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白馬男塾1・大雪渓直登編〜ギリギリボーイズの挑戦〜

Posted by yukon780 on 16.2014 白馬三山〜唐松岳/長野 0 comments 0 trackback
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うつろな表情で岩壁にしがみつく男。

口の中は乾きまくり、口角には若干泡も吹き始めている。

体力と精神はとうに限界点に到達し、彼のマゾエクスタシーは今絶頂の時を迎えている。


極度の高所恐怖症で知られるこの男が、なぜこのような絶望的な事態に追い込まれているのか?

そもそもこの日、この男はあれほど楽しみにしていた「川浦渓谷探検」に行っているはずではなかったのか?

湖を越え、沢を登り、そして川をパックラフトで下って来るという冒険だったはず。

ただただ大好きな清流に抱かれているはずだった男が、なぜこのような清流のカケラも無いマゾな現場に身を置いているのか?

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今更言う事ではないが、この男は大事な時にいつも台風を呼んでしまう。

今回「沢登り&川下り」という絶対に増水が許されないアクティビティに、ダイレクトに台風8号を直撃させてしまったのだ。


よって東京のランボーNと二人で行くはずだった渓谷探検は中止に。

ちなみにランボーNは僕と遊ぶのは今回で二回目だが、前回は「記録的な豪雪」によって雪山登山延期を余儀なくされ、今回は「過去最強クラスの台風」で沢登りを中止に追い込まれている。

ランボーNは今回も遊ぶ相手を間違ったのだ。


そしてそんな途方に暮れた二人に対し、「川が増水してるなら山に行きましょう。天気も台風一過で2日とも晴れですよ」と誘いの手を差し伸べて来た男がいる。

それが以前赤岳でランボーNと「シェルパブラザーズ」を結成したジョンボーAなのである。

(左:ランボーN 右:ジョンボーA)

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彼は軽い感じで「白馬三山〜唐松岳を1泊2日でテン泊縦走しましょう」と提案。

僕とランボーNはまんまとその誘いに乗った。


しかしである。

ジョンボーAは、別名「JTB(ジョンボー トラブル ビッチツアー)」と呼ばれる悪のマゾ旅行会社。

我々は彼の仕掛けたおマゾな罠に誘い込まれてしまったのだ。


沢登りから急遽テン泊縦走に切り替えた僕とランボーNは、時間が無くてろくにその縦走の内容を調べる事が出来なかった。

その時は「白馬三山〜唐松岳を1泊2日でテン泊縦走」というのが、何を意味しているかも分からなかった。

しかし後にそれの意味を痛烈に体感する事となる。

そこはまさに己の限界と対峙する「男塾」の世界だったのだ。


こうして、楽しく沢遊びするはずだった男達が無理矢理入塾させられた「白馬男塾」が唐突に開幕。

そこは「長い・辛い・恐い」の三拍子が揃った魅惑のお笑いマゾ道場。

ただの男から「漢」へと進化する為の熱き戦い。


そんな彼らの地獄の2日間。

じっくりと振り返って行こう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


男塾。

そこは「楽しさ」など介入する余地はない修行の世界。

かつて僕はJTBのコーディネートにより、冬期南アルプスでその塾を体感している。

その時は、僕とジョンボーAは最終的に「過労死」という壮絶な最期を遂げている。(参考記事:南ア男塾前編後編

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当時我々は王大人(ワンターレン)によって「死亡確認」されてしまったが、もちろん生き返る事に成功。

基本的に男塾の人間は、何度死んでも生き返る事が出来るシステム。

地獄の苦しみは繰り返されるのである。


今回はこの時以来の男塾。

舞台は南アルプスから北アルプスの白馬へ。

今回の塾生は僕とランボーNとジョンボーAの3人だ。



まずは戦いの前に、白馬在住の男塾の大先輩にご挨拶。

この風呂上がりみたいな人が、3号生筆頭「大豪院邪鬼」ことハッポーNさんである。

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今回ハッポーNさんは急過ぎて参加しないが、わざわざ早朝に我々を猿倉の駐車場まで搬送する為に来てくれたのだ。

しかも沢登りの準備しかしてなかったランボーNのために、アイゼンと登山靴まで用意してくれた。

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7月なのにあえて「厳冬期用登山靴」を履くランボーN。

慣れない靴とムレムレ環境で靴擦れ必至だが、これぞ男塾の先輩からの素敵なマゾプレゼントなのである。


そして我々は大豪院先輩の車でスタート地点の猿倉へ移動。

ついに白馬岳・杓子岳・鑓ヶ岳・唐松岳の4山を落とす「白馬大四凶殺」の戦いが始まるのだ。

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左から松尾ことジョンボーA、大豪院(またはラオウ)ことハッポーNさん、田沢こと僕、虎丸ことランボーNのメンバー。

当ブログの登場人物の中でも、実に濃い男どもの集結だ。


決死の戦いに挑む我々1号生に対し、大豪院先輩は「大雪渓は落石地獄で稜線は暴風祭りだ。ぬかるでないぞ。」と送り出してくれた。

大先輩からのエールに感激しきりの松尾と田沢と虎丸。

早速猿倉荘に白馬大四凶殺への挑戦状(登山届)を叩き付けて宣戦布告。

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もう後戻りは許されない。

ここから先はデッドorアライブの戦いだ。

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まずは第一回戦の相手「白馬岳」との戦いに向けて、静かに戦場に向かう男達。

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目の前には悠然と我々を見下ろす白馬岳の姿。

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何という迫力。

長いブランク明けの登山にしては、いささか相手が強大すぎる。

そもそも本来沢登りを楽しむはずだったのに、今更ながら代替え案としてはハードな気がして来たぞ。

ランボーNに至ってはまだ沢に未練があるのか、大増水してる沢を見て「ゾックゾクするわ」と武者震いしている。

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彼は危険度が増すほどにニヤニヤしてしまう真性マゾ男。

ある意味今回の探検が中止になって僕は命拾いしたのかもしれない。


一方で松尾はただただ浮かれている。

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本来ならソロで中央アルプスに行くはずだったが、途方に暮れたマゾを二匹拾って念願の白馬縦走にこぎ着けられてご機嫌なのだ。

だが彼自身が立てたこの企画が、後に彼自身をも追い込んで行こうとはこの時は微塵も感じていない。


その後も移動を続け、

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やがて三人は決闘場に到達。

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ついに白馬岳の第一の刺客「大雪渓」がその姿を現したのだ。

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この大雪渓の急登をひたすら一直線に登って行くだけという「体力一本勝負」。

ここで我々の根性が試されるのだ。


僕は10本爪のアイゼンを履いて戦いの準備。

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松尾と虎丸などは軽アイゼンなどという軟弱なものは使用せず、もちろん男らしく重量のある12本爪だ。

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7月だというのにランボーNは「厳冬期用登山靴+12本爪アイゼン」、そして背中には何故か「沢登り用」のザック。

彼はこのままハロウィンの仮装パーティーにでも出ようとでも言うのか?

こんな背負い心地の悪いザックでこれから縦走しようってんだから、さすがは虎丸龍次と言わざるを得ない。


さあ、第一回戦。

この大雪渓に、我々の大根性を刻み付けてやろうではないか。

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ただただ上だけを目指して突き進む。

しかし重いテン泊装備を担いだ我々には思った以上にハードな行程。

想像以上に体が重く、早くも男達の「ブホーッ!ブホーッ!」という荒い吐息が漏れまくる。

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そしてここに来て早速上からの「暴風タイム」スタート。

ただでさえ辛い所に強烈な向かい風が大発生。

容赦ない大雪渓の波状攻撃。


そんな劣勢の中、一気に抜け出したのが我らが虎丸龍次。

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状況が悲惨になればなるほど燃える男の猪突猛進アタック。

普段は富樫とともに実況中継&驚き役に徹する彼だが、いざ戦いとなればご覧の頼もしさだ。

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彼も僕同様子供がまだ小さいから、中々遊びに行かせてもらえずに自由に飢えた虎。

ついに野に解き放たれた虎は雪渓を走って登り出し、一気に野生に回帰した。

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よほど普段から遊びへの欲求を無理矢理押し殺しているのか、この自由に対して悦びが爆発している。

しかしである。

この数十分後。

彼は突然このようなボロボロの状態へ。

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顔は苦痛で歪み、さっきまで元気に走っていた男の面影はすでに無い。

実は大豪院先輩に託された「厳冬期用登山靴」がムレにムレまくり、そしてズレにズレまくって「大靴擦れ」が発生。

一歩一歩で踵に走る激痛が実に心地よさそうだ。

まだまだ先は長いと言うのに、早くも猛烈に追い込まれているではないか。


一方、背後を見れば松尾もグッタリとしている。

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それもそのはず。

彼はよせばいいのに、あえて大容量ザックに大量の荷物を詰め込みすぎて来てしまった確信犯マゾ男。

今回こそ立派な漢になってやる、という彼の意気込みが見て取れる仕込み芸である。


で、もちろん同期の田沢もご覧のへろへろな有様。

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早くもこの段階で「アッアッアッー」と声を発し、後半の加藤鷹ばりに息が荒すぎる状態。

何故なら彼は10本爪アイゼンで十分だと思っていたのが、想像以上に刃の効きが悪くて一歩一歩ずり落ちるという消耗戦に突入していたのだ。

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一歩進んで半歩ずり落ちるという行為は、急速に彼から体力を奪い去って行く。

一日一歩、三日で三歩、三歩進んで二歩さがる。

人生はワン・ツー・マゾ

休まないで歩け。


白馬大雪渓に現れた「靴擦れ沢登りザック男」、「大重量ザック仕込み男」、「三百六十五歩のマーゾ男」。

各人がそれぞれ己の「男」を見事に表現。

これぞ我らの男道だ。

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この自滅的な根性攻撃に、一気に劣勢になった刺客「大雪渓」。

しかし古代中国の殺人拳「猪突岩石拳」を極めた大雪渓は、まだ強烈な奥義を隠し持っていたのだ。

後に三人が口を揃えて「かつてこれほどリアルに死に直面した事は無い」と言わしめた奥義を。


そんな奥義が来るとは思っていない三人は、相変わらずグヘグヘと雪渓を登り続けていた。

各人の体力の消耗は凄まじく、もはやひたすらうつむいてゾンビにように歩いている。

そして相変わらず暴風は吹き荒れ続け、僕は次第に汗が冷えて体力が奪われ始める。


僕は「ちょっとストップ。アウター着ますわ。」と言ってザックから上着を取り出す。

この時の並び順は「僕」「ジョンボーA」「ランボーN」の順。


僕が上着を着るのにまごついていると、JTB添乗員としての顔を持つジョンボーAが僕の背後に回って上着を着せてくれた。

そして僕が上着に袖を通した時。

「僕・ジョンボーA」と「ランボーN」の間を、イノシシくらいの大きさの巨大な固まりが猛烈なスピードで音も無く通り過ぎて行ったではないか。


一瞬で凍り付く3人。

そのイノシシ大の物体は、なんと強大な「落石」。

雪のせいで、凄いスピードにも関わらず全く無音で迫って来たのだ。


我々との距離、実に1m。

ほんの少しでもズレていたら、その巨岩が直撃してリアルに「即死」だった。

ジョンボーAも僕に上着を着せてくれてなかったら、まさにその落石の直撃ルート上にいた事になる。

(※写真は本人達による再現。岩はこれの4倍くらいの大きさ。まさにジョンボーとランボーのこのわずかな隙間を巨岩が通り抜けて行ったのだ。)

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こんな奇跡があるのか。

この広大な大雪渓の中で、この一点に絞って滑落して行った巨大な落石。

はっきり言ってヘルメット被ってても何も意味が無いような落石だ。


松尾と田沢は顔を真っ青にしながら、慌てて後方の登山者達に叫ぶ。

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この強烈な叫び声に対し、後方の登山者達も逃げ惑う。

大岩はそのまま見えなくなるまで転がって行った。


多分後方で被害は出ていないだろうが、後になってから猛烈に恐くなってブルブル震える3人。

これがその直後の彼らの表情だ。

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僅差で直撃を免れたジョンボーAは、ショックのあまりキン肉マンみたいな顔になってしまっている。


だが、この強烈な恐怖体験によって彼らのアドレナリンが大放出。

あれ程バテバテだった彼らだったが、もう疲れなんてぶっ飛んでガシガシ登って行く。

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これが世に言う「ラクセキーズ・ハイ」。

僅差で生き残った興奮を互いに振り返りながら歩く事で、信じられない底力が湧いて来たのだ。


しかしまだまだ油断の出来ないこの落石危険地帯。

こんな奴が、上から音も無く猛スピードで転がり落ちて来る恐怖を想像していただきたい。

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行く手にはそんな落石予備軍も大量にスタンバイ中。

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もう恐ろし過ぎて下を向いて歩く事なんて出来ないから、しんどくても常に上を見続けながらの行軍。

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そして容赦なく続く大急登の嵐。

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白馬岳ってこんなに危険でハードな山だったのか。

何も下調べしてない僕とランボーNはもちろんのこと、この登山を企画したJTBのジョンボーAまでもが「白馬岳をなめてました。ほんとスミマセンでした。」とうなだれている。

まだ白馬三山どころか大雪渓すら越えられていないのに、男達の弱音が止まらない。

さすがは天下の白馬男塾である。


やがてフラフラの男達は、なんとか大雪渓の終点「葱平(ねぶかっぴら)」に到達。

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ついに白馬岳の刺客「大雪渓」を撃破したのだ。

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まだ先は長いと言うのに、グッタリして虚空を見つめるジョンボーA。

ここから見下ろせば、激戦を繰り広げて来た大雪渓のおぞましい姿。

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他の塾生達もアリのように直進行軍を続けているのが分かる。

だがこの中で、真の「漢」になれるのはほんの一握り。

実際、この3人がやろうとしている「白馬三山〜唐松岳を1泊2日でテン泊縦走」というものに挑戦しているのは、この大勢の塾生の中のほんの数人だったりする。

こんな中途半端な場所で(まだ一つもピークハントしてない)くたばってたまるか。


ここで気合いを入れ直す田沢と虎丸。

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彼らとしては本来ここにいるはずじゃなかったから、「なぜこんな事になってしまったんだ」と愚痴がこぼれる局面。

しかし一方でこの珠玉のマゾタイムに内なる変態ソウルがスパークし、ワッシワッシと急登で己を追い込んで行く。

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しかし何気にこの葱平はお花で有名な場所。

お花好きなジョンボーAはここで優雅にお花の撮影。

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だがお花に全く興味のない田沢と虎丸は、そんなメルヘン松尾を置いてガンガン先に進んで一切待とうともしない。

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彼らは背中で語り続ける。

男塾に花なぞ必要ない。

メルヘンに心を奪われた者から死んで行くのだと。


そして虎丸がそっとメルヘン松尾に寄り添って言う。

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お花畑なんてものは死んでからゆっくり堪能すれば良い。

今はマゾに邁進するのだと。


この先輩二人に刺激を受け、ついにメルヘン松尾も元のマゾ松尾に戻って大急登タイムへ。

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もう花などには目もくれず、一心不乱に己の疲労と向き合い始めたのだ。


再び一致団結した3人。

そんな我々に対し、白馬岳が第二の刺客「小雪渓トラバース」を派遣して来た。

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この数百mという微妙な距離のトラバースが我々に難しい判断をあおぐ。

正直めんどくさくて再びアイゼンを履く気にもなれない。

でも微妙に距離はある。

もし滑ったら、そのまま谷へ滑落して行ってしまう。

でもやっぱりこの距離ならそのまま行けそう。

実に悩ましい頭脳戦。


結局協議の結果、アイゼンを取り出して装着する気力すら残ってなかった我々は「行ける」と判断してそのまま小雪渓トラバースに突入。

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ここからしばらく写真が途絶える。

それは何を意味するかと言えば、正直「めさめさ恐かった」という事を意味している。

写真なんて撮ってる場合じゃなかったのだ。


ここの所の台風の影響なのか、すっかりステップが無くなっててツルッツルの状態に。

一歩一歩しっかりフラットに踏み込まないと、いつズルッと行って滑落して行くか分からない恐怖。

そんな一歩一歩の恐怖が300歩くらい続くのだ。


もう誰も一言も発する事が出来ず、ひたすらゆっくりと移動する3体のASIMOたち。

何とか小雪渓トラバースを突破した頃には、我々の精神はごっそりとえぐられた状態に。

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我々は男塾の塾生だから仕方ないが、やはりみなさんは面倒くさがらずにちゃんとアイゼン履きましょう。


そしてここからは「白馬岳頂上宿舎」を目指す急登世界。

結局この山は終始急登しかないという実に男らしい山で、虎丸も悦びのあまりすっかりヘロヘロだ。

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この男は基本的にかなり体力のある男なのだが、その持ち前の「活発すぎる新陳代謝」によってすぐに「シャリバテ」になってしまうという燃費の悪い男。

もうこの頃になると、ただただ「腹減った...メシを...メシを...」と呪文のようなうわ言を言い始める。

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後方から登って来る松尾も、もう顔も上げられないほどやられてしまっている。

上から見ると地獄を彷徨う餓鬼どものような痛々しすぎる光景。

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かく言う田沢も同様の限界状態。

いよいよ加速する男塾の試練。

この山はテン泊装備担いで登っちゃダメな山だ。


そして「着きそで着かない」という苦行をじっくり味わった後、彼らはやっとこさ白馬岳頂上宿舎に到達。

そしてそこでは絶望的な「グロッキー・バルボア」たちの勇姿が確認された。

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これぞ「ギリギリボーイズ」誕生の瞬間だ。


彼らはこれ以降、常に気力と体力を「ギリギリ」の所でキープさせながら戦って行く事になる。

美しいまでのグロッキー状態だが、まだこの時点で彼らは何一つとして目標を達成していない。

まだこの初日だけでも、あと3つの山を撃破しないといけないのに。



そう、ここは白馬男塾。

グロッキー上等のマゾワールド。

真の漢になるための、情け無用の根性道場。


果たしてこのギリギリボーイズ達は、生きてこの男塾を卒業できるのか?

いよいよここから、「白馬岳」「扚子岳」「鑓ヶ岳」の白馬三山との歴史的な持久戦が始まる。


今後の松尾、田沢、虎丸の根性から目が離せそうにない。




白馬男塾2・白馬散々縦走編へ  〜つづく〜


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