみが到達出来るという最終地点。

ついに白馬大四凶殺、完遂である!

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天が祝福するかのように彼らに「雨」を降り注ぐ。


しかし僕が「なんか写真におもっきり石が入り込んじゃったからもう一回撮り直そうか?」と言えば、虎丸は遠くを見つめながら「いや..もう..いいよ...」と言うのが精一杯。

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松尾に至っては、最終回のジョーのようにうなだれている。

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そう、彼らは全てを出し切ったのである。


ひとまず体を休ませる為に、唐松岳頂上山荘を目指す3匹のゾンビ達。

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そして山荘に到達した彼らは、死んだように死んだ。

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しかし何度も書くが、男塾は何度死んでも強制復活させられて再び戦地に送り込まれるシステム。

まだ彼らには「約3時間」の八方尾根下山戦が待っているのだ。


「もういやだ...」という言葉を飲み込みながら、渋々山荘を出る。

するとそこに待っていたものは、大雨と恐怖すら覚える暴風の嵐だった。

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気温はグングン下がり、体感温度は雪山登山並。

田沢に至っては中間着にフリースまで着込んで、雪山と同じ防寒スタイル。


そして八方尾根は「お馴染みの光景」で我々を迎え撃つ。

見事に真っ白じゃないか。

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景色なんて見たくない不帰ノ嶮であんなに見えてた景色だったが、いよいよ景色が楽しみな尾根歩きに至ってこの有様。

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僕は八方尾根が3回目だが、まだ一度もこの尾根から景色を見た事がない。


それもそのはず。

白馬大四凶殺は終わったが、この八方尾根の先には「大豪院邪鬼」が控えている。

時にハッポーN、時にラオウ、時に大豪院と名を変えて我々に悪天候をお見舞いして来る最凶の男が。


だが今の我々ギリギリボーイズにとって、悪天候なぞ心地の良いバラードでしかない。

「もう何だっていいや...早く帰りたい...」と言いながら、もはやこの2日間で何個目の山かわからない「丸山」に到達。

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徐々にいつも通りのグレイッシュな世界観に包まれる負の男達。

その後も「見渡す限りの絶景」を堪能しつつ、無言の下山をして行く亡霊達。

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八方池に到達する頃には、カメラが濡れているのか涙を流してぼやけているのか分からない状態に。

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ドブが似合うマゾネズミ達には、実に心地の良いゲリゲリ下山道だ。


そしてここからは八方尾根の名所を巡る。

まず、記憶に新しい名所「ジャギ谷」の登場である。

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かつて松尾が「ジャギ」と名乗っていた頃、あの谷底にテントを吹き飛ばした伝説の谷。

↓当時の写真

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そして彼はシュラフ救出の為に二度もこの谷に飲み込まれたという、実に男らしい名場面が繰り広げられた谷なのである。(参考記事:世紀末救世主伝説2〜谷底アヒージョの彼方へ〜

松尾(ジャギ)も目を細めてその谷を眺め、「俺...よくあんなとこに降りてったもんだなあ...」と感慨に耽っている。


やがて一度もその看板通りの景色を提供してくれない「偽りの山容看板」が登場。

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本日も我々の心眼サポートの為に、陽気に白馬三山の眺めを解説してくれている。

そして改めてこの看板を見ると、今回の白馬大四凶殺の行程の激しさがよく分かる。

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ここに載ってる全ての山を制覇したわけである。

虎丸などは、この行程を沢ザック担いで終始靴擦れしてたんだからまさに「男」だと言わざるを得ない。


やがて再び名所の「矢作Cの黄昏ベンチ」が登場。

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ここはかつて矢作Cが無理矢理バックカントリーに連行された挙げ句、強烈なホワイトアウトマゾに巻き込まれてほとんど滑れなかった時に黄昏れたベンチ。(参考記事:夢見る男の美白道場〜うぬぼれ晴れ男の末路〜

その時の写真↓

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この時の白さを思えば、今日のような大雨くらい屁でもない。

やはり真の男になった我々は、確かに強靭なハートを手に入れたのだ。


やがて登山道はゲリ道を通り越して「川」と化した。

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田沢と虎丸は、ここに来てやっと本来やりたかった「沢下り」を楽しむ事が出来たのだ。

なんだか随分遠回りだった気がするし思ってたのと違うけど、やっと目的を達成したのだ。


やがて白馬池山荘に到達し、

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追い払われるように真っ白な世界に放り出される。

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ここのリフトはいつ来ても真っ白だな。


そして何気にこの場所で松尾がやらかす。

彼はこの旅の最初の頃、自慢げにこう言っていた。

「これ、ザックに直接カメラ取付けるやつなんすよ。高かったけど買っちゃったんすよ。今回初導入なんすよ。いいでしょう?」と。

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彼はこの買ったばかりの自慢のカメラフォルダーを、このリフト搭乗時に紛失するというビッグミス。

この時はあんなに浮かれていたのに、後にこの紛失が発覚した時の「まだ一回しか使ってないのに...」という彼の落胆ぶりは見事だった。

松尾は普段、大事な物を無くしてばかりの田沢に対し「遊び過ぎて脳みそスカスカになってんじゃないすか?やばいすね」と言っていたにも関わらずこの失態だ。

所詮ギリギリボーイズの脳みそは、常にスカスカだと言う事なのである。

しかしあのような高価な商品を「使い捨て」で使えるようになったという事は、彼が「漢」になったという事を証明している。


こうして彼らは下山完了。

この長過ぎた「白馬男塾」を、めでたく卒業する事に成功したのだ。

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初日11時間、2日目9時間。

総移動距離約30km。

ハッキリ言ってアホほど長過ぎた旅だった。


より大きな地図で 白馬男塾 を表示


しかしこの試練を乗り越えた事により、ギリギリボーイズ達は画期的なまでに「男度」を上昇させた。

誰ともなく「もう...しばらく登山はいいや...」なんてほざいている奴もいたが(全員)、彼らの戦いはまだまだ続いて行くのである。


ギリギリこそ男、ギリギリこそ正義。

そこに理屈など必要ない。

あるのは根性と友情のみ。

速乾性のアンダーウェアなぞクソ食らえ。

雪山だろうとふんどし一本あれば十分だ。

メシは担ぎ上げてもあえて山荘で食う。

山ガールにはとことん弱い。

これが男の生きる道。



雨ニモマケズ

風ニモマケズ

雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ

丈夫ナ嫁ヲモチ

慾ニマミレ

決シテ浮カレズ

イツモシヅカニマゾッテヰル


サウイフ男ニ

僕ラハナリタイ...



by ギリギリボーイズ




白馬男塾 〜完〜



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白馬男塾2・白馬散々縦走編〜嗚咽まみれの消耗大会〜

Posted by yukon780 on 23.2014 白馬三山〜唐松岳/長野 2 comments 0 trackback
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日本男児の生き様は

色無し恋無し情けあり

男の道をひたすらに

夢見て白馬を魁る

嗚呼男塾 男意気

己の道を

魁よ


〜男塾 塾歌より〜





壮絶だった白馬岳の刺客「大雪渓」との死闘。

あやうく古代中国拳法「猪突落石拳」の餌食になりかけた三人の塾生達。

だが彼らは紙一重の所で落石攻撃をかわし、見事に大雪渓を撃破する事に成功した。


しかしその勝利の代償はあまりにも大きかった。

テン泊装備の重量が想像以上に重くのしかかり、この美しいまでのグロッキー状態。

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左から、かつて富樫が「田沢の苦苦はいつ聞いても惚れ惚れするのう」と誉め称えた男塾一の頭脳派マゾ「田沢」。

そしてその田沢とコンビを組み、毎回必要以上な重量を背負って余計なマゾに埋没する仕込派マゾ「松尾」。

そして命知らずな武闘派にして、代謝が良過ぎるあまり常時シャリバテ状態のハングリー派真性マゾ「虎丸」。

今まさにこの白馬で「ギリギリボーイズ」が結成されたのである。


こんな絶望的グロッキー状態の彼らだが、実はこの時点でまだ何一つとして目的を達成できていない。

そう、その目的とは、白馬三山と呼ばれる「白馬岳」「扚子岳」「白馬鑓ケ岳」の三山を大縦走で陥落せしめる事である。


通常この白馬岳到達時点でテント泊か小屋泊が一般的。

しかし彼らは一般人ではなく、あくまでも男塾の塾生。

すでに死亡確認されてしまっているが、それでもここから一気にその白馬三山を落とす長い旅に出てしまうのだ。



彼らは山に登りに来たのではない。

あくまでも「漢」になりに来ているのである。


ついにここから始まる男塾名物「超論愚覇威苦」。

限界の先にこそ真の男の世界が待っている。


そんな彼らの長過ぎた戦いの軌跡。

じっくり振り返ってみよう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


白馬岳頂上宿舎のベンチで発見された3つの死体。

しかし彼らにはまだ息があった。


しばしの休憩の後、ゾンビのようにムクムクと起き上がる3名。

ここで彼らはガッツリ昼食をとり、なんとか再び生気を取り戻して立ち上がる。


ここから白馬岳山頂までは往復1時間。

今まで足かせでしかなかった重いテン泊装備をデポし、やっとここで身軽になる3人。

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鉛道着を脱ぎ捨てた悟空よろしく、あまりの身の軽さに笑顔が弾ける松尾。

白馬岳は「大雪渓」が実質上のボスなので、ここからは気楽なピークハントだ。


目の前には要塞のような白馬山荘が見えて来る。

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そこは日本最大の収容人数を誇る山小屋。

正直僕としては「もういっそここで泊まってしまいたい」と喉元まで言いかけてしまったほど。

しかしそんな事を口に出してしまった時点で、男塾の規則で「切腹」させられてしまうのは明白。

我々はここにレジャーをしに来ているのではないのだ。


身軽になった我々は軽々と白馬岳の最後の攻撃をかわして行く。

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絶壁から覗く眼下には、悔しそうに我々を見つめる「大雪渓」。

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そんな視線を気にする事無く、我々は華麗に白馬岳の登頂に成功した。

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やはり大雪渓を撃破した時点でこいつとの勝敗は決していたのだ。

とりあえず「やっと」本日の最初の目的地に到達した3人。

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この頃はお昼休憩もあって、わりかしまだ顔色は良い。

だがここはまだ本日の旅の「スタート地点」でしかない。

他の多くの登山者達はこの場所で達成感に満ちた良い表情をしているが、我々男塾生にとってはまだ「タイムカードを押しただけ」といった状態なのだ。

やっとこれからお仕事が始まるのだ。


そんな気合いを入れ直す我々に対し、同じ1号生の男も応援に駆けつけてくれた。

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彼こそ我らが男塾1号生筆頭の「劔桃太郎」。

この思いがけない仲間からの励ましに、虎丸と田沢も感激しきりだ。

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さあ、桃に恥ずかしい姿は見せられないぞ。


3人は下山を開始。

再び白馬岳頂上宿舎にデポした、クソ重いテン泊装備を背負って動き出す。

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さっきまで空身で動いていた分、その重みは信じられないほどズッシリと背中にのしかかる。

しかしやっぱりこの重さこそが「白馬大四凶殺」の神髄。

虎丸も必死でやせ我慢しながら、その重いテン泊装備を担いで進んで行く。

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彼は半年も獄悔房(家)から遊びに行かせてもらえなかった欲求を、今ここで爆発させているのだ。

不自由という名の吊り天井を担ぐぐらいなら、テン泊装備沢ザックなんて彼にとっては軽いものなのだ。


やがて「唐松岳」と書いて「地獄はこちら」と読む標識を越え、

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劔桃太郎に見送られながら進んで行く。

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振り返れば今しがた撃破した白馬岳も優しく見送ってくれている。

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男塾では一度拳を交えた相手は全て仲間になってしまうシステムなのである。


そしてその白馬岳から目を前方に移すと、ついに我々の目の前に長大な大稜線が登場。

ズドンズドンと「扚子岳」と「白馬鑓ケ岳」が重々しく鎮座しているではないか。

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思わず「どんだけ〜」と言ってしまったどの広大さ。

残り体力があとわずかしかない男達に突きつけられた吐きそうな現実。

しかも平坦な稜線歩きかと思いきや、豪快なアップダウンを予感させる絶望的な光景。


どこからともなくヒゲ教官の声が響き渡る。

「これより男塾名物“超論愚覇威苦”を行う!はじめーいっ!」と。


3人は不安で一杯になりながらも、この決死のロングハイクに突入して行く。

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正直今の体力で最後まで歩ききれる気がしない。

一体この先にどんな悲惨なマゾが待ち構えているのか?


松尾もその気の遠くなるような光景を目にして、不安そうに田沢に対してこう言う。

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松尾がこう言ったときは、100%の確率で良いことは起こらない。

そしてそのとばっちりを食らうのはいつも田沢の役目。


そもそもすでに相当足に来ていた田沢。

そんな中で突入した超論愚覇威苦のスタート直後。

田沢は思いっきり浮き石を踏み、その勢いで豪快に転倒。

そしてヨロヨロと起き上がった時。

田沢のポールはポッキリと折れていた。

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最近何かと言えばすぐに私物を山に奉納してしまう田沢。

今回の奉納アイテムは、あれ程気に入っていた「ブッラクダイヤモンドのディスタンス」でした。

「田沢の次回奉納アイテム予想」で「ポール」でご投票していただいた方、おめでとうございます。

さて、次回田沢は何を失くす(壊す)でしょうか?

皆さん、ふるってご応募お願いしますね。



これにてガックリと肩を落とす田沢。

大事なポールを失った悲しみもさることながら、ただでさえポール無いとしんどいこの行程の最初の一歩でやらかしてしまったビッグプレイ。

しかし彼は「サイズ調整できないポールだったけど、こうやれば短くなって便利だね。」と目に涙を一杯にしながら強がっている。

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やはりこのくらい豪快な方が「漢」が使うポールとしては相応しい。

左右で長さが20cmほど違って来るが、アシンメトリーなポールこそ現代の男のトレンドなのである。


早くもポールと心を折った田沢だったが、皆に支えられて何とかその足を進めて行く。

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しかしここから普通のハイクをさせてくれないのが、普通のロングハイクじゃなく「超論愚覇威苦」たる所以。

ここに来て、なんと「体感風速15m〜20m」ほどの暴風が吹き荒れ始めたのだ。


写真だけだとただただ平和な光景にしか見えない。

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しかしこの写真の中の世界は「もう勘弁してくれ」と言った横風の嵐。

ものすごく悲惨なんだけど、その辛さが写真では全く伝えられないというブログ的な苦しさ。

ビジュアル的な優雅さと裏腹な、この目に見えない地味な地獄。

このマゾり損な感じが実にたまらない。


そしてせっかく上げて来た標高を下降させられ、その先には長大な登り。

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縦走登山とは比較的アップダウンの少ない快適なもののはずなんだが、どうもこれは縦走と言うより単純な山登りアゲインだ。

さらに奥の方には白馬鑓ケ岳がかすんで見えてるし..。


なんともやりきれないが、ガッツリ鞍部まで下降してそこから再びガッツリ登って行く。

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これにはいよいよギリギリボーイズ達の苦しみもエスカレート。

そもそも大雪渓時点でギリギリになってしまった彼らなので、ここに来てこのような状態になるのは無理の無い事。

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虎丸は顔をゆがめて「腹減った....メシ...メシを...」と窮状を訴え、松尾などは立っているのもやっとのご様子。

もちろん田沢も段違いポールのおかげで重量分散がうまく行かずに「肩が痛い、腰が痛い」と言い始めている。

そしてそんな3人に容赦なく吹き付けられる大暴風。

もはや祭である。


そんなマゾな祭り囃子の中、ギリギリボーイズは順調にギリギリをキープしながら登って行き、

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再び下降させられて、ついに第2の関門「扚子岳」をその目に捉えた。

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この写真を見て分かるだろうが、実はこの先道が二本に分かれている。

1本は山頂に向かう道で、1本は山頂に行かない巻き道ショートカット。


ギリギリボーイズ達は何度も協議を重ねる。

「もちろん山頂...行く?よね?」

「まあ...ね...」

「でも、ギリギリだよね」

「ああ、ギリギリだもんな...」

「巻いちゃう?」

「あ、それ言っちゃうの?」

「どうする...?」


などとウダウダやってる間に、その分岐点に到達。

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左が頂上、右が巻き道。

言ってみれば左が「男道」で、右が「負け犬道」。


しばしここで緊急会議するギリギリボーイズ。

いよいよ負け犬一直線かと思われたその時。

松尾と田沢が、ものすごく良い表情でこう言い放った。

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覚悟を決めた男達の顔は美しい。

過去に一度南ア男塾を歩き抜いた男達の決意。

虎丸もこの根性に感動し、ギリギリボーイズ達はもうすでにギリギリだけど左の「男道」へと進軍。

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そしてそんなアツい男達に対し、扚子岳もアツく応える。

ものすごく滑り易くて歩きにくい、ジャリッジャリの道で彼らをお出迎えだ。

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白馬雪渓地獄の次は扚子砂礫地獄。

この歩きにくさとしんどさには、さっきあんなに良い顔してた松尾も早々に後悔している様子。

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しかしその容赦ない砂礫の熱烈歓迎は、はるか上の方まで続いている。

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それでもこの「男道」を選んでしまった以上、敵に背を向けて逃げ出すわけにはいかない。

男達は、ただただ愚直に上を目指す。

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ただただ愚直に。

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時折聞こえる「ぐええええッッ」という嗚咽は誰が発したものなのか?

それともギリギリボーイズ全員の嗚咽なのか?

もはやミッキーロークの猫パンチですら病院送りになりそうなほどのギリギリ感。

これぞ我らがギリギリボーイズ。



どれほどの時間が経ち、どれほど吐いた事だろう。

虎丸と田沢が、倒れ込むように1本の木にすがりついている。

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そう、それは扚子岳の山頂標識という名の「男気」。

ついに彼らは二つ目の刺客「扚子岳」を撃破したのだ。

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この爆発した悦びの表情が、ここまでの道のりの厳しさを物語っている。

しかし彼らはあっという間に現実に引き戻される事になる。


もう終わった的な達成感に浮かれているが、まだ白馬三山はあと一つ残っている。

それはこの山頂の先に見えてしまった、「更に長大な縦走路」の先にある「白馬鑓ケ岳」の存在だ。

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この圧倒的な絶望に、ただただ呆然とうなだれる松尾と虎丸。

もう虎丸なんて、別の方向見てその現実を受け入れようとしていない。

ついには寝転がってしまった二人。

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必死で現実逃避をしようとしているのだろうか?

もう彼らはこれ以上ギリギリをキープできなほど消耗してしまっている。

虎丸なぞ、崖を覗き込んで「この苦しみから解放されるならいっそここへ...」と考えているのかもしれない。

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このままだと、奴は「男塾万歳!」と言って落ちて行ってしまう。

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急がねばならない。

ここでヘタに休んだら、死人が増える一方だ。

とにかく先に進むんだ。


こうして休憩もそこそこで、さっさと扚子岳を後にするスーパーギリギリボーイズ。

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ダイブする崖はいくらでもあるから、突然「男塾万歳」をしないように皆が互いを励まし合いながら進んで行く。


で、当然のように白馬鑓ケ岳までなだらかな稜線が続くわけが無い。

当たり前のようにガッツリ下降させられる男達。

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あんなに頑張って稼いだ標高貯金が、湯水のように失われて行く。

先行する虎丸が何度か立ち止まっては遠くを見つめている。

その背中はどこか寂しげだ。

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そもそも彼はわざわざ東京から「沢遊び」に来た人だったはず。

実際背中には背負い心地最悪の沢用ザック背負ってるし。

一体どこから彼の歯車は狂ってしまったんだろうか?

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なぜこんな雄大な世界でマゾる事になってしまったのか?

忘れている人も多いだろうから改めて書いておくと、彼はこの時も厳冬期登山靴で絶賛大靴擦れ中である。


僕はそんな虎丸の姿を見て、こんな無謀なツアープランをご提案して来たJTB松尾に苦情を言う。

高校の先輩として「修正」という罰を与えようとすれば、JTB松尾は開き直ってこの状態。

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僕とランボーNは、間違いなくツアー会社のチョイスを間違えたのだ。

もうどんなに文句を言ってもツアー代金は戻って来ない。

こうなったら我々も覚悟を決めて、この変態的な超論愚覇威苦に快感を見いだすしか無い状況だ。


覚悟を決めたギリギリボーイズはヨロヨロと直進行軍を続ける。

しかし目の前にはずううぅぅんっと、白馬鑓ヶ岳が江田島平八クラスの大迫力で行く手を阻む。

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もはや胃液しか吐けない。

しかし、このような障害をのりこえてこそ男は磨かれてゆくのである。

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この雄大な景色に対し「いいなあ」と言う人もいるだろうが、もう一度行っておくと現在彼らは「風速20m」の中を歩いている事を忘れてはいけない。

そしてヒザに来ている男達に突きつけられる、滑り易い砂礫の下降地獄。

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そしてやっと下降が終わり鞍部に到達すれば、休む間もなく襲いかかって来る白馬鑓ケ岳の大急登。

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もう何度倒しても復活して来るドラクエのラスボスのような鬱陶しさ。

すでに我々のMPは底をつき、ホイミすら唱えられる状態じゃない。

かろうじて薬草(塩飴)を舐めながら、ギリギリの所で踏ん張り続ける。


白馬雪渓地獄、扚子砂礫地獄の次は、実にストレートに白馬鑓の「直登地獄」でマゾ仕上げ。

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いよいよ白馬三山が我々の息の根を止めに来た模様。

3人もそれぞれが「俺だけじゃ..ハァハァ...ないよね..?こんなに限界なのは....ウプッ...俺だけじゃ..ない..よね...?」と虫の息でお互いの限界度を確認し合う。


そしていよいよ無言でうつむいて己のマゾと向き合い始める3人。

もう誰もが無表情でうつろな顔。

田沢と虎丸は、嫁さんに無理言って出て来てまで一体何をしているのか?

そしてこの企画を立てたJTB松尾も、内心ものすごく壮大に後悔している。

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それぞれが家庭を持ち、会社ではそこそこの立場の立派な社会人。

一体彼らはこんな所で何をやっているのか?


そして吐き気をこらえて振り返れば、白馬岳からここまでのお下劣極まりない長大な道のり。

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しかしこれぞ我らが積み重ねて来た「男の花道」。

流した汗は「ロマンの雫」、飲み込んだ胃液は「ダンディズムの苦み」、背中の重みは「自由の翼」。

無言の男達が奏でる美しき直進行軍。


やがて家族や友人達の笑顔が走馬灯のように幻覚で見え始めた頃。

ついに直登地獄を乗り越え、山頂までのビクトリーロードへ到達。

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やったと思ったのも束の間。

見た目以上に妙に長かったビクトリーロード。

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もう終わったと思った男達にこのボディーブローは実にえぐい。

しかも最後も追い打ちのような急登おかわり。

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ギリギリボーイズのギリギリが加速する。

しかし確実に白馬三山制覇の瞬間が近づいて来ている。


やがて松尾と虎丸がついに山頂付近へ。

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虎丸はこの場で「男..塾...ば..万歳!」と言って前のめりに倒れ込む。

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虎丸龍次、死亡確認。享年37。


そして彼らに遅れた遥か後方では、立ったまま大往生する田沢の姿が。

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田沢慎一郎、死亡確認。享年38。


これを見た松尾が田沢にエール。

そう、これぞ男塾名物「大鐘音のエール」。

しかし限界を越えていた松尾はエール半ばで絶命。

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松尾鯛雄、死亡確認。享年36。



男達は死んだ。

しかしもちろん「宮下あきらマジック」で即座に復活する男達。

死ぬ事すら許されない地獄の輪廻。

3人は最後の気力を振り絞り、ついにその瞬間を迎えた。


白馬三山、最後の雄「白馬鑓ケ岳」撃破です。

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「男」が「漢」になった瞬間。

感極まって抱き合う3人。


振り返れば、我々を漢にしてくれた試練の道のり。

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辛い戦いだったが、今となってはもうお前達も我々男塾の仲間だ。

なあ、白馬三山達よ。

またの名を月光、雷電、飛燕よ。

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新たな友情を噛み締めるギリギリボーイズ。


さあ、あとはテント場のある天狗山荘を目指そう。

やっとこの長過ぎた苦しみから解放されるぞ。


すぐ近くのはずだけどどこかな?

おや?

なんだか山荘が近くに見えないねぇ。

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おい...うそだろう...。

まさかあのずっと先に見えるのが天狗山荘なのか..?

ものすごく遠くの方でかすんでいるあの黒いのがそうなのかい...?

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この瞬間。

白馬の空に「パキッ、ポキッ、グシャッ」という音が鳴り響いた。

そう。

それはギリギリボーイズ達の心の音。

彼らの心が折れて粉々に砕け散り、こねて丸めて固めてもう一回へし折ったくらいの痛々しい音。


男達は無言で再び歩き出す。

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暴風とともに、どこからともなく歌声が流れ来る。


日本男児の生き様は

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色無し恋無し情けあり

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男の道をひたすらに

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夢見て明日を魁る

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嗚呼男塾 男意気

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己の道を 魁よ

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嗚呼男塾 男意気

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己の夢を 魁よ

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嗚呼..

男塾.....




男達は全てをやりきった。

もはや疲労のあまり、そのちんこはポークビッツレベルまで縮小してしまった。

でも間違いなく男度は上昇したはずだ。


しかし「もう何もする気力がない...。メシは山荘で金出して食う...。」と言って、せっかくここまで担いで来た食料を食わないというまさか。

一体彼らは何の為にここまで食材を担ぎ上げて来たのか?

いや、そんな疑問は愚問である。

「彼らは男だから」

理由はそれだけで充分だ。


もはや限界を突破してしまった彼らだが、実はこれはまだ「1日目」が終わっただけ。

まだ明日の2日目が残っている。

しかもその2日目には、北アルプス三大キレットの一つ「不帰の嶮(かえらずのけん)」という難関ルートが待ち構えているのだ。

言ってみれば「本番」は明日だったりするのである。


そして白目でカレーライスを食ってる男達に朗報が届く。

彼らの背後の登山者達の声が聞こえたのだ。


「なんかさあ、明日朝から“雨”だってよ...」と。



田沢はコトリと静かにスプーンを置いて松尾JTBを見る。

そしてプルプル震えながら「誰だ...、台風一過で2日とも晴れですYO!と陽気に言っていた奴は...」と声を絞り出す。

その時松尾はただただ寝たふりを決め込んでいた。



行くも地獄

戻るも地獄


ここは地獄の1丁目

マゾが織りなす男の殿堂


これぞ白馬男塾


見さらせ


これが男の生き様よ




白馬男塾3・不帰激闘編へ 〜つづく〜




白馬男塾1・大雪渓直登編〜ギリギリボーイズの挑戦〜

Posted by yukon780 on 16.2014 白馬三山〜唐松岳/長野 0 comments 0 trackback
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うつろな表情で岩壁にしがみつく男。

口の中は乾きまくり、口角には若干泡も吹き始めている。

体力と精神はとうに限界点に到達し、彼のマゾエクスタシーは今絶頂の時を迎えている。


極度の高所恐怖症で知られるこの男が、なぜこのような絶望的な事態に追い込まれているのか?

そもそもこの日、この男はあれほど楽しみにしていた「川浦渓谷探検」に行っているはずではなかったのか?

湖を越え、沢を登り、そして川をパックラフトで下って来るという冒険だったはず。

ただただ大好きな清流に抱かれているはずだった男が、なぜこのような清流のカケラも無いマゾな現場に身を置いているのか?

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今更言う事ではないが、この男は大事な時にいつも台風を呼んでしまう。

今回「沢登り&川下り」という絶対に増水が許されないアクティビティに、ダイレクトに台風8号を直撃させてしまったのだ。


よって東京のランボーNと二人で行くはずだった渓谷探検は中止に。

ちなみにランボーNは僕と遊ぶのは今回で二回目だが、前回は「記録的な豪雪」によって雪山登山延期を余儀なくされ、今回は「過去最強クラスの台風」で沢登りを中止に追い込まれている。

ランボーNは今回も遊ぶ相手を間違ったのだ。


そしてそんな途方に暮れた二人に対し、「川が増水してるなら山に行きましょう。天気も台風一過で2日とも晴れですよ」と誘いの手を差し伸べて来た男がいる。

それが以前赤岳でランボーNと「シェルパブラザーズ」を結成したジョンボーAなのである。

(左:ランボーN 右:ジョンボーA)

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彼は軽い感じで「白馬三山〜唐松岳を1泊2日でテン泊縦走しましょう」と提案。

僕とランボーNはまんまとその誘いに乗った。


しかしである。

ジョンボーAは、別名「JTB(ジョンボー トラブル ビッチツアー)」と呼ばれる悪のマゾ旅行会社。

我々は彼の仕掛けたおマゾな罠に誘い込まれてしまったのだ。


沢登りから急遽テン泊縦走に切り替えた僕とランボーNは、時間が無くてろくにその縦走の内容を調べる事が出来なかった。

その時は「白馬三山〜唐松岳を1泊2日でテン泊縦走」というのが、何を意味しているかも分からなかった。

しかし後にそれの意味を痛烈に体感する事となる。

そこはまさに己の限界と対峙する「男塾」の世界だったのだ。


こうして、楽しく沢遊びするはずだった男達が無理矢理入塾させられた「白馬男塾」が唐突に開幕。

そこは「長い・辛い・恐い」の三拍子が揃った魅惑のお笑いマゾ道場。

ただの男から「漢」へと進化する為の熱き戦い。


そんな彼らの地獄の2日間。

じっくりと振り返って行こう。


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男塾。

そこは「楽しさ」など介入する余地はない修行の世界。

かつて僕はJTBのコーディネートにより、冬期南アルプスでその塾を体感している。

その時は、僕とジョンボーAは最終的に「過労死」という壮絶な最期を遂げている。(参考記事:南ア男塾前編後編

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当時我々は王大人(ワンターレン)によって「死亡確認」されてしまったが、もちろん生き返る事に成功。

基本的に男塾の人間は、何度死んでも生き返る事が出来るシステム。

地獄の苦しみは繰り返されるのである。


今回はこの時以来の男塾。

舞台は南アルプスから北アルプスの白馬へ。

今回の塾生は僕とランボーNとジョンボーAの3人だ。



まずは戦いの前に、白馬在住の男塾の大先輩にご挨拶。

この風呂上がりみたいな人が、3号生筆頭「大豪院邪鬼」ことハッポーNさんである。

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今回ハッポーNさんは急過ぎて参加しないが、わざわざ早朝に我々を猿倉の駐車場まで搬送する為に来てくれたのだ。

しかも沢登りの準備しかしてなかったランボーNのために、アイゼンと登山靴まで用意してくれた。

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7月なのにあえて「厳冬期用登山靴」を履くランボーN。

慣れない靴とムレムレ環境で靴擦れ必至だが、これぞ男塾の先輩からの素敵なマゾプレゼントなのである。


そして我々は大豪院先輩の車でスタート地点の猿倉へ移動。

ついに白馬岳・杓子岳・鑓ヶ岳・唐松岳の4山を落とす「白馬大四凶殺」の戦いが始まるのだ。

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左から松尾ことジョンボーA、大豪院(またはラオウ)ことハッポーNさん、田沢こと僕、虎丸ことランボーNのメンバー。

当ブログの登場人物の中でも、実に濃い男どもの集結だ。


決死の戦いに挑む我々1号生に対し、大豪院先輩は「大雪渓は落石地獄で稜線は暴風祭りだ。ぬかるでないぞ。」と送り出してくれた。

大先輩からのエールに感激しきりの松尾と田沢と虎丸。

早速猿倉荘に白馬大四凶殺への挑戦状(登山届)を叩き付けて宣戦布告。

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もう後戻りは許されない。

ここから先はデッドorアライブの戦いだ。

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まずは第一回戦の相手「白馬岳」との戦いに向けて、静かに戦場に向かう男達。

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目の前には悠然と我々を見下ろす白馬岳の姿。

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何という迫力。

長いブランク明けの登山にしては、いささか相手が強大すぎる。

そもそも本来沢登りを楽しむはずだったのに、今更ながら代替え案としてはハードな気がして来たぞ。

ランボーNに至ってはまだ沢に未練があるのか、大増水してる沢を見て「ゾックゾクするわ」と武者震いしている。

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彼は危険度が増すほどにニヤニヤしてしまう真性マゾ男。

ある意味今回の探検が中止になって僕は命拾いしたのかもしれない。


一方で松尾はただただ浮かれている。

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本来ならソロで中央アルプスに行くはずだったが、途方に暮れたマゾを二匹拾って念願の白馬縦走にこぎ着けられてご機嫌なのだ。

だが彼自身が立てたこの企画が、後に彼自身をも追い込んで行こうとはこの時は微塵も感じていない。


その後も移動を続け、

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やがて三人は決闘場に到達。

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ついに白馬岳の第一の刺客「大雪渓」がその姿を現したのだ。

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この大雪渓の急登をひたすら一直線に登って行くだけという「体力一本勝負」。

ここで我々の根性が試されるのだ。


僕は10本爪のアイゼンを履いて戦いの準備。

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松尾と虎丸などは軽アイゼンなどという軟弱なものは使用せず、もちろん男らしく重量のある12本爪だ。

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7月だというのにランボーNは「厳冬期用登山靴+12本爪アイゼン」、そして背中には何故か「沢登り用」のザック。

彼はこのままハロウィンの仮装パーティーにでも出ようとでも言うのか?

こんな背負い心地の悪いザックでこれから縦走しようってんだから、さすがは虎丸龍次と言わざるを得ない。


さあ、第一回戦。

この大雪渓に、我々の大根性を刻み付けてやろうではないか。

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ただただ上だけを目指して突き進む。

しかし重いテン泊装備を担いだ我々には思った以上にハードな行程。

想像以上に体が重く、早くも男達の「ブホーッ!ブホーッ!」という荒い吐息が漏れまくる。

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そしてここに来て早速上からの「暴風タイム」スタート。

ただでさえ辛い所に強烈な向かい風が大発生。

容赦ない大雪渓の波状攻撃。


そんな劣勢の中、一気に抜け出したのが我らが虎丸龍次。

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状況が悲惨になればなるほど燃える男の猪突猛進アタック。

普段は富樫とともに実況中継&驚き役に徹する彼だが、いざ戦いとなればご覧の頼もしさだ。

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彼も僕同様子供がまだ小さいから、中々遊びに行かせてもらえずに自由に飢えた虎。

ついに野に解き放たれた虎は雪渓を走って登り出し、一気に野生に回帰した。

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よほど普段から遊びへの欲求を無理矢理押し殺しているのか、この自由に対して悦びが爆発している。

しかしである。

この数十分後。

彼は突然このようなボロボロの状態へ。

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顔は苦痛で歪み、さっきまで元気に走っていた男の面影はすでに無い。

実は大豪院先輩に託された「厳冬期用登山靴」がムレにムレまくり、そしてズレにズレまくって「大靴擦れ」が発生。

一歩一歩で踵に走る激痛が実に心地よさそうだ。

まだまだ先は長いと言うのに、早くも猛烈に追い込まれているではないか。


一方、背後を見れば松尾もグッタリとしている。

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それもそのはず。

彼はよせばいいのに、あえて大容量ザックに大量の荷物を詰め込みすぎて来てしまった確信犯マゾ男。

今回こそ立派な漢になってやる、という彼の意気込みが見て取れる仕込み芸である。


で、もちろん同期の田沢もご覧のへろへろな有様。

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早くもこの段階で「アッアッアッー」と声を発し、後半の加藤鷹ばりに息が荒すぎる状態。

何故なら彼は10本爪アイゼンで十分だと思っていたのが、想像以上に刃の効きが悪くて一歩一歩ずり落ちるという消耗戦に突入していたのだ。

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一歩進んで半歩ずり落ちるという行為は、急速に彼から体力を奪い去って行く。

一日一歩、三日で三歩、三歩進んで二歩さがる。

人生はワン・ツー・マゾ

休まないで歩け。


白馬大雪渓に現れた「靴擦れ沢登りザック男」、「大重量ザック仕込み男」、「三百六十五歩のマーゾ男」。

各人がそれぞれ己の「男」を見事に表現。

これぞ我らの男道だ。

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この自滅的な根性攻撃に、一気に劣勢になった刺客「大雪渓」。

しかし古代中国の殺人拳「猪突岩石拳」を極めた大雪渓は、まだ強烈な奥義を隠し持っていたのだ。

後に三人が口を揃えて「かつてこれほどリアルに死に直面した事は無い」と言わしめた奥義を。


そんな奥義が来るとは思っていない三人は、相変わらずグヘグヘと雪渓を登り続けていた。

各人の体力の消耗は凄まじく、もはやひたすらうつむいてゾンビにように歩いている。

そして相変わらず暴風は吹き荒れ続け、僕は次第に汗が冷えて体力が奪われ始める。


僕は「ちょっとストップ。アウター着ますわ。」と言ってザックから上着を取り出す。

この時の並び順は「僕」「ジョンボーA」「ランボーN」の順。


僕が上着を着るのにまごついていると、JTB添乗員としての顔を持つジョンボーAが僕の背後に回って上着を着せてくれた。

そして僕が上着に袖を通した時。

「僕・ジョンボーA」と「ランボーN」の間を、イノシシくらいの大きさの巨大な固まりが猛烈なスピードで音も無く通り過ぎて行ったではないか。


一瞬で凍り付く3人。

そのイノシシ大の物体は、なんと強大な「落石」。

雪のせいで、凄いスピードにも関わらず全く無音で迫って来たのだ。


我々との距離、実に1m。

ほんの少しでもズレていたら、その巨岩が直撃してリアルに「即死」だった。

ジョンボーAも僕に上着を着せてくれてなかったら、まさにその落石の直撃ルート上にいた事になる。

(※写真は本人達による再現。岩はこれの4倍くらいの大きさ。まさにジョンボーとランボーのこのわずかな隙間を巨岩が通り抜けて行ったのだ。)

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こんな奇跡があるのか。

この広大な大雪渓の中で、この一点に絞って滑落して行った巨大な落石。

はっきり言ってヘルメット被ってても何も意味が無いような落石だ。


松尾と田沢は顔を真っ青にしながら、慌てて後方の登山者達に叫ぶ。

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この強烈な叫び声に対し、後方の登山者達も逃げ惑う。

大岩はそのまま見えなくなるまで転がって行った。


多分後方で被害は出ていないだろうが、後になってから猛烈に恐くなってブルブル震える3人。

これがその直後の彼らの表情だ。

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僅差で直撃を免れたジョンボーAは、ショックのあまりキン肉マンみたいな顔になってしまっている。


だが、この強烈な恐怖体験によって彼らのアドレナリンが大放出。

あれ程バテバテだった彼らだったが、もう疲れなんてぶっ飛んでガシガシ登って行く。

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これが世に言う「ラクセキーズ・ハイ」。

僅差で生き残った興奮を互いに振り返りながら歩く事で、信じられない底力が湧いて来たのだ。


しかしまだまだ油断の出来ないこの落石危険地帯。

こんな奴が、上から音も無く猛スピードで転がり落ちて来る恐怖を想像していただきたい。

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行く手にはそんな落石予備軍も大量にスタンバイ中。

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もう恐ろし過ぎて下を向いて歩く事なんて出来ないから、しんどくても常に上を見続けながらの行軍。

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そして容赦なく続く大急登の嵐。

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白馬岳ってこんなに危険でハードな山だったのか。

何も下調べしてない僕とランボーNはもちろんのこと、この登山を企画したJTBのジョンボーAまでもが「白馬岳をなめてました。ほんとスミマセンでした。」とうなだれている。

まだ白馬三山どころか大雪渓すら越えられていないのに、男達の弱音が止まらない。

さすがは天下の白馬男塾である。


やがてフラフラの男達は、なんとか大雪渓の終点「葱平(ねぶかっぴら)」に到達。

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ついに白馬岳の刺客「大雪渓」を撃破したのだ。

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まだ先は長いと言うのに、グッタリして虚空を見つめるジョンボーA。

ここから見下ろせば、激戦を繰り広げて来た大雪渓のおぞましい姿。

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他の塾生達もアリのように直進行軍を続けているのが分かる。

だがこの中で、真の「漢」になれるのはほんの一握り。

実際、この3人がやろうとしている「白馬三山〜唐松岳を1泊2日でテン泊縦走」というものに挑戦しているのは、この大勢の塾生の中のほんの数人だったりする。

こんな中途半端な場所で(まだ一つもピークハントしてない)くたばってたまるか。


ここで気合いを入れ直す田沢と虎丸。

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彼らとしては本来ここにいるはずじゃなかったから、「なぜこんな事になってしまったんだ」と愚痴がこぼれる局面。

しかし一方でこの珠玉のマゾタイムに内なる変態ソウルがスパークし、ワッシワッシと急登で己を追い込んで行く。

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しかし何気にこの葱平はお花で有名な場所。

お花好きなジョンボーAはここで優雅にお花の撮影。

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だがお花に全く興味のない田沢と虎丸は、そんなメルヘン松尾を置いてガンガン先に進んで一切待とうともしない。

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彼らは背中で語り続ける。

男塾に花なぞ必要ない。

メルヘンに心を奪われた者から死んで行くのだと。


そして虎丸がそっとメルヘン松尾に寄り添って言う。

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お花畑なんてものは死んでからゆっくり堪能すれば良い。

今はマゾに邁進するのだと。


この先輩二人に刺激を受け、ついにメルヘン松尾も元のマゾ松尾に戻って大急登タイムへ。

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もう花などには目もくれず、一心不乱に己の疲労と向き合い始めたのだ。


再び一致団結した3人。

そんな我々に対し、白馬岳が第二の刺客「小雪渓トラバース」を派遣して来た。

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この数百mという微妙な距離のトラバースが我々に難しい判断をあおぐ。

正直めんどくさくて再びアイゼンを履く気にもなれない。

でも微妙に距離はある。

もし滑ったら、そのまま谷へ滑落して行ってしまう。

でもやっぱりこの距離ならそのまま行けそう。

実に悩ましい頭脳戦。


結局協議の結果、アイゼンを取り出して装着する気力すら残ってなかった我々は「行ける」と判断してそのまま小雪渓トラバースに突入。

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ここからしばらく写真が途絶える。

それは何を意味するかと言えば、正直「めさめさ恐かった」という事を意味している。

写真なんて撮ってる場合じゃなかったのだ。


ここの所の台風の影響なのか、すっかりステップが無くなっててツルッツルの状態に。

一歩一歩しっかりフラットに踏み込まないと、いつズルッと行って滑落して行くか分からない恐怖。

そんな一歩一歩の恐怖が300歩くらい続くのだ。


もう誰も一言も発する事が出来ず、ひたすらゆっくりと移動する3体のASIMOたち。

何とか小雪渓トラバースを突破した頃には、我々の精神はごっそりとえぐられた状態に。

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我々は男塾の塾生だから仕方ないが、やはりみなさんは面倒くさがらずにちゃんとアイゼン履きましょう。


そしてここからは「白馬岳頂上宿舎」を目指す急登世界。

結局この山は終始急登しかないという実に男らしい山で、虎丸も悦びのあまりすっかりヘロヘロだ。

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この男は基本的にかなり体力のある男なのだが、その持ち前の「活発すぎる新陳代謝」によってすぐに「シャリバテ」になってしまうという燃費の悪い男。

もうこの頃になると、ただただ「腹減った...メシを...メシを...」と呪文のようなうわ言を言い始める。

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後方から登って来る松尾も、もう顔も上げられないほどやられてしまっている。

上から見ると地獄を彷徨う餓鬼どものような痛々しすぎる光景。

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かく言う田沢も同様の限界状態。

いよいよ加速する男塾の試練。

この山はテン泊装備担いで登っちゃダメな山だ。


そして「着きそで着かない」という苦行をじっくり味わった後、彼らはやっとこさ白馬岳頂上宿舎に到達。

そしてそこでは絶望的な「グロッキー・バルボア」たちの勇姿が確認された。

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これぞ「ギリギリボーイズ」誕生の瞬間だ。


彼らはこれ以降、常に気力と体力を「ギリギリ」の所でキープさせながら戦って行く事になる。

美しいまでのグロッキー状態だが、まだこの時点で彼らは何一つとして目標を達成していない。

まだこの初日だけでも、あと3つの山を撃破しないといけないのに。



そう、ここは白馬男塾。

グロッキー上等のマゾワールド。

真の漢になるための、情け無用の根性道場。


果たしてこのギリギリボーイズ達は、生きてこの男塾を卒業できるのか?

いよいよここから、「白馬岳」「扚子岳」「鑓ヶ岳」の白馬三山との歴史的な持久戦が始まる。


今後の松尾、田沢、虎丸の根性から目が離せそうにない。




白馬男塾2・白馬散々縦走編へ  〜つづく〜



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