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ナガラデイズ 後編 〜さよならシャクレ野郎〜

Posted by yukon780 on 26.2012 長良川/岐阜 0 comments 0 trackback
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さて、引き続き長良川の日々を振り返る「あん時のアイツ」シリーズ第20弾の後編。

前回は「地獄への門」「モテないずぶ濡れ野郎」「極寒の美白メンズ」の3本でお送りしました。

今回の後編では、いよいよシャクレYの「引退の秘密」が明らかになります。

さりげに僕も同時に死の恐怖に直面しております。

思い出すのも怖かったから今まで書いてこなかったけど、これはちゃんと書いておかないとね。



まずは再び、少しづつナガラデイズを振り返っていこう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


2005年4月。

この時はビビるSが僕と同じハイビックスのカヌーを買ったので、進水式をかねてのツーリングだった。


スタート地点の美濃橋の川原での進水式。

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本日の旅の無事をバッチリと祈願した。


新艇でのツーリングは実に楽しいものだ。

ビビるSも、いつにも増して輝いた笑顔でホクホク顏で下っている。

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「陰の男」の僕としては、いつもこのように順風満帆なビビるSが羨ましくてならない。

なんとかこの男をギャフンと言わせられないものだろうか?


どうやらそんな僕の「陰」の力が長良川に浸透し、見事に長良川がその期待に応えてくれた。



魚道の瀬に向けて、相変わらずのホクホク顔で突入して行くビビるS。

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そして、アッパーな魔力に突き上げられるビビるS。

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たちまち横倒しに沈するビビるS。

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ここで僕のガッツポーズが炸裂したのは言うまでもない。

すっかり笑顔を失くしたビビるSが流されて行く。

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進水式で安全を祈願してから、わずか10分後くらいの惨劇だった。


ああ、スッキリした。

奴もたまにはこれくらいの洗礼を浴びとかないと「幸せボケ」してしまうからな。



やがて我々は関観光ホテル前の川原へゴール。

実はこの日はビビるSの彼女さん(後の奥さん。BONNIE PINK似なので以下ボニーYと呼ぶ)も来ていた。


僕がカヌーを片付けていると、二人の後ろ姿が何とも眩しかった。

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なんて幸せそうな二人の姿だろうか?

長良川も、そんな二人を優しく包み込んでいるし。


当時の僕は、長い長い彼女いない氷河期の真っ最中。

マシンガンで撃たれた後みたいに心に風穴が空きまくっていた頃だ。

とてもじゃないが、僕は輝いている二人を直視することが出来なかった。

ビビるSが沈したぐらいで喜んでいた僕が余りにも惨めな存在に思えてしまった瞬間だ。


振り返れば、そんな僕に同情して猫がすり寄って来る。

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「まあ、そんなに落ち込むなよ。そのうちきっといい事あるさ。」と言っているようだ。

しかし、そもそも「黒猫」がすり寄ってきている時点であまり縁起のいい話ではない。



長良川も、たまにこのような変化球で人の心をえぐって来る事がある。

荒瀬を乗り切ったからといって油断してはいけないのだ。


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そしてその一ヶ月後の5月。

今度はそんな僕の彼女いない氷河期を支え続け、一時ホモ説まで浮上した山田(仮)との長良川だ。

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やはりビビるSがいた時に比べて、非常に重い空模様だ。

所詮僕にはこの程度の天気と山田がお似合いなのだ。


この日は若干渇水気味で、川底の岩がむき出して怖いし漕ぎづらい。

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激流好きの山田だったが、わざわざ彼は静岡からはるばるやってきてこの有様だ。


こんな時はメシに力を注ぐのが吉だ。

長良川の川原は豊富に流木があるから、焚き火パラダイスだ。

こういうちょうどいい息吹き棒なんかも落ちていて、実に男らしい調理が可能だ。

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別にこんな事する必要は何もないんだが、川の状態が悪いとこの様な事に無駄に時間をかけて楽しむのがこのコンビの対応力だ。

作るのはうどんなんだが、山田シェフはわざわざほうれん草は別で煮るというこだわりぶり。

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そして、ここに「餃子」を投入するのが当時二人の間で大流行していた食べ方。

みんなもやってみ、餃子うどん。ウマいから。


あとはカヌーそっちのけで、山田は昼寝で僕は釣り。

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見事に何も釣れない。


彼女も出来ず、魚すら釣れない男。

振り返れば餃子臭い男が川原で昼寝している。

ひと月前のビビるSカップルとのこの落差は何事か。


この時僕は「いつかきっと、晴れた日にステキな彼女さんと川を下ってやる」と固く誓ったものだ。

この時の誓いは、結婚した今でも達成されないままだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そしてその4ヶ月後の9月。

だったら、ステキな女性が沢山いる場所にこちらから出向いて行ってしまえ。

再び僕と山田コンビで向かったのは、長良川上流でのラフティングだ。


この時が、僕も山田も初ラフティング。

そして、ラフトじゃないと僕らの技量では下れないであろう初の長良川上流部。



ラフティングで一番驚いた事は、若い女性がわんさといることだ。

男よりも女性の数のが圧倒的に多い。


過去何年も川旅を続けていたが、ほとんど川原で女性を見る事はなかったがこんな所に密集していたのか。

今後ラフティングに行く事を「ディズニーランドに行く」と言い直してもいいほど、カヌー野郎にとっては夢の国だ。

自然と僕と山田にも笑顔がこぼれてしまう。

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そして本題のラフティングは、やっぱり凄まじい流れの中を進んで行く。

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やはりこれぞ本来の長良川。

すごい激流だが、ラフトだから全然平気で突き進んで行ける。


激流だけじゃなく、上流ならではの山深い雰囲気も気持ちがいい。

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岩場から飛び込んじゃったりして。(飛んでるのは山田です)

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なんて浮かれてやがるんだ。

今までの川旅って、なんかいつも眉間にシワを寄せて気難しい顔して下ってた(下らざるを得なかった)んだけど、これがラフティングの世界か。

恐ろしきディズニングワールド。



まあ、なんだかんだと純粋に楽しめた。

しかしこの時の浮かれたディズニングが、後の悲劇への伏線となっていく。


この時はラフトだからこそ軽々と瀬をこなして行けただけのこと。

勘違いした僕と山田は、「意外と僕らだけでもこの上流部を下れるんじゃないか」という恐ろしい暗示にかかってしまった。

ナガラランドの魔女に呪いの魔法をかけられてしまったのだ。

やがて僕らは、ファンタジーのカケラもない世界へと突入して行く事になる。


(ちなみに書くまでもないが、ここで彼女が出来る事はやっぱりなかった。その手の魔法は僕には無縁のようだ。)


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夢のディズニングから一ヶ月後の10月。

勘違いの魔法にかかったままの僕と山田は再び長良川上流へやってきた。

そしてその時はもう一人シャクレYも参戦した。


というのも、この頃シャクレYは忙しくて随分長い事カヌーから遠ざかっていた。

そこで僕と山田は、そんなナヨッてしまったシャクレYを「リハビリ」という名目で連行してきたのだ。

すっかりなまってしまったシャクレYに、何も情報を与える事なく激流に突入させて目を覚まさせようというのが狙いだった。

それが全ての悲劇への始まりだった。

まさか彼を「リハビリ」を通り越して「引退」まで追いやってしまう事になってしまうなんて。


山田は2回目にトライするという事で、1回目は僕とシャクレYのコンビ。

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出発前から、何やら顔に「死相」が浮かんで見えるのは僕だけだろうか?

シャクレYには「ちょっとだけ激しいけど、全然大丈夫だよ。お気楽だよ。」と言ってあるから、彼はまだこの時は優雅な気持ちで出発準備をしている。


そして、彼らは「地獄」に向けて旅立って行った。

DSC04724.jpg

山田が撮ったこの写真が、彼が「現役」でカヌーを漕ぐ最期の後ろ姿となった。

まだ昼なんだが、二人の頭上にはしっかりと死兆星が輝いていたという。


山田は車で平行して移動。

途中の大きな瀬がある所で二人が下って来るのを待った。

そして、ここが山田によって撮影された運命の場所だ。

DSC04723_20120426195637.jpg

川の流れが凄まじい勢いで集中して大波を発生させ、その先には岩の壁が立ちふさがる。

ラフティングではなんて事のない場所だったが、我々のカヌーと技量では非常に厳しい。


やがて何も知らない男達がやってきた。

DSC04730.jpg

上から見るのと、実際に下るのとでは大違いだ。

この時点で目の前の大波はハンパない恐怖を僕らに与え、その先にある岩の壁なんて全く見えていない状況。


ここに突入前にシャクレYが僕に「うそやろ?本当にここ行けるの?」と不安一杯に聞いて来たから、僕は「全然大丈夫だから。怖いのはただのブランクだよ。」等と言って無理矢理突入して行った。

ハッキリ言って僕も凄まじい恐怖に取り付かれていたが、まだ魔女の呪いは解けていないから強気に突き進む。


そして、僕らの目の前に「波の壁」が巨大に立ちふさがる。

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まさに「白い壁」に追突して行く感覚。

もうこの時点で頭の中には「後悔」の二文字だけが乱舞していた。


カヌーごと凄い勢いで壁にめり込んで行って、ズバッと壁の向こう側へ抜け出した。

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「やった、抜けたぞ!」

と思った我々の眼前に、今度は本物の「岩の壁」がそびえ立つ。

一回ホッとさせておいてからの、絶望的な光景が二人の脳裏に焼き付いた。


完全にパニックに陥って行く二人。

本来は左方向に抜けて行けばよかったんだが、思いっきり岩壁方向へ突き進む二人。

DSC04733.jpg

もうだめだ。

見事に我々は岩の壁に向けてロックオンした。


しかもこの岩の壁にぶち当たった水流が、壁に跳ね返されていない。

これが何を意味するか僕は以前に本で読んで知っていた。

「アンダーカットロック」だ。


アンダーカットロックとは、岩の壁の下側がえぐれている状態で、水流が底に吸い込まれて行くという大変恐ろしい岩の状態。

吸い込まれた水流は、その岩の下でぐるぐると回り続けるのだ。



まず僕らは、カヌーが横を向いた状態で岩に張り付けられた。

もの凄い力で壁に押し付けられて、全くカヌーを動かすことが出来ない。

次第に水流の勢いで傾いて行くカヌー。


その時、見事に世界がゆっくりと斜めになっていくのが見えた。

本当にスローモーションのような感じで、僕らは川に飲み込まれた。


一瞬。

まさに川に落ちたその一瞬だった。

僕らは凄い勢いで川底に向けて吸い込まれた。

もう何が何だか、脳の理解力が追いつかない。


体が全く浮上して行かないばかりか、もうどっちが上でどっちが下なのかも皆目見当がつかない。

まさに「人間洗濯機」状態で、完全にアンダーカットロックの水流の中で回転する体。


この時僕の脳裏には、本で読んだアンダーカットロックの分かり易いイラストが浮かんだ。

目が××で、口が〜なイラストの男性がクルクル回って抜け出せませんっていう絶望的な図解。

まさしく今の僕がそれだった。


呼吸も限界で、思わず息を吸ってしまう。

もちろん容赦なく体内へは川の水が流れ込んで息なんて出来ない。

解っていてもそれを3回もやってしまっても、まだ浮上しない。


「走馬灯のように」とはよく言ったものだ。

色んな事が脳裏に浮かんでは消えて行く。

「ああ、ニュースでよく見る川で溺れ死んだ人の見ていた光景ってこんなんなんだな。こうやって人は死んで行くんだな。」ってしみじみと思う事まで出来た。

そして思ったのは「僕のせいでシャクレYを殺してしまったかもしれない」という激しい不安感。

すぐ近くに彼がいるはずなんだが、全く分からなかった。


そして一瞬「本気で死を覚悟」して力も抜いた時、何となく目線の先にぼやけた光が見えた。

僕は最後の力を振り絞って、その光に向かってがむしゃらに突き進んだ。

光は徐々に広くなって行き、やがてザバッと水中から抜け出した。


その瞬間体が急速に酸素を欲しがったのか、僕は自分でもビックリするような声を発していた。

まるでオットセイのように「ヴアッ!ヴヴグァッ!」と、人間じゃない声というか「音」を発し続けた。


やがて僕は岸に到達すると、そこの岩の上にシャクレYが打揚げられていたのを確認した。

フラフラになりながら「大丈夫か!」と聞くと、何とか彼も生きていた。

良かった。

しばらくは、僕もその場にグッタリと倒れ込んだ。



流されたカヌーとパドルは、たまたますぐ下流にいた他のパドラーによって回収されていた。

あまりにも壮絶な沈だった。

シャレにならない経験だった。


ふと、山田の存在を思い出し上を見上げた。

すると信じられない光景がそこに展開されていた。

なんと山田が腹抱えて「大笑い」しているではないか。


なんて男だ。

こっちは長良川から三途の川へ合流する所まで行ったって言うのに。

どうやらこの水中での地獄ぶりが奴には全く伝わってないようだ。

(後で山田に聞いて分かった事だが、我々的には水中で5分くらいもがいていた感覚なんだけど実際には20秒程度だったらしい)


当たり前だが、我々二人の心はバキバキに折れてしまってもはや原形をとどめていなかった。

もう終わりたいんだけど、まだもうちょっと進まないと上陸出来ない。

仕方なく回収したカヌーに乗って再び下流に向かって漕ぎ出した。

しかしもうちょっとしたパシャパシャの小波でさえ、我々を恐怖のどん底へ落としめた。


濡れて震える小動物二匹はやっと上陸ポイントまで到達して、無事に生還した。



改めて、その後で「現場」を確認するシャクレY。

DSC04735.jpg

思えば彼は「最近付き合いが悪かった」というだけの理由で「リハビリだ」と嘘をつかれて連れてこられた挙げ句、無理だと訴えても「怖いのはただのブランクだ」などと言われてそのまま人間洗濯機の長良川飲み放題コースへと突入する羽目になった悲惨な男だ。

出川ならおいしい場面だが、シャクレにはシャレにならん世界だったはずだ。

事実、この後温泉に行ったんだが、彼は「水が怖い」と言って湯船につかる事にさえも激しく恐怖を感じていた。

中にあった「ジャグジー」を見て、彼は今にも卒倒しそうになるほどのトラウマを抱え込んでしまった。


以来、彼は静かにこの世界から姿を消した。

僕にしても、これ以降しばらくはさすがに流れのある川での川下りは心的に無理だった。




これはあるシャクレの引退の物語。

彼は心の中のステージにそっとパドルを置いて、後ろを向いて闇に向かって消えて行く。

惜しみない拍手が彼に降り注ぐ。

しゃくれたアゴの先に光るは頬を伝った涙の行方か?


そしてこの時からもう7年の歳月が過ぎた。

彼もそろそろ「水」の恐怖が抜けてきただろうか?

久しぶりに「リハビリ」を兼ねて、彼を長良川に誘ってみようかな。

多少ブランクがあるから怖く感じるかもしれないけど、きっと大丈夫さ。

何の根拠もないけど、きっとうまく行くさ。


あ、あと今度はちゃんとお金も持って来るように言わないとね。

渡し賃が必要だからね。

六文銭って今のお金だといくらなのかな?



ナガラデイズ 〜完〜

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