デキる男のビジネス新書〜必殺仕事人のスマートな一日〜

Posted by yukon780 on 13.2015 御池岳/滋賀 6 comments 0 trackback
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「仕事こそ我が人生」


そう言いきる男がいる。


彼は知る人ぞ知る一流のビジネスマン。

愛する家族の為、今日も身を粉にして働いている。


仕事が趣味と公言する彼の日常の一コマ。

とある「平日」のビジネス風景。

そこには現代の厳しいビジネスシーンを生き抜く術が詰まっている。


一流の彼に学ぶ「戦略と戦術」。

巧みなブランディング力と、張り巡らされたマーケティング力。

世のビジネスマンの全てが憧れる、彼の卓越したワークフローとプランニング。


成績の伸び悩みにあえぐ全てのビジネスマンに捧ぐ。

そしてせっかくの有給休暇なのに、ご両親に子供を任せて「遊んで来ます」の一言が言えない全てのマスオ達に捧ぐ。

これがデキる男のビジネススタイルである。


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水曜日。

週の半ばともなれば頭は冴え渡り、体も完全にビジネスモード。

一週間のうちで最も仕事に集中出来る曜日である。


朝はいつもの時間に起き、決まった場所で新聞(中スポ)を読み、そして熱いよもぎ茶を飲む。

いつもと変わらぬルーティンワークをこなしてこそ、その日一日の円滑な流れが構築される。


そして嫁が朝風呂に入り、ご両親が朝飯を食い始めるのを確認すると、私は静かに二階へと移動する。

そして昨日の夜に予め用意しておいた「ビジネス道具一式」を、ベランダからドロップオフ。

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デキる男というのは、家族に必死で働く姿を見せないもの。

土臭いビジネス道具の存在など微塵も感じさせる事なく、あくまでもスマートに出社してこそカッコいいお父さんでいられるのだ。

毎度この瞬間は軽く冷や汗まみれになるが、頑張ってる所を見せないのが男のダンディズム。


そして何事もなかったようにリビングへ移動し、子供達に威厳たっぷりに「行ってきます」と言い放つ。

無邪気な笑顔で「いってらっしゃーい」と答える愛する息子達。

ご両親も「気をつけてな」と優しく語りかける。

僕は笑顔で玄関に行き、吠えまくる愛犬の頭をなでる。


そして庭に出るやいなや、光の速さで「ビジネス道具」を回収。

ささっと車の中にそれを放り込み、何事もなかったように意気揚々と出勤である。


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私の会社「株式会社鈴鹿製作所 御池本社」は、三重県と滋賀県の県境に位置している。

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周りには誰一人いない。

デキる男は皆が出社する前から出社して、張り切って準備体操だ。

今日一日のハードなお仕事を乗り切るためにも、やはり体は資本なのである。


そしてひとしきり準備が整うと、「おはようございます!」と元気よく挨拶しながらタイムカードを押す。

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さあ、今日も一日頑張るぞ。

家族のため、子供達の笑顔のため。

いざ、職場という名の戦場へ!

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我が社は何故か、会社の構造が入口からそこそこの急登になっている。

しかしこれは社員の寝ぼけた頭を覚まさせるための、絶妙に考えられた効率化システム。

私はこんな会社の姿勢が大好きだ。


ひとしきり朝食のライ麦パンの遡上を楽しみだす頃、やっと世界は鈴鹿製作所らしい落ち着いたオフィスになって来る。

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やっぱり職場は落ち着くな。

ダメだダメだって思うけど、どうしても私は仕事人間だからこの空気が好きなのだ。

仕事バカ、って周りに言われているのは知っている。

でもこんな穏やかなオフィスで「サボれ」って言われる方が、私にはそもそも無理なのである。

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しかも今日の空は雲一つなく晴れ渡り、絶好のビジネス日和。

世の中には、翌日の快晴天気予報を確認してから有給休暇届を申請して、一人でこっそり遊びに行くといった腐った奴もいると聞く。

そんな社会のクズがいる一方で、私のようなストイックでドラスティックなビジネスマンがいるから世の中は回って行く。

私は断じて負け組にはならないのである。


私は朝からオフィス内を元気に走り回って、重要書類に一通り目を通す。

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もうやる気が溢れすぎて、股間から光が漏れてしまうほどだ。

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それを見て、社内のOL共が「ステキだわ」とトロンとした目で私を見て来る。

社内の給湯室では、常に私の話で持ち切りだというウサワを耳にした事がある。

しかし私は仕事人間。

社内恋愛なんてしている暇はない。

しっかりと定時に上がって(下山して)、愛する家族の元に帰らないと色々つじつまが合わなくなるのだ。

残業は許されないぞ。


とは言え、オフィスの窓から見える絶景がしばし私の働く手を休ませる。

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ふと、「こんな日に遊びに行けたらなあ」なんて思ってしまう時もある。

しかし次の瞬間、そんな戯れ言はすぐに頭から消し去る。

来年には長男が小学校入学、次男が保育園入園の大事な時期。

お父さんはこんな所で立ち止まるわけにはいかないのだ。


まずは御池本社での仕事を前に、軽く支店の様子を見に行く。

この支店はショールームも兼ねているので、私の指示で内装に力を入れた。

それがこの見事なる苔の絨毯と、

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ワイドビューのロビーである。

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大抵の新規訪問客は、この苔絨毯とワイドビューロビーに度肝を抜かれる。

そうすれば、こっちとしても商談を進めやすい。

相手を気負わせてこちらが優位に立つ。

これがデキる男の交渉術なのである。


そして㈱鈴鹿製作所「鈴北支店」の支店長室からはご覧の眺望。

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部下の「霊仙さん」と「伊吹さん」が働いてる様子がクッキリと見渡せる。

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これが私によって改革された、鈴北支店の「見える化」だ。

これにより社員達の動きが手に取るように把握出来、無駄なく効率的なビジネスモデルを構築した。

おかげでこの鈴北支店の売上げは右肩上がりの急成長だ。

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こうして私は外部営業だけでなく、経営的な場面でもしっかり意見を通して結果を出して来た。

遊んでばっかのダメ社員とは格が違うのである。


しかし馬車馬のように仕事ばかりする奴は所詮平社員止まり。

私のようなデキる男は、ここで一旦一休さんばりに「ひとやすみ、ひとやすみ」と洒落込むのである。

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この方が逆に一日の効率が上がるし、良いアイデアだって浮かぶ事がある。

決して体力の衰えを実感して、本気で体を休めているわけではない。

私をそんじょそこらの「尿切れの悪い廃人うどん男」と一緒にされては困るのである。

全く疲れてなどいないのだ。


さあ、良いアイデアも浮かんだのでそろそろ御池本社に向かおう。

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この御池本社のエントランスは、別名「テーブルランド」と言われる台地状の壮大なものだ。

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ここが職場だと言う事を忘れて、まるで北海道の大地でも歩いている気分だ。

しかもここの苔絨毯は、鈴北支社のものよりも豪華で壮大で華麗だ。

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「苔好き」というニッチな奴らに向けた我が社のペルソナ戦術。

これを見た苔好きなお客様は、もはや交渉のテーブルに着く前に我が社のファンになっている。

それが我が社のエントランスが「テーブルランド」と呼ばれているもう一つの理由なのである。


そしてその後私は、ステキな苔と緑豊かな廊下を突っ走り、

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本日のアジェンダを社長にアグリーしてもらって、アジャイルな対応を各部署にアサインしてもらうべく社長室へとエスカレに向かう。

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どこぞの痔のクスリのCMに使えそうなほどの爽やかダッシュ。

デキる男は、仕事中も遊び中も土下座中も常に爽やかである事が重要だ。

やがて我が爽やかさが、スーッと溶けて中でシュワーっとする頃。

㈱鈴鹿製作所の御池本社社長室へ到達だ。

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ひとしきり社長に重要案件の進捗状況を説明し、軽いゴルフの話題など挟んでゴキゲンを窺う事も忘れない。

デキる男は例え相手が社長であろうと嫁であろうと、最大限のごますりと従順な笑顔を忘れてはならない。

特に嫁は、酔っぱらった張飛のようにいつ首をはねて来るか分からない。

安いプライドなぞ捨てて、無心で肩甲骨を揉んでやるくらいの心意気が今のビジネスマンには求められる時代なのである。


社長への挨拶が済むと、早速私は営業に出かける。

この時が一番私の気分はアゲアゲとなり、「仕事って最高」って思っちゃうような瞬間だ。

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周囲にあまり人もいないし、静かで仕事に集中出来る平日って最高とばかりにニヤリが収まらない。

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だがそんな私の仕事に水を差すカップルが登場。

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一人きりでのお仕事中に、このように目の前でキャピキャピされるとふいに切ない気分になってしまうのは何故だろう?

急に「私は平日お一人様です」という図式を突きつけられたようで、秋という季節も手伝って寂しくなってしょうがない。


しかしデキるビジネスマンはいつだって孤独なロンリーウルフ。

他人が色恋に狂っている隙に、今日もコツコツと孤独に「己撮り」のお仕事。

カップル達の視線を横目で気にしながら、私は仕事に邁進する。

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このように表面上だけかっこよければ大成功。

たとえこの後、「思ったより崖が激しくて腰を引かせながら脱出する無様な様子」が撮影されていたとしても一向に構わないのだ。

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とにかく結果が全てなのである。


そして移動は続き、一番未来への展望に明るい営業先に到達。

そこは我がお得意先の「ボタンブチ工業」。

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まさに我が鈴鹿製作所を、一番北から一望の元の大展望なのである。

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子供達よ、父は今全力で戦っている。

君たちの未来のため、そして日本の未来のために。

ほんと、この世の中にウソついて遊びに行くような堕落した大人がいるなんて信じられない。


お父さんは頑張りついでに、さらにハードな己撮りに挑戦。

普通の努力では、所詮普通の営業成績しか上げられないからだ。


私はダッシュしてボタンブチの反対側の崖へ移動。

そこでカメラをセットして、猛烈ダッシュで再びボタンブチへ戻る。

このカメラは30秒タイマーが限界なので、ギリギリのライン。

そしてパシャリ。

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実際は肩で息しまくっているが、これで己撮りの最長距離記録を樹立。

また一つ大きく営業成績を伸ばしてしまった。


そして一仕事終わったので、ここでランチタイム。

実は出社する時、「登山口前の最後のコンビニが潰れていた」というビッグアクシデントに遭遇。

並のビジネスマンなら昼飯を買えずに途方に暮れる場面。

しかしその手のアクシデントに慣れまくってる私は、予めザックにこのような一品を忍ばせていたのだ。

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しかも私レベルのビジネスマンともなると、この貴重な食料にもうひと手間を加える事を忘れない。

このように「あえて」具材に大地の味を染み込ませるのである。

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これは決して「爪楊枝が入ってなかったから指でつまんだら、ホタテの縁側部分が外れて落ちてしまった」的な事ではない。

私はそんなにアホではない。

あくまでもその土地の風土をダイレクトに感じて味わい、今後のビジネスチャンスに活かそうという信念が成せる技なのである。


その後、口の中のじゃりじゃり感を楽しみながら午後に向けて英気を養う。

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あまりにも気持ち良くてここで本寝をかましてしまい、若干風邪を引いてしまったのはご愛嬌。

なんせ、ここに来て猛烈な風が吹き荒れ始めたからである。


しかしビジネスに逆風はつきもの。

午後もめげる事なくお得意先に顔を出す。

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実はこの「奥の平工務店様」は、全く来る予定じゃなかった破線ルートの場所。

何気に不明瞭な道に迷い込んだ挙げ句、たまたま抜け出た所がここだっただけの話。

しかしこのようにピンチをチャンスに変えて、サクッと新規契約を勝ち取ってしまうのが私流。

この病気のネコの毛並みのような見事な原っぱが実に心地よい。

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日頃から常にアンテナを張っている、私のようなデキる男だからこそ出会える風景である。


しかしさっきから風の勢いがどんどん強烈になって来たぞ。

比較的風の勢いが収まるはずの樹林帯ですら、ピンクテープが横風食らってご覧の有様。

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せっかく順調にお仕事を頑張っていたのに、私の職場風景はいつもこうなっていく。

秋の風が孤独の身にしみる。


そんな中、本社の社長室に営業報告に向かうと、左の方からもわもわとアイツが顔を出して来た。

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同期入社でライバルの「モクモク係長さん」である。

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瞬く間に白いベールに包まれて行く御池本社。

おかしいぞ。

昨日確認した情報では、モクモク係長は出張に行ってて一日中快晴って話だったのに。

しかも今朝のニュースでは、「今日は雲を探すのが難しいくらいの青空が広がるでしょう」って言っていたような気がするんだが...。


しかし別に私は有給とってウソついてここに来たわけじゃないから、別に悔しくなんてない。

確かにニュースが言ってた通り、通常の会社(下界)は晴れに晴れまくっている。

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しかしそのまま目線を上に見上げれば、我が社の頭上だけがモクにモクにまみれている。

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やがてあっという間に暗雲立ちこめる御池本社の経営状態。

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強烈な秋の風は容赦なく私に襲いかかり、周りの景色もグレイッシュで気分まで凹んで行く。

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本来なら、気持ち良かった鈴北支社でのんびり昼寝の続きを楽しむつもりだった。

しかしモクモク係長の妨害は、この鈴北支社にまで及んでいる。

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モクモクで太陽が遮断され、冷たい風が直に襲って来るこの環境ではとてものんびり昼寝なんてできやしない。

100%快晴が約束されたインサイダービジネスのはずだったが、結局週末と変わらぬ安定感に。

私はモクモクと突風に追い出されるような形で、会社の派閥争いから駆逐されてしまった。


しかしデキる男は戦い続ける。

今日も厳しい激戦の一日だったが、もちろん私は残業なんてしない(すると色々面倒な事になる)。

残業なんて効率の悪い奴のエクスキューズに過ぎないのだ。

私はしっかりと定時でタイムカードを押して家に帰るのである。

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しかしこのまますぐには家には帰らない。

何度も言うが、デキる男は家族に泥臭く働いた姿を見せてはいけないもの。

どんな激しい一日でも、その痕跡すら感じさせずにスマートに帰ってこそカッコいい旦那さんで居続けられるのだ。


私はすかさず温泉で身を清め、お近くの社交場へ。

平日の夕方、戦うロンリーウルフのアフターファイブの光景。

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仕事で汗まみれになって、匂いが複雑化したビジネス道具をさっぱりさせる。

ほんとは早く帰って家族の顔が見たいんだが、そこは我慢してじっくりと道具を乾燥させる。

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世の中には、偽装工作のためにコインランドリーで服を洗って、遊んだ形跡を一切残さない卑劣な奴もいると聞く。

私はそんな姑息な男にはなりたくない。

いつだって正々堂々、お仕事の事だけ考えて正直に生きて行きたいと思っている。


やがていつもの時間に帰宅し、「おかえりー」と喜ぶ子供達とハイタッチ。

ご両親も優しい笑顔で「おつかれさま」と、私の労をねぎらってくれている。


なんだろう、この胸のチクチクは?

罪悪感?

まさか。


私は今日も明日も戦うロンリーウルフ。

仕事をしている時しか生き甲斐を感じられないまっすぐな男。


成績の伸び悩みにあえぐビジネスマンたちよ。

どうか私の一日から何かを感じ取ってもらい、それが成功に結びつく鍵になってくれる事を私は願っている。


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〜あとがき〜


この度は「デキる男のビジネス新書」をお買いあげいただき、ありがとうございました。

この本があなたにとって、ビジネスの転機になってくれると幸いです。


そして今回、「あれ?今回の必殺仕事人はノンマゾだったな。」と思ったあなた。

この付録の動画を見終わった後でも、ノンマゾだったと言い切れるでしょうか?

この動画は、彼の一日の仕事の成果が凝縮されたものになってます。

彼が現地でどのように戦っていたのか。

これが「平日に一人きりで、時折すれ違う登山者の目を気にしながら撮影されたもの」という事を念頭にしてご覧下さい。

過去最も短い動画なのに、一番現場で手間がかかった必殺仕事人の職人芸。

これが彼の職場風景の全てであります。



彼の己撮りもついにここまで来ましたね。

もはや単純に「ヒマなのか?」と言われてもおかしくない状況。

しかしこれを撮るためには、実際の御池岳登山の2倍近い時間と労力が必要になるといういぶし銀の隠れマゾ。

彼の仕事への飽くなき執念が見て取れます。


それでは次は付録の付録動画です。

観ても観なくても構いませんが、もし観るならハンカチだけは用意して観てください。

恐らく私が知ってる限り、「世界で最も悲しいメイキング映像」です。

秋の切なさを、存分に味わってみてはいかがでしょうか?



二児のパパの戦う姿は美しいですね。


それでは、また次回必殺仕事人シリーズでお会いしましょう。

私の知人はくれぐれもこの事を我が家族に告げ口しないように。

いつまでもスマートなお父さんでいたいからね。



マジで言うなよ。





デキる男のビジネス新書  〜完〜


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御池厄除け復活祭 後編〜そしてサヨウナラ〜

Posted by yukon780 on 09.2015 御池岳/滋賀 2 comments 0 trackback
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限界の先にこそ光はある。

そう信じて男達は大急登を突破。

中には口から胃液をしたたらせながら、うつろな表情で登ってくる者までいる。


やがて彼らは悪魔将軍との死闘の末にテーブルランドに到達。

そしてそんな彼らに待っていたのは、これでもかという「白の洗礼」。

これにより、闇に染まった厄災男の心が純白に染め上げられていく。

男は涙目で呟く。

「やっぱり山はこうでなくっちゃ」と。


しかし彼の厄除けの儀式はまだ始まったばかり。

ここからはいよいよ待ちに待った雪上テント泊。

そして翌日には、テーブルランドの素晴らしき雪原をスノーシューハイクしての御池岳初登頂だ。


特に冬の御池岳では、「青のドリーネ」なる実に神秘的な光景に出会えるという。

ドリーネとは石灰岩が侵食されて出来た、すり鉢状の窪地のこと。

冬にそのドリーネを青空の下で見ると、なんと青く輝いて見えるという神秘のスポット。

我がヘドロ厄を封印するには持って来いの場所なのである。


さあ、残す所厄除けの儀式と青のドリーネへの封印の儀式。

風邪でしんどいなんて言ってる場合ではない。

今後の人生がかかっているんだ。

というか家で大人しくしてるのが一番の厄除けだった気がしないでもないが、我が精神構造状これが正解だと信じてやまないのである。


それではそんな彼らのその後の模様。

ズバッと振り返ってみよう。


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久しぶりの精神と時の部屋。

苦労して辿り着いた果てに突きつけられる圧倒的ホワイト。

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だがこれはこれで実に素晴らしい。

そりゃ青空との見事なコントラストが見れたら最高だったが、そんなもの今の僕には刺激が強すぎる。

それは3ヶ月間ずっと男達にまみれてマグロ漁船で働いている男に、突然裸のアンジェリーナ・ジョリーを送り込むような刺激の強さ。

もし今晴れていたら、恐らく僕の目はつぶれて全身が日の光で粉々に砕け散っていたはず。

やはりリハビリとしてはこのくらいの白から徐々に馴らして行くべきだ。


しかしそうは言ってもさすが鈴鹿屈指の雪山。

美しすぎる樹氷達と広い雪原の世界は、それだけでも見応え十分だ。

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ううむ、美しい。

常に頭の中に「晴れてたらもっと...」という余計な言葉がちらついてしまうが、私のような疫病神がそんな大それた願いを口にしてはいけない。


そこからはテント設営場所を探すべく樹林帯を彷徨う。

その様子はもはや東山魁夷の絵の中にでも入ってしまったかのような光景。

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見た目は静けさがあって幻想的なんだが、やってる本人達は結構な寒風に吹き付けられてプルプルしております。

しかしどこ行っても樹氷のトンネルだらけで気分は悪くない。

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そう、山だからって「景色」を求めるから毎度悲しい目に遭うのだ。

このように身近にある物だけ見てれば、景色だ何だと目に見えないものにいちいち裏切られる事もないのである。


しかしそんな僕の思いが伝わらなかったジャンダラKが、なぜか絶景ポイント「東ボタンブチ」に向かって行ってるではないか。

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僕は必死で「待て!やめるんだ!」と叫ぶが、その声は風でかき消される。

やがて彼は「鈴鹿山脈の名峰がズラッと見渡せる場所」に到達してしまう。

しかしもちろんそこから見えるのは白い絶望のみ。

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ガックリと肩を落とすジャンダラK。

だから言ったのに...。

僕レベルの心眼使いなら遥か富士山まで見る事は出来るんだが、まだ正常登山者のジャンダラKには白しか見えなかったはずだ。

彼はすっかりうなだれて大人しく樹林帯に消えて行く。

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その背中の寂しさよ。

今頃「なぜアイツを誘ってしまったのか...」と後悔している事だろう。


しかもついでに書いておくと、彼は今回新しいレンズで「星空」を撮るのを非常に楽しみにしていた。

言うまでもないが今晩星空が出る可能性は、僕の嫁が急に優しくなる可能性と同じ確率。

そもそも僕は登山歴5年にして、やっとこの前五色ヶ原で初めて星空に出会えた男。

次に我が頭上に星空が輝くのはまた5年先だ。

一蓮托生。

それが私の登山スタイル。

今後僕を誘う人は、大切な色んなもの失う覚悟でお誘い願いたい。

星空目当てで重い三脚を持って来た所で、そんなものはマゾの上塗りでしかないのである。



やがて比較的平坦な場所を探し当て、そこを今夜の幕営地とする事に。

その頃には汗を吸った僕のアウターがパキパキに凍るほどの氷の世界へ。

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急いで設営しないと全身がカチカチになって、気づいたら下山が春になってるなんて事になりかねない。

しかしこんな時に限って「待ってました」とばかりに吹き荒れる寒風。

今回が雪上テント泊二回目なんだが、突風以外のシチュエーションを味わわせてはくれないのだろうか?

頼むから晴れた無風の状態でゆっくりやらせてはくれないのだろうか?


いかん。

疫病神の分際でまた叶わぬ夢を見てしまった。

とにかく急げ。

荒れた厳冬期のテント設営をデートで例えるなら、手をつないだりキスしたりしてる回りくどい時間は命取り。

出会って即ベッドインくらいの気持ちでやらないと、みるみる体温が奪われて凍死してしまう。


そんな中、百戦錬磨のジャンダラKはまさかの「ツェルト」。

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この荒れ狂う暴風極寒の世界でツェルト泊とはさすが三河武士。

夜勤明けに1200mの暴風雪上でビバークしてから、また夜勤に突入して行くという大技だ。


そして僕の方もさらに荒れ狂う風と風邪の中、必死で富樫のペグダウン。

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しかし風が強いから全くうまくいかない。

何度やってもバランスが悪くてキレイに立ち上がらない。

あんなに庭で練習したにもかかわらず、やはり現場は過酷。

やはりどんなにホットドックプレスで予習した所で、いざ初Hともなれば頭は真っ白なのである。


もう何度目かの失敗で「ああ!もうダメ!やめたやめた!俺もう死〜んだ!」と全てを放り投げそうに。

しかし諦めたらほんとにそこで人生終了だから、再び最初から丁寧にやり直し。

その間野ざらしのザックからカメラまで全て凍って行って、さらに焦る。


やがて庭では5分とかからなかったテント設営に、実に1時間という時間を費やす事に。

結局なんだか斜めったフニャチン状態で立ってしまったが、とりあえず一晩過ごせそうだ。

設営の早さを買ってこのテントを選んだが、まだまだ庭で練習しないといつかこのテントに殺されてしまう。

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何気にジャンダラKもかなり風に苦戦を強いられて、同じく1時間近く格闘していた。


厳しい戦いだったが、とりあえずまだ生きる権利は確保された。

そして僕は早速シャングリラ内で「内装工事」に着手。

雪を掘って掘りごたつ風にし、テント内で座れるように改造すると...

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なんということでしょう。

さっきまでのテント内が、あっという間に居酒屋に大変身。

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マゾの匠とジャンダラKは悦びの乾杯なのであります。


ついに来た、夢の「雪上居酒屋・死暗愚痢羅(シャングリラ)」の開店日。

フロアレステントにしたのは、はっきり言ってこれがやりたかったからに他ならない。

標高1200mの誰もいない吹雪の中に現れたオアシスだ。


普通の人は「だったら普通に街で居酒屋行けよ」という正論を吐いちゃう所。

そして「風邪ひいてるのに酒飲むのか」と呆れる所。

だが何度も言うが私はロマンハンター。

これがあるから、白い世界でも心を折らずに笑えるのであります。


そしてそのロマンハンターの横で「ホルモンハンター」が動く。

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おもむろにテント内の雪のテーブルの上に、ロマンを展開して行くジャンダラK。

そもそもピエール滝似の男がシャングリラの中にいるってだけで、我々世代には懐かしいグルーヴ感。

やがて彼が「シャングリラッ、シャングリラッ」っと呪文を唱えた時、突然目の前に「ホルモン」が登場。

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これぞ彼が事前に入手して来た、三河地方の鶏肉マニア垂涎の名店、足助の「花の木」の味付けホルモンなのである。

たちまちテント内に「ジュンジュワァ〜」という艶かしい音が響き渡る。

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しかもこの風のない死暗愚痢羅に持って来いの、チタニウムストーブと固形燃料という小洒落たスタンス。

彼は肉だけでなく、このような僕好みの「道具」でもいちいち快楽中枢を刺激して来る。

おまけに「ホルモン鍋&うどん」という追い打ちも忘れない。

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素晴らしい。

僕は今回アルファ米とジャッキーカルパスだけで夜を飲み明かそうと思っていたが、このまさかすぎるおもてなしの嵐が実に最高だ。

ここまで彼には散々迷惑かけて来たから、この段階で「お前に食わすホルモンはねぇ!」と寄り目で言われても文句言えない立場なのにほんとありがたい。


そしてホルモン食いながら、ワインと梅酒が進む進む。

次第に話題はアツい山談義に。

「だからボカァね...。そこの醤油とってくらさいも言えないし、かといって自分で取り行くのもやらしいでしょ?だから一回トイレに行ったふりをしてから、戻り際にさりげなーく醤油取って席に戻るんですよぅ。わかりますぅ?養子ってねぇ、養子ってやつぁねぇ...」


そんな感じで山の話は盛り上がり、〆はホルモン汁をお湯とおにぎりの中に投入して「ホルモン雑炊」に。

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完璧に決まったジャンダラKのホルモン祭り。

最後は冷え冷えのみかんに感謝の祈りを捧げて終了です。

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こいつも弱った体の五臓六腑に染み込むうまさだった。


この完璧な厄払い儀式のおかげで明日は快晴間違い無し。

ホルモンパワーで風邪も吹き飛んで、ついに夢の青のドリーネ。


さあ、明日が待ち遠しい。

おやすみなさい!


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ううむ...


顔が冷たい...

なんだ?

顔に雪降ってるぞ

ここはテントの中なのに

一体何ごとだ?


そう。

これぞ居酒屋・死暗愚痢羅の代償。

テント内の結露が凍り、それが今小雪となって我が顔面に降り注いでいるのである。


そりゃあんだけテント内で調理して、おっさん二人がワイワイやってたんだから結露は凄まじい。

だってよく見ると↓最終的にテント内ガッツリ凍ってるしね。

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これが夜中になってパラパラ顔に降って来るというわけです。


結局これが気になって中々眠りにつけない。

それでも風邪薬飲んで意地で寝る。


おやすみなさい。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ううむ


なんだこの爆音は。

まるで数千匹の鳥がこのテントに次々と突撃しているかのようなこの音は。

これ風なのか?

それともヒッチコックの映画なのか?

今にもテントが吹き飛びそうな勢いだ。


だめだ、もう「飛んで行く」というビジュアルしか脳内ビジョンに映し出されない。

頭の中で勝手に108通りくらいの悲しいエンディングが展開して行く。

もはや生きた心地がしない。


しかもこんな時に凄く尿意が。

だめだ、気になったら今すぐしたくなって来た。

でも外は猛吹雪。


あれか?

あれやってみるか?

あれしかないのか?


僕はおもむろにショベルを持って雪のフロアを掘る。

そう、フロアレステントだから可能な、人生初の「テント内放尿」のお時間がやって来たのだ。


僕はその穴に対して膝をついてLの字の体勢に。

しかしやはり「理性」が邪魔しているのか一向に出ない。

かれこれ己の己をさらけ出してから2分が経過。

このままでは己の己が凍って、己の己で釘が打てるようになってしまうではないか。


僕は理性を押し殺し、心を無にして己の本能とだけ対話をする。

するとやがて少しづつ解き放たれる芳醇な雫。


やがてしばしの静寂の後、そっと下を見る。

そこには理性を乗り越えた者の前のみに現れるという「黄金のドリーネ」が輝いていた。

僕はそれにそっと優しく雪をかぶせ、再びシュラフに潜り込む。


良い夢が見れそうだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ううむ


だめだ、寝られない!

と言うかどんどん風が強くなってるぞ。


テントは常時「バタバタバタバタバタバタッ!」と大賑わい。

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もう不安でしょうがない。

ここはテーブルランド。

なんだかテーブルの上にテント立ててて、いつ来るか分からないマチャアキのテーブルクロス引きの瞬間を待っているかのような緊張感。

今引っ張られたら間違いなく空に飛ばされる。



ここからは寝たのか寝てないのかよく分からない、実に長い夜を過ごした。

そして酒飲んだ挙げ句、風邪薬まで飲んで、おまけに寝不足というスペシャルな仕込みが完成した時。


朝がやって来た。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


もそもそとテントから出る。

万が一にでも晴れ渡ってないだろうか?

うん。

もちろんそんなわけない。

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あれ?ゆうべ核戦争でも起きた?と思ってしまうほどの白い世界。

どこかにトキ兄さんが倒れてやしないか?


それにしても酷い風だった。

ジャンダラKはよくツェルトで一晩過ごしたもんだ。

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実はこれ見るまで、「朝起きてツェルトなかったらどうしよう」と本気で考えていただけにとりあえずホッとした。


で、中から出て来たジャンダラKさんと目を合わし...

周り見て...

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再び目を合わし、そして言う。

「撤退だネ」と。


周囲は検討の余地すら感じさせない、昨日より酷い白い世界。

もはやホワイトアウト寸前の文句無しの撤退日和である。


サクッとテント片付けて撤収する頃にはこの吹雪度。

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結果的に「苦しい思いしてホルモン食いに来ただけ」という華やかな足跡をこの御池岳に刻んでやった。

これがただでは死なない三河武士魂なのである。


そして白みを増した世界を戻って行く。

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いちいちスノーシューつけるのも面倒だからと、つぼ足でのテーブルランド脱出。

もちろん朝から楽しい膝上ラッセルです。

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どう見ても映画「八甲田山」のリメイク撮影現場にしか見えない。

しかしここまで真っ白だとこっちも色々吹っ切れて楽しくなる。


「我々に青のドリーネなんて必要はない」


そうプラトーンポーズで叫ぶおマゾ軍曹。

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形はどうあれ、彼は一番彼らしい形で戻って来たのだ。

おかえりなさい。

これぞあんたの復活祭だ。



やがて前日に殺されかけた地獄の断頭台へ。

しかし今日は下りになるから、ヒップアタックで一気に撃破だ。

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これぞ我々マゾ・ミッショネルズのタッグ技「マッゾル・ドッキング」。

二人揃って強烈なシリセードで悪魔将軍に一矢報いてやった。


そして、昨日は2時間近くかかって登った大急登をわずか15分で撃破。

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無事に生きたまま超人墓場(真の谷)まで戻って来たぞ。


しかしここで「あたりまえ体操」が。


山から谷へー

下ったあとはー

登るッ

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あたりマゾ体操〜


当たり前だが、ここから峠までまた登って行かねばならない。

しかも昨日の夜の雪のせいで、親切な新雪が深雪となって我らのマゾに彩りを添える。

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下山時とは思えないこのツラさ。

まだ二日目だが、なんだか随分長くこの鈴鹿の山中を彷徨っている気がする。

なのに山頂も落としてなければ青のドリーネも見てないという報われてない感。

いいぞいいぞ。


この登りが地味に相当キツかった。

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やがて白船峠に着く頃には、久々にヘロリンQ。

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その気になれば、いつでもリバースしてもう一回ホルモン鍋が楽しめそうな勢い。

もしくは勢い余って己のホルモンまで吐き出しそうなしんどさだ。


それでもまだここは終わりじゃない。

ここから例のMr.不明瞭・木和田尾さんの下山道。

歩きにくいトラバース道から、

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よく分からない道を抜け、

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ひたすら終わりの見えない長い長い道のりをゆく。

やがてボロ雑巾のように道路に出て、

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灰色でグチャグチャの世界の中をとぼとぼ歩いて、

やがて藤原簡易パーキングにてゴール。

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見事に徹頭徹尾悪天候だった。

果たしてジャンダラKさんは後悔してはいないだろうか?

ホルモンを振る舞った挙げ句、お返しに悪天候を振る舞われては随分と割に合わなかったはずだ。


本当、今回は病人の介護兼ガイドありがとうございました。

これに懲りてなければまたよろしくお願いします!


そして個人的には非常に充実した2Daysだった。

若干久々にしてはマゾを盛り込みすぎた感が否めないが、自分らしく生きれた気がする。

しかもやっぱり山だとノンストレスなのか、あっという間に風邪も治ったようだ。

いやあ、しんどかったけど楽しかった!




ちなみに帰り道で、本来行くはずだった小秀山方面を見てみました。

やたらと晴れてますね。

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うん。

まあ。

そんなもんでしょ。



さあ、嫌なものが目に入ったが、今回の山行で我が運命を強制的に切り開いたぞ。

もうここからは厄にまみれた負の連鎖を断ち切って、輝かしい日々が始まる。

ここからは良い予感しかしない。

やっと私の2015年が始まるのである。




でも僕はこの時まだ知らなかった。

あの実体のない「悪魔将軍」が、すでに僕の体に乗り移っていた事に...。


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帰宅後。

それは突然やって来た。


おや?と思った時にはもう遅い。

たちまち体中に駆け巡る嫌な予感。

いや、

嫌な悪寒。


とつてもない勢いで僕の体が大悪寒に支配されて行く。

その時の状況を分かりやすくバッファローマンで例えるならこんな感じだ。

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僕は悪魔に支配された。

たちまち熱が38度を越えて行く。

もう立ってられないほどに体がガタガタと震え、あまりの寒さに慌てて毛布にくるまる。


なんだ?

ここは家なのに、テーブルランドよりも寒いぞ。

寒い寒い寒い。


登山前に病院行った時はインフルエンザじゃないって言われてるから、インフルエンザではないはず。

さてはまた風邪がぶり返したのか?

やはり少々おマゾが過ぎてしまったのか?


結局そのまま一向に熱は下がらず、僕は翌日の会社を休んだ。

しかし一旦下がった熱もその日の夜再びスパーク。

平熱35度台の低体温人間のくせに、まさかの38.7度を記録。

いよいよ「ブシュウ...ブシュウ...」という吐息しか吐けない状態に。


さすがにおかしいと救急病院へ。

登山前に病院に行って、登山後も病院とはどんだけ病院好きなんだ?


こーたろくんの新春救急初詣以来の救急詣で。

なんという信仰心の厚い救急熱心な男なのか?

ポイントカードがあれば結構良い景品がもらえそうなほどの救急マニアだ。


そしてそこで下された診断。

ドクター・ボンベは言う。

「ハイ、インフルエンザですね。」って。




なんだそれ。


じゃあ何かい?

僕は早く風邪を治そうと行った登山前病院でインフルエンザを頂戴して、山でウイルスを育んで風邪が治ると同時に下山後に発症したと言うわけなのかい?


やられた....。

僕はもう既に体をサタンに乗っ取られていたんだ。


というかなんだこの流れ?

厄の輪廻を断ち切るどころか加速してるじゃないか。

そもそも毎年インフルエンザの予防接種受けてたのに、今年に限ってカマーホリックとか色々あって行けなかったんだよ。

それが今になって実を結んじゃうのかい?


もうダメだ。

この流れは当分止められそうにない。

思い切って松岡修造クラスの陽の男に抱かれてみるしか、この負の世界から抜け出す方法が見つからない。


かつては快晴の代償で風邪を引いていたもんだが、今や悪天候の山に行くだけでインフルエンザにまで冒されてこの身を奉納しなくてはいけないようになってしまった。

僕の2015年は一体いつになったら始まるのだ....。


というかジャンダラKは大丈夫だろうか?

一つシャングリラの下、思いっきり同じメシ食ってたぞ。

そして僕の爆笑飛沫とかも飛びまくってたし。

何なら結露の霜とともに彼にウイルスが降り注いでたし...。


ホルモン提供したのに、悪天候で返されてウイルスまで浴びせられるとは、彼も登場一発目から一体どこまで巻き込まれれば気が済むのか?

とりあえず後に確認したら移ってなかったみたいでホッとしたけど。




やがて救急から家に帰ると、鉄壁のマスクをした嫁によって即座に隔離部屋に監禁された。

再び捕われの身となってしまった弱り切った狼。

鏡に映るその顔は、やつれて酷く青ざめている。

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男はその青ざめた顔を見て、朦朧とした声で呟く。

「あはは...これかぁ...。これが青のドリーネかぁ...。キレイ...だ..な......」

そしてバタリと倒れ込む。


これぞ真の厄災男の身に訪れるという「青のマゾー寝」。

彼はやっと最後に白ではない、美しい青に出会ったのである。




それからたっぷり1週間。

男は徹底的に隔離され、完全に引きこもり状態。

あれほど外で遊ぶ事を願って過ごした3か月の果て、彼が辿り着いたのはより内なる世界。

ついに彼は自宅の一室に「封印」されてしまったのである。


廊下に置かれたメシをズズズッと部屋に引き寄せる時の切なさよ。

しかし彼はもう泣かない。

世界を氷と吹雪にしてしまう特殊能力を持つマゾと雪の魔王として開き直る。

彼はメシを暗い室内に引き寄せながら歌う。


ありのままの 姿見せるのよ

ありのままの 自分になるの

何も怖くない 風よ吹け


そして悪寒で体をガタガタ震わせながら、


「少しも寒くないわ」


と言ってバタンと扉を閉めて隔離部屋に引きこもる。

しかし部屋の中から時折嗚咽声が漏れ聞こえて来る。


なんでこうなるんだ...


いつまでこの流れ続くんだ....



悪魔め....



もういっそ蝋人形にしてくれないか....





真の復活はまだ先のようである。




御池厄除け復活祭 〜完〜


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〜おまとめ動画 「OIKEDAKE〜It'sSoHard〜」〜





〜ジャンダラKさんのブログ 「じゃんだらりん登山日記」より〜

163合目!!ホルモン祭り!!in テーブルランド(真の谷より)1日目

164合目!!ホルモン祭り!!in テーブルランド(真の谷より)2日目



御池厄除け復活祭 前編〜いざ地獄の断頭台〜

Posted by yukon780 on 05.2015 御池岳/滋賀 2 comments 0 trackback
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天気がころころ 無茶ぶりこ

御池にはまって さあ変態

悪寒が出て来て こんにちは

モクモク一緒に マゾりましょう



激しい風に乗ってどこからか聞こえるわらべ歌。

僕は薄れゆく意識の中で確かにその歌声を耳にした。

そして何度もその暴風に吹き飛ばされ、遥か天へと舞い上がる夢を見る。


ここは御池岳テーブルランドの樹林帯。

私は激しい強風の中、テントごと飛ばされる恐怖と戦いながら朝を待っている。

外は吹雪で白一色。

翌日の青空なんてミジンコの糞ほども期待出来ない状況。

吐く息が白いのは寒すぎるのか、それとも風邪がぶり返しているのか。

心無しか各所の関節が痛い。

そしてここまでの体力の消耗度もスペシャルだ。



しかし覚悟は出来ていたはずだ。

例え悪天候だろうと、絶賛風邪中だろうと、これは私自身が選んだイバラの道。

このところの厄まみれ人生に、己の力で強制的にピリオドを打つ荒療治。

ここで無理してでも山行っとかないと、待っているのは発狂死のみ。



ううむ、顔が冷たいな。

テント内に発生した凍った結露が、小雪となって我が顔面に降り注ぐ。


本当にこれで正解だったんだろうか?

どこかに「希望」のカケラは落ちていないのか?


とりあえず、ここまでの顛末でも振り返ってみようか。


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朝。

待ち合わせ場所の藤原簡易パーキング。


私の胸は「希望」で打ち震えていた。

3ヶ月ぶりの登山、そしてやっと訪れた今シーズン初の雪山登山。

そんな私の復活祭を祝福するかの様に、今「希望の光」が降り注ぐ。

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天気予報は決して良くなかったが、なんとここに来て青空と太陽が出現。

我が脳裏に走馬灯のようにこれまでの辛すぎた日々が駆け巡り、いろんな顔が現れては消えて行く。

追突して来た女の顔、電話越しの保険会社の男の顔、救急病院で絶叫するこーたろくん、脱ぎ捨てた服を片付けてくれないばかりか逆ギレする嫁の顔、etc...。


そんな感動で涙する男の元に1台の車が到着。

まさにその人がこの晴天を運んで来てくれたかのようなタイミングだ。


そう、その人こそが今回餓死寸前の僕に「肉」を投入して来たご本人。(前回予告編参照)

それがこの陽光に照らされながらグッと親指を立ててる晴れ男。

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まるでサンドウィッチマン富沢と中川家剛とピエール滝と若き日の綾小路きみまろが合体してまろやかになった感じのこの男。

彼の名は「ジャンダラK」という。


実は彼は僕と同年同郷の間柄。

何度か当ブログにコメントを寄せてもらった縁で、僕が勝手に「沢登り師匠」に任命させてもらった人。

そして彼も「じゃんだらりん登山日記」というブログをやっており、元大学ワンゲル部員だけあって山の技量もピカイチ。

僕のブログは無駄に文章が長いので、「ちゃんとしたブログが見たい」という方は間違いなく彼のブログを読んだ方が良い。(参照:じゃんだらりん登山日記


ちなみに「じゃん・だら・りん」とは三河地方の方言である。

分かりやすい例文で言うと、標準語で「そこの味醂見てごらん。すごく液がダラダラでしょう?まるで醤(ジャン)だね。」という一文があったとしよう。

これを三河弁で言うと、「味醂見てみりん。でらダラダラだら?醤じゃん。」という事になる。


そんな僕と同じ「三河武士の魂」を有するジャンダラK。

彼はメールの時点で「晴れ男になってみせます」と意気込んでいたが、どうやら本当に晴れ男だったらしい。



しかし相手が悪かった。

僕はかつて何人もの「自称晴れ男達」を闇に葬り去って来た過去がある男。

しかも今日は3ヶ月分のパワーが溜まっている。

まだ駐車場から出たばかりだというのに。

早くも世界は白に包まれた。

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さっきまでの青空&太陽の記憶は遥か彼方に飛んで行き、まだ道路なのにスタートのウキウキを雪が吹き飛ばして行く。

かつて葬って来た晴れ男達がそうであったように、これにはジャンダラKも「まさか!」という表情。

早くも「これが噂に聞くカヌー野郎の世界観なのか」と驚きを隠しきれない様子だ。


と、こんな感じでお互い挨拶代わりの「力」を見せ合って登山口へ。

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今回はこの木和田尾道から侵入し、峠一つ、谷一つを越えて、地獄の直登戦線の果てに御池岳のテーブルランド(広い台地状の世界)を目指すのだ。


そして「木和田尾」と聞いてピンと来た人は相当なこのブログのマニア。

そう、ここはかつて僕が初めて「リアル遭難」しかけた記念のエリア。(参考記事:鈴鹿セブン四発目〜藤原岳〜後編

この時は助けを求めて来た青年を助けようと見事に二重遭難してしまったという失態だった。

あの青年も厄まみれ男に助けを求めるとは、ほとほと運のない男だった。

あれ以来、この木和田尾には近づいていないが今回は大丈夫だろうか?


そして早速襲いかかる「さあ迷え」と言わんばかりの不明瞭木和田尾ワールド。

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ただでさえ風邪ひいて頭がボーっとする中でこれはキツい。

しかしこの木和田尾道を何度も経験済みのジャンダラKはスルスルと進んで行く。

もはや一体どこがルートなの?という世界でもしっかりナビゲート。

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実に頼りになる三河武士だ。


しかしもう一方の三河武士は早くも虫の息になっていた。

久しぶりの登山、かつこの数日風邪で寝込んでたんだから無理もない。

しかも風邪は治ってなくて、本来なら家で横になってなきゃいけない状態。

たまりかねて休憩する様は、もはやちん毛の中を彷徨うケジラミのように惨めだ。

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なぜ彼はここまで無理をしてしまうのか?

やがてはまだ峠一つも越えてないのに、早くもバテバテになって「メシ食いましょう...」と大休憩。

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恐らくこの時点でジャンダラKさんは「あれ?こいつ全然動けねえじゃねえか。大丈夫か?」と不安になった事だろう。

正直僕自身も「あれ?全然体が動かない。この先大丈夫か?」と不安で一杯だ。

だがこれは登山ではなく厄払い。

楽しいだけではこのヘドロのような厄は振り払えないのである。



やがて木和田尾道を抜けて白船峠に到達。

いよいよ世界はグレイッシュな氷の世界へ。

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ここまでサクッと着いたみたいになってるが、本来ならこの時点で一般的な鈴鹿の山一個登ったくらいの場所。

しかし目指すテーブルランドはまだはるか先。

このせっかくゲロ吐く思いで上げて来た高度を無にするかのように、一旦ガツーンと真の谷まで下降して行かねばならんのである。

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雪も膝下まで深くなって、悲壮感漂いまくる世界。

いよいよこれから鈴鹿の深部に向かって行くという緊張感。

ビジュアル的に、絶対に風邪ひいてる人が立ち入っちゃいけない領域だ。


実は喉元まで「いやあ...僕、そろそろ帰ろうかなあ...」なんて言いかけてしまったほどしんどかったが、とにかく行ける所まで行ってみようと「エイヤッ」と突入。

ムッハムッハと深雪をかき分けて行く。

そして何度もハマっては「ガハッー!ガハッー!」と悶絶する事に。

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しかしその表情を拡大してみると...

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ニヤついている!


そう、今彼は心の底から3ヶ月ぶりのマゾの悦びを全身で噛み締めているのだ。

こうなってくるともうこの男は誰も止められない。

「風邪は現場で治す」と公言していたように、こうなると不思議と風邪の症状も吹き飛んで行く。

彼はスーパーサイヤ人のように痛めつければつけるほど強くなって行く不思議な生物なのである。


この背後から迫り来る「グハー!グハー!」というトランス状態の男の迫力につられ、ジャンダラKも負けじと埋没遊戯。

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ここは地獄か天国か。

ここから先はマゾの花園。

昨日今日マゾになったばかりの新人は決して立ち入ってはいけない領域。

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死して屍拾う者なし。

僕らは好きでこういう事をしているんです。



そんな埋没パーティーをひとしきり楽しんでいると、やがて「真の谷」への入り口に到達。

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ここは別名「魔の谷」。

さらにその別名に別名を加えるなら「超人墓場」と呼ばれているとかいないとか。


かつて僕は鈴鹿セブンマウンテンを「7人の悪魔超人」に例えて撃破して行ったが(参考記事:鈴鹿セブン完全制覇〜7人の悪魔超人編〜)、鈴鹿山脈の最高峰はあくまでも御池岳。

言ってみれば御池岳はセブンマウンテンを統括する「悪魔将軍」。

その悪魔将軍と戦う為には、この超人墓場を脱出してその先の最大の難関を突破して行かねばならない。

それがこの「地獄の300m大直登断頭台」である。

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写真ではその気の遠くなるような迫力が伝わりきらないが、基本的に膝上クラスの深雪の急斜面が延々と続く大技。

途中で心が折れた者から順に、このように再び超人墓場に突き落とされるのである。

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この谷にはそんな無念の末に死んだジェロニモとかが埋まっているのである。


しかしここでひるんではマゾの名折れ。

しかも我々は、背中に傷を負わず常に前のめりで死んで行った三河武士の末裔。

ここでついにスノーシューを装着し、

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数々の超人の屍を越え、

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いざ、地獄の断頭台へ。

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瞬く間に心臓が破裂寸前。

鼓動はたちまち16ビート。

全身に突き抜ける山吹色の波紋疾走(オーバードライブ)。

これは想像以上にハードだぞ。


もう一歩一歩の体への負担がハンパ無い。

角度が急すぎて、一歩進むごとに半歩分ずり落ちるスノーシュー。

そのずり落ちを止める為に腿は常時強烈パンプアップ。

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かろうじてジャンダラKの先頭ラッセルで階段状になった道をしれっと盗みながら進むが、それでも一歩づつの負荷が凄まじい。

1m進むだけでぐったりなのに、これが300m続くという。

さすがは悪魔将軍である。


もはや何もしゃべる事も出来ず、ただひたすら「グハー...グハー...グエッ!ムハァ〜...」という音しか漏れて来ない。

そして勝手に「治った」と言い張っているが、確実に風邪による全身倦怠感がこの地獄をより華やかなものにしてくれている。


そんな後方から追ってくるダースベイダーから逃げるように、果敢に悪魔将軍の攻撃をかわして直登して行くジャンダラK。

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何気に彼のマゾい所は、これでいて彼は夜勤明けでそのままここに来ていると言う点。

しかも明日下山したらそのまままた夜勤に突入して行くという変態さ。

またここに新しいタイプの追い込み系マゾ超人が現れたようだ。


そんなハイパー超人について行くのがやっとの超人強度1万パワーの男。

ついに僕の心はボッキリと折れた。

その隙を悪魔将軍が見逃すはずもなく。

僕は無抵抗でマットに沈められた。

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そして息を引き取った。

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もはやここまでか...。

いささかおマゾが過ぎてしまったのか...。


しかし、それでも彼はなお生きていた。

本音を言えばこの時正直喉元までゲロが遡上していた。

しかし彼は立ち上がる。

この3ヶ月、溜まりに溜まったストレスはこの程度では発散されはしない。

悪魔将軍の攻撃なんて今の僕には通じない。

なんせ僕自身が「厄災将軍」なのだから。



こうして息を吹き返した厄災将軍と夜勤将軍の二人の超人。

それでも見上げる先はエンドレスフィーバー。

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こうなったら意地と意地のぶつかり合い。

我々「マゾ・ミッショネルズ」のタッグプレーでこの急登を撃破してみせる。


と、タッグプレーと言いながらただひたすら先頭をジャンダラKに行ってもらって、僕は「必殺ラッセル泥棒」に徹する。

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今の彼になら時給5,000円を払っても惜しくない。

今頃彼は「なんでこんな奴に声かけちゃったのかなあ...」と後悔しているに違いない。

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いよいよお互いにヘロヘロしてきた状況で、ついにテーブルランドの入り口を捉えた。

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もう少しだ。

もう少しで極楽浄土のテーブルランドだ。


辺りの光景もいよいよその時に向けて美しさを増して行く。

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もう体が疲れすぎて、台湾スイーツの雪花氷にしか見えない。

だがあともう少しなんだ。


この先には台地状の広大な雪原が広がり、空の青と雪の台地と樹氷とのコントラストがたまらない絶景が待っているという。

口の中をゲロの酸味で一杯にしながら、苦労して登って来た者だけに許された大絶景。

ひょっとしたらここまでの苦労を見てくれていた山の神が、ここに来て一気に大快晴を提供してくるかもしれない。



いざ、感動の瞬間へ!

青と白の大絶景!

着いたぞ!

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これがテーブルランドだ!

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私は叫んだ。

心の限り叫んだ。

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井戸田のように叫んだ。

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「白〜〜〜い!」と。





...毎度の事だ。

正直こうなる事は登る前から分かってた。

いや、この計画が持ち上がった段階から覚悟は出来ていたんだ。


むしろこれでいいんだ。

今、僕はこうしていつも通りの真っ白な世界に身を置く事が出来ている。

それだけでも幸せだ。

この白さ。

もはや母の懐に抱かれているような気分である。



こうして僕らは真っ白なテーブルの上に上陸した。

もはや精根尽き果てて頭の中も真っ白だが、まだこれからが本当の勝負。

これからこの病弱な体で、寒風吹きすさぶ雪原での雪上テント泊。

しかも初導入の底なし根性テント「富樫源次(シャングリラ3)」の初現場張り。

もうここは自宅の庭ではない。

いよいよダイレクトに大地をこの身に感じながら凍死する時が来たようだ。


そして不適に笑うジャンダラK。

彼は「今夜、俺のホルモンが爆発するぜ」とニヤリとする。

一体彼は何を企んでいるのか?


そして反撃の機会をうかがう悪魔将軍。

実体を持たない彼が次に一体どんな攻撃を仕掛けてくるのか?

そもそも御池岳の山頂を落とす事は出来るのか?


いよいよ風雲急を告げて来た厄除け復活祭。

そして一話で終わらせようと思ってたのに、久しぶりすぎてまた余計な長文になってしまってまさかの後編へ。


果たして彼は最後に笑う事は出来るのか?

色んな事を耐えて来た男に光は射すのか?


運命の歯車は、壮大なフィナーレに向けて動き出したのである。




御池厄除け復活祭 後編へ 〜つづく〜




WhiteWorld 御池岳復活祭〜予告編〜

Posted by yukon780 on 04.2015 御池岳/滋賀 0 comments 0 trackback



ついにこの日がやって来た。


数ヶ月に及ぶ厄まみれ生活。

毎日のように迫り来る細かすぎる不幸の数々。

それはもはや「厄のデパート」と言っても過言ではないマゾの海。

そんな中で、カマーホリックを皮切りに息子の新春ボーンクラッシュにも巻き込まれて完全に身動きの取れない状態に。

何度か遊ぶ計画は立てていたんだが、そのことごとくが闇に葬られた。

そして遊びに行くどころか家からも出ることも出来ず、挙げ句2週連続で「庭男」という負のモンスターに成り下がることに。


で、気づいた時には去年10月の五色ヶ原以来、実に3ヶ月以上の禁欲生活を強いられることになってしまった。

その間の週末の天気の良さと言ったらどうだ。

特に庭でテント泊してた時なんて、人をバカにしたようなピーカンだった。


しかしそんな苦渋の生活にいよいよグッバイの時が。

僕のむち打ち症状も多少落ち着いて来て、こーたろくんの腕の固定も外れて骨もくっついた。

もう私を遮るものはない。

いよいよ復活の狼煙を上げるときだ。


そんな鎖が外れて腹を空かしまくった狼の元に、とある人物から「肉」が放り込まれる。

それはこのブログの読者で、この夏に沢登りを教えてもらおうと思っている人物。

彼はこの絶妙なタイミングで、「小秀山か御池岳に行きませんか?テント泊で。」とメールして来たのである。


彼にとっては軽い気持ちで誘って来たかもしれないが、僕にとっては神の啓示にすら思える誘惑だった。

それはまさに、餓死寸前の男の前に突然A5ランクの松阪牛ステーキとビールを差し出されたようなものだ。

もちろん僕はその誘いに貪りついたのは言うまでもない。


そこからの我が浮かれぶりは容易に想像していただけることだろう。

道具のメンテナンスも抜かりはなく、小秀山に関しても調べに調べた。

ブランクがあるから、空き時間には必死で走って体作りに邁進した。

そしてその結果どうなったか?

このブログを良く読む人にはピンと来たはず。

決行日二日前。

そう。

僕は「風邪」で倒れたのである。



もはや恒例となって来た登山前病院送り。

楽しみにすればするほどに体調を崩して行く職人芸。

しかも風邪を引いたのが、その3ヶ月前の五色ヶ原の時以来というから素晴らしい。

一体この体はどういう構造になっているんだろうか?


しかもである。

何の前触れもなく、突然左肩肩甲骨付近に激しい痛みが勃発。

これもいつもの事ではあるが、雪山装備の重量ザックを背負うには随分と楽しい状況だ。


さらにいつものパターン。

晴れ時々曇りだった予報はみるみる不穏な気配へ変化し、時折「☂」という見慣れたマークが登場。

しかも赤い字で「風速20m」なんて書いてある予報まで。

やがては全国的に寒波・大雪・暴風という、ここ暫くなかった悪天候列島へ。

先週まであんなに穏やかだったのに。


ここで僕が普通の精神状態なら「今回はやめておきましょう」と言う所。

しかしこの時の僕は飢えた狼。

目は血走り、手足はワナワナと震え、血管も浮き出た状態。

そんなストレスの固まりに対し、再び「おあずけ」なんて言おうものなら発狂して己食いを始めてしまう。


何が何でも行く。

そうでもしないと、この何ヶ月も続く厄災生活にグッバイ出来ない。

実はこれでもちゃんと神社に厄払い行って来たんだ。

でももう神の力を持ってしても我が闇の力は衰え知らず。

むしろ僕自身が疫病神そのものな気さえして来た。

だが今こそ己の力でこの悪い流れを無理矢理こじ開けるのだ。

モーゼのように厄の海を切り裂き、自分の人生を取り戻すのだ。

頼れるのは己だけ。

風邪なんてもんは現場で治せば良い。

とにかく自分の力で普通の人生を取り戻すのだ。



僕は全身から「悲壮感」というオーラをふりまいて未来を見据える。

本来行くはずで、あれ程下調べしまくった小秀山は「暴風」の為却下になってしまったが、まだ御池岳が残っている。

今まで中々行く機会がなかった鈴鹿山脈最高峰の山。


果たしてこんな体調不良の状態で行けるものなのか?

それは愚問だ。

私にとって、風邪と背筋痛は通常のコンディション。

いや、マゾ的観点からするとそれはベストコンディションと言える。

これほど我が復活祭にふさわしいステージはないではないか。



それでは次回、本編「御池にはまってさあ変態」をお送りします。

必死に運命に立ち向かう男の勇姿。

しかとその目に焼き付けましょう。




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