スポンサーサイト

Posted by yukon780 on --.-- スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

マゾピース5 大脱出編〜そして伝説へ〜

Posted by yukon780 on 09.2015 雲ノ平〜高天原/富山 2 comments 0 trackback
5_20150903162447083.jpg

伝説がついえる時

また次の新しい伝説が始まる。


かつてこの世のすべてを高天原へ置いて来たゴールド・ロスター。

そして今

その新世界で大秘宝マゾピースを手に入れた中年ジョージ・マゾリー。


彼と仲間達の冒険の旅はまだ終わらない。

無事に生還して初めて

ロマンはマゾとなり

男は漢になる。


傾き傾られ雲ノ平。


さあ

時代はまさに大後悔時代!


やがてそれは

新たな伝説への始まりとなる。


おマゾ王に

俺はなる!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【後悔日誌 8月10日】


5:00


長く苦しい夜だった。


なぜ普通のテントをもって来なかったのか。

そしてなぜシュラフをもって来なかったのか。


この憧れの大地雲ノ平で、私の中の後悔は円熟の時を迎えたようだ。

全く疲れが抜けてないどころか、一晩かけてじっくり拷問を受けたような気分。

歩き続け、マゾり続けた2日間の蓄積疲労が今見事に花開いた爽やかモーニング。


しかしこのグランドラインにはエスケープルートなぞ存在しない。

生きて帰りたかったら、この2日間かかって来た同じ航路を1日で帰るしかない。


私は、北アに入って「本日4日目」という黒光り男優とともに幕営地を出発。

彼もさすがに度重なるハード撮影の日々だっただけに、その疲労の色は濃い。


そして雲ノ平キャンプ場の入口には、渋く佇む赤き怪我人の姿が。

IMGP1712_2015090316535787c.jpg

彼は言う。

「おはよう...ございます...。僕は怪我してて二人には着いて行けません。どうか...お先に...お気に...なさらず...」と。


本日も美しく決まった、怪我人奥義「ハロー・グッバイ」。

まだ出航前だというのに、おはようの挨拶と共に早くも船員が一人離脱。

やはり本日も厳しい航海になりそうだ。


だがその一方で、早朝「生卵赤まむし」を飲んだ黒男優は朝からギンギンだ。

IMGP1713_201509031654004a1.jpg

実は彼はボカボカの実を食べた変態歩荷人間。

重いテン泊装備を担ぐと、なぜか途端に元気が出てスピードアップする男。

撮影時でも彼は、「担ぎ系はまかせな!」とばかりに彼にしか出来ない体位をいくつか編み出した。

それが重宝されて宇宙企画のエースにまで登り詰めたことはあまりにも有名な話だ。


昨日は軽装だったから普通だったが、テン泊道具を担いだ今日の彼は本気だ。

彼がボカボカの能力を発動させると、周りの人間まで「歩荷スピードハイク」へと巻き込まれてまう。

昨日はやたら動けない怪我人で、今日はやたら動きすぎるAV男優。

私はこの船に乗せる仲間を間違えた気がしてならない。


そんな彼の「あおり重圧」を背後に感じながらも、美しき雲ノ平の航海は続く。

IMGP1714_20150903165403d95.jpg

IMGP1716_201509031654070de.jpg

山頂から見るご来光も良いもんだが、雲ノ平に降り注ぐ朝日を浴びるのも実に良いもんだ。

IMGP1718_20150903165410aeb.jpg

しかし追い込み男優は「朝日なんぞ何の重さにもならねえ。クソ食らえだ。」とばかりに私をあおり続ける。

余韻に浸ることなど許されない。

この世界からの脱出とは、それほどの過酷な覚悟が必要なのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


7:00


笑っている。

私ではない。

我がヒザが皿を抱えて大爆笑しているのだ。


実はあの後、我々はかなり速いペースで雲ノ平を脱出した。

そしてそこに待ち受けていたもの。

それは昨日の朝、起き抜けからゲロ吐きながら登り続けたあの悲劇の「エンドレスハイパー急登」。

もちろん今日は復路だから、延々と続く「エンドレスハイパーひざ殺し急下降」だ。


昨日、ハードに左ひざを痛めていた私に訪れたこの試練。

1_20150903165515ef3.jpg

一歩一歩段差を下りる度、背中の重みがヒザに一点集中。

その度に嫁にハンマーで叩かれたような痛みがほとばしり、顔を歪めずにはいられない。

その度に本気で、「ヌフッ!アアッ!トゥハッァァ!」などの声が漏れまくる。

そして後ろから「いいよぉ!もっと、もっとだぁ!」と肉薄する男優の圧力。

山中はたちまちマニア向け作品、「ホモトーーク」の撮影現場に。


休みたいけど休ませてくれないボカボカの能力者。

さすがの私も、裏声で「もうだめぇぇぇぇぇッ!」と荷物を置いて悶絶。

DSC00003.jpg

私はいつもはよっぽどの事がないと道中で荷物を降ろして休憩なんてしないし、このようにオネエ化することもない。

やはり半年間のブランクと老いは、思った以上に我が肉体を弱体化させていた。

こんな苦しいお膝事情は登山を始めた頃以来だ。


黒男優も「情けないすねぇ。なんかしばらく見んうちにデブになってるし。僕の尊敬してたマゾリーはこんなもんじゃなかったはずです。」と、先輩の老いを哀れみの目で見て来る。

確かに最近の私は老眼が始まり、白髪の量も増加の一途で、残尿感も凄まじい。

ちょっと気候が変わればすぐ体調を崩すし、座ってから立ち上がれば100%立ちくらみ。

冷え性も酷くなる一方で、かと言って温めすぎると汗かいてすぐに全身あせも。

贅肉感も素晴らしく、腹の肉で己のちんこが見えない事もしばしば。

そして年々酷くなる物忘れや忘れ物。


ロマンを探すとかより、まずはどこか良い病院を探した方がよかったのだろうか?

山道具で散財ばっかりしてないで、大金払って結果にコミットしてた方がマシだったのだろうか?


しかしまだまだ老け込む年齢ではない。

男たるもの、尿は残しても悔いは残すな。

意地でもこの世界から生還してみせる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


8:00


ついに我がお膝元、限界突破。

動きがカクカクになり、久しぶりの生まれたて子馬スタイルに。

DSC00008.jpg

ヒザの爆笑ヒットパレードは留まる事を知らず、もはや立ってるのもやっとの状態。

頑張ってガクガクしながら一歩一歩進んでいくが、たまに石で足を滑らすと本気の大声で「ダアアッッ!」と突然猪木に。


それでも血の汗を流しながら、根性でこの「ハイパーひざ殺し急下降」を撃破。

DSC00010.jpg

なんとか昨日の奴隷船、薬師沢小屋まで帰って来たぞ。

IMGP1721_20150903165416e38.jpg

しかし当然ここがゴールではなく、先はまだまだまだ長い。

しかもである。

私はこの小屋に余計な「沢道具一式」を預けてあったのである。


もちろんそれを回収し、急激に重さが増したザックでさらにヒザに負担をかける事に。

沢靴を外付けしたせいで、何やら足が二つある新しいゆるキャラ的歩荷スタイルへ。

DSC00014.jpg

この写真をそのままゆでたまご先生に送れば、新超人「ビッグ・ザ・マゾー」として採用されるかもしれない。


当然水を吸いまくったフェルトソールの沢靴は重さを増している。

普通の登山者は日が経つほどに荷物は軽くなるが、パックトランパーはなぜか毎回後半に向けて重くなって行く。

体感的には23キロくらいか。

我が後悔は相変わらず止まらない。


その後も私は、この余計な重量と共に足を引きずりながら突き進む。

もうとにかく荷物を降ろして大休憩したい。

私は後方から圧力をかける後輩に、「お願いです...どうか...休ませて...ください...」と先輩らしく懇願。

しかし振り向くと奴の表情は鬼畜の顔に変化していた。

IMGP1722.jpg

彼は「片腹痛いっすね。天下のジョージ・マゾリーの名が泣きますよ。」と言って一切休ませてくれない。


それでもすがるように「リアルなんですよぉ...マジ痛いんすよぉ...。これじゃ次の目的地“薬師沢左股”まで体がもたないっすよぅ...」と泣きつく。

すると彼は「しょうがないすね。あと少しの所に休憩のベンチがあります。そこまでは頑張りましょう。」と言ってくれた。

やはり持つべきものは優しい仲間なのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


8:30


鬼畜教官が「あと少しで休憩のベンチ」と言ってから、一体どれほどの時間が経っただろう。

どこまで行ってもその「ベンチ」が全然出て来ないのである。

DSC00015.jpg

騙された。

とうに限界を超えてるのに、全然休む事が許されないSMの館。

このままではベンチが出て来る前にウンチが出てしまう。

頼むから休ませて...。


その時。

私を哀れんだ神のご加護だろうか。

なんとこの段階で、我が買ったばかりの自慢のトレッキングポールが抜けてはいけない所からスポンと抜けて壊れたのである。

DSC00017.jpg

これ以降、何度戻してもちょっと土に突き刺さる度にスポンスポン抜ける愉快なポールに変化。

全く安心して体重を預ける事が出来なくなり、いよいよ我がヒザに絶望の炎が灯り出す。


笑いが絶えないヒザ。

使えないスポンスポンポール。

圧力をかけて来るAV男優教官。

いつまでも出て来ないベンチ。


インドアの家の中では全く大人しく出来ない私だが、この時ばかりはついに言ってしまった。

「もう、早くおうちに帰りたい。」、と。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


9:00


随分と長い「あと少しのベンチ」だった。

「あと少し」と思いながら延々と歩き続けるのは、肉体のみならず精神すら破壊して行く。

何とかベンチに辿り着いた時、私は突然充電が切れたASIMOのようにそのベンチに倒れ込んだ。

IMGP1725_20150903165424c4a.jpg

結局雲ノ平出発から5時間、ヒザを爆笑させながらほとんど休まずにマゾらされてしまった。

後方の鬼畜サド男優は、これを見てよだれを垂らしてギンギンになりながら興奮して悦んでいる。

しかもである。

このベンチのすぐ先が、私が「このままじゃ次の目的地“薬師沢左股”まで体がもたないっす」と言っていた「薬師沢左股」だったりするのだ。

IMGP1726_20150903165428956.jpg

この鬼畜男優の、してやったりのサディスティックスマイル。

ゼハゼハと恨めしそうに男優を見ながらも、どこか嬉しそうな私。

ほんとにこのビデオ、需要があるのだろうか?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


9:30


この薬師沢左俣は、1日目の時私が我慢出来ずに突入して行った沢。

今日は本来、ここから沢登りで稜線まで行って北ノ俣岳経由で太郎平に行くつもりだった。

しかし昨日、テンカラフィーバーですっかり調子に乗っていた我々は、「もう沢登りやめてイワナと戯れましょう」と方向転換。


もういちいち沢装備に着替えるのも面倒なんで、ネオプレンソックスだけ履いてレッツテンカラタイム。

結果このような格好になり、その怪しい風体はまさに「変態盗撮王」。

DSC00019.jpg

もしこんな男が繁華街にいたら、職務質問から連行されるまでの最短時間を更新するのは間違いない。

しかしこんな変態ですら、軽々とその街の女をナンパで釣り上げちゃうのが可能なのがこの世界。

2_20150903165137ac7.jpg

尻が軽いにもほどがある節操のないイワナ達。


もちろん黒男優が「チワース!君カワウィーネー!AV出てみない?」と軽薄にナンパしても、

IMGP1728_201509031654318d1.jpg

ホイホイと釣れてしまう。

DSC00018_20150903165303818.jpg

こうしてまたも次々とスカウトを成功させて行く北ア新宿スワンコンビ。

これで幹部昇進間違いなしだ!とばかりに浮かれが止まらない。


途中、このような巨大なイワナとの激闘もあった。

11214278_717707098334123_5646004991020875477_n.jpg

このように、思わず飛び込んで二人掛かりでなんとかものにしてやった。

これですっかりホクホクで浮かれが止まらないマゾキチ三平と黒谷地坊主。

DSC00021.jpg

その時である。

突然太陽の周りにぐるりと虹がかかるという「ハロ現象」が巻き起こった。

3_201509031651403c9.jpg

かつて古代の人々は、このハロ現象をお釈迦様のご光臨だと言って崇めたと言う。

そして今。

我らの前にも聖人が降臨した。

IMGP1729_20150903165435853.jpg

いや、ただの通りすがりの怪我人だ。


我々が散々ここでイワナ釣りで浮かれまくって昼飯食ってた時、とうとう彼が雲ノ平から追いついて来たのだ。

さあ、ここからはやっと3人での航海が始まるのか。


と思ったのも束の間、「ぼ...僕は怪我..してて..追いつかれるんで...。先に...進んでます...。お気に...なさらず....」と言ったかと思うと、あっという間にその場から姿を消した。

一体いつになったら彼と一緒に航海出来るのだろうか?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


12:00


スカウトしたイワナ嬢達に「その気になったらいつでも電話して」と名刺を渡して優しくリリースした我々は、再び脱出の航海を続けた。

DSC00022.jpg

私は黒男優にヒザをテーピングしてもらってのギリギリ航海である。


そしてここから太郎平までは延々と地味な登りの区間。

蓄積疲労と膝の痛みでリアルにヘロヘロになっていく私をよそに、後方の圧力男優の勢いは増すばかり。

4_20150903165144d67.jpg

彼は常にニヤニヤしながら、我が耳元で「ツラいのか?あ?もうダメ?どうなの?え?行くの?行かないの?どっち?ねえ...」とねちっこく私を追い込んで行く。

こいつは本当に仲間なのだろうか?

本気の懇願で「ちょ...ちょっとだけ休ませて...」って言っても、「立ったまま10秒ね。...はい10秒。そら動け。ムゥゥゥーブッ!」とムチを打つ。


いよいよ限界が近い。

もはや目もかすんできた。

11_20150907115501828.png

クソ重い荷物に押しつぶされて死ぬ前に、せめてケンシロウの成長した姿を見たかった。


そんな感じで私が南斗白鷺拳のシュウと化して来た頃、ついに救世主伝説が動き出す。

なんと死の直前の私の前に、あの男の姿が。

5_2015090316514715f.jpg

見える...。

見えるぞ、お前の顔が...。

神が最後に一つだけ願いを叶えてくれた。

私の人生は間違っていなかった。

もはや悔いはない。

ゆけ!ケガニン!

時代を開け!

私はいつもでもお前を見ている。


さらばだ…。

10117679068_s.jpg

必死で駆けつけたケガニンの努力も虚しく、私は聖帝十字陵に散った。


かに思われたが、怪我人は怪我人の扱いに慣れている。

たちまち私は救世主の怪我人に助け出されて、なんとか命をつなぎ止めた。

DSC00025_20150903165324ffc.jpg

そう、私たちはまたしても仲間の怪我人に追いついたのだ。

そしてそれは何を意味するかと言うと、この怪我人が私の身代わりとして、鬼畜教官の圧力を受け続ける羽目になるという事なのだ。

IMGP1731_20150903165438dbe.jpg

やっと怪我人が役に立つ時がやって来て、私は黒男優の圧力から解放された。

怪我人は「しまった」と言う顔をしながら、再び奥義「ハロー・グッバイ」でその場を逃れようとする。

彼は「僕は...ケガをしてるので...どうぞ..おさ」と言いかける。

しかしその言葉に被せるように、鬼畜AV監督「団 黒鬼六」が叫ぶ。

「バカヤロー!怪我してるからこそ需要があるんだよ!見せてくれよ、お前の喘ぎ顔を!」と、怪我人をロックオン。

IMGP1736_2015090316544879f.jpg

たちまち怪我人の「アッー、もう!だから追いつかれるのイヤだったんだよぅ...」という声が漏れまくる。

そして本気で嫌がる怪我人のアヘアヘ顏に対し、黒鬼六はホクホクでこの表情。

7_20150903165154cc7.jpg

歩荷スタイル時でのこのような彼のサディスティックな追い込みこそ、彼の作品がマニアの間で高い評価を受け続ける要因なのである。


しかし怪我人もプロの怪我職人。

黒鬼六監督が相変わらず「立ったまま10秒」の休憩しか与えてくれないのに対し、彼も巧みな作戦に打って出た。

彼は監督に対し「すいません、ちょっとザックの中の水をとってもらっていいですか」と頼んでちゃっかり座って休憩。

IMGP1732_201509031654423b9.jpg

さらには「ないぞ」という監督に対し、「あれぇ...おっかしいなあ」と言いながら巧みにザックを下ろして休憩。

IMGP1733.jpg

この怪我人のあからさまな休憩工作に、さすがの鬼六監督もしてやられたりの表情。

おかげで私もやっとじっくり休憩する事が出来た。

やはりこの怪我人を仲間にしておいて良かったぞ。


しかしこれが監督の逆鱗に触れ、彼の我々に対する追い込み圧力はさらに激化。

そこからは10秒立ち休憩すらなくなり、猛烈に私と怪我人はディープなマゾを演じ続けさせられる羽目に。

DSC00027.jpg

DSC00031.jpg

やっと3人が揃っての楽しい航海なのに、笑顔も会話もなくただただ己の限界と向き合う二人。

一方で、黒鬼六監督はこの悪い顔で大満足の表情。

8_20150903165158133.jpg

この時初めて私は仲間を疑った。

こいつは海軍の送り込んだ「潜入工作員」じゃないのかと。


しかし仲間を疑ってはいけない。

何とか3人力を合わせ、この世界から脱出しなくてはならないのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


13:20


長く苦しい撮影だった。

ついに我々は、3人で生きたまま太郎平まで登りきったのである。

IMGP1741_201509031654590ac.jpg

激しい1本撮りだったが、実に良い作品が撮れて皆一様に満足顔だ。


しかしここでついに悲しい別れの時が来た。

追い込み撮影に嫌気がさした怪我人は、「僕はもうこの船を降ります。」と宣言。

残念だが、彼は「こんな目に遭うのなら海軍に自首をする」と言ってマゾワラの一味から脱退。

我々は固い握手をして、この太郎平で怪我人と真のお別れをした。

9_20150903165202489.jpg

結局この三日間、彼と行動を共にしたのはわずか1時間ほど。

忘れた頃に颯爽と現れて、強烈な印象を残してまた消えるというフェニックス一輝のような男だった。

ある意味凄い実力者である。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


14:00


苦楽を共にしたのかしてないのかよく分からない大切な仲間を失ってしまった。

そしてそれは何を意味するかと言えば、私は再び黒男優の暑苦しい後方圧力に晒されるという事である。

彼は後方からことさらに乳首を強調させながら、「オラオラ。欲しいのか?欲しくないのか?さあ、どっちだ!」と詰め寄って来る。

10_20150903165205c65.jpg

地獄だ。


私は逃げた。

彼の圧力から必死で逃げた。

それでも背後から黒い邪気は執拗にストーキングして来る。

11_201509031652102c2.jpg

ここで私は気づく。

実は奴は仲間の振りをして、私のマゾピースを横取りしようとしているのじゃないだろうかと。


私はそんな彼を突き放そうと、その後も口から胃液を出しながら必死で逃げる。

13_20150903165216140.jpg

マゾピースを守るため、そして己の操を守るため。

足は痛い、疲労が濃い、荷物は重い、目もうつろ。

それでも逃げる。

12_20150903165213592.jpg

そしてついに限界突破。

オカマ声で「アアアッ!」と本気で声が出てしまった瞬間。

その時である。


ついに私の中に眠る「覇王色のマゾ」が大スパーク。

突然私は「オマゾーズ・ハイ」に突入して、全ての疲労や痛みから解放。

急に私は稲中卓球部に出て来そうな顔になって、猛スピードでダッシュを開始。

15_20150903165223f20.jpg

これには背後の歩荷マゾ人間も「これだ!これだよ!これを待っていたんだ!」と悦びがスパーク。

ついには「あれ?今俺たち走ってないか?」と言いながら、リアルに走り出してる二人。

14_20150903165220a92.jpg

お互いに、20キロ以上の荷物を抱えながらの謎の本意気トレイルランニング。

肩と腰は千切れんばかりで、体中から湯気が大量放出。

完全にギア・セカンド状態になった私と黒男優。

このまま一気にこのグランドラインから脱出だ!


しかしグランドライン脱出手前のラスト数100m。

完全にオマゾーズ・ハイの魔法が解け、ただのおマゾの灰になりかける二人。

16_2015090316522686f.jpg

全てのパワーを使い果たし、あの黒男優ですら「も...もうダメっす...」と言ってしまうリアル限界ライン。

それでも我らは突き進む。

こんな所で死んでたまるか。


私はマゾピースを手に入れた男!

そしておマゾ王だ!

なめるんじゃない!

栄光の瞬間はすぐそこだ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


15:30


やった。

ついにやったのだ。

我々はグランドラインを突破し、とうとう折立の登山口にゴールしたのだ。

18_201509031652347a0.jpg

もはや満身創痍。

しかし体中にアホほどみなぎる達成感。

結局太郎平から3時間10分かかる道のりを、誰にも頼まれてないのに無駄に1時間30分で駆け下りたのである。


私と黒男優はお互いの健闘を称え合う。

IMGP1746_201509031655093c5.jpg

私は一瞬でもこの男を「海軍の潜入工作員」とか「マゾピース横取り海賊」と疑った自分を恥じた。

おかげで私は「おマゾ王」の称号を手に入れる事が出来た。

そして彼もそのクルーとして、立派に「男優王」の称号を獲得。

IMGP1743_201509031655028fb.jpg

まるで「男優王!100人斬りに挑戦!」という作品を撮り終えた後かのようなこの佇まいだ。


そしてここにはいないが、途中で命を落とした怪我人の功績も偉大だ。

彼には後に「すれ違い王」という称号が贈られる事だろう。



こうして我が航海は終わった。

色々と後悔はしたが、今回は何とか死なずに最後までやりきった。


おマゾ王に


俺はなった!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(ナレーション)


ここでジョージ・マゾリーの後悔日誌は終わっていた。

しかし彼は結局ここで命を落とす事になる。


彼がこの後悔日誌を書き終えた後、ベンチでグッタリ休んでいると、

DSC00040_20150903165345dbb.jpg

彼は突然大量に待ち構えていた海軍に取り囲まれ、捕縛されてしまったのである。

マゾリーは「なぜここがわかったんだ?」と海軍を見ると、そこにはあの男が立っていた。

IMGP1722.jpg

そう。

やはり彼は海軍の送り込んだ潜入捜査官「チョコボール・D・サモア大佐」だったのだ。

そしてあのマゾピースは、海軍が用意した真っ赤な偽物だったのだ。


これにて罠にはまったマゾリーは、そのまま折立の街の民衆の前で「後悔処刑」されることに。

images.jpg

民衆達は「やはり秘宝なんてなかったんだ」「マゾピースなんて存在しないんだ」と口々に囁き合った。

しかし民衆のロマンがついえたかと思われた時、

新たなるロマンの伝説が始まる。

ジョージ・マゾリーが死に際に放った一言は、人々を再び山へと駆り立てたのだ。

wf156.jpg

このあと斬首されたマゾリーの懐から、1枚の写真が民衆の元にハラハラと舞い落ちた。

それは「宝の場所」を示す、彼の最後のメッセージが込められた写真だった。

DSC09984.jpg

そう。

その場所にこそ「マゾのひとカケラ」、すなわち「マゾピース」が眠っていると。


人々は再びロマンの心を取り戻し、こぞってグランドラインへ突入して行った。

しかもマゾリーは最後の最後にこんなことも叫んでいた。

「ついでに三脚も!タオルも!焼き網なども色々置いて来た!探せぃ!私物の全てがそこにある!」と。



世はまさに大後悔時代!


伝説は、新たな伝説へと続いて行くのである!





「ジョージ・マゾリー」

享年39歳。

DSC00024_20150907153440049.jpg

こうして彼は今回もロマンを残して死んで行った。


人は「なぜそんな無駄な事をしたのか」と聞くだろう。

しかし彼はまたしても「Because it's There.(そこにマゾがあるからさ)」と言うことだろう。

そして人は「時間に余裕がある行程では出来なかったのか」と問うだろう。

もちろん彼は「Because it's There.(そこに嫁がいるからさ)」と言うはずだ。


ありがとう、マゾリー。

来年以降また現れるかどうか怪しいけど、我々はあなたの事を忘れない。




そしてマゾリー処刑から数時間後。

一人の男が、マゾリーの遺体を折立から持ち帰ったという伝説がある。

それを目撃した人は言う。

「なんか足を引きずってましたね。怪我してる人でしたよ」と。


それが誰だったのかは、今となってはわからない。

しかしこの世界のどこかで、まだマゾリーが生きている可能性も捨てきれない。

そう考えるだけでもロマンがあるというもの。


もしあなたが、生きているマゾリーを見つけたら


「もうこんな無駄な事やめようよ」


そう言ってやるといい。




マゾピース   〜完〜



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



はい、今回も活動内容と文章が無駄だらけのパックトランピングでしたね。

それではおまとめ動画であります。


雲ノ平行った時は8月だったけど、曲はあえて「September(9月)」です。

しかもこの曲は9月の恋人との事を思い出してる12月の歌だったりします。


曲と全く接点はないですが、レッツグルービン!

ウィーアー!




スポンサーサイト

マゾピース4 高天原編〜新世界頂上決戦〜

Posted by yukon780 on 03.2015 雲ノ平〜高天原/富山 2 comments 0 trackback
4_20150901150237388.jpg

マゾピースを狙うすべての海賊たちが目指す

グランドライン後半の海、

人呼んで「高天原(たかまがはら)」。


しかし、かつてその新世界を制したのは

後悔王、ゴールド・ロスターただ一人。


新世界は、

幾多の海賊の夢と野望を阻んできた。


その海に今、

マゾマゾの実を食べマゾ人間となった中年、ジョージ・マゾリーと、

ケガケガの実を食べ怪我人間となったパパラッチK、

そして新たな仲間が共に挑む!


おマゾ王に

俺はなる!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【後悔日誌 8月9日】


10:30


私はついに高天原に向けて冒険の舵を切った。

そして新たなる仲間が、今その新世界で潜伏中。

彼とは「12時」に落ち合う事になっている。

全く携帯が繋がらないこの広大なグランドライン上で、果たしてその男と合流する事は可能なのだろうか?


そもそもここから高天原までは通常コースタイム3時間20分。

なのに残り時間が早くも1時間30分しかない。

実はあんな余計なパックソファでのんびりしている場合ではなかったのだ。


しかも私がパックソファで浮かれている間に、怪我人はとっくに高天原に向けて出立していた。

お互いにとことん助け合わないのが我がマゾワラの一味のやり方である。


とにかく急いで突っ走って行こう。

しかしスタート直後から、いきなり我が前に入り込んで来たこの登山者がもの凄く遅いのだ。

IMGP1595_201509011547196aa.jpg

何度も背後からわざと大きめな足音を出しても、一切道を譲ってくれる気配がない。

相当プレッシャーかけてるのに、なんて強靭なハートの持ち主なのか。


早速始まった新世界の洗礼。

彼はギュホギュホの実を食べた牛歩人間だったのだ。


かなり長い時間、彼の背後を抜くに抜けない状態でのやきもきタイム。

やがてやっと彼が水晶岳方面へ流れて行くと、私はコンビニのトイレに慌てて駆け込んだゲリ野郎のうんこのように「ズシャッー」と一気に解き放たれた。

9_201509011546409b8.jpg

猛烈な勢いで木道を駆け抜ける。

地形図を見ると、ここから高天原まではひたすら下り基調だから一気に時間を巻けるはずだ。


急がないと、我が仲間が途方に暮れてしまう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


10:45 (約束の時間まで残り1時間15分)


なぜだ。

ずっと下りだと思ってたのに、何故の急登タイムなのか?

IMGP1597_20150901154727711.jpg

結局トレランで走る事などままならず、ひたすらグハグハ言ってる普通の登山者に。

それでも急いで走らねば、新世界の仲間が殺されてしまうかもしれない。


私は走れマゾスとなって、約束の時間を守る為にひたすらハイパーハイクアップ。

やがてその急登が終わると、広大な丘の上にポツンと佇む怪我人を発見。

IMGP1599_20150901154734ba3.jpg

なんとかパパラッチKに追いついた。


そしてそこからの眺めがまたスペシャルに素晴らしいではないか。

IMGP1598_2015090115473069f.jpg

IMGP1604_201509011547409aa.jpg

こりゃたまらん。

せっかく歩く三脚(怪我人)もいるからここで何度もパシャリ大会。

IMGP1602_20150901154737284.jpg

おかげでどんどん無駄に時間が過ぎて行く。

牛歩人間の次は絶景による足止め工作。

やはり新世界は、そう簡単には先に進ませてくれないようだ。


そしてここから一気に下降タイム。

IMGP1609_20150901154744e7a.jpg

船長のそんな模様を撮るため、またしても怪我をおして三脚の役に徹するパパラッチK。

しかし彼の頑張りはここまでだった。

彼は言う。

「僕...怪我してますんで...。高天原には...行けたら行くの..精神で..行けるとこまで....。どうか...僕の事は...お気に...なさらず....」



こうして私と怪我人は本日5度目のお別れとなってしまった。

彼の分まで、必ずや12時までに高天原に到達してみせる。

この犠牲、決して無駄にはしない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


11:00 (約束の時間まで残り1時間)


早々にボッチランナーとなった私は、それからひたすら走った。

もちろん無駄に己撮りを繰り出しながら。

IMGP1627_201509011547475cc.jpg

IMGP1628_2015090115475152a.jpg

IMGP1633_20150901154807721.jpg

こういうことしなけりゃ、もっと速く行けるはずだ。

しかも一眼カメラを手に持ちながら走るのは、走りにくいったりゃありゃしない。

しかしただ走るだけではあまりにもロマンがないというものだ。

私はあくまでも無駄を楽しむパックトランパーでありたいのである。


さあ、この先はずっと下りの区間。

スピードに乗って、一気に高天原へ。

いざ、「天駆ける龍」となる時なのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


11:30 (約束の時間まで残り30分)


あれからどれほどの時間が経った事だろう。

あれだけ無駄を楽しみ、写真をパシャパシャ撮っていた私だったが、ここ暫く全く写真を撮っていない。

それは、天駆ける龍となって走り続けていたからではない。

私は「膝砕ける龍」と化していたのである。


実はこの下りがハンパ無くハードで、すっかり左ひざを痛めてしまっていたのである。

そう。

ここは地味に段差状の急降下が延々と続くという、「ひざ殺しの坂」だったのだ。

IMGP1642_2015090117013413e.jpg

基本的にこのくらいの斜度で、延々と下らされる。

そもそもこんなハシゴだらけの急坂を、トレランで走って行くなんて不可能である。

IMGP1643_20150901154810da3.jpg

今にも我が膝の皿が割れそうだ。

こんな時にトレッキングポールがあれば...。

膝へのショックが吸収出来るのに....。


しかし1時間以上前、私は自慢げにトレッキングポールをシャングリラの支柱にしちゃっている。

IMGP1576_2015082811151708f.jpg

IMGP1592_20150828111532972.jpg

今支えるべきはシャングリラではない。

私のヒザだったのだ!


まさか私までもが怪我人になってしまうとは。

恐るべし、新世界。


しかし後悔こそがロマン、ロマンこそが後悔。

己をあえて追い込めば追い込むほど、大秘宝マゾピースは輝きを増すのである。

急げ。

奴が待っている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


12:00 (約束の時間まで残り0分)


目が朦朧としている。

ヒザも爆笑している。

そして今何時だ?

私はどこにいるんだ?


もうなんだか色々どうでも良くなって来た。

なんか12時に誰かと何かを約束していた気がするが、もうそんな事は思い出せない。

目的は何だっけ?

温泉に入りに行くって言ってテン場を出たような...。

たかが温泉に行くのに、人はここまでの苦しみの感情を抱くものなのだろうか?


とにかく疲労も膝の痛みもピークだ。

気がつけば周りは綺麗なお花畑。

IMGP1651_20150901154825c0d.jpg

咲き乱れるチングルマ。

IMGP1650.jpg

ははーん。

さては私、死んだな。

12時に待ち合わせしてたのは死神さんだったんだ。


高天原で待ってる誰かさんには悪いけど


もう...


帰ろうかな...


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


12:30 (約束違反から30分経過)


4軒目のハシゴを終えて終電を逃した新橋のサラリーマンのように、私はただフラフラと大海原をさまよっていた。

もういつでも吐けるし、なんだったら自力で幽体離脱出来そうなほど肉体と精神がボロボロだ。


そんな中。

私は突然、このようなだだっ広い世界に上陸したのである。

IMGP1655_20150901154833b68.jpg

IMGP1654_20150901154828610.jpg

突如現れた、圧倒的スケールの空間。

夢のような湿原が広大に広がり、そこらじゅうに高山植物の嵐。


そう。

ついに私は長い航海の果てに、「高天原」に上陸したのである。


さらに進んでいくと、やがて幻の街「高天原山荘」がその姿を現した。

IMGP1657_20150901154837c54.jpg

しかしここには「あの男」はいない。

出発前、彼から「高天原山荘の奥地、マゾピースが眠る場所にて待つ。」というメッセージを貰っている。

そして同時に、「マゾピースの鍵を握るアイテムを山荘にて手に入れるべし。」という謎のメッセージも。


私は恐る恐る山荘内に入る。

その中には数々の秘宝が置いてあった。


私はその中から「これだ」と狙いを定め、そこにいた「秘宝の守り人」の袖の下にそっと600ベリーを忍ばせる。

そうして手に入れたのが、この「賛斗離威盛津」という聖杯だ。

IMGP1658_201509011548405ca.jpg

しかしここではまだその封印を解いてはいけない。

この封印を解く鍵はあの男が握っている。


私は賛斗離威盛津を大事に握りしめ、その先の世界へと突き進む。

ちゃんとアイツは生きているんだろうか?

マゾピースまであと一息だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


13:00 (約束違反から1時間経過)


約束の時間から随分と経ってしまった。

待たせてる相手が嫁なら、間違いなく生きたまま焼き殺される所だ。


私はヘロヘロと高天原の深部へと吸い込まれて行った。

周囲の光景は地獄のように荒々しい世界に変わって行く。

そしていよいよ疲弊死寸前。


その時である。

我が視界の中に、今にもその場を立ち去ろうとしている何かの姿が飛び込んで来た。

IMGP1660_201509011548470de.jpg

ようく拡大して見てみる。

IMGP1660_20150902105359fc2.jpg

なんだ、あの黒い生き物は!


あの動き、そしてあの黒さ。

かつて私はこれと同じものを古い書物で見た事ある。

bigfoot.jpg

まさかあれが伝説の「美津苦彿人(ビッグフット)」なのか。


いや、違う。

よく見ると日本人なのか?

IMGP1661_2015090115485153e.jpg

いや、サモア人だ。


私は片言のサモア語で彼に話しかけてみた。

すると彼は、なんと日本語で「待ちくたびれましたよー」と言うではないか!

IMGP1663.jpg

よく見るとジョンボーAだ!

黒すぎて分からなかった。

ついに私は、もう一人の仲間「ジョンボーA」と合流する事が出来たのだ。


それではここで、この瞬間までの彼の航海日誌の内容を簡単に紹介しておこう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


彼は私達がグランドラインに入る一日前からこの世界に侵入していた。

しかも我々が1泊して辿り着いた雲ノ平に、たった1日で到達するという変態さだ。


そして私がチョッパーおじさんから愛人論を聞いていた頃、彼は祖父岳を経て水晶岳方面に向けて移動。

DSC09876.jpg

基本的に彼も三脚を持って行かなかったので、このように「ハマの番長ブログ」みたいな構図ばかりだ。

DSC09893.jpg

そんなこんなで水晶岳に登り、

DSC09889.jpg

そのまま勢いで赤牛岳まで行ってしまったぜ、ヨロシク!

DSC09913.jpg

DSC09907.jpg

そしてこの頃にはすっかり彼は真っ黒に。

何やらこの足の生々しさや、肌全体の黒々としたツヤ感はもはや「AV男優」にしか見えない。

今にも「監督、今日ここで撮影っすか?思い切った企画もんですね。え?今日新人さん?じゃあ20分くらい二人にしてもらっていいスか?覚悟決めさせますんで。」とでも言い出しそうな勢い。

DSC09914.jpg

そしてADに対し、「おい、お前。今すぐ大ジョッキに生卵7つ入れて持って来い。そこに赤まむしをなみなみと注ぐのも忘れんなよ!」と言わんばかりの表情だ。


その後私が薬師沢で悲嘆にくれている頃、彼は地図に破線で「熟達者向き」と書いてある浮き石満点のガレガレ温泉沢を大下降。

DSC09920.jpg

何度もケツや足を打って傷だらけになりながらも、熟達男優のテクニックで切り抜ける。

そしてその後は、数々の女優達との撮影に挑んだ模様。

DSC09950.jpg

DSC09949.jpg

DSC09956.jpg

DSC09951.jpg

彼のスペシャルテクニックによって、どの女優達もピクピクと放心状態だ。


やがて撮影を終えた彼は、高天原山荘で1泊。

そして本日、私の到着を今か今かと待っていたというわけである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


こうして私は新たな仲間を手に入れた。

船医、怪我人の次は、もちろん音楽家でも船大工でもない。

宇宙企画所属の「AV男優」なのである。


彼の名はチョコボール・D・サモアと言うが、ちょっと長いんで今後は黒男優と呼ぶ事にする。


さて、話を戻すと、やっと仲間と合流して安堵した私はその場に倒れ込んでいた。

IMGP1667_20150901154906424.jpg

正直、あのヒザ殺しの坂で我が心身はボロボロだったのである。

しかし散々待たされた黒男優は、休む間も与えずに我が服をビリビリと引き裂いてきた。

そしてあっという間に私はあられもない姿へ。

IMGP1668_2015090115490999d.jpg

安心してください、履いてません。


こうして私は、とにかくマゾい安村へと変化。

これこそが「マゾピース」を得る為の正装なのである。


一方、「マゾピースの鍵を握るアイテムを山荘にて手に入れるべし」と言っていた黒男優。

私が山荘で選んだ賛斗離威盛津を、おもむろに冷え冷えの沢でキリリと冷やし始めたではないか。

IMGP1662_20150901154854a4d.jpg

そして、私はその沢の横にあった「聖なる泉」に通された。

その泉の中には、マゾピースを守る二人のおっさん妖精の守衛が入っていた。

私は彼らに導かれるようにその泉の中へ。

そしてそんな私に、黒男優が乳首を屹立させながら聖杯を持って来た。

IMGP1669_20150902131031c61.jpg

賛斗離威盛津は聖なる沢の力でキリリ度が増し、大秘宝「魔憎皮威主(マゾピース)」に変化していた。

そしてそれを渡された私は、泉の妖精達に見守られながらそれを飲む。

IMGP1670_20150901154913363.jpg

突き抜ける快感!

たまらない開放感!

ほとばしる温泉効能!


たちまち私の心身は聖なる力で癒されまくって行く。

そして前日入りして、すでに聖人となっていた黒男優からの洗礼の儀式。

1_20150901155030cad.jpg

体はポカポカで、頭はキリリと沢の水。

まるで「体はハイエースの中で頭は渋谷」といった快感。

さすがは聖人「蘇不都恩出漫人」の力である。


私は大秘宝マゾピースの力ですっかりメロメロに。

2_20150901154628a3a.jpg

自慢の童貞刈りも、洗礼のおかげですっかり永ちゃん風味に進化している。


こうして長い長い旅路の果て、私は仲間の力を借りて大秘宝を手に入れる事が出来た。

結果的にそこにあったのは大秘宝と言うより、ただの「国際秘宝館」じゃないかというご指摘もあるかもしれない。


しかしこれこそが、黙々と無駄に2日もかけてやって来たマゾだけが得る事の出来る快感。

誰が何と言おうと、これが私のマゾピースなのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


13:40


マゾピースを手に入れた私は、黒男優と共にこの新世界からの脱出を図った。

その途中。

前方から、もはやすっかり忘れていたあの男が現れたのだ。

IMGP1675_20150901154921a96.jpg

怪我人だ!

奴は生きていたのだ。


ついに「後悔士」「黒男優」「怪我人」の3人がこの高天原でそろい踏み。

しかしそれも束の間。

怪我人は「せ...せっかくここまで来たんで...温泉で怪我を癒して来ます....僕の事は...お気に...なさらず...」と言いながら、国際秘宝館に向けて消えて行った。

IMGP1676.jpg

これで本日6度目のグッバイ。

ほとんど一緒にいないが、彼は本当に仲間なのだろうか?


その後は、勝ち越しが決まった朝青龍さんと乾杯し、

IMGP1678_20150901154928d2f.jpg

いざ、次の目的地に向かって出発。

IMGP1680_201509011549317de.jpg

DSC09968.jpg

私が怪我人を置いてけぼりにしてまで、急いで高天原に来たのにはもう一つの理由がある。

それがこの「某沢」でのテンカラ祭り。

DSC09977.jpg

某沢と書いたのは、ここが知る人ぞ知るハイパースポットだからである。


すると開始わずか数投。

昨日テンカラ童貞を失ったばかりの私に、早くもビッグヒット。

DSC09973.jpg

スカーレット・ヨハンソンを抱いた私には、もはや恐れる相手はいない。

しかもヨハンソンよりかなりデカい、尺レベルの大物女優。

勝手に写真を撮る黒男優パパラッチを見つけて、「何撮ってんのよ!」とこのキレっぷり。

DSC09976.jpg

さすがは北アルプス最深部の大女優。

その美しさと迫力は、ここに来た物だけが味わえる贅沢だ。


そしてその後も、わずか100mくらいの区間でズバズバと釣り上げて行く私と男優の二人。

DSC09979.jpg

DSC09980.jpg

浮かれが止まらない。

最初は「時間もないしお互い一匹づつ釣ったら終わりましょう」と言っていたのに、たった30分で二人合わせて10匹以上釣り上げる快挙。

ことごとく決まっていく我々のナンパ。

尻軽のイワナ共が、我先にと我々の竿に反応して食いついて来るのである。

もはやハーレムだ。


我々は浮かれに浮かれまくった。

そしてその結果、この先の後悔はより厳しいものとなって行くのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


16:10


浮かれすぎてすっかり夕方になってしまった。

天も「おい、お前ら一人一匹までっつったろ?何調子こいて釣りまくってんだ」とばかりに、まさかまさかの「雨」。

IMGP1688.jpg

あんなに晴れ狂っていたのに、新世界はたちまちモクモクのグレーに包まれた。


そして浮かれすぎてすっかり忘れていた現実。

それはあの「ヒザ殺しの急坂」を、今度はひたすら登っていかなくてはならないという事。

IMGP1684_2015090115493968e.jpg

私はこの悲惨さを一度味わって知ってるだけに、相当な絶望感に包まれた。

ひたすらガフガフ登って行っても、さらに斜度を増して行く急登。

DSC09981.jpg

本日起き抜けから急登遊戯をこなして、一日中移動してた私にはあまりにもハードな時間帯。

この道が初めての黒男優も、すっかり汗まみれでエクトプラズムを吐いている。

IMGP1685_20150901154943086.jpg

まるで本日5回目の撮影を終えたAV男優のようだ。

それでも彼は再び生卵7つと赤まむしをジョッキで飲み干し、鬼気迫る表情で6回目の撮影に挑む。

IMGP1686_2015090115494692a.jpg

IMGP1686_201509021441443de.jpg

さすがのチョコボール・D・チンギスハーンでも、いい加減限界が近い。

私もそうだが、なんせお互い気持ち良くビール飲んじゃってるのがいけなかった。

体はすでに休眠状態で、動くほどに脱水化も止まらない。


新世界からの脱出は、やはりそう簡単にいくものではないようだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


17:00


どうにか我々はヒザ殺しの大急登の試練を乗り越えた。

しかしいよいよ日も傾き、そしてこの頃にはモクモクパワーもご覧の有様。

IMGP1689_20150901154953200.jpg

実は本来の予定として、私はあんな秘宝館をマゾピースにするはずではなかった。

本当は、あの雲ノ平のステキなキャンプ場からの「超絶星空」をもって大秘宝獲得を宣言するつもりだったのだ。

しかしもはやその夢は絶望的である。


しかもだ。

この時我が体内に異変が巻き起こった。


散々沢の水を飲み、汗をかき、それを夕暮れ時の寒風で冷やした私。

そんな私がお腹を壊さないわけがない。

たちまち私は、「パックゲリッパー」という名の絶望的な職業への転職を余儀なくされたのである。


それ以降、後方を歩く黒男優に向かって歩く度にプップとガスを吐き出す。

しかしやがてその「気体感」は「物体感」へと感覚が変貌。

いよいよ限界に達した私は、北アの奥へ奥へと侵入。

IMGP1691_201509011549560bc.jpg

壮大な世界の中での孤独で厳しい戦い。

しおらしく咲くお花の先で、私は「お花摘み」に没頭せざるをえない事態に。

DSC09984.jpg

しかも踏ん張りの利かない場所でのトライとなり、足の筋肉がプルプルと震えまくる。

いっそ座り込んでしまいたいけど、今座り込んだら人間失格だ。

私は肉離れと糞離れの狭間で、「おおお!おおおおぅっ!」と青筋立てて唸り声。


名著「黒部の山賊」によると、かつてこの周辺で「おーい、おーい」とどこからともなく呼ぶ声が聞こえたと言う。

そしてそれにつられてついて行った者は、もう二度と戻って来なかったとも。

平成の現代においても、今この広大な台地に「おおおおぃ。おおおぅぅィィィ。」という謎の声。

まさにアルプスの怪である。


やがて私はそんな呼び声に惑わされる事なく、しっかりと仲間の元に生還した。

そのBチクの起ちっぷりが、激戦の模様を雄弁に物語っている。

IMGP1692_2015090115495929d.jpg

これにて何とか一命を取り留めたキャプテン・マゾリー。

もはや失う物は何もない。


そして、なんとかヘロヘロになりながらも雲ノ平山荘まで生還し、

DSC09985.jpg

モクモクの空に覆われたテン場まで戻って来た。

IMGP1693.jpg

早速我々は、テン場入口すぐの場所の「あの男」のテントを目指す。


恐らく我々がイワナ釣りで浮かれている間に、さすがに彼は抜かして先に帰還しているはず。

黒男優は「いない事に100円賭けます」と言ったが、仲間を信じてやまない私は「いるに決まってるだろう!」とその賭けを受けた。

そして恐る恐る彼のテントを覗いてみた。

IMGP1694_2015090115500657a.jpg

もぬけの殻だった。


仲間を信じた私は見事に賭けに負けて100円を失った。

そんな事より、もう18時間近だと言うのにまだ帰って来てないのはどういう事だ。

さてはアルプスの怪に「おーい、おーい」と呼ばれてホイホイ着いて行ったのかもしれない。


残念ながら、もしそうならもう彼は二度と我らの前には現れないだろう。

惜しい男を失くしたものである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


18:20


ないぞ。

「もはや失う物は何もない」と言った直後だが、なぜか高天原に持って行ったはずの「焼き網」がない。

今回の山行に向けて買ったばかりの我が焼き網がないのだ。

あんなに自慢げにパン焼いてる所を紹介した、あの焼き網がないのである。

IMGP1509_20150828111356ece.jpg

なんてことだ。

しかも地味に魚入れとく用の網袋までないじゃないか。


我が奉納が止まらない。

出発前に「9,000ベリー+2点減点」、初日に「三脚+クイックシュー+嫁タオル」、そしてこの2日目は「焼き網+網袋」。

いったいどれだけ払えば気が済むのか?

そしてここまで払ったのに、今日は日本一美しいと言われる「雲ノ平の星空」を見れないという喪失感。


まあいいさ。

奉納こそロマン、損失こそパックトランパー。

失う物があって初めて得られるマゾがある。

そう思えば、総額20,000ベリーの損失なんてミジンコの目ヤニみたいなものだ。


私はひとしきり泣いた後、腹いせに黒男優を居酒屋シャングリラに招いて酒宴を催した。

男優は企画物の撮影真っ最中だったのか、何故か頭からストッキングを被っている。

IMGP1700_2015090115500982d.jpg

そしてそのストッキングまくりあげて、ご機嫌で乾杯。

IMGP1704_201509011550163ef.jpg

私は若干身の危険を感じて持参の貞操帯を身につけようか迷ったが、よく見るとこれはモスキートネットだ。

ここは何気に蚊が多いのである。

そんな蚊の大侵入を許しながらも、濃密なおっさん二人きりでのロマンティックタイム。

IMGP1701_201509011550129a8.jpg

今日。

私はこの雲ノ平で、新しい自分を開拓させられてしまうのかもしれない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


19:00


もうすっかり夕陽は山肌に消えて行き、宴もたけなわになって来た頃。

何やらゲッソリとやつれた男が、フラフラとこっちに向かって来るではないか。

IMGP1705_201509011550205a7.jpg

怪我人だ!

奴は生きていたのだ!


もう「あの人多分あのまま高天原山荘に泊まったんじゃない?」と言い聞かせて、すっかり眠りにつこうとしていた矢先の出来事。

結果的に彼は、朝4:30から夜19:00まで、捻挫の足を引きずりながら実に「14時間半」も孤独にマゾり続けていたのである。


これには民族衣装を頭に被ったモンゴル遊牧民族の長も、感動して彼をゲルにご招待。

IMGP1706.jpg

怪我人の語る「ケガにまつわるエトセトラ」に、じっくり耳を傾ける族長。

実に感動的な「世界マゾルン滞在記」の撮影風景である。


なにはともあれ、この段階でやっと3人が落ち着いて一つの所に集合。

IMGP1711_2015090115502611e.jpg

だがもうすっかり夜だ。

私は怪我人に本日7度目のグッバイを告げると眠りについた。


しかしその日の夜、シュラフなしで「ダウンジャケット&パンツ+SOLシート」のみで寝るという根性チャレンジ。

荷物を少しでも減らしたいが為にやってしまった愚行。

結果的にSOLシートは思った以上に結露しまくり、ダウンが濡れて保温力劇的ダウン。

そしてシャングリラによる隙間風が私を快眠に導いてくれない。

さらにはシャングリラ内が「虫の王国」と化し、賑やかさと不快さで地獄絵図。

パックソファも時間と共に萎んで行き、もはや体がくの字に沈んでしまって寝心地悪し。


結局私は二夜連続で、睡眠薬による気絶死の道を選んだ。

さあ、これで全く体が休まらない状態で、明日はいよいよ「大脱出」の決行だ。


マゾピースを手に入れた私の元に、他の多くの海賊が横取りしようと押し掛けて来るだろう。

だから明日は、1泊2日の行程の道を一気に一日で駆け抜ける。

ついにこの北アルプスの新世界からの脱出の時。

この疲れが溜まりに溜まった状態で、果たして脱出は可能なのだろうか?


かつてこの新世界を脱出できたのは、後悔王ゴールド・ロスターただ一人。

私もその偉大な足跡を辿って、いざおマゾ王へ。


もう去年の時のような失敗はしない。


今度こそ生きておうちに帰るのである。





マゾピース5 大脱出編へ  〜つづく〜



マゾピース3 雲ノ平編〜さすらいの怪我職人〜

Posted by yukon780 on 29.2015 雲ノ平〜高天原/富山 0 comments 0 trackback
3_2015082517242196f.jpg

世界は、

そうだ。


自由を求め

選ぶべき世界が

目の前に広々と横たわっている。


終わらぬ夢が

お前達の導き手ならば、


超えてゆけ、

おのが信念の旗のもとに!


おマゾ王に

俺はなる!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【後悔日誌 8月9日】


4:30


昨夜、100人越えの奴隷船に幽閉された私と怪我人パパラッチK。

ムンムンの船内での合唱&蹴り合いの戦いに勝ち抜き、私達はなんとか無事に一夜を明かす事が出来た。


もちろん朝から優雅に自炊出来るような状態ではない。

早朝から多くの奴隷達が脱出準備を進め、その波に押し出されるように我々も小屋の外へと吐き出された。

IMGP1476_20150828111246247.jpg

とりあえず、我々もゆっくり朝飯が食える所まで逃げることにした。

高所恐怖症の怪我人は、足を引きずりながら奴隷船から必死の脱出。

IMGP1478_20150828111250393.jpg

しかし我々は脱出開始わずか1分で道に迷って立往生。

なんとか他の奴隷に道を聞いて先を急ぐ。

IMGP1480_20150828111253b53.jpg

そしてようやく我々が目指す「雲ノ平」への入口に到達した。

IMGP1482_2015082811125717d.jpg

そこでこれから進むべき方向に目をやってみる。

するとそこにはとてつもない斜度のハイパー急登が待ち構えていた。

IMGP1483_201508281113008d1.jpg

起き抜け一発目からこの急登は、いささかおマゾが過ぎるのではないだろうか?

まだエンジンがかかってないのに、いきなりF1レース会場にピットアウトさせられる気分だ。


しかしずっとこんなアホな急登が続くわけじゃないだろう。

私達は早速心拍数をMAXまで引き上げながら、モーニング嗚咽タイムを楽しむ事に。

IMGP1486_20150828111311fc2.jpg

IMGP1484_20150828111304be3.jpg

IMGP1485_20150828111308e26.jpg

そしてこの時点で早くも怪我人の様子がおかしい。

何やらさっきからうつむき加減でやけに無口だ。


やがて彼はうつろな目で私に向かって、「キャ....キャプテン.....。僕はもう...ダメそうです....。」と言い放つ。

そして「僕の事は気にしないで....先に...先に行ってくださ....グハッ!」。


彼は血を吐いて死んだ。

せっかく手に入れた新しい仲間だったのに、早くも私はこの大急登奇襲でその仲間を失ってしまった。

私は彼の亡骸をその場に放置し、先に進んで行く。

結局彼は、昨晩私の替わりにおっさんに蹴られるだけの役であっという間に姿を消した。


あまりにも早すぎた怪我人の離脱。

どうやらまたボッチの航海が始まってしまったようだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


5:20


どういう事だ?

行けども行けども、ハイパー急登の攻撃の手が休まる気配がないぞ。

それどころかどんどん酷くなって行くではないか。

IMGP1487_2015082811131598d.jpg

さすがは秘境雲ノ平への道。

そう易々と行けては秘境でも何でもない。

そしてこの時点で、朝飯食ってないからパワーも出ない。

1_20150828111606923.jpg

出るのは喉元までこみ上げて来る胃液ばかり。

そんな私に対して、一切容赦する気配がないハイパー急登が延々と続いて行く。

IMGP1488_201508281113189f3.jpg

どんなに頑張って進んでも、ここの奇妙な急登は「オラオラオラオラオラオラオラァッッ!」と私をめった打ちし続ける。

IMGP1489_20150828111322dde.jpg

こいつは間違いなく殺しにかかって来ている。

北アルプスの三大急登は別の所だが、ここは別格の急登フルコース。

絶対に余計な荷物背負って来ちゃいけない所だった。


しかし私だって世間に名の知れたマゾ。

この雲ノ平への挑戦権をかけた試練に負けてはいられない。

こんな時こそ、いざ己撮りで無駄に根性を示す時。

IMGP1492_20150828111333ba6.jpg

しんどい時にさらにしんどさをプラスする事によって、我が「マゾ場のくそ力」は輝きを増す。

三脚がないから尚更難易度も高い。


ほんとはこんな時用に、パパラッチKには「歩く三脚」として撮影で活躍してもらいたかった。

しかし彼はもういない。

ここまで来たら、私と急登、どっちが先にマゾり負けるかの根比べである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


6:00


いい加減にしてくれないか。

IMGP1490_201508281113258ba.jpg

これは米軍が開発した新手の拷問なのだろうか?

ほんといつまでこれ続くんだ?

IMGP1491_20150828111329037.jpg

朝奴隷船を脱出してから、かれこれ1時間以上ノンストップマゾダンシング。

足の筋肉は常時パンプアップ状態で、今にも「ボンッ」って爆発してしまいそうだ。

IMGP1493.jpg

どこまで行っても、見上げるたび同じような絶望的光景。

いつのまにか双児宮のアナザーディメンションに迷い込んでしまったのか。


しかしこんなものは嫁の罵倒に比べたら屁のつっぱりだ。

日常的にこの程度のサド攻撃を浴び続ける、我が魂の怒りをぶつけるのは今しかない。


私は叫びながら登って行く。

「ちょっとニンニク食っただけで一週間も“このニンニクくそ野郎”とか言わなくていいじゃない!

子供達の前で“鼻息すらクサいで近寄るな”はないじゃない!あんまりだ!」



登山靴の上に落ちるは汗か涙か。

男の航海は常に上だけを見据え、いばらの道を突き進むのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


6:20


一切休憩する事なく、ハイパー急登をひたすらガフガフ突き進むこと実に1時間半。

ついに我が頭上に燦々と太陽の光が降り注ぐ。

IMGP1494_20150828111340a12.jpg

そしてここを乗り越えて行くと、とうとう急登地獄の終了を告げる世界が眼前に登場。

IMGP1500_201508281113434fd.jpg

打ち勝った。

薬師沢小屋からの通常コースタイム2時間10分に対し、1時間40分でマゾり切った。

一人仲間を犠牲にしてしまったが、私は雲ノ平へのサディスティック試練を持ち前のマゾん気で乗り越えたのだ。

伊達にニンニク食ってるわけじゃないのだ。


そして実はこの場所こそ、広大なる雲ノ平のはじっこ。

ついに私は大秘境・雲ノ平の世界に足を踏み入れたのである。


そしてしばらく進んでいくと、なんと私は「アラスカ」に到達していた。

1_20150828151132387.jpg

そして見渡せばまさにアラスカの絶景が。

IMGP1510_20150828111359463.jpg

IMGP1512_20150828111402fc9.jpg

桜木ルイを観ていた中学時代のように目を細めて見れば、薬師岳もまあマッキンリーに見えなくもない。

日頃から想像力だけは鍛えているから、その辺はどうとでもなるのでる。


すっかり気分はデナリ国立公園なう。

再び元気を取り戻し、体から勝手に元気玉が放出されてしまうほどだ。

IMGP1505_20150828111350a54.jpg

三脚なしでも一人でここまでやれれば上出来だ。


そしてここでやっっっっと朝飯である。

IMGP1509_20150828111356ece.jpg

朝飯前の運動が若干長過ぎてハード過ぎたのか、食欲的にパン焼いて食うのが精一杯だ。

でも今回初投入のこの焼き網は、ちょっと重いから躊躇したけど持って来て良かった。

実に良い買い物をしたものだ。

今後は長く大切に使ってやろうと思う。(※これは伏線です。)


さあ飯も食ったし、ちょっとだけ横になって休憩。

ここで英気を養い、いざ雲ノ平の深部へと突き進もう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


7:40


またしても寝てしまったではないか!


アラスカに来てから、ガッツリ1時間ものんびりしてしまった。

あれだけ頑張って時間を巻いたのに、これじゃくたびれ損のマゾ儲けだ。


私は急ぎアラスカの奥地に分け入って、出発に向けてお小水をした。

その時、聞き覚えのある声色で「ゴホッ...ゲホッ...」と咳をしながらアラスカ庭園を誰かが通り越して行った。

私はお小水が済むと慌てて出発した。


するとどうだろう。

なんとそこには、死んだと思われたあの怪我職人がいたではないか。

IMGP1514_201508281114053b5.jpg

足を引きずり、顔面蒼白な怪我職人。

ウサギとカメよろしく、私が寝て小便してる間に彼は私を追い抜いて行ったのだ。


これでやっと「歩く三脚」を手に入れた私は、早速虫の息の彼に写真を撮ってもらう。

IMGP1518_201508281114095b8.jpg

肩で息している割には、しっかりとピントを合わせて来るあたりさすがはパパラッチ。

一番ツラいあの大急登を、一切励まし合って助け合う事をしなかった船長とクルーとの感動の再会。

さあ、再び二人でこの荒波をかき分けて、いざ雲ノ平の深部に向けて突入である。

IMGP1521_20150828111416a18.jpg

そしてそれを合図に、遠方には勇壮なる槍ヶ岳のお姿も。

雲ノ平から見る槍ヶ岳の形は、非常に美しくとんがっていきり立っている。

IMG_5541-9.jpg

今回私は荷物の計量化の為に望遠なしの単焦点レンズしか持って来てなかったが、やっとここでパパラッチKの本領発揮。

彼はただの怪我人ではなく、めったに撮らないのにあえてクソ重いカメラを背負って来てしまう無法者。

無駄を楽しむパックトランピングの旅路には、やはり欠かせないクルーの一人である。


なんて事を思っていた矢先。

なんと突然、パパラッチKがまばゆい光に包まれたではないか。

IMGP1519_201508281114127df.jpg

そして彼はそのままキャトルミューティレーションされて、ゆっくりと上空に消えて行く。

去り際に彼は言う。

「ど...どうぞお先に...行ってください...。僕の事は...気に...しないで....」


こうして私は大事なクルーを宇宙人に連れ去られてしまった。

またしても彼は自分の身を犠牲にして、私をキャトルミューティレーションの危機から救ってくれたのだ。


彼の再度の犠牲を無駄にしてはいけない。

再び私はボッチとなって、雲ノ平のテン場目指して突き進むのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


8:10


一人になった私は、アラスカの大地から「日本」に舞い戻っていた。

IMGP1524_2015082811141952f.jpg

ここは奥日本庭園。

雲ノ平には他に「日本庭園」「スイス庭園」「ギリシャ庭園」「アルプス庭園」などのオシャレ庭園が点在する。


そしてここからはまさに天国だった。

とても北アルプス内とは思えないほどの、「これぞ秘境」といった広大な台地が広がっているのである。

IMGP1526_20150828111423ba0.jpg

そしてその広大な台地には、これでもかと高山植物が咲き乱れている。

IMGP1527_20150828111426a88.jpg

まるで日本じゃないみたいだ。

なぜ「日本庭園」なんて名前付けちゃったかなあ。


そしてその広大な道を進んでいくと、ついに憧れのあの山荘が現れたのだ。

IMGP1531_201508281114297b4.jpg

天下御免の「雲ノ平山荘」だ。


去年「黒部の山賊」を読んで以来、ずっと憧れを抱いていたこの場所。

山荘自体は新しく建て替えられてしまったが、このような僻地に小屋があるってだけで感動的。

そしてこの小屋は何より外観も風景も一級品。

IMGP1538_20150828111439413.jpg

IMGP1537_2015082811143506a.jpg

まさに思い描いていた通りの、夢のような光景が広がっている。

2日かけて苦労してやって来た甲斐があった。

IMGP1536_20150828111432e9d.jpg

早速テント場の受付を済ませ、秘宝「巣封羅威人(スプライト)」を購入して一人歓喜の乾杯。

しばらくベンチに座って感慨深い気持ちで、風景を眺めてぼっーっとした。


そして重い腰を上げて、いざテント場へ向かおうとした時。

なんと、宇宙で人体実験されているはずの怪我職人が追いついて来たではないか。

IMGP1539_20150828111442a29.jpg

その顔には笑顔も達成感も見当たらない。

相当ハードな部分までくまなく実験されてしまったのだろうか?

気の毒に...。


しかし彼も即座に秘宝「巣封羅威人」を飲んで、再び生き返って我が船に乗船。

IMGP1550_20150828111449822.jpg

そう言えば彼はまだ朝飯食ってないような気がするが、よく動けてるものだ。

そもそも足怪我してるのに、ノー休憩でよくここまで来れたものだ。

ある意味彼も立派なマゾ超人である。


ちなみに、雲ノ平のテント場は小屋の近くにはない。

私はパパラッチKに「受付の人に、テント場はあの丘を越えたさらにその奥ですと言われたよ」と伝える。

IMGP1549.jpg

それを聞いた時の彼の、苦虫を100匹噛み潰したような顔が忘れられない。

そして「これでやとゆっくり出来ると思ったのに...」という痛々しいコメント。


果たして彼はこの航海をちゃんと楽しんでいるんだろうか?

彼の後悔も順風満帆のようである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


9:00


小屋からテント場までの壮大な冒険は続く。

その広大な世界の中を、戦場から逃げ延びた瀕死の落ち武者がさすらって行く。

6_201508281112302b3.jpg

しかし思いがけないほどに遠いテント場。

次第に落ち武者は徐々に遅れ出し、

IMGP1561_20150828111452fc4.jpg

またしても「お気に..なさらず...。どうか...お先に...。」と言いながら遥か後方に。

IMGP1562_20150828111455f4c.jpg

結局彼とはほとんど別行動になってる気がする。

でもせめて雲ノ平テン場到達の感動のぐらいは共有したい。

私はヘロヘロの怪我職人にさらにムチを打ち、なんとか歩かせる。


そしてついに。

ついに雲ノ平最深部、「雲乃平喜屋武風恕于(くものだいらきゃんぷじょう)」に到達したのである。

IMGP1566.jpg

IMGP1572.jpg

なんと素晴らしいキャンプ場であろうか。


実はこのテン場には、もう一人の船員が先行部隊として前日入りしている。

その男は出発前、「僕は水場の近い上の方に目印つけてテント張っています」と言っていた。

早速私はテント場のさらに上部に向けて動き出す。

しかしここで怪我職人の足が止まったではないか。

IMGP1573_2015082811150641d.jpg

彼はこのテン場の入り口で「僕はここにテントを張ります」と宣言。

私は「なぜだ?あと少し登って行けばみんな近くにテント張れて夜は宴会出来るじゃないか。」と問いただす。

しかし怪我職人は頑にその場所を動かない。


なんと彼はそのたった「50m」ほどのテン場内の登りを、「もう余力がないから私は行かない」と言い放ったのである。

本当にあと少し歩くだけの事なのに、ついに彼は精魂尽き果ててしまったのである。


さすがは意外性の男。

結局彼は今回ほとんど一緒にいなかったが、ある意味一番目立っていい所を持って行った。

過去に彼の為に催したバースデー登山にも、そのご本人が当日ブッチをかますというハイパーまさかがあった。(参考記事:チーム・マサカズ祝3周年〜疾風のサプライズマン〜

そう、彼はその場にいなくても存在感を示してしまう男。

疾風のサプライズマンは、この雲ノ平でもまさかを炸裂し放題である。


私はそんなグロッキー怪我人と4度目のグッバイをかわし、もう一人の仲間の元へと登って行く。

確か彼はテントに目印をしてあると言っていたが、ちゃんと分かるんだろうか?


すると私は奇妙なテントを見つけた。

IMGP1697_201508281116033a9.jpg

拡大してみる。

IMGP1696_2015082811155916a.jpg

こ...これは。

この顔、そして濡れても大丈夫なようにちゃんとパウチ加工されているというヒマさ。

間違いない。

これが奴のテントだ。


しかしその場には彼はいない。

実は彼は今、先行部隊としてすでに高天原に行っている。

その男と出会えるのはまだ先の話である。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


9:20


私は早速この雲ノ平でやりたかった事に着手していく。

それはこの憧れのテント場にて、我がシャングリラ3をおっ立てる事である。

周りが普通の山岳テントの中で、三角テントは目立ちまくる事だろう。


今回は設営時間短縮のため、あらかじめ作った六角形の「ペグ早打ちマシーン」を導入した。

IMGP1574_201508281115107b4.jpg

そのマシーンを駆使してペグ打ってる状況を己撮りしたら、まさかのアブさんフレームイン。

G0036607.jpg

そう、ここは結構な勢いで羽虫だらけ。

そんな中で、インナーメッシュ無しの開放感抜群のシャングリラ。

恐らく私は今夜、大量の虫達に食い殺されてるかもしれない。


そして何気に新しく買った、このローカスギアのトレッキングポール「CP3」。

IMGP1575_2015082811151457f.jpg

実はこれはドッキングして、シャングリラのポールにトランスフォーム。

IMGP1576_2015082811151708f.jpg

そしてわずか3分で、あっという間に三角テント登場。

IMGP1579_2015082811152196f.jpg

素晴らしいポールを買ったものだ。

今後長く大切に使って行こう。(※これも伏線です。)


雲ノ平に三角テントが立っているという異質感。

そんな異質感にさらなる変態感を演出するべく、無駄にパックラフトを出撃。

IMGP1581_201508281115253f4.jpg

私はこの無駄まみれの写真が撮りたいが為に、はるばるこんな奥地までこいつらを担いで来たのである。

しかしその苦労があったからこそ、他の人では味わえない快楽が待っている。

それがこの「極上パックソファ」の瞬間なのである。

IMGP1586_201508281115298cd.jpg

これぞパックトランパーだけに許された至高の快楽。

フカフカのパックソファに寝そべり、シャングリラ越しに広大な雲ノ平を見下ろすという贅沢。

はるか下の方にあるパパラッチKのテントもよく見える。

そしてゴロッと仰向けになれば、どこまでも広がる蒼井そら。

7_20150828111233a32.jpg

まさに夢の世界だ。

これが夜になろうものなら、満天の星空が広がってとんでもない世界になるはずだ。

それを想像すると、興奮のあまり我が股間のシャングリラも見事な三角形を形成してしまう。


しかし、いつまでもここでのんびり寝転んで三角形になってるヒマは私には無い。

私はまだここからさらに奥地にある大秘宝、マゾピースを見つけに行かねばならない冒険者。

正直疲れ果ててるし、ここでのんびりしていたい。

だが我が胸の中のロマンが、私に平穏な時を許さないのである。


私は快楽という名のパックソファを、エイヤッとシャングリラ内に収納。

IMGP1592_20150828111532972.jpg

フカフカソファタイムはまた今夜楽しめば良い。

そしてすぐさま私は戦闘装備を見にまとう。

IMGP1593_201508281115369a7.jpg

そう。

パックトランパーとして、まだ「トレイルランニング」と「野天温泉」という二つの競技が残っている。

ここからは走って、さらなる北アの深部へと航海を続けるのだ。


正直、病み上りでブランク明けの中年がする事ではない事は重々承知している。

しかし、何故なんだという周囲の声に対して私は今回もはっきりと言いたい。

「Because it's There.(そこにマゾがあるからさ)」と。



さあ、ここからはついに核心部「高天原(たかまがはら)」。

新たな黒い仲間もそこで待っている。

そして怪我人のその後も個人的に気になってしょうがない。


いよいよグランドライン後半の海へ。


そこは「新世界」と呼ばれる過酷な大地。


ついにマゾピースを巡る頂上決戦へと突入なのである。




マゾピース4 高天原編へ  〜つづく〜



マゾピース2 薬師沢編〜夢をあきらめないで〜

Posted by yukon780 on 25.2015 雲ノ平〜高天原/富山 0 comments 0 trackback
2_20150824144247cbe.jpg


受け継がれる後悔、

時代のうねり、

人の夢。


これらは止める事のできないものだ。

人々が自由の答を求める限り、

決して留まる事は無い!


おマゾ王に

俺はなる!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【後悔日誌 8月8日】


10:40


私は熱さのあまり、ついに沢の魅力に打ち勝つ事が出来なかった。

全く予定になかったこの航路。

私は情報ゼロの「薬師沢沢下り」の世界へと吸い込まれて行った。

1_20150824163201691.jpg

正確には、現在いる場所は薬師沢に流れ込む「左俣」という支沢。

パックラフトをするには明らかに水量不足だが、薬師沢本流に出ればきっと生唾ものの楽園が待っているはずだ。

私はその淡く不確かなロマンだけを胸に、岩を乗り越えひたすら本流を目指した。

3_20150824163159e49.jpg

ここまでがクソ暑い中でクソ臭い衣をまとっての航海だっただけに、この爽快感は何事か。

言い知れぬ不安はあるものの、ドキドキとワクワクが止まらない。

今の私なら、隣にモリマンがいたとしても吊り橋効果で恋に落ちてしまった事だろう。


そんな中、ついに薬師沢本流へ到達。

IMGP1363_201508241631570c6.jpg

いざ、これから進んでいく下流方向に目をやってみる。

地図を見るとちょうど川幅が広くなっていて、パックラフトで下るのに最適な区間と見立てた所。

そこにはやはり、このようなスバラシイ淵が...

IMGP1365_20150824163203420.jpg

うすうす分かっていた事だ。

こんな水量のない所で、パックラフトなんて出来るわけがないじゃない。

時には夢は夢のままにしておいた方が良い事もあるのである。


しかし、まだまだ先は長いから諦めずに航海は続いて行く。

IMGP1377_201508241635430f5.jpg

何より、天下の北アルプスで今この場所にいるのは己一人。

このディープな世界を独り占めしているというコーフンと開放感は、思わず全裸になって「フォッー!」と叫びたくなる気分。


私は登山道という安息の道から外れたアウトロー。

こんな男を養子にしてしまったご両親には、心の底から陳謝したい気持ちでいっぱいである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


11:30


中々先に進めない。

なぜなら私の目の前を、

10_20150824163557e8d.jpg

10 2

このようにイワナ嬢が横切って「ワタシを指名して」と、いちいち誘惑して来るからである。


私はつい己の竿(テンカラの事ね)を、ボロンと取り出して振り回したい衝動に駆られる。

しかし今そんな事をして「延長延長また延長」を繰り返したら、3杯目のポッキーグラスが無くなった頃には日が暮れて遭難だ。

この薬師沢近辺はテント泊禁止だから、何としても16時までには小屋に着いておきたい。

こんな訳の分からない場所で遭難してしまったら、「人目につくとこで死んで来い」という嫁との約束が果たせないではないか。


でもやっぱムラムラ気分がおさまらず、ついつい岩の下に手を入れてイワナ嬢がいないかまさぐってしまう。

11_20150824163550ea4.jpg

この余計な動作を3分おきにやるものだから、全く進んでいかない。

恐るべし、魅惑のセイレーン。


しかしそれでも頑張って先に進んで行くと、今度は突然このようなステキなプールが登場。

IMGP1393_20150824163601b88.jpg

こういう出会い頭の美淵があるから冒険はやめられない。

先を急がねばならない事は重々承知しているが、目の前にこんな透けるような裸体を晒されて男として黙っているわけにはいかない。

私はその妖艶な魔力にフラフラと引きずり込まれてしまった。

13_20150824163714a14.jpg

15_20150824163715d98.jpg

16_2015082416371717f.jpg

冷たい!

死ぬほど冷たい!

嫁のように冷たい!

IMGP1401_20150824163711636.jpg

ハッと我にかえり、慌てて私は陸に逃げ帰る。

危うく冷やし殺される所だった。


さすがはグランドラインの淵。

甘い誘惑につられてホイホイついて行くと、あっという間に低体温症まっしぐらだ。


しかしそんな急速冷却の後、熱い岩の上に寝転がってのピロータイムがたまらないのである。

17_20150824163713342.jpg

あったかいなぁ。

気持ちいいなぁ。

18_20150824163943cb5.jpg

空も青いなぁ。

最高だなぁ...


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


12:20


しまった!

思いっきり寝てしまったではないか!


時間が無いというのに、もうお昼過ぎちゃってるじゃないの。

私は薬師沢が仕掛ける「鞭と飴作戦」に、まんまとはまってしまったのだ。

急がないと、また本来の目的であるパックラフトをする時間が無くなってしまう。

もう去年のような過ちは冒したくない。


私は大急ぎで前進を続け、なんとか水量がある場所に到達。

ついに「パックラフトin薬師沢」という、前代未聞の状況が目の前に展開したのである。

IMGP1432_20150824163942958.jpg

そして荷物を降ろしたついでに、テンカラの竿を取り出す。

とりあえず出航前に、「パックトランパーとして一応形だけでも釣りしましたよ」という証拠写真を撮らねばならない。


私としては基本的に「釣れない」という前提でここに竿を持って来ている。

そもそも半年間に渡る我がテンカラ釣果は「0匹」。

それどころか1匹釣る前に、先に竿を失くすという離れ業をやってのけたほどだ。

正直「テンカラ引退表明」をしようと思っていたが、薬師沢に行く記念にまた竿を買って来たのだ。


私は釣る気ゼロの軽い気持ちで竿を振った。

例えるなら「ダメ元の軽い気持ちでハリウッド女優のスカーレット・ヨハンソンを口説いてみたww」的なやけくそ感だ。


すると開始わずか3分。






スカーレット・ヨハンソンが私の手の中に!

IMGP1410_2015082416394429a.jpg


その時歴史が動いた


まさか私のような汚れたマゾが、ハリウッド女優をいとも容易く口説き落としてしまうとは。

「日本にのみ生息する世界遺産」と言われる黒部イワナ。

我が半年に及ぶテンカラ童貞は、今この天下の薬師沢で最高の相手で喪失されたのである。

19_20150824163945c15.jpg

私の顔の全長が松井秀喜サイズのおよそ50cmだから、軽く80cmオーバーの大物イワナだ。

ちょうど釣り上げた時の写真も激写されていた。

img_0.jpeg

素晴らしい戦いだった。

あまりに嬉しすぎて、一人で「アッー!アッー!アッー!」と加藤鷹のように叫んでしまったほどである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


13:50


叫びすぎてしまったからなのか。

それからは1匹も釣れなかった。


それどころか、「次は釣れるはず」「次は釣れるはず」のループに入り込み、またしても貴重な時間を大幅に喪失。

気がつけば、パッックラフトを膨らませてから1時間半も経っていたというまさか。


いい加減目的を遂行しなくては。

いざ、薬師沢パックラフティング!

IMGP1422_2015082416410303f.jpg

21_20150824164057aa1.jpg

24_2015082416405846e.jpg

終了!


素晴らしい戦いだった。

距離にしておよそ20mほどだろうか。

苦労してここまで担ぎ上げて来た来た甲斐があったというものだ。


後悔なんてしていない。

後悔なんてしていないぞ。

男の冒険度は距離で決まるものじゃない。

その20mにどれだけ熱い情熱を注げたかどうかが問題なのだ。

後悔なんてしていないのである。


とは言えまだ私のロマンへの追求は留まる事を知らない。

そこからはクソ重いザックとパックラフトを担いで、水深のある場所を探して放浪する。

25_20150824164100674.jpg

そしてやっとの思いで再び挑戦。

27_20150824164101c31.jpg

今度はわずか10mという光の速さで座礁し、再び過酷な移動。

29_2015082416415716d.jpg

きっとあるはずだ。

まだ見ぬステキなパックラフト区間があるはずだ。

諦めたらそこで試合は終了だ。


その時、我が頭の中で同郷の岡崎市出身の岡村孝子が登場して歌い始める。


あなたの夢を

あきらめないで

熱く生きる瞳が好きだわ

負けないように

悔やまぬように

あなたらしく

輝いてね

30_201508241642032cd.jpg

苦しいことに

つまづく時も

きっと上手に越えて行ける

IMGP1455_201508241642020f6.jpg

切なく残る痛みは

繰り返すたびに

薄れて行く

IMGP1456_20150824164159c17.jpg

あなたの夢を

IMGP1457_20150824164310764.jpg

あきらめないで.....

36.jpg


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


15:00


どれほど気を失っていただろうか。

私は精根尽き果てて、この大海原と同様の深い後悔にまみれている。


念願だったパックラフティングの総移動距離、およそ30m。

予定外だったパックショルダリング時間、およそ1時間。

夢をあきらめた瞬間、プライスレス。


一体何の為に私はこんな無駄な物を担ぎ続けて来たのか?

そしてこれから2日間、ただの重りとしてこれを担ぎ続けなくてはならないのか?


なーんて事を言ってしまうのは素人だ。

私はあくまでも孤高のパックトランパー。

誰が何と言おうと、私はプロとしてその責務を全う出来た事に誇りを感じている。

こっちを見るな。

目にゴミが入っただけだ。



さあ、気を取り直して先に進もう。

そうだ、記念に己撮りでもして英気を養おうではないか。

ええと、カラビナに黄色いひもで括り付けていた三脚は...と...

IMGP1458_20150824164307168.jpg

おや?

気のせいだろうか?

去年買ったばかりの、高価なクイックシュー付き三脚が見当たらない。

合計およそ7,000ベリーの我が三脚が見当たらないのだ。


三脚は己撮リストの命。

まさか初日に失ってしまったとでも言うのか?


私は「そんなバカな」と吐き捨て、再び今苦労してパックショルダリングして来た区間を無駄に戻って行く。

きっとすぐに見つかるはずだ。


そんな時、頭の中に井上陽水が登場してエールを送る。


探し物は何ですか?

見つけにくいものですか?

ザックの中も、沢の中も

探したけれど見つからないのに


【捜索開始から20分】


まだまだ探す気ですか?

それより僕と踊りませんか

夢の中へ

夢の中へ

行ってみたいと思いませんか?


うふっふー

うふっふー

あ〜あ〜

IMGP1460_20150824164304057.jpg

結局三脚は見つからなかった。

めちゃめちゃ戻ったのに見つからなかった。


それどころか、タオルまでいつのまにかどこかに消えていた。

嫁が「すごく水を吸う良いタオルみつけた」と喜んで買って来たタオルだ。

私はそれを「高天原の温泉で使おう」と勝手に今回持って来てしまっていた。

これで帰宅後の私の死は確実なものとなった。

恐らく再び買った新しいタオルで、我が血が吸われる事は間違いないだろう。



こうして私は前日の「9,000ベリー+2点減点」だけでは飽き足らず、本日も「7,000ベリー三脚+嫁タオル」という奉納を済ませた。

これで明日の快晴も間違いなしである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


15:50


私は失意のどん底にいた。

イワナを釣って浮かれていたのが10年以上前の出来事に思える。

結局あの沢に入って手に入れた秘宝は悲報だけだった。


そんな私の前に、ついに本日のお宿「薬師沢小屋」の橋が見えて来た。

IMGP1462_201508241643063ce.jpg

なんとかギリギリ16時に間に合った。

しかし今は達成感というより、喪失感の方が勝っているのは何故なのか。

IMGP1464_20150824164359d7f.jpg

しかもこの時、他の登山者達の視線が猛烈に痛かった。

そりゃ突然沢の上流から、妙なもの背負って頭にGoProつけたずぶ濡れの中年が現れたのである。

明らかに彼らが私を見る目は、「変な奴が来たぞ」と雄弁に語っていた。


せめて「沢から来たんですか?」とか「ボートで下って来たんですか?」と話しかけてくれれば救われたんだが、何やらこっちを見てヒソヒソ呟くのみ。

まるで田舎から都会に来た転校生のような気分だ。


そして厳しい視線に晒されながらいそいそと荷物を降ろし、本来下る予定だった黒部川を見る。

IMGP1465_201508241643566e4.jpg

水量豊富で、とても快適に下れそうだ。

なぜあと少しの我慢が出来ずに、あんなところで沢に入っちゃったかなあ...。


なんて泣き言を言わないのがプロパックラフター。

早速勝利の秘宝「美威瑠」を手に入れ、我が喪失の美しさに乾杯。

IMGP1467_201508241643584af.jpg

おばちゃん登山者の洗濯物越しで、実に生活感溢れる秘境感ゼロの到着記念写真となった。

なぜなら私には三脚がないからこのアングルしか撮れなかった。

これから2日間、私はどうしたら良いのだろうか?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


16:10


もうこれ以上一人でいたら本気で泣いてしまう。

船医であるチョッパーおじさんを失ってから、孤独な航海が続いている。

そろそろここらで優秀な新しい船員を仲間に引入れる必要がある。


私は小屋の中でめぼしい男を捜索した。

すると、私が寝る予定の場所にこのような死体が転がっていた。

IMGP1468_20150824164354da6.jpg

よく見ると、パパラッチKではないか!


そう。

彼こそ私より3時間遅れで入山し、この小屋で待ち合わせをしていたパパラッチK。

彼は私が沢でおマゾ三昧中に、通常の登山道でサクッと抜かして行ったのである。


私は彼を叩き起こし、外に連行する。

IMGP1473_20150824164400fc9.jpg

パパラッチKはこの壮大な場所での再会に対し、「あれぇ、髪切ったんすね...」という感激ゼロの第一声。

せっかく忘れてたのに、起き抜けから我が大失敗の童貞刈りを無意識に攻めて傷つけて来るとはさすがである。


そして早朝の新宿ホストのような眠たげな表情で、小屋をフラフラと出て来た彼の様子がおかしい。

39_20150824164447fcc.jpg

何やら足を引きずっているぞ。


どうやら彼は私がちょうどイワナを釣っている時間帯、一人で激しく転倒して足を捻挫していたというまさか。

そんな彼の第二声目が「僕...もうダメかもしれません...」という敗北宣言。


まさか出会って早々リタイヤ宣言を食らうとは思ってなかった私は、相変わらずの彼のトリッキーな展開に感心する。

私もプロのパックトランパーだが、彼もやはりプロフェッショナルなマゾ野郎。

私が船医の次に選んだ職業は、航海士でも料理人でもない。

それは一流の「怪我人」なのである。

40_20150824164450a82.jpg

こんな男を連れて行っても何の役にも立ちそうにないが、彼もプロの怪我人としてしっかり私の航海を支えてくれる事だろう。

とりあえずは飲み相手として、私の壮大な冒険譚を聞いてもらった。

IMGP1474_20150824164449cbc.jpg

みるみる酒で赤くなって、炎症部分の治癒力を低下させて行く怪我職人。

私もそうだが、彼は彼でしっかり奉納は済ませたようだ。


そして本当の地獄はこの後に待っていた。

それは小さな小屋の中に、「100人越え」という登山客がいたというビッグサプライズ。


小屋内はさながら奴隷船の様相を呈し、熱気ムンムンの人間と人間が織りなすイモ洗いフェスティバル会場に。

しかも妙に中高年層が多く、老人ホームのような異様な世界観。

漂う匂いも、何が何だか分からないがとにかく濃度が濃い。


そんなイモフェス会場。

もちろん寝る場所は、布団一つに対して二人が寝なくてはならないという地獄絵図。

荷物を置く場所すらなく、ザックの上にザックを載せ、それを乗り越えて布団に辿り着かねばならない状況。


そして私とパパラッチKとの、臭気をまとった暑苦しい中年二人がベッドイン。

同じ布団でくんずほぐれず。

頑張ってテント担いで来ているのに、なんでこんな思いをしなくてはならないのか?


しかしいつまでも嘆いている暇はない。

早く寝ないと大変な事になる。

時が経つと共に、「ググ..グォォッ!」とか「ゴッ、ゴガァァァッ!」とか「プシューップシューッ」という、ウィーンイビキ合唱団がご唱和を始め出すのだ。

たちまち「ゴゴゴゴゴゴゴ」というジョジョ的な効果音に包まれるイモアライロックフェス会場。


早く寝たもん勝ちの世界だが、何かと繊細な神経を持つ私は絶対寝られる気がしない。

気を抜くと、仲間であるはずの同じ布団内の怪我人も「ズゴーッブシューッ」と合唱に参加。

彼はプロの怪我人というだけでなく、実はチーム屈指のイビキストとして名を馳せる男だ。


私は全てを諦め、持参の睡眠薬を二錠飲んで無理矢理気絶する道を選んだ。

実に長い一日だった。


その後聞いた話では、気絶後の私も相当ソリッドな合唱を披露した模様。

おかげでパパラッチKが隣のおっさんに蹴られたらしい。



旅は道連れ 世は情け



こうして新しい仲間を得た私の航海は、明日に向かって行く。

いよいよ明日は大秘境「雲ノ平」上陸。

そして新世界と呼ばれるグランドライン後半の海、「高天原(たかまがはら)」へ。


大秘宝マゾピースへの道のりは長く厳しいのである。





マゾピース3 雲ノ平編へ   〜つづく〜


 

マゾピース1 太郎平編〜冒険の夜明け〜

Posted by yukon780 on 21.2015 雲ノ平〜高天原/富山 0 comments 0 trackback
1_20150821162225e9b.jpg


富・名声・力

この世のすべてを手に入れた男、後悔王ゴールド・ロスター。

彼の死に際に放った一言は人々を山に駆り立てた。


「俺の財宝か? 欲しけりゃくれてやる。

探せ!この世の全てをそこに置いてきた!」


男達はグランドラインを目指し夢を追いつづける。

世はまさに大後悔時代!


その山に今、

マゾマゾの実を食べマゾ人間となった中年、ジョージマゾリーとその仲間たちが挑む。



おマゾ王に

オレはなる!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【後悔日誌 8月7日】

10:00


いよいよ出航の時が近づいて来た。

今日は強引に会社を午前中に上がる段取りをしている。


しかし出航前から戦いはすでに始まっている。

まずは伝説の後悔王、ゴールドロスターにあやかって航海の安全祈願。

私の巧みな作戦にまんまと引っかかった海軍により、私は「信号無視」という名の汚名を被せられて捕縛された。(前回記事参考)

11822361_1007484009283699_7387650930240431984_n.jpg

そこで見事に我がゴールド免許への夢を喪失。

これで私もゴールドロスターとなり、実に縁起の良い出だしとなった。


私は即座に9,000ベリーという罰金を銀行から振込んで釈放。

そして北アルプス最深部に向けて、意気揚々と大海原へ飛び出したのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


14:00


私は今、遥か遠く「富山」という国に向かっている。

仕事を午前で上がって今猛烈に急いでいるのには訳がある。

実は登山口に向かう為の「有峰林道」へ入るためのゲートが、19:20くらいには閉ざされてしまうからだ。

その時間までにそのゲートを突破しないと、次にゲートが開くのが翌朝6:00。

そうなると出発時間が大幅に遅れて、冒険の時間が思いっきり削られてしまうのである。


そんな状況の私に向かって、我が航海士(カーナビ)が突然このような事を告げて来た。

IMG_8207.jpg

まさかの東海北陸道通行止め。

これにより、私は「下道」での航海を強いられる事になる。


ただでさえ時間がなくて焦ってるのに実に厳しい航海。

戦いは登山前から始まっているようだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


19:00


早くもヘロヘロだ。

何とかゲートを無事に越えてグランドラインの入口、「折立駐車場」に到達。

ノンストップでの6時間ドライブは、我が腰に猛烈なダメージを植え付けた。

IMGP1247_20150821101228a10.jpg

とりあえずここでは、空が異様にグレーな事は見なかった事にしておこう。


すかさず明日に向けて準備開始。

これが今回のパックトランピングの装備である。

IMGP1249_20150821100814083.jpg

前回24キロのザックで何度もエクトプラズムを吐いた反省を元に、今回は3キロの減量を果たして総重量21キロ。

この3キロの減量のために、随分とお金を使ったぞ。

しかし私はあの頃より、「自分自身」が4キロも増加しているというまさか。

結果的に体感重量は前回を上回ってしまった。

このあたりの根回しこそ、私が「イーストブルーの愚か者」と恐れられる所以。


とりあえず明日のグランドライン突入に向けて、今日はさっさと寝るのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【後悔日誌 8月8日】

4:50


ついにグランドライン突入の時が来た。

IMGP1254.jpg

この瞬間をどれほど待ちわびた事か。

出発前、我が愛する嫁にも「保険金だけちゃんと下りるようにしといて。人目につくとこで死んでよ。捜索が面倒だで。」と優しいエールを頂いた。

もういっそ「この登山口で死んでやろうか?」と頭をよぎったが、我が冒険はまだ始まったばかりだ。


さあ、いざ出航。

IMGP1255_2015082110082175d.jpg

のっけから地味にしんどい登りが延々と続く。

何がしんどいかと言えば、このような己撮りをしながらだから何度も同じ場所を往復する事になる。

しかしパックトランパーとして、無駄な己撮りこそマゾを華やかにするために欠かせないスパイスだからしょうがないのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


5:30


地味な汗だくグハグハの航海は続き、ちょうどペンギン村にさしかかった頃、

DSC09785.jpg

我が後方から実にいぶし銀な渋い声で「おはようございます」の声。

振り返ると60代の男が一人。

しばし話をすると、彼は某有名大学病院の外科部長や医師会会長を歴任したという超大物だった。


ちょうど良い感じに瀕死状態だった私は、そのチョッパーおじさんを船医として仲間にした。

チョッパーとしてはいささか貫禄がありすぎるが、これ以上頼りになる船医はいない。

恐らく知ってる人からすると話す事も出来ない雲の上の人なんだろうが、山に入ってしまえば皆同じ穴のマゾ。

これでいつマゾり死んでも大丈夫だ。



話をしながら歩いていると、チョッパーおじさんは山を買って自分で登山道を切り開いているという変わり者だった。

しかも嬉しそうに奥さん公認の愛人の話を始め出すという意外な展開に。

チョッパーおじさん、とんだブラックジャックだぜ。


かく言う私も、そのチョッパーをして「俺も変人だけどあんたも変人だな。なぜボート背負ってるんだ?」と言わしめる。

そして「そんだけゼエゼエ言って心拍数上がってるのに、なぜそこからスピードが上がるんだ?」とも。

さらには「あんた大丈夫か?体から凄い量の湯気が出てるぞ!」とも。


それはどんな医学でも説明出来ない。

何故なら私はマゾマゾの実を食べたマゾ人間なのだから。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


6:40


チョッパーおじさんの「愛人論」を聞きながら航海を進めていると、やっと樹林帯から解放されて空が開けて来た。

IMGP1266_20150821100831391.jpg

そこを登り詰めると、まるで北海道かアラスカにでもいるような広大な世界が登場した。

IMGP1270_20150821100838324.jpg

IMGP1271_201508211008419ce.jpg

IMGP1272_20150821100844447.jpg

IMGP1273_20150821100847aec.jpg

IMGP1275_20150821100850977.jpg

IMGP1277_201508211008539fa.jpg

たまらない。

まず何よりもこの時点で雨が降ってないどころか、ちゃんと5m以上先まで見通せること自体に感動。

今までは常に霧の中の航海を強いられて来ただけに、この時点で我がパンティーはずぶ濡れである。

そんな最高な光景がどこまでも続くから、アテントなしにはこの先には進めないほどだ。

IMGP1281_201508211009009da.jpg

チョッパーおじさんに「どうしたらそんな風に嫁を手なずけられるんですか?」と聞いたりして凹んでいた私の視界も、これで一気に良好に。

さあ、家の事は忘れて、いざヨーソロー!

IMGP1285_2015082110090501b.jpg

IMGP1289_201508211009094d2.jpg

こういう壮大な風景が好きだから以前アラスカくんだりまで行ってしまったわけだが、ちゃんと北アルプスでもそれを感じられる場所があったのだ。

さあ、モリモリ進んでいくぞ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


8:00


スタートの折立から稜線上の太郎平小屋までは、通常コースタイム5時間。

そこを重量級パックトランピングスタイルで、無理矢理「3時間10分」というタイムでマゾりきった。

IMGP1298_20150821100922165.jpg

IMGP1299.jpg

IMGP1297_20150821100919035.jpg

はちきれんばかりの腹と乳を揺らしながら、ゼエゼエと虫の息。

まだ朝の8時なのに、早くもHPはオレンジ色に。

何もこんなに急ぐ必要はなかったんだが、私は命を削って1分1秒でも多く遊びたい冒険者なのである。


優秀な船医がいるからこそ、こうして死の縁まで己を追い込む事が出来た。

しかしチョッパーおじさんは「ほな、ワシは薬師岳の方に行きますんでここで失礼。」と、ここで船を降りてしまった。

ここからが本番なのに肝心の船医を失った私は、ここにあった小屋で「死医死慰烈門」という名の秘薬を手に入れる。

IMGP1300_20150821100928230.jpg

これで無理矢理息を吹き返した気になる。

通常の人なら、折立からこの太郎平小屋で一泊する所。

しかし私はここからがスタートと言っても過言ではないから、ここで立ち止まるわけにはいかない。


休憩もそこそこに、この港町から出航。

IMGP1301_201508211009319fb.jpg

ここから先は、ドコモ携帯でもずっと圏外という魅惑の世界。

他の人がほとんど薬師岳の方に向かって行くのに対し、私はそれに背を向けてまだ見ぬ世界へと舵を切る。

天下の北アルプスに来てるのに、一切の山頂を目指さないというスタイルだ。

IMGP1307_201508211009493ee.jpg

それこそが、無駄を愛するパックトランパーの進む道なのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


9:00


相変わらず素晴らしい稜線が続いている。

IMGP1302_201508211009359f3.jpg

横を見ればこの景色。

IMGP1311.jpg

そして青空をバックに咲き乱れるお花達。

IMGP1306_201508211009450a1.jpg

ひょっとして私はすでに死んでしまっているんじゃないだろうか?

今ここにいる私は幽体離脱して来た魂で、本体は撲殺された状態で嫁の前に転がっているんじゃないだろうか?

やはり出航前の海軍への賄賂(9,000ベリー&2点減点)が功を奏したのか、ここまでは実に順調な航海である。


そしてせっかくここまで稼いだ高度を無にするべく、私は北アの最深部に向けて下降を開始。

IMGP1313_20150821100956e4f.jpg

この奥の奥の奥の方にまだ見ぬ秘境、雲ノ平が待っている。

そしてそのまた奥には、ゴールドロスターが残したという秘宝が眠っているのだ。

この時点で、我がロマンと体臭ははち切れんばかりなのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


9:30


クソ暑い中、ひたすら下降は続く。

IMGP1318_201508211440189fe.jpg

本来なら高度を上げると共に涼しくなるのが北アルプスだが、私は今張り切って下降中。

下りれば下りるほどに暑さが増して、草木が発するムンムンな湿気が体中にまとわりつく不快地帯へ。

「今日ばかりはそんなに晴れなくても...。景色も見れないし...。」と思わず口から漏れそうになるが、おマゾ王になる男がそんな弱音を吐いてはいけない。


やがて薬師沢の源頭部を渡り、

IMGP1320_20150821101000227.jpg

太陽が放つライトニングボルトを激しく食らいながら、謎の大急登。

IMGP1325_201508211010121ab.jpg

そこを乗り越えると、再びアツアツムンムンの道を進んでいく。

IMGP1326_201508211010156f0.jpg

IMGP1329_20150821101019232.jpg

IMGP1331.jpg

水を飲んでもすぐに喉がカラカラになるという脱水状態に。

パックトランパーの三大資格として「無駄な己撮りが好き」「お腹が弱い」「脱水症状になりやすい」が挙げられるが、どうやら今回もバッチリ決まったようだ。


そんな中、薬師沢左股出合いの橋に到達。

IMGP1334_2015082110102639d.jpg

ここから本日の目的地「薬師沢小屋」まではおよそ1時間。

本来ならその小屋に荷物を置いて、小屋横を流れる黒部川源流部をB沢までパックラフトで下る予定だった。

しかし、ここで薬師沢が「こっちおいでよ」と妖艶に私を誘って来たではないか。

IMGP1336_2015082110103063a.jpg

私はゴクリと生唾を飲み込むが、喉がカラカラでうまく飲み込めない。

くしくも現在絶賛脱水中で、なおかつ汗による体臭や股間のムレムレっぷりはピークに達していた。


でもここで我慢出来ずに沢に入ってしまったら全身ずぶ濡れになる。

そうなると、そのまま未知の沢筋を下って小屋まで行く事になってしまう。

1時間で行ける所を、無駄に何時間もかけて行く事になる。

しかも薬師沢では水量不足でパックラフトが出来るかどうか全くの未知数だ。


あと1時間我慢するんだ。

ここで沢には入ってはいけないぞ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


10:20


無理だった。

IMGP1340_201508211010348c8.jpg

ふと気づいた時、私は沢用の格好に着替えて薬師沢の懐に抱かれてしまっていた。

キリリと冷えた沢の水が、火照りに火照った私の体を休息冷却して行く。

川好きの私が、脱水状態のままこの快楽に目を背けて先に進む事なんて土台無理な話だったのだ。


さあ、もうこれで後には引けなくなってしまった。

靴もフェルトソールの沢靴に履き替えてしまったから、もう登山道を行く気はない。


安全が約束された航路から外れ、全く情報がない世界へと飛び込んで行く不安と興奮。

しかしうまく行けば、苦労してしか辿り着けないスペシャルなパックラフト区間があるかもしれない。

そしてそのまま薬師沢小屋まで漕いで行ければ、「移動手段」としてパックラフトを使う事になるのがかなり魅力的だ。

パックラフトを、本来の使い方であるアラスカ的冒険アイテムとして活用出来るかもしれない。


さあ、この先の世界は一体どうなっているのか?

地形図の情報だけを頼りに、いざ訳の分からない「薬師沢沢下り」の戦いへ。

IMGP1360_20150821101038855.jpg

普通の登山道を行けば簡単な話だが、私はあくまでもロマンハンター。

果たしてこの先で待ち構えているのは大秘宝なのか、それとも大悲報なのか?


私の冒険は、まだ始まったばかりなのである。





マゾピース2 薬師沢編へ  〜つづく〜



プロフィール

yukon780

Author:yukon780
気の毒な男のネガティブな日常へようこそ!

カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

カテゴリ

興味のあるテーマを選んでね。

Visiter

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
旅行
93位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
11位
アクセスランキングを見る>>

にほんブログ村

にほんブログ村 アウトドアブログへ
にほんブログ村 アウトドアブログ カヌー・カヤックへ
にほんブログ村 アウトドアブログ ソロキャンプへ
にほんブログ村 アウトドアブログ アウトドア用品へ
ブログランキング・にほんブログ村へ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。