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ヤツオリンピック・赤岳編1〜レジェンド団長の挑戦〜

Posted by yukon780 on 28.2014 赤岳/長野 0 comments 0 trackback
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ソチオリンピックが終わった。


多くの感動を与えてくれた選手達。

彼らは4年に一度のこのほんのわずかな一瞬の為、その長く苦しい修行の日々を乗り越えて来たという。

その輝かしい「一瞬の祭り」の為に。


そしてそのソチオリンピック閉会式直前。

この日本で、もう一つのオリンピックが開催されていた事をご存知だろうか?

それこそが、八ヶ岳連峰で行われた「ヤツオリンピック」である。


この祭りに出場するため、4年間血の滲むような修行をして来た一人の選手がいる。

登山歴4年目の彼は、これまで常に悲惨な登山修行にその身を置いて来た。


雨に打たれ、暴風に晒され、泥にまみれ、仲間に裏切られ、嫁に罵られ....


それでも彼は負けなかった。

景色が見れないと分かっていながらも、彼は黙々と山を登った。

トレーナーのモクモクさんと二人三脚で。


何度も心が折れかけた。

家族からもそっぽを向かれる事もあった。

あまりに報われないその日々に、引退すら脳裏によぎる事もあった。


しかしそんな苦悩の日々の末ついに彼はマゾ日本代表に選出。

そして憧れ続けたヤツオリンピックへの切符を手に入れたのだ。


だがその代償は相変わらず迷惑なものだった。

彼が「八ヶ岳に行く」と言ってしまった事により、八ヶ岳を含む関東甲信越地方が「記録的な大雪」に見舞われてしまったのだ。

彼の能力は、もはや「企画しただけ」で現地に大混乱の悪天候をもたらすまでに成長していたのだ。


その大雪のせいで、本来2月上旬に開催予定だったヤツオリンピックは延期された。

もちろんこの選手はそんな事実にもめげる事なく、豪雪の恵那山で修行をしながらオリンピックの延期開催を待ちに待った。(参考記事:絶望雪中おマゾ行軍〜恵那山豪雪道場〜


そしてついにその時がやって来た。

のちに、厳冬期の八ヶ岳では「5年に一度の好天」と言われた土日がやって来たのだ。

これぞこの選手が4年間苦汁をなめ続けて得た「一瞬の輝き」。

彼はこの土日の為に今まで苦行して来たと言っても過言ではない。

八ヶ岳にとっては5年に一度だろうが、彼にとってこれは一生に一度の奇跡。

恐らくこの選手が生きている間の「最後の大好天」となる事は間違いない。


男はアツい想いを胸に秘め、ヤツオリンピックの会場に向かう。

戦いのステージは、初の八ヶ岳にしていきなりの「厳冬期・赤岳」。

まさに「雪山登山の登竜門」と言われるこの赤岳で、ついに男は竜となるのだ。

そして光り輝くメダルを手に入れ、やがては「レジェンド」と呼ばれる男になるのだ。


それでは2日間に渡って繰り広げられた「赤岳&硫黄岳」のヤツオリンピック。

歓喜にまみれたこの選手の戦いを、じっくりと振り返って行こう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


深夜2時。

オリンピック会場に向かう為、共に戦う選手団のメンバーが岐阜に集結。

その時、のちにレジェンドと呼ばれる男はなぜか「マスク」をしていた。


人一倍大舞台に弱いレジェンドは、なんとこの大事な日に照準を合わせて「風邪」を引いていたというまさか。

咳は止まらず、若干の寒気とともに体のだるさが素晴らしい。

心配する選手団のメンバー達に対し、彼はカッコ良く「このマスクはオシャレである」と見事な強がり。

5年に一度の好天予報の土日にしっかりと体調を崩すあたりが、彼がレジェンドと呼ばれる所以。

レジェンドの調整は今回も美しく決まったようだ。


やがて日本代表マゾ選手団は、東京から来た選手と合流して赤岳山荘駐車場へ移動。

しかしその道のりはいきなりのハード豪雪ロード。

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実はつい先日まで除雪作業が難航しており、やっと開通したばかりの道。

4WDスタッドレスのエクストレイルでも、ベタ踏みでやっとノロノロ進んで行くような重い雪。

選手団の中に「またしても現地にすら辿り着けないのか?」という不安がよぎる。


天気が好天予報だと、レジェンドの思考回路は「何か悪い事が起きるはずだ」というネガティブ思考に支配される。

結局彼は晴れたら晴れたで落ち着く事は許されないのだ。


まだ車内なのに「ハァハァ」と息をきらせながら、集中しまくった運転でなんとか駐車場まで到達。

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正直、この時点で「駐車場到達記念撮影」がしたかったほどの達成感だった。


しかしまだ油断する事なく、気を引き締める日本マゾ選手団のレジェンド団長。

今まで日の当たる世界ばかりで浮かれて来た若手に対し、「浮かれた時こそマゾり時だ」としっかりと指導する事を忘れない。

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この4年間、浮かれる度に地獄へ突き落とされて来た団長の言葉は重い。

晴れ舞台でばかり生きて来たジョンボーAも、真剣な表情でこのベテラン悪天候ジャンパーの話に耳を傾ける。


しかしそのアドバイスも空しく、彼は早くも会場の雰囲気に飲み込まれた。

言ってるそばから浮かれてしまったのか、出発記念写真の時点で雪に埋もれてマゾり出す。

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勢いでパパラッチKまで巻き添えを食って抜け出せなくなっている。

ただ八ヶ岳の看板の前で記念撮影するだけなのに、早くも奴らの祭りが止まらない。


とりあえず、改めて看板から離れて記念撮影。

これが今回のヤツオリンピックに派遣された「日本代表マゾ選手団」のメンバーである。

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前列4名はお馴染みのチーム・マサカズ雪山部のメンバーで、ジョンボーA・低血圧Mちゃん・パパラッチK・レジェンド団長の4名。

そしてその後方で、するどい視線を送る黒服の男。

彫りが深くて濃い顔なので、中東の国の選手が紛れ込んでいるように見えるがさにあらず。

実は彼は東京から来たれっきとした日本代表マゾ選手。

その名も「ランボーN」という名の、サバイバル男なのである。

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彼は幼少期に「ランボー怒りのアフガン」に出会った事により、強烈なマゾ人生をスタートさせた男。

ランボーに憧れるあまり、彼は「サバイバル」の世界にどっぷりと傾倒。

中学生の頃には一人で富士山麓を徘徊し、野宿と岩登りを繰り返す。

別に襲って来る敵がいるわけじゃないのに、侵入者に対する罠まで作ってしまったという徹底ぶりだ。


やがてその止まらないサバイバル精神のまま大人になり、クライミング・ケービング・カヤック・パックラフト・SUPボード・パラグライダー・パルクール等々に手を出す「末期マゾ状態」に。

彼は現場が危険な香りに包まれていればいる程に「コーフンが止まりません」と言ってニヤリとする。

まさに日本選手団が満を持して発掘して来た次世代マゾスター。

「サバイバルマゾ」という新分野を開拓した、関東が誇る変態である。


しかし何気にレジェンド団長と同い年のランボーN。

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そして団長と同じように二人の男の子のパパであり、めっきり家から出られずに悶々としている選手。

さらに共通点として、S嫁さんの強烈な氷結ブロックを突破できずに家庭内に監禁されてしまったという哀しきランボー。


そんな自由を奪われた囚われのランボーだったが、この度ここのヤツオリンピック出場権を獲得してやっと野に解き放たれたのだ。

なので久しぶりのこのサバイバルな現場に対し、彼は「外だ!森だ!雪だ!」とコーフンがおさまらない様子。

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ついに解放された苦労人のこの選手。

もちろん彼もメダル候補として大きな期待が寄せられている。


そんな頼りになるランボーNを選手団に迎えた一行は、一路豪雪の道を突き進んで行く。

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正直猛烈なラッセルが予想されてワカンやスノーシューを持って来たが、物好きな先行ラッセル野郎たちのおかげでトレースがしっかり付いている。

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これなら何とかスムーズに選手村(赤岳鉱泉)に到着し、開会式の会場(行者小屋)に到達できそうだ。


しかしそこはやはり厳冬期八ヶ岳。

なんと低血圧Mちゃんの髪の毛が凍り始めたではないか。

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ついに彼女の冷え性が髪の毛にまで達してしまったのか?

もはや触るだけで髪の毛がバリバリと落ちて、一気にショートカットになってしまいそうな勢いだ。


実はまだ始まったばかりなのに気温は-15℃以下。

みるみるヒゲやまつ毛が凍り始める。

まるで集団で老人ホームから抜け出して来たみたいに皆の毛は白くなって行く。

選手団の中に「このペースで赤岳山頂まで行ったらどうなっちゃうんだ?全員が凍ってしまって低血圧Mちゃんで釘が打ててしまうんじゃないか?」という不安が蔓延。


しかし状況が厳しくなればなるほど、ランボーNの血色が良くなってニヤリが止まらない。

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かつてブリザードの谷川岳でビバーク経験のある彼としては、今は常夏の戦場に乗り込んだくらいの気分なんだろう。

それとも単に家庭内束縛から解き放たれた開放感からなのか。

同じくサド嫁に管理・飼育されているレジェンド団長は、ランボーNがニヤリとする気持ちが痛いほど分かった。


その後も延々と延々と、ひたすら選手村を目指す日本選手団。

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しかし行けども行けども中々辿り着かない選手村。


そんな中。

前方の森の中にただならぬ気配が。

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あの迫力あるシルエット。

「さては嫁か?」と戦慄が走るレジェンド団長とランボーN。

まさかこんな所まで追って来て、「オラ、遊んどらんでさっさと子供のオムツ換えろや」とでも言いに来たのか?


さにあらず。

ついに我々の目の前に、選手村名物「アイスキャンディー」が現れたのだ。

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まるで嫁の心の中をビジュアル化したかのようなこの大迫力。

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ここは赤岳鉱泉が誇るアイスクライミング用の人工氷壁。

我々選手団は、ついに憧れ続けた選手村に辿り着いたのだ。

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そしてその隣にあるのが、赤岳鉱泉という名の選手宿泊施設。

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今回のオリンピックは、この選手村を起点に「赤岳」と「硫黄岳」という二つの種目に挑むのだ。


もちろん懐から大人のフルパワーを見せつけて、快適な個室をキープ。

ここで赤岳決戦前の最後の晩餐だ。

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実はこの時、ランボーNがひっそりと仕込みマゾを完了させていた。

実は彼はサバイバル野郎のくせに、人一倍胃腸がデリケートな男。

なぜか普段は食べないとんこつラーメンを「あえて」チョイスし、見事にこの時点から腹痛と吐き気に苦しむ事になる。

そんな彼の姿からは「快適な時こそサバイバルな状況は己で作り出すものなのだ」という教訓が見て取れた。


その同世代マゾの仕込み芸に感動したレジェンド団長。

ついに赤岳戦に向けた戦闘モードへ。

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しかし何かがおかしい。

どう見ても「これから赤岳を落としに行きます」と言うより、「これから三億円を強奪しに行きます」と言った状況に。

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このままでは事件から46年の時を経て、ついに赤岳鉱泉にてレジェンドが捕縛されてしまう。


しかし我々が奪うのは三億円ではなく、あくまでも「ロマン」である。

お金では買えないものを奪うための戦いがここから始まるのだ。

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さあ、開会式の会場・行者小屋に向けて出発だ。

レジェンド団長も気持ちが高まり、今にも凶悪犯罪を起こしそうな顔で悲壮な覚悟を見せつける。

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実は彼はこの時点で不安で一杯なのだ。

人一倍高所恐怖症の彼は、この先に待ち受ける赤岳のお下劣な高度感に対して早くも心を折られているのだ。


しかし外に出れば、すっかり日が昇って最高の天気。

晴れ慣れしてないレジェンド団長は今にも日光で粉々になってしまうそうだ。

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そして遥か先に見える先っちょが、目指すべき赤岳。

いよいよ高まって来た戦闘モード。


行者小屋の開会式会場目指して出発。

気持ちが高ぶって胃散まで高ぶってしまったのか、早くもランボーNが「うぷっ」という表情に。

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もうすっかり油物が受け入れられなくなったアラフォーサバイバル男。

改めて、何故彼はとんこつラーメンを持って来てしまったんだろうか?


そしてここから先の道は、前日まで「まだ誰も踏み入れていないノートレース状態」と言う情報が入っていて不安だったルート。

しかしこの日の先行ラッセル野郎達のおかげで、見事なトレースが刻まれている。

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日本選手団のお家芸「ラッセル泥棒」が見事に決まった。

これにて難なく木漏れ日の中を快適に突き進む選手団。

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やがて樹林帯を抜けて、開けた場所に到達。

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そしてついにその姿を現した、赤岳から横岳への美しすぎる稜線。

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これにはかつて晴れ男で、団長に出会ってから転がり落ちるように悪天候男に身をやつしたパパラッチKも「ああ、来てよかったなあ」とボソリと呟く。

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しかし彼がこのような浮かれた言葉を言った後は必ず悲劇が起こる。

前回の恵那山も「雪山って楽しいなあ」と呟いた直後に、トレッキングポールをボッキリ折っている。

もちろん今回も、彼はこの直後にアイゼンの爪でスパッツをざっくり切り裂いてうなだれた事は言うまでもない。

まだ開会式前なのに浮かれてはいけないのだ。


やがて再び樹林帯をしばらくハイクアップして行くと、

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なにやら前方の方から入場行進のテーマソングが聞こえて来た。

そう、ついに我々は開会式の会場に辿り着いたのだ。


八ヶ岳に「JAPAN!」というアナウンスが鳴り響く。

それを合図に樹林帯を抜け、会場に入場してきた日本選手団。

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そして入場するなり我々の目に飛び込んで来たもの。

それはあまりにも美しすぎる、「阿弥陀ヶ岳」の聖火台だ。

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素晴らしい。

そんな美しき聖火台を見ながら、会場の観客に手を振りつつ入場して行く日本選手団。

旗手を務めるレジェンド団長も胸を張って実に誇らしげ。

そしてふと左手を見てみる。

するとそこには、本日の決戦場「赤岳」が迫力たっぷりにズドーン。

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ついに現れた岩の城・赤岳。

オリンピックに相応しいその荒々しい姿と、変態的な絶壁急登っぷり。

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もはや団長のパンツは武者震いでビショ濡れだ。


そして眼前に広がる「赤岳」「中岳」「阿弥陀ヶ岳」の稜線を堪能しながらの入場行進。

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何と言う素敵すぎるスタジアムだろうか。

ただ開会式本番までに間に合わなかったのか、会場の小屋はまだ思いっきり雪の中でまだ必死の除雪作業が続いている。

しかし小屋前には、すでに多くの他国の選手達が入場済み。

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日本選手団も、負けじと会場入りを完了。

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いよいよ緊張感が高まって来た行者オリンピックスタジアム。

会場からは割れんばかりの拍手が降り注ぎ、スタジアムは興奮のるつぼに。

グランドレベルから会場をぐるっと見回すと、好天も手伝ってもう感動が止まらない。

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この世にこんな美しい世界が存在していたのか。

この選手なぞは、もうこの時点で涙が止まらない様子。

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嗚咽まじりに泣き崩れるレジェンド団長。

無理も無い。

彼のここまでの4年間に及ぶ苦行登山の日々。

その積み重ねによって、やっと許された「晴れの舞台」。

もう何も心配する事なく、純粋に山を楽しんで良い時が来たのだ。

人並みの幸せを噛み締めても良い場面がやって来たのだ。

もうモクモクさんの影に怯える必要はないのだ。



そしてこの時点で、何やら低血圧Mちゃんの背後の男達に落ち着きが無くなって来た。

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彼らは申し訳なさそうに言った。

「ジツハ、ワタシタチ、日本人ジャナイノネ。」と。

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なんとこの二人は「シェルパ族」だったと言う事がここで判明。

今回のオリンピックに合わせて、兄弟で日本に帰化した事をカミングアウトだ。


確かにこの二人越しに雪山を見てみると、何やらチョモランマのベースキャンプにでもいる気がして来たぞ。

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ついに姿を現したランボー・ジョンボーの「シェルパブラザース」。

その表情からは「ワタシタチガ、アカダケサンチョウマデサポートシマース。」と言っているように見える。

一体いくらふんだくるつもりなのか?


僕は慌てて「我々はシェルパ族を雇った覚えは無い」と言ってサポートを断った。

すると弟のジョンボーが「シャチョサン、ソンナツレナイコトイワナイデ」と言って、おもむろに火照った表情で服を脱ぎ始めた。

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そして流し目で、「ワタシ、イロンナサポートデキマス。マンゾクサセマース。」と言って来たのだ。

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この突然目の前で繰り広げられたシェルパの奇行に、低血圧Mちゃんはただただ呆然と立ち尽くす。

しかし彼の背中から出て来たのは、なんとハイドレーションザックだった。

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なるほど、これなら体温で水が凍る事なく補給出来ると言う事が言いたかったようだ。

彼のジェスチャーを見る限り「こうして水をチュウチュウできるのね」と言う事を伝えたいようだ。

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まさか日本選手団に帰化したシェルパ族が紛れ込んでいたとは思いもしなかったが、彼らの必死な思いは伝わったから連れて行く事にしよう。


こうして我々は改めてシェルパブラザースを雇い、いざ赤岳決戦に向けて出発。

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弟ジョンボーのファインプレーでガイドを勝ち取り、兄ランボーもホクホク顏。

この調子の良い兄弟に対し、低血圧Mちゃんは呆れて思わず「ろくでなしブルースポーズ」だ。

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さあ、茶番はここまでだ。

いよいよここからはメダルをかけた本番。

ついに憧れ続けた「厳冬期・赤岳」への戦いが始まる。

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日本を代表するマゾ選手団。

ついに彼らはその一歩を赤岳に向けて踏み出したのだ。

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この先にあるのは絶景か絶望か。

金メダルをかけた「赤岳・文三郎尾根の戦い」。


日本中が固唾を飲んで注目するこの一戦。


いよいよ彼らの4年越しの思いが爆発する。




ヤツオリンピック・赤岳編2へ 〜つづく〜



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